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第1章・第2騎士団
12,調査隊
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《シン視点》
「冷静な分析と判断をする貴女です。それだけではないのでしょう?」
シオンは、アクアマリンの瞳を細め微笑む。女性はこの微笑みを見ると悲鳴を上げる。
中には頬を染め、倒れる者も出てくるが……レイラの顔は無表情。
元々表情が豊かではないレイラだが、いつにも増して無表情だ。
「その様な評価を頂き、光栄です。」
「思いもしない事を言わなくていいですよ。」
「今回、単刀直入に言えば、盗賊達を捕まえる事が重要ではないと考えました。」
溜息を吐き話しだすレイラ。
「根拠は何ですか?」
「盗賊達を後回しにする様な発言から、捕らえるべき重要人物は別にいると思いました。」
間違いなく、レイラは任務の本質を見抜いているのだろう。
「人員不足になる程、諜報部隊が動いていると言う事は要人が関係していると推測しました。」
確かに、我々が捕まえようとしている人物は、重要人物なので、下手に手を出せない。
事を慎重に進めなくてはならないから、人員不足となるのだ。
「それらの観点から、盗賊達は関係ないと判断したかったのですが、違うのでしょう?」
問うて来た質問内容に驚く。
「……何故、そう思ったのですか?」
「盗賊達が無関係なら、先早に片付けようと考え他の騎士団に協力要請を出すべきです。」
そう疑問に思うのは、考えれば分かる事だが、短時間でそれらを組み解いたのか。
「けれど、そうはしなかった……いえ、出来ない理由があると考えました。」
レイラの視線には『そうですよね?』と、言われている様に感じる。
「正解です。」
問い掛ける目に答えるシオン。
「そこで、顔が知られている騎士ではなく、新人の私達の方が行動し易いと予測しました。」
『違いますか?』そう問い掛けるレイラに、シオンは満足げな笑みを浮かべる。
「では、お聞きします。貴女はどう行動するつもりですか?」
「常に警戒し慎重に事を進め、任務遂行にあたります。任務の事、皆に伝えますか?」
「任務の危険性は、レイラの胸の内に留めて下さい。」
「承知しました。失礼します。」
レイラが執務室を出る。
「ふふふ。」
「楽しそうだな。」
「そうですね。あそこまで推測し、意見を問うて来るとは思いませんでした。」
予想外ではあるが、仲間である事に心強く思う。
「どう言った成果を残すのか、結果が楽しみですね。」
《レイラ視点》
はぁ、やっと終わった……。流石は、腹黒上位貴族。
しかし、これからの行動は気をつけて、控える事が大切だ。
私が希望と真逆の第2騎士団に配属されたのは、何らかの意味がある筈だ。
その裏にある闇に飲み込まれない様、警戒した方がいいだろう。
「レイラちゃん!」
「大丈夫だった?」
アレンさんとアルス君が待っていてくれたらしい。
「遅れてすいません。」
「大丈夫だよ!」
「やっと終わった?なら、早く作戦会議したいんだけど。」
「内容が内容だし、何処で会議する?」
「そこの女の部屋でいいでしょ。」
確かに、私の部屋の周りは空き部屋になっている。
誰かが通る事も殆どないから、作戦会議には打って付けだ。
「確かに、私の部屋であれば、聞かれる可能性は低いですね。」
と言う事で、私達は私の部屋へ向かった。
「何もないね。」
私の部屋は、必要な物しか置いていない。だから、とてもシンプルだ。
「き、綺麗に掃除している部屋だね!」
アルス君、フォローがずれてるよ。
「お気になさらず。さあ、作戦会議を始めましょう。」
「そうだね。皆は何か策があるかな?」
「囮になって誘き寄せるでいいと思うけど。」
「な、何も持ち合わせてない旅人を襲わないと思います!」
「それに、手配もあるしね。」
「なら、そっちが考えれば。」
「まあまあ、詳しい情報を得て考えようよ。副隊長に頼んで来るよ。」
「それならここに。先程、シン副隊長から渡された資料です。」
「よし、これで作戦を立てられるね。」
私達は作戦会議をした。
会議の結果、入念な調査と探索から、盗賊達の居場所を探す事になった。
目撃情報や被害報告から、盗賊達の出現場所を結びつけ、大体の位置を絞り出す。
絞り出した場所から調査を行い、建物や空き家に洞窟の箇所を調べた。
勿論、その付近の調査も忘れない。そして、1週間の調査の結果、見つからなかった。
盗賊の頭は頭がいいのか、証拠を最小限に留めている。
建物や空き家など、調べたものの証拠は出てこなかった。
これは、盗賊の下っ端を捕らえ、居場所を吐かせるしかないのだろうか。
「今日は盗賊の仲間が、時々飲みに行く酒場に行こうか。」
アレンさんの提案に皆が賛同した。だが、問題は目立たない様にする事だ。
「変装したら、バレないよね。4人で行こうか。」
黙って、上位貴族。気品あふれる仕草を見たら、誰でも気付く。
「アレンさんとセレス君は却下です。」
「僕もレイラちゃんに賛成です……。」
「どうしてかな?」
「平民に全く見えないからです。」
「大丈夫だよ。地味な格好をすればいいんだから。」
「仕草はどうするんですか?貴方方が目立たない様に出来ると思いません。」
「分かったから。なら、ここはアルスとレイラに任せるよ。」
「僕らは影で援護するけど、勘付かれるへまはしないでよね。」
「う、うん。」
「勿論です。」
私とアルス君は、旅人の格好で王都付近にある村の酒場へ向かう。
村は盗賊に襲われる事はない。酒場や売り買いの場に適しているからだ。
街に入る事が出来ない盗賊は、村に危害を出す事は殆どない。
誘拐はあるだろうけど……。私は14歳だが、女性の中でも身長が高い方だ。
まだ、身長は伸びると思う。アルス君より身長は高いので、男装しようと怪しまれない。
白いシャツに紺色のズボンに、膝下まである編み上げの焦げ茶色のブーツ。
銀色のラインが入った黒いローブ。薄茶色のウィッグに瞳の色を魔道具で青くした。
後はメガネをかける。
「完璧な変装ですね。」
地味で完璧な変装に、私は満足して頷く。
「「何処が!?」」
アレンさんとアルス君がツッコミを入れて来た。否定されるとは理解不能だ。
「地味で完璧な男装だと思いますが。」
「男装が似合いすぎ!」
「地味な服装でも、美形だから目立つと思うよ。」
「メガネを装着しているので、大丈夫だと思うのですが?」
「逆に色気が出てるよ!気品も問題だけど、美形過ぎるのも駄目だよ!」
「安心して下さい。私の顔は、彼らの顔の足元にも及びません。」
「兎に角、レイラちゃんは、マフラーで口元を隠して!それなら、まだましだよ。」
私とアルス君は、村の酒場に足を踏み入れた。アルス君は、疲れた顔をしている。
「はぁ、ロイの顔を隠しても視線が集まるなんて……。」
「過ぎた事を気にしていたら、話は進まないでしょう。さっさと席に着きますよ。」
私達は、端の席に座る。私はロイと、アルス君はルスの偽名を使っている。
「冷静な分析と判断をする貴女です。それだけではないのでしょう?」
シオンは、アクアマリンの瞳を細め微笑む。女性はこの微笑みを見ると悲鳴を上げる。
中には頬を染め、倒れる者も出てくるが……レイラの顔は無表情。
元々表情が豊かではないレイラだが、いつにも増して無表情だ。
「その様な評価を頂き、光栄です。」
「思いもしない事を言わなくていいですよ。」
「今回、単刀直入に言えば、盗賊達を捕まえる事が重要ではないと考えました。」
溜息を吐き話しだすレイラ。
「根拠は何ですか?」
「盗賊達を後回しにする様な発言から、捕らえるべき重要人物は別にいると思いました。」
間違いなく、レイラは任務の本質を見抜いているのだろう。
「人員不足になる程、諜報部隊が動いていると言う事は要人が関係していると推測しました。」
確かに、我々が捕まえようとしている人物は、重要人物なので、下手に手を出せない。
事を慎重に進めなくてはならないから、人員不足となるのだ。
「それらの観点から、盗賊達は関係ないと判断したかったのですが、違うのでしょう?」
問うて来た質問内容に驚く。
「……何故、そう思ったのですか?」
「盗賊達が無関係なら、先早に片付けようと考え他の騎士団に協力要請を出すべきです。」
そう疑問に思うのは、考えれば分かる事だが、短時間でそれらを組み解いたのか。
「けれど、そうはしなかった……いえ、出来ない理由があると考えました。」
レイラの視線には『そうですよね?』と、言われている様に感じる。
「正解です。」
問い掛ける目に答えるシオン。
「そこで、顔が知られている騎士ではなく、新人の私達の方が行動し易いと予測しました。」
『違いますか?』そう問い掛けるレイラに、シオンは満足げな笑みを浮かべる。
「では、お聞きします。貴女はどう行動するつもりですか?」
「常に警戒し慎重に事を進め、任務遂行にあたります。任務の事、皆に伝えますか?」
「任務の危険性は、レイラの胸の内に留めて下さい。」
「承知しました。失礼します。」
レイラが執務室を出る。
「ふふふ。」
「楽しそうだな。」
「そうですね。あそこまで推測し、意見を問うて来るとは思いませんでした。」
予想外ではあるが、仲間である事に心強く思う。
「どう言った成果を残すのか、結果が楽しみですね。」
《レイラ視点》
はぁ、やっと終わった……。流石は、腹黒上位貴族。
しかし、これからの行動は気をつけて、控える事が大切だ。
私が希望と真逆の第2騎士団に配属されたのは、何らかの意味がある筈だ。
その裏にある闇に飲み込まれない様、警戒した方がいいだろう。
「レイラちゃん!」
「大丈夫だった?」
アレンさんとアルス君が待っていてくれたらしい。
「遅れてすいません。」
「大丈夫だよ!」
「やっと終わった?なら、早く作戦会議したいんだけど。」
「内容が内容だし、何処で会議する?」
「そこの女の部屋でいいでしょ。」
確かに、私の部屋の周りは空き部屋になっている。
誰かが通る事も殆どないから、作戦会議には打って付けだ。
「確かに、私の部屋であれば、聞かれる可能性は低いですね。」
と言う事で、私達は私の部屋へ向かった。
「何もないね。」
私の部屋は、必要な物しか置いていない。だから、とてもシンプルだ。
「き、綺麗に掃除している部屋だね!」
アルス君、フォローがずれてるよ。
「お気になさらず。さあ、作戦会議を始めましょう。」
「そうだね。皆は何か策があるかな?」
「囮になって誘き寄せるでいいと思うけど。」
「な、何も持ち合わせてない旅人を襲わないと思います!」
「それに、手配もあるしね。」
「なら、そっちが考えれば。」
「まあまあ、詳しい情報を得て考えようよ。副隊長に頼んで来るよ。」
「それならここに。先程、シン副隊長から渡された資料です。」
「よし、これで作戦を立てられるね。」
私達は作戦会議をした。
会議の結果、入念な調査と探索から、盗賊達の居場所を探す事になった。
目撃情報や被害報告から、盗賊達の出現場所を結びつけ、大体の位置を絞り出す。
絞り出した場所から調査を行い、建物や空き家に洞窟の箇所を調べた。
勿論、その付近の調査も忘れない。そして、1週間の調査の結果、見つからなかった。
盗賊の頭は頭がいいのか、証拠を最小限に留めている。
建物や空き家など、調べたものの証拠は出てこなかった。
これは、盗賊の下っ端を捕らえ、居場所を吐かせるしかないのだろうか。
「今日は盗賊の仲間が、時々飲みに行く酒場に行こうか。」
アレンさんの提案に皆が賛同した。だが、問題は目立たない様にする事だ。
「変装したら、バレないよね。4人で行こうか。」
黙って、上位貴族。気品あふれる仕草を見たら、誰でも気付く。
「アレンさんとセレス君は却下です。」
「僕もレイラちゃんに賛成です……。」
「どうしてかな?」
「平民に全く見えないからです。」
「大丈夫だよ。地味な格好をすればいいんだから。」
「仕草はどうするんですか?貴方方が目立たない様に出来ると思いません。」
「分かったから。なら、ここはアルスとレイラに任せるよ。」
「僕らは影で援護するけど、勘付かれるへまはしないでよね。」
「う、うん。」
「勿論です。」
私とアルス君は、旅人の格好で王都付近にある村の酒場へ向かう。
村は盗賊に襲われる事はない。酒場や売り買いの場に適しているからだ。
街に入る事が出来ない盗賊は、村に危害を出す事は殆どない。
誘拐はあるだろうけど……。私は14歳だが、女性の中でも身長が高い方だ。
まだ、身長は伸びると思う。アルス君より身長は高いので、男装しようと怪しまれない。
白いシャツに紺色のズボンに、膝下まである編み上げの焦げ茶色のブーツ。
銀色のラインが入った黒いローブ。薄茶色のウィッグに瞳の色を魔道具で青くした。
後はメガネをかける。
「完璧な変装ですね。」
地味で完璧な変装に、私は満足して頷く。
「「何処が!?」」
アレンさんとアルス君がツッコミを入れて来た。否定されるとは理解不能だ。
「地味で完璧な男装だと思いますが。」
「男装が似合いすぎ!」
「地味な服装でも、美形だから目立つと思うよ。」
「メガネを装着しているので、大丈夫だと思うのですが?」
「逆に色気が出てるよ!気品も問題だけど、美形過ぎるのも駄目だよ!」
「安心して下さい。私の顔は、彼らの顔の足元にも及びません。」
「兎に角、レイラちゃんは、マフラーで口元を隠して!それなら、まだましだよ。」
私とアルス君は、村の酒場に足を踏み入れた。アルス君は、疲れた顔をしている。
「はぁ、ロイの顔を隠しても視線が集まるなんて……。」
「過ぎた事を気にしていたら、話は進まないでしょう。さっさと席に着きますよ。」
私達は、端の席に座る。私はロイと、アルス君はルスの偽名を使っている。
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