え?私、最強なんですか?~チートあるけど自由気ままに過ごしたい~

猫野 狗狼

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15、やらかしました

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 勉強会がはじまってから、私はずっと難問に立ち向かってる。
 出された問題が難しいわけではない、むしろ簡単だ。小学一年の足し算を難しいと思えるはずがない。
 ただ…

「んー、81わる9は…9たす9が18だから 、えーっと?」
「171たす208は…?」
「3たす9は…、1、2、3、…」
「うーん、よく分かりませんわ」
「難しすぎますわー」

 王子様達を見てみると、全員が苦戦していた。
 私はもう一度自分の問題を見てみる。幸い、私はこの世界の文字を読むことが出来た。神様が何かしてくれたのだろう。では、何が問題なのかというと、この簡単すぎる問題をスラスラ解いてもいいのかということだ。
 王子様達は割り算や、3桁の足し算で頭を悩ましている。地球だと、小学校に上がるか上がらないかくらいの年齢のようだから何ら不思議ではないのだけれど、この頭を抱えている集団の中で私が簡単に解いてしまった場合、何を言われるのかわかったもんじゃない。かといって全然解かないのは私としてはしたくない。どうしたらいいのかわからずに悩んでいると……

「どこか分からないところがありましたか?」

 家庭教師の先生が声をかけてきた。私は少しの間悩んで、最終的に別のことを聞いてみることにした。

「あの、ここには学園というものがあるのですよね?」
「ええ、そうですが…それがどうかしましたか?」
「そこではどんなことを学びますか?」
「そうですね。魔法や薬学、剣術や基本的な知識、マナー…様々なことを学びます」
「では、今、私や王子様達が解いている問題は学年でいえばどのくらいで終了していることですか?」
「おや、今まで聞かれたことのないことですね。いい質問です。学園は、中等部と高等部、大学部で構成されています。中等部は12歳から入ることが出来ますが、学年が上がる時、中等部から高等部に上がる時などは、試験を受けなければ入ることが出来ません。今、王子様達に教えていることは、中等部1年でおさらいをするくらいで大抵入学時には終わらせている問題です。他に聞きたいことは?」

「では、最後に。私がこれをすべて解いた場合、何か問題が起こりますか?」

 私にとっては一番大事なことだ。きちんと聞いておかなければ。

「面白いことを言いますね。そうですね、問題が解けたらすごいことですが特にこれといってあなたに危害が加わることはありませんよ。……まぁ、解けるわけがないのですけどね」

 それを聞いて安心した。
 ただ、最後の方の言葉が聞こえなかったのだがなんて言ったのだろう。
 私はこの時、大事な部分を聞き逃していたのだが、聞いておけばよかったと後悔したのは問題を解いた後になってからだった。

 スラスラ……

 私は無心に問題を解く、最初は1桁、2桁の足し算で始まり、最終的には4桁の足し算になりそれが終わると、次は割り算だ。割り算も最終的には4桁になったが難なく解けた。最後の問題は足し算と割り算、かけ算がごちゃ混ぜの問題になっていたのだが、この問題には分数、小数というものがなかったので簡単に解くことが出来た。
 解き終わった後、答えを見直し間違いがないことを確認すると、私達とは離れたところで仕事をしていた家庭教師の先生のもとへ向かった。

「どうしました?分からない問題がありましたか?」
「いえ、全て解く事が出来たので答え合わせをしてもらうために持ってきました」
「嘘が上手いですね。全て解けたとは…」

 そう言って私が解いた問題用紙を見た先生は、

「…すべて回答が埋まっている。ま、まさか…、きっとデタラメに解いただけですね。答え合わせをしてみましょう…」

 解答欄がすべて埋まった状態に驚き、きっと間違っているだろうと言いながら答え合わせをしていった。
 先生が答え合わせをしている中、暇だったので先生がしていた仕事の資料を見てみた。
 そこには、先生の個人情報も載っていた。どうやらこの先生は、魔術師機関という魔術師を育成する組織の中でそれなりに偉い人らしい。机に乗っていた資料には、魔法陣が書かれていたりその魔法陣の効果が詳細に書かれていた。
 私はその資料を手に取り、答え合わせが済んだ先生が声をかけてくるまで読みふけっていた。

「…あの、」
「ふぁい!」

 集中していたため、返事がおかしくなってしまった。少し恥ずかしくなってしまったが、気を取り直して読んでいた資料を元に戻し、先生の方を向いた。

「あ、答え合わせが終わったんですか?」
「確かに、答え合わせは終わったんですが…」

 先生の表情は、なんとも言えないものだった。

(どこか答えが間違ってたのかな?)

 不安になりながらも、先生の次の言葉を待つ。

「…答えは全て合っていました。そのうえで、あなたに聞きます。貴方は勉強はしたことがないのですよね?」

「はい、勉強したことはありません」
(この世界では。なんだけど、嘘は言ってないよね?)

「ですが、それはおかしいのですよ。私が王子様達に勉強を教えて長くなりますが、未だに満点なんて取られたことが1度もありません。これがどういうことか分かりますか?」

「いえ…」
(凡ミスくらいするんじゃない?)

 先生が何を言いたいのか分からない。

「では、別のことを聞きましょう。貴方は先程この資料を読んでいましたが、意味を理解することはできましたか?」
「出来ましたが…」

 それを聞いて先生の顔は、驚愕に彩られた。

「そんなはずは…、貴方はエルフ語はご存知で?」
「エルフ語?エルフは存在しているのですか?」
「え?ええ、エルフだけでなくドワーフや魔族、他にも様々な種族がいます。そして、それぞれが特有の言語を持っています。なのに、エルフの存在を知らないのに資料の文字を読めるとは…」

 さっきまで意味がわからなかったが、今ならわかる。私は今とんでもないことをしているということが…。

「申し訳ありませんが、少々時間をもらえますでしょうか。確認しないといけないことが出来ましたので」

 そう言って先生が席を立とうとする。しかし私は先生だけが行くのを止めなければならない。

「先生、どうかお待ちください。王様のもとへ行くなら私も連れていってください」
(じゃないと、のちのち面倒になる)

「いいでしょう。貴方に関わることですので」

 この先生はいい人らしい。誤魔化すということをしなかった。馬鹿正直とも言えるけど。
 勉強会は一時中断して、私は再び部屋を移動した。
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