え?私、最強なんですか?~チートあるけど自由気ままに過ごしたい~

猫野 狗狼

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4、衝撃の事実

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 ヒライのもとへ戻ってすぐに私はステータスのことを話した。
 それに対するヒライの反応はというと、

《あアァ!?》

 唖然、だった。
 目を大きく開き、顎も外れそうなくらいパカッと開けている。そして、何よりその驚きは彼が思わず叫んだことを考えると想像にかたくない。

 あれ、でも、もう話してもいいのかな?

 そんな私の疑問に気づいたのか「あー、大丈夫大丈夫」と言っている。

 本当に大丈夫なの?

 その驚きようは気になる。理由を聞いてみるべきなのか…。

 でも、あれだけ驚くんだから絶対にとんでもない事だよね?それだったら、聞きたくないような…。

 理由を聞くことをやめてこのまま知らずにいようかと考え始めていると、ヒライが神妙な顔をして近づいてきた。
 サイズは小さいままなのでそんな顔をしてもかわいい。

 な、なんだろう…。

 さっきよりも少し緊張する。そしてヒライがゆっくりと口を開けたかと思うとおもむろに、

《お前さんは、魔族か何かか?》

 変なことを聞いてきた。
 ついに頭がイカれたか。しかも何気に酷い言いぐさ。
 
 いきなりそんなことを聞いてきた彼の頭が心配になったが、なんでそう思ったのかやっぱり気になり、聞きたくない気持ちが勝っていたけど聞いた。

「なんでそう思ったの?」

 少し言いづらそうな表情をしながらも、きちんと疑問に答えてくれる。

《いや、なに、お前さんのステータスがちっとばかし規格外過ぎたんでな。もしかしてと思ってよ》

「そんなにおかしいの?」

《まぁな、おかしいというか、凄すぎるだけなんだけどな》

 そう言ってヒライはステータスについて教えてくれた。

 まず、人間の5歳の子どもの平均的な体力HPは、だいたい十五くらいで多い人で三十くらい。魔力量MPも多くても一〇〇くらいで、虹輝のような一〇〇を超えるほど持っているのはあまりいないのだ。
 では、大人にはいるのかと言えば、大人になると体力と魔力量は一〇〇〇を超えたりする。 
 だが、多い人で一〇〇〇〇超え、そういった人達は冒険者になったり、騎士団にはいったりしている。
 また、魔力量も五〇〇〇から一〇〇〇〇のあいだが、だいたい王宮に仕えているような魔術師の魔力の量。これは魔獣…モンスターを倒すことによって得られる経験値と、普段の生活で培われるもので神の加護のことを踏まえて今の虹輝の年齢から換算した場合、およそステータスは成人した時点で、どちらも一〇〇〇〇を軽く超えるだろうとヒライは静かに言った。

 これを聞いて逃げ出したくなった。
 私の頭の中には、最悪の考えが浮かんでいたのだ。

 もしもこのステータスを誰かに知られてしまったら、一生人間兵器として使われるのがオチ。運良く兵器にならなかったとしても、どこかの貴族の愛人か何かにされて子どもを産む道具にされるかもしれない。

 何かが振り切れた。次の瞬間、私は泣いていた。

「ふぇぇ…、ぅっ、ひっく…、うわぁーん!」

 これには、ヒライばかりか周りにいた人達も動揺した。私自身も動揺している。
 体だけでなく精神的にも幼くなっているかもしれない。

「嬢ちゃん、どうしたんだい?なにかあったのかい?」

《おいっ、泣きやめ。まったく、俺はどうしたらいいんだよ…》

 周りの心配する声が聞こえるが、あいにくだがそれに答えることが出来るほど心に余裕がない。
 軽くパニック状態に陥っていると。

「おや?これはいったいなんの騒ぎですか?」

 また人が増えた。
 泣き止みたくても泣き止めない私の前に、その人物は地面に膝をつき…

「大丈夫ですから、どうか落ちついて?」

 優しい手つきで私を抱き上げた。
 これには流石に驚いて涙が止まった。恐る恐る見上げて……。

 えっ?誰このイケメン。

 自分を抱き上げた人の顔の整いように、しばし呆然とした。
 灰色の髪に、片方が前髪で隠れていてよく分からないがアメジストのような瞳、手足はスラリと長く、軍服のような服を着ているが、しなやかな筋肉がついているのが服の線から見てわかる。カッチリとしたイメージがなく、柔和で優しそうだ。

 ただ、顔を上げたとき頬に赤みがさした気がしたんだけど…気のせいだと思いたいな。というか、気のせいだよね。うん、そう!きっとそうだよね!

 自己暗示をかけた。

 そしてお互いが暫く見つめあっていると、ヒライが私の服の裾を軽く引っ張り、顎で別の方角をさした。

 なるほど、移動しようというわけだね。

 ヒライの意図を読んだ私は「迷惑をかけてすいませんでした。もう大丈夫です。さよなら」 と言って青年の腕の中からするりと抜け出し、急いでこの場を逃げるように立ち去ろうとしたが…。

 ……ガシッ。

「ちょっと待ってください」

 手を掴まれてしまったのだった。 
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