騎士団に入る事になりました

セイラ

文字の大きさ
31 / 42
第3章・レイフィス獣王国

31,試合は程々に

しおりを挟む
まあ、そんな感じで準備が進んで行くのであった。

私は、医療の方に行ったり、獣人達との合同訓練に行ったりと忙しかった。

獣人達との合同訓練だが、獣人の身体能力は驚くべきものである。

皆、早いね。ああ、アルス君やイスタ君など新人達が獣王国に来たよ。

なんでも、勉強の為だって。私は新人獣人の子と試合する事になった。

先輩達は止める事なく、応援に回っている。何故か、団長と副団長達もだ。

これは数分も前の事である。軽い打ち合いを支持された私達新人。

最初は打ち合いしてたよ。でもね。ちょっかいかけて来たんだよ。

獣人達が。
「俺達が、戦いを教えてやるよ。」

「へぇ?やれるもんなら、やってみろよ。」
「面白い事を言うね。」

こっちは、獣人の女子に絡まれた。
「うわ~。可愛くない。」

猫の獣人だろう。赤紫の髪に、飴色の瞳をした美少女である。

馬鹿にした様な笑い。
「!?貴女の方が可愛くない。」

「何ですって!」
よく言い返したな。ミリヤちゃん。

「おい、打ち合いを支持されただろ。」
アビトさんが注意した。

獣人の女の子は、アビトさんとアレンさんに集まる。

黄色い歓声は正直言って、うるさい。私は目立ちたくないので、訓練する。

無視無視。他人のフリにかぎるね。
「そこまでだ!」

止めに入って来たのは何時ぞやの少年。第1騎士団団長さんの時の……。

オレンジ髪に茶色い瞳をした美少年。犬の獣人らしい。

その右隣には、黒髪に金の瞳をした美少年。狼の獣人である。

左隣には、パステルグリーン色の髪に翡翠色の瞳をした美少年。

ジャッカルの獣人族。あの子、どっか似てるんだよね。孫かな。

「仲間がすまねぇ。」
「気にすんな。」

「サラン!邪魔すんなよ!」
「そうだ!そうだ!」

「さっきからうるさいし、猿の真似も大概にしてほしいんだけど。」

「何だとテメェ!」
「ほんと、やる気ないなら帰ってよ。」

イスタ君とリアン君が彼らと口論してたのが、いつの間にか増えてるし。

セレス君とアレンさんも参戦してどうすんだよ。

「うるさいのはそっちも一緒じゃない?自分を棚に上げて言わないでよ。」

黄土色の髪に黄緑色の瞳をした美少年。ヒョウの獣人だろう。が、言い返す。

「レ、レイラちゃん!どうしよう!」
アルス君が助けを求めに来た。

「巻き込まれない様に、ほっとくのが1番ですよ。」

「け、喧嘩は駄目です!」
可愛らしい美少女が叫ぶ。

栗色の髪に青い瞳をした美少女は、恐らく鳥の獣人だろう。

涙目になっている事から、勇気を出して止めに入ったのだろう。

健気な少女に周囲は止まるのが普通だ。しかし、彼らはヒートアップする。

「あんたは、ちょっと黙ってなさいよ!」
「女の子がそんな事言ったら、モテないよ。」

リアン君、爆弾投下しないで。
「俺、ああゆうタイプ苦手。」

火に油を注がない。イスタ君。
「俺も嫌いだな。」

アビトさんの援護射撃は、火にガソリンを投下した。

あからさまに肩を落とす猫獣人。
「その子ばかり!腹立つ!」

「あんたに魅力がないからでしょ。他人の所為にするのは、人として最低だね。」

黙ろうか。セレス君。
「子猫ちゃんに謝りなよ。」

ヒョウの獣人が猫獣人の援護に回る。
「仕掛けた。そっち…」

「でも、今のは言い過ぎじゃない?」
「俺もそう思うぞ。」

犬の獣人も援護する。もはや、止める者などおらず、口論に……。

止めていた筈のアビトさんまで、言い争いに混じっている。

「止めないのか?」
ガノスさんが聞いて来た。

「私にあの言い争いを、止められると思いますか?」

「試してみないと分からないだろ。」
「目立ちたくないんですがね……。」

私は言い争う彼らの元へ行く。
「そこまでですよ。」

皆は一斉に私を見る。睨んでくる者もいるな……。

「今は、訓練の時間です。試合がしたいのであれば、後にした方がいいと思いますよ。」

「貴女には関係ないでしょ!部外者は引っ込んでて!」

「レイラに謝って!」
「怒らせたいのかな。この子。」

「君こそ部外者でしょ。」
「喧嘩ならかうぞ。」

「失礼だぞ!」
「レイラ様に謝って!」

何で獣人達までキレてるのだろう。
「うるさいわね!」

猫の獣人は、私に剣を投げて来た。避けたよ。いや、何か面倒なんだよね。

「レイラって言ったわね。アビト様をかけて、私と決闘しなさい!」

上から目線過ぎるでしょ。
「何故、アビトさんをかけるのですか?」

「勝者がアビト様とデートできるのよ!」
自信満々に言う彼女に呆れる。

「そんな命令、誰も聞かないと思いますよ。もう少し考えて下さい。」

「なら、あんたは何がいいのよ!」
少女が叫ぶ。

「では、レイフィス国の美味しい店と、観光場所の情報をご所望します。」

一同は思った。かける差が、明らかにおかしくないかと。

「アビト、いいの?」
「レイラが負けると思うか?」

その問いに一同は思う。それはないなと……。彼等には、レイラを信頼している。

勿論、実力は認めているのだから。そして、その試合を面白がるのは先輩達。

止める者などおらず、どちらが勝つか笑いながら言っている。


これが、数分前に起こった事であるーー



そして現在、私は猫獣人の少女と対峙している。

報酬は何としても、ゲットしたい。恋路に友の背中を押す者として。

ここで、距離を一気に詰めなくてはならないのだ。

後で、協力者達にも動いてもらわないと、いけないのだし。

「貴女、そんなに無愛想なら、男にモテないわよ。」

別にモテたくて、騎士団に入った訳じゃないからな。

「騎士団に所属した理由は、モテる為ではございませんので。」

「あんた、生意気ね。可愛くないわ。」
生意気なのは、貴女もだと思う。

「気に入られたい訳ではございませんので、悪しからず。」

「いい度胸ね。無愛想な顔では、貴女は見向きもされないわよ!」

「私は家族に微笑むので。」
「あんたの家族も無愛想なんでしょうね!」

……何つったあのガキ。
「可愛くないわよね。貴女の家族。」

アトリシアの騎士団で、レイラの事を知る者達は思った。

ああ、あの子終わったな……。アレン・セレス・アルス・イスタは止める準備をする。

誰と言ったらレイラをである。
「ほう、私の前で家族を侮辱しますか。」

報酬関係なく、終わらせてやる。

「では、始め!」
アルス君の合図に動く猫獣人。

素早い動きを、得意としているのかは知らないが、私には通用しない。

呼吸を深くして、素早く剣を抜き迷いなく峰を相手のお腹に当てる。

素早く鞘に剣をおさめる。この時、僅か数秒の出来事である。

猫獣人は、気絶しましたよ。そりゃあ、腹に一撃喰らわしたからね。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

悪女役らしく離婚を迫ろうとしたのに、夫の反応がおかしい

廻り
恋愛
第18回恋愛小説大賞にて奨励賞をいただきました。応援してくださりありがとうございました!  王太子妃シャルロット20歳は、前世の記憶が蘇る。  ここは小説の世界で、シャルロットは王太子とヒロインの恋路を邪魔する『悪女役』。 『断罪される運命』から逃れたいが、夫は離婚に応じる気がない。  ならばと、シャルロットは別居を始める。 『夫が離婚に応じたくなる計画』を思いついたシャルロットは、それを実行することに。  夫がヒロインと出会うまで、タイムリミットは一年。  それまでに離婚に応じさせたいシャルロットと、なぜか様子がおかしい夫の話。

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

処理中です...