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画竜点睛。ー埜。ー
しおりを挟む目の前に現れた若草の嵐は、彼の大切な存在を掻っ攫って行った。
薫風が、恨めしい。
若草の嵐が、疎ましい。
ひたすらに思考し続ける。
全ては有為転変だとしても彼は、彼と大切な存在を。
換骨奪胎した『怨敵』達を探訪し続けることだろう。
己の名を棄ててでも、きっと。
『探し当ててどうするつもりだ?』
「名を棄てるとは、覚悟のいることだ。」
『灯も貸与されてないのに?』
「なら私はその行為を認めよう、心に巣食う大切な存在すら掻っ攫った自らの形を模倣した闇が。』
「籠絡し、それごと自ずと食い破るようにことのないように。』
「そのような暗く淀んだ憂いを、私が繋ぎ留める楔となろうか。』
「おまえの歩むその足先に剣の導きがあらんことを。』
正の遺産があなたを、温く爽快で万里一空の道へ導く切欠となることを祈って。
負の遺産がアナタを、淫蕩に溢れる窮途末路の如き一縷千均の道へ導く切欠となることを祈って。
あなた/アナタの望むその先へ、進み往くが吉。
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