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行く末?ー河屋。ー
しおりを挟む『鬼が幼子以外の、魂に語りかけられた時ですかい?』
えエ、あの鬼は話を聞いてはくれやせん。
ただただ、無視するだけでございやす。
ひたり。
首を触られているような、錯覚が襲う。
背筋が凍る。
その男の横顔だけが浮かび、正面からは見れてないのにもかかわらず。
眼差しが冷たい、いや。
自分を見られていない、とわかる。
必死になりながらも、貴方は言葉を紡ぐ。
それでも言葉を重ねた場合は、と?
行く末?
お聞きになられるなんて、思わなかったでさァ。
そこで言葉を切って、くすりと笑われる。
ンなもん、決まってるでしょう?
ゆっくり言葉を切られ、静かに喋ってくる。
すると男は、断りを入れてきた。
煙管を取り出し、葉かなにかを詰め。
それから、火をつける。
───────ですがね、お客さんには。
想像ついてもいるはず、でさぁ。
煙管を吸って、細くくゆらせ。
吐くその男は視線を、合わせてこない。
心中を見透かされたような、微笑み。
『微笑み語り』
さて。
一介のチンドン屋であるあたしに、何を語ってくださるんで?
忘れてやしたが。
とん。
手を台に置いた、その男は微笑む。
ここは河屋でございやす、お金はいりやせん。
ですがご入り用でしたら、お話を。
煙管を吸い吐きながら、笑って貴方に手を向ける。
貴方のお手をどうぞ、あたしらにお貸しください。
貴方の、お話を聞かせてくだせェ。
その内容次第で─────。
耳元で、妖しく囁く。
今宵とて嗤う鬼も、現れい出よう。
人を嗤う鬼が関心を向けるのは、いつだって───────。
雪が降り始めた、そら、もう少しだぞ。
勿体ねェな。
は、お前さんにはわからんだろう。
よく回る口だなィ、ええ?
背筋が凍る思いを、したことは?
話を逸らすつもりかい。
恐怖を感じたことは?
恐怖をもたらすのが俺達だろ、なァ。
違ぇねぇ、お前さん達はな。
……物わかりのいい「お客さん」は、旦那も。
さぞや、お喜びになるでしょうねェ。
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