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第2章・第3騎士団と魔道師団
25,恐ろしい毒
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団長さんの身体は、ボロボロだった。左手と右足は布で巻かれていた。
布は真っ赤に染まり、左手と右足は恐らく切られたのだろう。
女性の獣人は目に涙を浮かべている。私は鑑定し、目も観る。
言わずとも分かる通り、状態異常は毒と出た。キラースパイダーの毒らしい。
「何があった!」
アーサー先生の声だ。
リサーナさんが説明している。私はもう一度、鑑定で確認する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【鑑定】希少種キラースパイダーの毒
特Aクラスの毒
2日にかけて、全身に毒が回る。苦しみと痛みを伴う。
毒を受けても、初めは気づかれない為に麻痺効果がある。
ブラックスネークと同じ毒効果で、治療法も似ている事から特Aとされている。
毒を受けてから39時間経過
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
キラースパイダーは毒で知られている。だが、特Aクラスの毒ではない。
恐らく、希少種が関係しているのだろう。ブラックスネークと同じか……。
毒を受けてから39時間経過してるって、どう言う事……。
麻痺の効果で気づかれない様にしたのか。なら、早く治療しないと……。
「この毒の解毒薬はない。俺も知らねぇ毒だからな。」
そりゃそうだ。希少種やブラックスネークは、見る方が非常に少ない。
それ故に、解毒薬は開発されていないのだ。だが、現れたら確実にーー
ーー村は滅びる。
だからこそ、早期討伐を余儀なくされる。
だが、彼等は新種の魔物とか言ってたな。それは後で聞こう。
「アレンさん。お願いがあります。」
「何?」
「私が持って来ていた鞄を、取って来て欲しいです。」
「必要なんだね。」
「はい。」
「分かった。」
アレンさんは取りに行ってくれた。
希少種のキラースパイダーの解毒薬は、私も持ち合わせてはいない。
だけど、ブラックスネークの解毒薬ならあるのだ。
私が調べて作り、効果も保証できるものだ。本当に毒効果と治療法が一緒なら……。
助かるかもしれない。でも、先ずは新種について聞かなくてはならない。
もし、その新種が毒性のものであったなら、キラースパイダー毒の上乗せになる。
「アーサー先生、彼等が受けた毒は蜘蛛型と推測されます。」
「どう言う事だ。」
「この歯形を見て下さい。」
「これは……。」
「魔物でも、歯形や粘液は違います。」
「成る程な。だが、新種とはどう言う事だ?」
「その時、戦っていた最中に皆が倒れた。」
それでか……。
「蜘蛛型の魔物とは戦いませんでしたか?」
皆は考えている。
「例えば、キラースパイダーとかです。」
「「「「!?」」」」
「確かにいましたね。」
シオン団長がテントに入って来た。その後ろには、グレン団長とルネス団長。
「キラースパイダーに型は似ていたが、少し違ったぞ。」
「詳しく教えて下さい。」
「動きが全く違ったな。」
「後は大きさですね。目の色も違ったと思います。」
「恐らくは、キラースパイダーの希少種でしょう。」
「キラースパイダーの希少種!?」
「アーサー先生……。」
「ああ、キラースパイダーの希少種は猛毒を持っている。」
「解毒薬はありません。」
「じゃあ、助からないって事か!」
又もやヒートアップする皆さん。団長達も自分達の部下が毒で苦しんでるものね。
だが、殆ど情報のない毒の解毒薬を作れ、と言われて困るのは医師だ。
「キラースパイダーの希少種は、特Aクラスの毒と指定されています。
そして、48時間の間に毒が全身に回ります。毒を受けても分かりにくいです。」
「キラースパイダーの希少種の毒を知ってるのか?」
「はい。容態を見て、彼等は恐らく、約40時間は経過しているでしょう。」
「治す方法はあるのか!?」
「皆は助かるのだろうか!レイラ殿!」
「希少種キラースパイダーの毒の解毒薬は、持ち合わせてはいません。」
覚悟を決めるしかない。助かるかもしれないのだから……。
「ですが、希少種キラースパイダーの毒と同じ効果のある魔物の解毒薬ならあります。」
「どう言う事だ。」
「何の魔物なんだ!」
「ブラックスネークの毒は、希少種キラースパイダーと同じ毒効果とされています。」
「そうなのか?!」
「いえ、初めて知りました。」
「殆ど似ている事から、特Aクラスに分類されたと言われているそうです。」
「なら、ブラックスネークの解毒薬なら治せると?」
「はい。」
「ブラックスネークの解毒薬はありません。」
「ブラックスネークの解毒薬は、私が調合できます。」
「「「「!?」」」」
「状態異常回復は駄目なのですか?」
「そうだな。解毒薬ができるにしても、ブラックスネークは3種類。」
「それを確かめるにも時間がかかります。その間、重症者は……。」
「そうしたいのは私もです。しかし、状態異常の回復魔法は弾かれました。」
「回復魔法まだ。」
「ルネスでも無理でしたからね。」
「希少種キラースパイダーの、特Aクラスに分類された、理由は魔法を弾くからです。」
「魔法を弾かれたら、回復魔法は使えない!何故だ……」
「それを可能とさせるのは、麻痺効果が影響していると思います。」
「身体が拒否反応を、起こすのかもしれませんね。」
「ブラックスネークの解毒薬の種類は、全て揃ってるのか!?」
「……私が調合できるのは、2種類です。もう1種類は見た事もありませんので。」
「つまり、3分の2の確率なんだな。」
「はい。」
「どうしますか!?」
彼等は議論している。
「レイラ!鞄、持って来たよ!」
「ありがとうございます。」
私はアレンさんに鞄を受け取り、皆を見る。彼等の心配は最もだ。
私も時間がもっと有れば、最善の策を考えたかもしれない。
だけど、今はこれが最善の策と私は思うのだ。
「解毒薬は私が作ります。私の仕事は、1人でも多くの方を助ける事です。」
「我々は何をすればいい。」
アーサー先生が聞いて来た。
「では、患者の体力が削られる状況を、少しでも送らせて下さい。」
「分かった。」
前世の知識を引っ張り出せ。
「段階別に色を変えて下さい。」
「どう言う事ですか?」
「赤色は毒の進行が一番早い方、2番目が黄色、軽症な方は青色と分けます。」
「分かりました!」
「直ぐに準備するぞ!」
「俺達も手伝います!」
「指示を下さい!」
「薬の調合が出来る方は、増血剤を作って下さい。血液の代わりになるものの準備もです。」
「分かりました!」
「急ぐぞ。」
「患者の血液採取もお願いします。」
「「はい!」」
「獣人の皆さん。毒の症状が出たのは、貴方方だけですか?」
「違う。他の奴らは、違う所だ。」
「皆さんの医師の方は。」
「恐らく、対処しきれていないでしょう。」
「ここに連れて来るとしても、時間がねぇぞ!」
アーサー先生の叫び声がした。
「なら、私が連れて来ます。」
ルネス団長が告げた。
「私と部下なら、直ぐですから。」
「頼みます。」
「説明の為に俺も行きます。」
タイムリミットまで、後9時間。体力の限界と毒の量を考えたらもっと短い。
私は鞄から2種類の解毒薬を取り出す。似ていると言う事は多少は違うのだ。
それを考慮して作る。
布は真っ赤に染まり、左手と右足は恐らく切られたのだろう。
女性の獣人は目に涙を浮かべている。私は鑑定し、目も観る。
言わずとも分かる通り、状態異常は毒と出た。キラースパイダーの毒らしい。
「何があった!」
アーサー先生の声だ。
リサーナさんが説明している。私はもう一度、鑑定で確認する。
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【鑑定】希少種キラースパイダーの毒
特Aクラスの毒
2日にかけて、全身に毒が回る。苦しみと痛みを伴う。
毒を受けても、初めは気づかれない為に麻痺効果がある。
ブラックスネークと同じ毒効果で、治療法も似ている事から特Aとされている。
毒を受けてから39時間経過
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キラースパイダーは毒で知られている。だが、特Aクラスの毒ではない。
恐らく、希少種が関係しているのだろう。ブラックスネークと同じか……。
毒を受けてから39時間経過してるって、どう言う事……。
麻痺の効果で気づかれない様にしたのか。なら、早く治療しないと……。
「この毒の解毒薬はない。俺も知らねぇ毒だからな。」
そりゃそうだ。希少種やブラックスネークは、見る方が非常に少ない。
それ故に、解毒薬は開発されていないのだ。だが、現れたら確実にーー
ーー村は滅びる。
だからこそ、早期討伐を余儀なくされる。
だが、彼等は新種の魔物とか言ってたな。それは後で聞こう。
「アレンさん。お願いがあります。」
「何?」
「私が持って来ていた鞄を、取って来て欲しいです。」
「必要なんだね。」
「はい。」
「分かった。」
アレンさんは取りに行ってくれた。
希少種のキラースパイダーの解毒薬は、私も持ち合わせてはいない。
だけど、ブラックスネークの解毒薬ならあるのだ。
私が調べて作り、効果も保証できるものだ。本当に毒効果と治療法が一緒なら……。
助かるかもしれない。でも、先ずは新種について聞かなくてはならない。
もし、その新種が毒性のものであったなら、キラースパイダー毒の上乗せになる。
「アーサー先生、彼等が受けた毒は蜘蛛型と推測されます。」
「どう言う事だ。」
「この歯形を見て下さい。」
「これは……。」
「魔物でも、歯形や粘液は違います。」
「成る程な。だが、新種とはどう言う事だ?」
「その時、戦っていた最中に皆が倒れた。」
それでか……。
「蜘蛛型の魔物とは戦いませんでしたか?」
皆は考えている。
「例えば、キラースパイダーとかです。」
「「「「!?」」」」
「確かにいましたね。」
シオン団長がテントに入って来た。その後ろには、グレン団長とルネス団長。
「キラースパイダーに型は似ていたが、少し違ったぞ。」
「詳しく教えて下さい。」
「動きが全く違ったな。」
「後は大きさですね。目の色も違ったと思います。」
「恐らくは、キラースパイダーの希少種でしょう。」
「キラースパイダーの希少種!?」
「アーサー先生……。」
「ああ、キラースパイダーの希少種は猛毒を持っている。」
「解毒薬はありません。」
「じゃあ、助からないって事か!」
又もやヒートアップする皆さん。団長達も自分達の部下が毒で苦しんでるものね。
だが、殆ど情報のない毒の解毒薬を作れ、と言われて困るのは医師だ。
「キラースパイダーの希少種は、特Aクラスの毒と指定されています。
そして、48時間の間に毒が全身に回ります。毒を受けても分かりにくいです。」
「キラースパイダーの希少種の毒を知ってるのか?」
「はい。容態を見て、彼等は恐らく、約40時間は経過しているでしょう。」
「治す方法はあるのか!?」
「皆は助かるのだろうか!レイラ殿!」
「希少種キラースパイダーの毒の解毒薬は、持ち合わせてはいません。」
覚悟を決めるしかない。助かるかもしれないのだから……。
「ですが、希少種キラースパイダーの毒と同じ効果のある魔物の解毒薬ならあります。」
「どう言う事だ。」
「何の魔物なんだ!」
「ブラックスネークの毒は、希少種キラースパイダーと同じ毒効果とされています。」
「そうなのか?!」
「いえ、初めて知りました。」
「殆ど似ている事から、特Aクラスに分類されたと言われているそうです。」
「なら、ブラックスネークの解毒薬なら治せると?」
「はい。」
「ブラックスネークの解毒薬はありません。」
「ブラックスネークの解毒薬は、私が調合できます。」
「「「「!?」」」」
「状態異常回復は駄目なのですか?」
「そうだな。解毒薬ができるにしても、ブラックスネークは3種類。」
「それを確かめるにも時間がかかります。その間、重症者は……。」
「そうしたいのは私もです。しかし、状態異常の回復魔法は弾かれました。」
「回復魔法まだ。」
「ルネスでも無理でしたからね。」
「希少種キラースパイダーの、特Aクラスに分類された、理由は魔法を弾くからです。」
「魔法を弾かれたら、回復魔法は使えない!何故だ……」
「それを可能とさせるのは、麻痺効果が影響していると思います。」
「身体が拒否反応を、起こすのかもしれませんね。」
「ブラックスネークの解毒薬の種類は、全て揃ってるのか!?」
「……私が調合できるのは、2種類です。もう1種類は見た事もありませんので。」
「つまり、3分の2の確率なんだな。」
「はい。」
「どうしますか!?」
彼等は議論している。
「レイラ!鞄、持って来たよ!」
「ありがとうございます。」
私はアレンさんに鞄を受け取り、皆を見る。彼等の心配は最もだ。
私も時間がもっと有れば、最善の策を考えたかもしれない。
だけど、今はこれが最善の策と私は思うのだ。
「解毒薬は私が作ります。私の仕事は、1人でも多くの方を助ける事です。」
「我々は何をすればいい。」
アーサー先生が聞いて来た。
「では、患者の体力が削られる状況を、少しでも送らせて下さい。」
「分かった。」
前世の知識を引っ張り出せ。
「段階別に色を変えて下さい。」
「どう言う事ですか?」
「赤色は毒の進行が一番早い方、2番目が黄色、軽症な方は青色と分けます。」
「分かりました!」
「直ぐに準備するぞ!」
「俺達も手伝います!」
「指示を下さい!」
「薬の調合が出来る方は、増血剤を作って下さい。血液の代わりになるものの準備もです。」
「分かりました!」
「急ぐぞ。」
「患者の血液採取もお願いします。」
「「はい!」」
「獣人の皆さん。毒の症状が出たのは、貴方方だけですか?」
「違う。他の奴らは、違う所だ。」
「皆さんの医師の方は。」
「恐らく、対処しきれていないでしょう。」
「ここに連れて来るとしても、時間がねぇぞ!」
アーサー先生の叫び声がした。
「なら、私が連れて来ます。」
ルネス団長が告げた。
「私と部下なら、直ぐですから。」
「頼みます。」
「説明の為に俺も行きます。」
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