chaos world~battle royal~

田仲真尋

文字の大きさ
36 / 57
四章~人ならざる者

謎の集団

しおりを挟む
バーンとレミは間違えて連れてきた緑の弟、紫野をとりあえずアジトへと連行した。

予想に反して彼は抵抗することもなく素直にそれに応じたのだ。


アジトへと戻った三人を見て一番驚いたのは凛香だった。


「紫野君!?どうして紫野君がレミさんたちと一緒にいるの、緑君は?」


「り、凛香?なんでお前がこんなとこに。」


混乱している凛香と紫野にレミは詳細に説明をした。


「そんな……緑君大丈夫かな――。」


「兄貴は大丈夫だよ。マチルダ様はそんなに乱暴なことはしないぜ。」


「そんなこと言ったってよ、お前らいきなり俺らに襲いかかってきたじゃねえか。充分に乱暴だと思うぜ俺は。」


バーンの言ってることに間違えはなかった。

その為、レミも何も言うことが出来なかった。

本当ならば、凛香を安心させてやりたいところではあるが、バーンに反論出来なかったのである。


「そうだ、ねえ緑っちの弟君――。」


「『しの』だ。」


「そうそう紫野君さ、なんで私たちを襲ってきたの?」


レミの質問に紫野は困った顔をしながら答えた。


「あれは何て言うか、マチルダ様の戯れだ。本気でお前たちをどうこうするつもりはなかったはずだ。だけどお前たちが銃なんか持ち出してくるから、つい皆本気になったんだと思う。」


バーンとレミは顔を見合せた。


「なあ、そもそもお前らっていうか、そのマチルダって何者なんだ?」


紫野は考えるように天井を見つめながら少しの沈黙を保った。

それからゆっくりと息を吐いてから答え始めた。


「マチルダ様は命の恩人だ。俺たちは全員自殺志願者だったんだ。」


その発言に凛香は驚きのあまり声が出なかった。


「この世で生きていくことに絶望した俺たちを救ってくれたのがマチルダ様だ。あの人の血を与えられ、俺たちは普通の人間ではない生き方を得られたんだ。」


紫野の話しに一同は呆然とさせられた。

とても信じ固い話ではあるが、今のこの混沌とした世界ならば、それも信じるに値するのかもしれない。


「もう少し、その話を詳しく聞かせてくれないか、紫野君。」


そこにエリオットが現れた。

彼の顔は好奇心に満ち溢れているよう思えた。


「あんたは?」


「私はエリオット。そこにいるバーンとレミの父親さ。」


紫野は少し警戒心を覗かせていた。

エリオットに対し、何かしらの力を感じたからなのかもしれない。


「さっきまでの話を聞いている限り、マチルダさんというのは所謂、吸血鬼の類いだと考えれるが、どうだい間違っているかい。」


「……いいや、正解だよ。マチルダ様本人がそう言っていたからな。」


「おお!やっぱりそうなんだ。私も噂にしか聞いたことがなかったから、実物を見ることができるとは。」


エリオットは興味津々で紫野を眺めた。


「言っとくけど、俺なんてマチルダ様の足元にも及ばないからな。あの人は不死の存在だけど、俺たちみたいな半端者は普通の人間より少し長生き出来るだけらしいからな。」


その紫野の言葉にエリオットは瞳を輝かせながら、訊ねた。


「それで、君たちは人の生き血を啜って生きているのかい?」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です1~またクビになったけど、親代わりのメイドが慰めてくれるので悲しくなんてない!!~

あきくん☆ひろくん
ファンタジー
仕事を失い、居場所をなくした青年。 彼に仕えるのは――世界を救った英雄たちだった。 剣も魔法も得意ではない主人公は、 最強のメイドたちに守られながら生きている。 だが彼自身は、 「守られるだけの存在」でいることを良しとしなかった。 自分にできることは何か。 この世界で、どう生きていくべきか。 最強の力を持つ者たちと、 何者でもない一人の青年。 その主従関係は、やがて世界の歪みと過去へと繋がっていく。 本作は、 圧倒的な安心感のある日常パートと、 必要なときには本格的に描かれる戦い、 そして「守られる側の成長」を軸にした 完結済み長編ファンタジーです。 シリーズ作品の一編ですが、本作単体でもお楽しみいただけます。 最後まで安心して、一気読みしていただければ幸いです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

剣客逓信 ―明治剣戟郵便録―

三條すずしろ
歴史・時代
【第9回歴史・時代小説大賞:痛快! エンタメ剣客賞受賞】 明治6年、警察より早くピストルを装備したのは郵便配達員だった――。 維新の動乱で届くことのなかった手紙や小包。そんな残された思いを配達する「御留郵便御用」の若者と老剣士が、時に不穏な明治の初めをひた走る。 密書や金品を狙う賊を退け大切なものを届ける特命郵便配達人、通称「剣客逓信(けんかくていしん)」。 武装する必要があるほど危険にさらされた初期の郵便時代、二人はやがてさらに大きな動乱に巻き込まれ――。 ※エブリスタでも連載中

レオナルド先生創世記

ポルネス・フリューゲル
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!

滝川家の人びと

卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。 生きるために走る者は、 傷を負いながらも、歩みを止めない。 戦国という時代の只中で、 彼らは何を失い、 走り続けたのか。 滝川一益と、その郎党。 これは、勝者の物語ではない。 生き延びた者たちの記録である。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

処理中です...