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22、遠征でもやらかしました? 3
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街の責任者の屋敷を出た後、街にある宿に行って一晩過ごした。
翌日。
いよいよ森へ出発です。
……っえ?展開早くないかって?気のせいだよ気のせい、決して気持ち悪いヤローが治めてる土地から一刻も離れたいとか思ってないんだからね!
…ごほんっ、ともかく、小隊をいくつかの班に分けて森へ入っていった。ちなみに私の班は、私、団長さん、レオンさん、アルさん、ノッポさん(名前はまだ分からない)、そしてヒライだ。一番戦闘力が高い班になっているが問題はないらしい。
「いいかお前ら、班に分けたが離れて行動する訳では無い。つかず離れずの距離を保ち、調査をしてくれ。くれぐれも離れるなよ」
団長さんが指示を出し、森へ進んだ。
ガサガサ……
森の中を歩いているが、これといって変わったものはない。
草と木だけの景色が変わらない中をひたすら歩いていると、気がつくと私が一緒に行動していた班以外の人達とはぐれていた。
(皆、どこ?)
私は周りを見渡してみた。しかし、誰もいない。私の様子がおかしいことに気づいた団長さんはその時やっと自分の班以外の人がいないことに気づいたみたいだ。……そんなことでいいのか、団長さん。
「おい、他の奴らはどうした」
「そういえば、確かにいませんね。はぐれたんでしょうか…それとも、はぐれさせられたのでしょうか」
《スンスン……、確かに妙な気配があるな。俺と同格くらいの力の波動を向こうから感じるな》
鼻をひくつかせながらヒライが話す。ヒライが示した方向は今私たちが進んでいる方向だった。
「こりゃ、誘導されてるなー。どうするお前ら、前に進むか?」
「それは勿論、進むに決まってるじゃないっスか」
「……うん」
「そうですね」
満場一致の意見のようだ。私?私も勿論賛成だ。そんな怪しいところ普通いくかとかそんなことは気にするな、今回の目的が森の調査だから仕方がない行動である。
そのまま進んでいくと、湖にでた。
「きれー」
稚拙な私の言葉では表せない美しさ。光る生き物(蛍を想像してみて)、透き通るように青く澄んだ水、周りにはよく分からない草木が生えている。一言で言ってみれば、精霊が住んでそう。
団長さんはそこの幻想的な美しさにはあまり興味を示さず周りを警戒中だ。
『よく来たな…』
突然中性的な声が響き渡る。
騎士団の皆は戦闘態勢をとった。
『ふふっ、そんなことをしても攻撃はせんよ。する理由がないからな』
「理由はあるだろうが」
『まぁ、確かにあるのぅ。しかし、侵入者の排除ならばここに招くことも話しかけることもせん。そちのような身分の者なら簡単にわかると思うがの』
「確かにそうだな。悪かった…お前ら、武器を下げろ」
団長さんが指示したあと、全員が武器を下げた。
「これでいいだろ、いい加減姿を見せろよ」
『む?あぁ、我としたことがうっかりしておった。すまぬ』
謝罪の言葉とともに水面が動きだしたのを見て、
(え?何あれ、風もないのに動くの気持ち悪い)
私は地味にひどいことを思っていた。
何回か波打ったかと思うと最後に大きな水しぶきをあげ、それは現れた。
光の角度によって色が変わる不思議な髪、男か女かわからないほど整った中性的な容姿、人間とは違う雰囲気を纏っている……誰もが想像する精霊がそこにはいた。
しかし私の頭の中は、
(うわー、水でビシャビシャだ…最悪)
精霊に一切関係ないことで埋まっていた。先程の水しぶきで被った水が服に染み込んで髪を濡らして全体的にビショ濡れになったのが気になったのだ。
『さて、我は精霊王である。そこにいる童に用があるためここへ呼び込んだ』
え?私…?
思わず、水気を飛ばそうと服を握ったままの状態でその精霊王さんを凝視したのだった。
翌日。
いよいよ森へ出発です。
……っえ?展開早くないかって?気のせいだよ気のせい、決して気持ち悪いヤローが治めてる土地から一刻も離れたいとか思ってないんだからね!
…ごほんっ、ともかく、小隊をいくつかの班に分けて森へ入っていった。ちなみに私の班は、私、団長さん、レオンさん、アルさん、ノッポさん(名前はまだ分からない)、そしてヒライだ。一番戦闘力が高い班になっているが問題はないらしい。
「いいかお前ら、班に分けたが離れて行動する訳では無い。つかず離れずの距離を保ち、調査をしてくれ。くれぐれも離れるなよ」
団長さんが指示を出し、森へ進んだ。
ガサガサ……
森の中を歩いているが、これといって変わったものはない。
草と木だけの景色が変わらない中をひたすら歩いていると、気がつくと私が一緒に行動していた班以外の人達とはぐれていた。
(皆、どこ?)
私は周りを見渡してみた。しかし、誰もいない。私の様子がおかしいことに気づいた団長さんはその時やっと自分の班以外の人がいないことに気づいたみたいだ。……そんなことでいいのか、団長さん。
「おい、他の奴らはどうした」
「そういえば、確かにいませんね。はぐれたんでしょうか…それとも、はぐれさせられたのでしょうか」
《スンスン……、確かに妙な気配があるな。俺と同格くらいの力の波動を向こうから感じるな》
鼻をひくつかせながらヒライが話す。ヒライが示した方向は今私たちが進んでいる方向だった。
「こりゃ、誘導されてるなー。どうするお前ら、前に進むか?」
「それは勿論、進むに決まってるじゃないっスか」
「……うん」
「そうですね」
満場一致の意見のようだ。私?私も勿論賛成だ。そんな怪しいところ普通いくかとかそんなことは気にするな、今回の目的が森の調査だから仕方がない行動である。
そのまま進んでいくと、湖にでた。
「きれー」
稚拙な私の言葉では表せない美しさ。光る生き物(蛍を想像してみて)、透き通るように青く澄んだ水、周りにはよく分からない草木が生えている。一言で言ってみれば、精霊が住んでそう。
団長さんはそこの幻想的な美しさにはあまり興味を示さず周りを警戒中だ。
『よく来たな…』
突然中性的な声が響き渡る。
騎士団の皆は戦闘態勢をとった。
『ふふっ、そんなことをしても攻撃はせんよ。する理由がないからな』
「理由はあるだろうが」
『まぁ、確かにあるのぅ。しかし、侵入者の排除ならばここに招くことも話しかけることもせん。そちのような身分の者なら簡単にわかると思うがの』
「確かにそうだな。悪かった…お前ら、武器を下げろ」
団長さんが指示したあと、全員が武器を下げた。
「これでいいだろ、いい加減姿を見せろよ」
『む?あぁ、我としたことがうっかりしておった。すまぬ』
謝罪の言葉とともに水面が動きだしたのを見て、
(え?何あれ、風もないのに動くの気持ち悪い)
私は地味にひどいことを思っていた。
何回か波打ったかと思うと最後に大きな水しぶきをあげ、それは現れた。
光の角度によって色が変わる不思議な髪、男か女かわからないほど整った中性的な容姿、人間とは違う雰囲気を纏っている……誰もが想像する精霊がそこにはいた。
しかし私の頭の中は、
(うわー、水でビシャビシャだ…最悪)
精霊に一切関係ないことで埋まっていた。先程の水しぶきで被った水が服に染み込んで髪を濡らして全体的にビショ濡れになったのが気になったのだ。
『さて、我は精霊王である。そこにいる童に用があるためここへ呼び込んだ』
え?私…?
思わず、水気を飛ばそうと服を握ったままの状態でその精霊王さんを凝視したのだった。
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