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第1章・第2騎士団
5,騎士団の寮
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「皆に説明しておく。この3名が10名の中でここに選抜された奴らだ。」
「ふーん」
「歓迎するよ。」
黒髪に灰色の瞳をした美青年が、後頭部に腕を組み歩いて来た。
その隣には、薄オレンジ色の髪に水色の瞳をした美青年。
その人達に続き、白い騎士団服を着た男達が、こちらに来た。
「何かあったんすか?」
男達の背後から歩いて来る青年。
黒いバンダナに、薄茶色の髪に緑色の瞳をした美青年だった。
「誰っすか?」
「今日から所属する新人だ。」
「10名から選ばれた奴らっすか。」
薄茶髪の青年は私を見る。
「どうして、女がいるっすか?華奢っすね。強いっすか?」
顎に指を当て、目を細め怪訝な顔をする。しかし、薄オレンジ髪の青年が軽くしばいた。
「こら、この子は団長達が決めた子だよ。それに、そんなに睨まない。」
「でも、信じられないっす!クロードもそう思うっすよね!」
「僕はどっちでもいいかな。団長達が決めたんならいいんじゃない?」
「俺は嫌っすよ。華奢っすね。本当に強いっすか?」
薄茶髪の青年は顎に指を当て、目を細め怪訝な顔で私を見る。
「ヒューズ。いい加減にしようか。」
「だって、こいつはこんなにちっちゃ……」
それ以上、言葉は続かなかった。それもその筈だ。
私が薄茶髪の青年の手を掴み、そのまま勢いを利用して床に転ばした。
前世で言う所の合気道である。ただし、様見真似である。
前世で体術など習った事が、少ししかないのだ。知識以外ほぼ独学である。
しかし辺りは静寂と化した。技をかけられた薄茶髪の青年は唖然である。
まあ、体格が違うのだから開いた口が塞がらないのも無理はない。
「か弱くはありませんよ。」
ここで軽んじられるのは頂けない。
「どうしたんだ?」
呑気な声の主に目を向ける。
赤髪に黄緑色の瞳。カイトさんだ。
「おー!レイラか!」
「どうも。その節はありがとうございました。」
「いいんだよ。これから仲間なんだ。気軽にな。」
「そろそろいいだろう。ヒューズにクロードとゼンはこの3人の教育だ。」
「分かりました。」
「了解。」
「了解っす。」
不満な顔の薄茶髪の青年。
「俺でもいいぞ。」
「駄目に決まってるだろ。」
カイトさんの頭をしばく副団長。カイトさんは、叩かれた場所を抑えている。
「クロードはセレスを、ゼンはアレン。ヒューズは、レイラを担当だ。」
「了解。」
「了解です。ヒューズもそれでいいね。」
「副団長の言葉なら仕方ないっす。」
拗ねたようにそっぽを向く。
「レイラと申します。今日から宜しくお願いします。」
私は、薄茶髪の青年であるヒューズ先輩に声を掛けた。
「仕方ないっすね。俺はヒューズっす。泣き言吐いたら叩き出すっすよ。」
「肝に銘じます。」
希望してここには来ていないんだけどな。
「レイラは、女子寮に行ってもらうっすよ。」
女子寮?
「何すか?気になる事でもあるっすか?」
「何故女子寮があるんですか?」
副団長の話では、女性の騎士はここにはいないらしいんだけどな。
「ああ、一応あるっすよ。だけど、選ばれたとしても訓練に耐えれず辞退するっすよ。」
「つまり、本来いた方々が辞退し、空席と化した寮と言う訳ですね。」
「そう言う事っす。お前も例外じゃないっすよ。」
つまり、信用がないと。書類整理なら問題ないが、討伐任務の時は困るな。
命を賭ける戦いの場で、味方も信用出来ないのだから。
「ですが、実力は並みにはあると理解して貰えたと思いますが。」
「実力は別っす。問題は、男目当てで来てないかどうかっす。」
「第2騎士団は人気なんですね。」
興味はないけどね。
イケメンや美女が近くにいても、生活問題の解決にはならない。
玉の輿狙いもあり得ないな。そこそこ権利のある貴族令嬢なら問題ない。
だけど、身分の低い者がその地位に行くには、下手に恨みを買う恐れがある。
まあ、高貴な貴族が利益のない者を選ぶとは思えない。
前世とは違いここは恋愛結婚など、数少ないのだから。
「第1騎士団も人気っす。……興味なしっすか。まあ、お前を疑う人は余りいないっす。」
少しはいるんだ。嫌だな。
「分からず屋は、新人やバカ共っす。」
「その方々の対応は、どの様にするのですか?」
「自分で考えるっす。」
「許容範囲を知りたいだけです。」
「はっ?」
目を見開くヒューズ先輩。
「無視するにしろ、心を折るにしろ水準を間違え、難癖を付けられても面倒です。」
「何か不穏な言葉が聞こえたっすよ。冗談っすよね?」
「ヒューズ先輩、私が冗談を言える人間に見えますか?」
「……笑えないっすよ。」
「冗談ですよ。」
口角を引きつるヒューズ先輩。私の表情筋は殆ど機能しない。
「冗談に聞こえないっす!無表情で言う事じゃないっす!」
そんな会話をしていると、私の寮部屋に着いたらしい。
「ここがお前の生活する部屋っす。必要な荷物はもう直ぐ届くっす。」
「分かりました。」
部屋の説明を一通りしてくれた先輩。
「それと、夕飯の説明をするから迎えに来るから夕飯前には部屋で待機っす。」
「分かりました。ありがとうございます。」
「今日何もないっす。」
訓練は明日かららしい。ヒューズ先輩は、何処かに行った。
私は部屋を見渡す。2段ベッドに2つの机に2つの椅子がある。
本来は、2人で一部屋だそう。だけど、内装はシンプルで広い。
それにお風呂とトイレ付きだ。小さい頃は水の問題を考えたが、魔道具があった。
魔道具に魔力を流すと、水が流れると言う仕組みだ。
水代が浮くとは、前世に欲しかったな。そう思ってしまう。
火・水・風・土なら、魔道具に付与が可能で、他の日用品にも使われている。
ドアをノックする音が聞こえたので、ドアを開けると荷物を持ったお婆さんがいた。
白髪にサファイヤの瞳をした、優しそうなメイド服を着たお婆さん。
「こんにちは。第2騎士団寮のメイドのソフィーよ。これが貴女の荷物ね。」
「はい。今日から配属されました。新人のレイラと申します。」
騎士の礼をして荷物を受け取る。
「宜しくね。」
「はい。宜しくお願いします。荷物、ありがとうございました。」
「いいのよ。」
立ち去るソフィーさん。
私は内心驚いていた。荷物は、最低限の日用品だが大きい鞄に詰めている。
問題は次もだ。段ボールには、数冊の本が入っている。
狩をして売ったお金は、家計に回していた。しかし、少量のお金は父から返された。
そのお金で購入した知識本だ。まだあったが、最低の必要な本を持って来た。
これからはお給料も入るから嬉しい。それに、図書室も使っていいそうだ。
つまり、読める本が増えるのはありがたい事だ。
「ふーん」
「歓迎するよ。」
黒髪に灰色の瞳をした美青年が、後頭部に腕を組み歩いて来た。
その隣には、薄オレンジ色の髪に水色の瞳をした美青年。
その人達に続き、白い騎士団服を着た男達が、こちらに来た。
「何かあったんすか?」
男達の背後から歩いて来る青年。
黒いバンダナに、薄茶色の髪に緑色の瞳をした美青年だった。
「誰っすか?」
「今日から所属する新人だ。」
「10名から選ばれた奴らっすか。」
薄茶髪の青年は私を見る。
「どうして、女がいるっすか?華奢っすね。強いっすか?」
顎に指を当て、目を細め怪訝な顔をする。しかし、薄オレンジ髪の青年が軽くしばいた。
「こら、この子は団長達が決めた子だよ。それに、そんなに睨まない。」
「でも、信じられないっす!クロードもそう思うっすよね!」
「僕はどっちでもいいかな。団長達が決めたんならいいんじゃない?」
「俺は嫌っすよ。華奢っすね。本当に強いっすか?」
薄茶髪の青年は顎に指を当て、目を細め怪訝な顔で私を見る。
「ヒューズ。いい加減にしようか。」
「だって、こいつはこんなにちっちゃ……」
それ以上、言葉は続かなかった。それもその筈だ。
私が薄茶髪の青年の手を掴み、そのまま勢いを利用して床に転ばした。
前世で言う所の合気道である。ただし、様見真似である。
前世で体術など習った事が、少ししかないのだ。知識以外ほぼ独学である。
しかし辺りは静寂と化した。技をかけられた薄茶髪の青年は唖然である。
まあ、体格が違うのだから開いた口が塞がらないのも無理はない。
「か弱くはありませんよ。」
ここで軽んじられるのは頂けない。
「どうしたんだ?」
呑気な声の主に目を向ける。
赤髪に黄緑色の瞳。カイトさんだ。
「おー!レイラか!」
「どうも。その節はありがとうございました。」
「いいんだよ。これから仲間なんだ。気軽にな。」
「そろそろいいだろう。ヒューズにクロードとゼンはこの3人の教育だ。」
「分かりました。」
「了解。」
「了解っす。」
不満な顔の薄茶髪の青年。
「俺でもいいぞ。」
「駄目に決まってるだろ。」
カイトさんの頭をしばく副団長。カイトさんは、叩かれた場所を抑えている。
「クロードはセレスを、ゼンはアレン。ヒューズは、レイラを担当だ。」
「了解。」
「了解です。ヒューズもそれでいいね。」
「副団長の言葉なら仕方ないっす。」
拗ねたようにそっぽを向く。
「レイラと申します。今日から宜しくお願いします。」
私は、薄茶髪の青年であるヒューズ先輩に声を掛けた。
「仕方ないっすね。俺はヒューズっす。泣き言吐いたら叩き出すっすよ。」
「肝に銘じます。」
希望してここには来ていないんだけどな。
「レイラは、女子寮に行ってもらうっすよ。」
女子寮?
「何すか?気になる事でもあるっすか?」
「何故女子寮があるんですか?」
副団長の話では、女性の騎士はここにはいないらしいんだけどな。
「ああ、一応あるっすよ。だけど、選ばれたとしても訓練に耐えれず辞退するっすよ。」
「つまり、本来いた方々が辞退し、空席と化した寮と言う訳ですね。」
「そう言う事っす。お前も例外じゃないっすよ。」
つまり、信用がないと。書類整理なら問題ないが、討伐任務の時は困るな。
命を賭ける戦いの場で、味方も信用出来ないのだから。
「ですが、実力は並みにはあると理解して貰えたと思いますが。」
「実力は別っす。問題は、男目当てで来てないかどうかっす。」
「第2騎士団は人気なんですね。」
興味はないけどね。
イケメンや美女が近くにいても、生活問題の解決にはならない。
玉の輿狙いもあり得ないな。そこそこ権利のある貴族令嬢なら問題ない。
だけど、身分の低い者がその地位に行くには、下手に恨みを買う恐れがある。
まあ、高貴な貴族が利益のない者を選ぶとは思えない。
前世とは違いここは恋愛結婚など、数少ないのだから。
「第1騎士団も人気っす。……興味なしっすか。まあ、お前を疑う人は余りいないっす。」
少しはいるんだ。嫌だな。
「分からず屋は、新人やバカ共っす。」
「その方々の対応は、どの様にするのですか?」
「自分で考えるっす。」
「許容範囲を知りたいだけです。」
「はっ?」
目を見開くヒューズ先輩。
「無視するにしろ、心を折るにしろ水準を間違え、難癖を付けられても面倒です。」
「何か不穏な言葉が聞こえたっすよ。冗談っすよね?」
「ヒューズ先輩、私が冗談を言える人間に見えますか?」
「……笑えないっすよ。」
「冗談ですよ。」
口角を引きつるヒューズ先輩。私の表情筋は殆ど機能しない。
「冗談に聞こえないっす!無表情で言う事じゃないっす!」
そんな会話をしていると、私の寮部屋に着いたらしい。
「ここがお前の生活する部屋っす。必要な荷物はもう直ぐ届くっす。」
「分かりました。」
部屋の説明を一通りしてくれた先輩。
「それと、夕飯の説明をするから迎えに来るから夕飯前には部屋で待機っす。」
「分かりました。ありがとうございます。」
「今日何もないっす。」
訓練は明日かららしい。ヒューズ先輩は、何処かに行った。
私は部屋を見渡す。2段ベッドに2つの机に2つの椅子がある。
本来は、2人で一部屋だそう。だけど、内装はシンプルで広い。
それにお風呂とトイレ付きだ。小さい頃は水の問題を考えたが、魔道具があった。
魔道具に魔力を流すと、水が流れると言う仕組みだ。
水代が浮くとは、前世に欲しかったな。そう思ってしまう。
火・水・風・土なら、魔道具に付与が可能で、他の日用品にも使われている。
ドアをノックする音が聞こえたので、ドアを開けると荷物を持ったお婆さんがいた。
白髪にサファイヤの瞳をした、優しそうなメイド服を着たお婆さん。
「こんにちは。第2騎士団寮のメイドのソフィーよ。これが貴女の荷物ね。」
「はい。今日から配属されました。新人のレイラと申します。」
騎士の礼をして荷物を受け取る。
「宜しくね。」
「はい。宜しくお願いします。荷物、ありがとうございました。」
「いいのよ。」
立ち去るソフィーさん。
私は内心驚いていた。荷物は、最低限の日用品だが大きい鞄に詰めている。
問題は次もだ。段ボールには、数冊の本が入っている。
狩をして売ったお金は、家計に回していた。しかし、少量のお金は父から返された。
そのお金で購入した知識本だ。まだあったが、最低の必要な本を持って来た。
これからはお給料も入るから嬉しい。それに、図書室も使っていいそうだ。
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