モブ令嬢は白旗など掲げない

セイラ

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破滅を阻止

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私は中庭で雲を見ていた。
そんな時、激しい頭痛で意識を失った。

暗闇の中、私は前世の記憶を思い出した。
私は前世で普通に仕事をしていた。そして今世は私が前世の乙女ゲームの世界にいる事を。

しかし、それは良くない。私の記憶が確かなのだとすると、このまま行けば間違いなく私に未来などない。

今世は侯爵家の長女セシリア・メルファーナ。

私は攻略対象者の義姉であり、悪役令嬢にこき使われてヒロインを蔑める事に下端をするのだ。

結果は勿論、悪くて命はなく。良くて国外追放だ。
それも私だけと言う悲しさ。

私はほぼ巻き込まれたに近いが、勘違いが重なり悲しい結果と化した。

そして最悪な事はまだある。

そんな事を考えていると、誰かに呼ばれる声がして重い瞼を開く。

「お嬢様!ご無事でしたか?」

そこには、メイドがいた。どうやら私が倒れているのを見つけたらしい。

頭痛がするので、部屋で休む事を伝え部屋に戻る。

しばらくして、ドアから慌てて入って来たのは母親のエレイン・メルファーナ。

ゆるふわの金の髪にバイオレットの瞳をした、美しい美女が私の母親だ。

何時も私を心配して可愛がってくれるが、家族仲はあまり良くない。

母と父はあまり会話をしない為、仲が悪くなる一方なのだ。

完全に崩れるのは、とある男の子・・・私の義弟が来るからだ。

私の母親は義弟を父親の愛人と思い、義弟を嫌う。セシリアも同じく。

父親は義弟を可愛がる為、尚更仲が悪くなる。

母親に大丈夫な事を伝え、母親が部屋を出ると私は鏡の前に立って考えた。

矢張りと言うべきか、私の身体は率直に太ってる。

この先私は、乙女ゲームが始まれば、間違いなく命に関わる。

その為に必要な知識と技術を、習得出来るだけ習得して行く。

国外追放ならそれでいい。命の危機ならば逃げるだけだ。

幸いこの世界は剣を振るう事や魔法もありなのだ。

私は今4歳。身体を鍛え痩せる事は出来る。義弟が現れるのは6歳の時だ。

その時までに自分を守る為の知識を吸収しないと!

この日から私の計画が始まった。


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