最強の女戦士ここにあり

田仲真尋

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未来へ繋ぐ

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あの壮絶な戦いから八年が経とうとしています。

僕らは人間界へと無事に帰って来ました。


僕らがこちらへ戻ってきてから、人間界――特にレト大陸ではとても大きな変化がありました。

レト大陸の雄キリエスは王を失いバラバラの状態でした。

そこにかつてはキリエスだったソルディウスが介入しこれを統一したのでした。

そして王は当然、ピーター・ドレイクが就任致しました。

そもそもピーターはキリエスの王族であり、本来なら彼が王になっているはずでした。

それがいわゆる家庭の事情で、実の弟と敵対関係になっていました。

まあその弟が既に亡くなっているのでピーターが王になることについて誰一人として異論を唱える者はありませんでした。


ソルディウスを治めていたピーターが王になったことで、キリエスという国はその名さえも消えるのかと思いきや、レジェスの進言でフルガイアのキリエスのことを知ったピーターは、以前のようにキリエスという一つの国としてソルディウスの名を棄てました。


こうして長かったレト大陸の覇権争いは幕を閉じたのです。


一方僕らはというと、今現在レト大陸南東部に位置する小国に身を置いています。

ここはあのアイスが王になっていた旧ザラスという国です。

この国もキリエスに吸収されたり、キリエスと敵対したりと忙しない国でした。

しかし、ようやく落ち着きを取り戻しつつありました。

この国はキリエスには属さない、れっきとした独立国として周囲の国々に認められたのです。

大国キリエスや隣国フェイトフルリアルムとも友好関係を築き、平和な国となりました。



この国の名は――モルドスです。




「ねえ、ピート。早く剣術を教えてよ。」


「はいはい、リーシュ様。」


この男の子はリーシュ。

このモルドス国の次期国王です。

まだ六つの子供ですが成長が早く、頭も良い。

それに人のことを大事にする、気持ちの優しい子です。

あとは強くなりさえすればきっと、いい王様になるでしょう。


「あっ!母上!」


お母様を見つけるとすぐに駆け出して行ってしまう。

そういうところはまだまだお子様ですがね。


「リーシュ、そこにいたのね。」


「母上、ピートがね母上のことを『しょうわる』と言っていました。どういう意味ですか?」


「……王妃様。冗談ですからね。」


「ピート、お前――。」


僕はとりあえずダッシュで逃げました。

あっ!ちなみに説明しておきますと王妃様はサーシャ様です。

えっ?では王様は誰だって?

そんなことは言わなくても分かりますよね。


「おお!リーシュ!我が愛しの孫よ。こっちへおいで。」


「お祖父様!」


そう、この人はディミトリさんです。

モルドスとの戦いの後、何故だか力が少しずつ戻ってきたらしく、最近では頻繁にフルガイアと人間界を行ったり来たりしています。

その理由は孫のリーシュ様に会いたいがためです。


「ところでピート、国王はどこに行ったの?」


「さ、さあ。僕はリーシュ王子様の教育係でして国王様のお守りではありませんから。」


「ちっ!あいつまたフラフラと出掛けたのね。帰ってきたら一発殴ってやらないと気が済まないわ。」


「母上。お父様をあまりいじめないであげてください。」


「リーシュ。やっぱり貴方は優しい子ね。でもね悪いことをしたら叱らなければならないの。いじめている訳じゃないのよ。躾よ躾。」


なんだか国王が可哀想になってきました。

きっと今頃は街に出て、強い奴でも探しているのでしょう。

まったくいつまでも変わりませんね、レジェスは。


僕はふと空を見上げました。

濃い青色の空にまばらに散ったように白い雲。

風は強く吹いていますが、実に爽やかな風です。


ここに来て毎日が穏やかで温かさに溢れています。

自分でも驚くことに、こんな平和な生活にも飽きがきません。

昔の僕なら刺激を求めて、とっくにここには居なかったことでしょう。

でも今はこの時間が永遠に続いて欲しい、そんなことを願ったりしている自分がいます。


きっとこれが本来の僕なんだと心からそう思ったのでありました。



――こうして僕の成長記録は終わりを向かえるのでした。

えっ?お前は主人公ではないだろ、ですって?

そうでしたっけ?

これは僕と最強を求めた一人の女剣士の物語。

主役が誰かなんてどうでもいいことです。

それでは、またどこかで。



〈完〉



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