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24、遠征でもやらかしました? 5
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(…ん?なんだろう、身体が動かない…それにフワフワした気分だな…)
さっき契約を交わして体にありえないほどの熱を感じた後、意識が飛んだのは自分でもわかった。なら、これは夢のようなものなのだろうか。
『なっ、お主、なぜここに居るんじゃ!?』
あ、この声はいつぞやのクソじじい神様だ。
『今、何気に失礼な事考えとらんかったか?』
いえいえ、滅相もない。
「神様、なんで私ここに来ちゃってるの?」
『うむ、ちと待て今から原因を探ってみるからな……ふむふむ、なるほど分かったぞ』
「え!?分かったの?早くない?」
『何じゃ?ワシを疑うのか?大丈夫じゃ、さっきまでのお主の記憶…と言うと語弊があるが、まぁそれに似たようなものを必要な部分だけ読み取ったからな』
「うーん、わかった」
納得はできなかったが、とりあえず頷いておいた。
『さて、原因なんじゃが精霊王との契約の仕方に問題があったみたいだの』
「そうなの?」
『うむ、どうやらこの精霊王は生まれてから一度も契約を交わしたことがない奴らしい。そのため、今のお主…5歳児の身体が耐えられない契約法を誤ってしてしまい、結果お主が現在死にかけているってところじゃな』
「私、死にかけてるってことは…これから死ぬの?」
どうしよう、まだ新しい人生が始まって一年も経ってないのにもう私の人生は終わるのか…。そういえば、ヒライに初めてあった時にも同じこと思ったな…、本当、私死にかけすぎ。
『いや、そんなことはこのワシがさせんよ。これから魂を元に戻す。肉体も修繕するし、すぐに戻れるから安心せい』
「うん、ありがとう神様」
『ふふふ、別に構わんのじゃよ。あぁ、言い忘れておったがお主…もうナナキで良いか、ナナキのステータスで変なことは起きなかったか?』
「あ、起きたよ?なんなの、あれ」
王様との謁見のときを思い出す。あの時は、気づくと全言語理解がステータスに現れていた。気になったことだが、神様に聞かれるまですっかり忘れていた。……だって、ちょっと色々ありすぎたし。
『あれはな、ワシがナナキに必要だと感じた時に書き加えたりしてるんじゃ。あぁ、加護とかはもう勝手にあげたりは出来んがな。ワシの不注意で殺してしまったからの、せめてもの償いじゃ』
「確かにちょっとまだ納得出来ないことはあるけど、そんなのもう気にしないでいいよ?」
『そうはいかん。それに、ワシはこれでもナナキを結構気に入っているからな、特別じゃ特別』
「ありがとう」
神様がそんなことしてもいいのかと思ったのは秘密だ。
『さて、ナナキを元に戻す準備は整った。さらばだ、また会おう。今度会う時はいつでもいいから教会で祈ってくれれば会える、だから楽しみにしておるぞ』
「うん、またね」
そして再び私の視界はブラックアウトした。
◆◇◆◇◆◇
……。
眩しい光に目をすぐに開けられなかった。
「……んっ」
何度か軽く瞬きし、薄く目を開けることで光に目が慣れた頃。
近くに立っていた団長さんが私が目が覚めたことに気がついた。
「おお!目が覚めたか!」
「大丈夫……?」
「心配しましたよ」
「よかったっス!」
『すまない』
《命の灯火が消えかけてたから俺の心臓が止まるかと思ったぞ》
周りを見てみると横になった私を皆が心配そうな顔をして囲んでいた。
(ふふっ、幸せだなぁ)
思わず微笑んでしまった。
「なに笑ってんだ!脈が弱くなってたからお前が死ぬかと思って怖かったんだぞ!?」
それを見た団長さんに怒られた。
「ごめんなさい…でも、」
「でも?」
もう一度私は笑って、
「こうして皆に心配されて幸せだなぁって思っちゃったんだ。ごめんね」
自分の今の気持ちを素直に言った。そしたら全員の顔が赤くなった。…なんで?てか、ヒライ獣姿なのに顔が赤くなったのがわかるって凄くね?それ、すごく気になる。
「まぁ、仕方ない。今回は許してやる。それで、意識がなくなった理由は分かってんのか?」
「あっ、それなら大丈夫。神様に聞いたから」
「「「「『《 神様!?》』」」」」
うるさっ。
「う、うん。私、本当に死にかけてたから」
「「「「『《あァ!?》』」」」」
なんなの、さっきからうるさいよ!
仕方がないから神様から聞いたことをそのまま伝えた。団長さんはすぐさま精霊王さんを土下座させ、釘をさしていた。
…そんなことやっちゃって大丈夫なの?
「とにかく、ナナキは無事に戻ってきたからな…今回は許してやる、今回は!次似たようなことをやったら精霊王だろうが俺は殺す気でいるからな!」
私は何をしていたのかというと、意識を失う前に熱を感じたところを見て絶句していた。
そこには、くっきりと薔薇の花のような模様が浮き出ていたからだ。これなら魔法陣の方がマシだったかもしれないと私は思った。
だから団長さんがボソリと呟いた「聖獣に続いて精霊王とは…ナナキは国でも滅ぼすのか?」という言葉は聞こえてなかった。聞こえたとしても何も変わらないから別にいいけどね。
それから精霊王さんに私は「アズマ」と名前(無かったのでつけて欲しいと頼まれた)をつけ、他の騎士団の人達と再会して街の偉い人に挨拶した後、ヒライの転移魔法で王都へと帰った。
そして、帰ったあとに気づいたのだが、
(どうしよう、結局魔法使ってないよ。まー、別にいっか)
気にしないことにした。
さっき契約を交わして体にありえないほどの熱を感じた後、意識が飛んだのは自分でもわかった。なら、これは夢のようなものなのだろうか。
『なっ、お主、なぜここに居るんじゃ!?』
あ、この声はいつぞやのクソじじい神様だ。
『今、何気に失礼な事考えとらんかったか?』
いえいえ、滅相もない。
「神様、なんで私ここに来ちゃってるの?」
『うむ、ちと待て今から原因を探ってみるからな……ふむふむ、なるほど分かったぞ』
「え!?分かったの?早くない?」
『何じゃ?ワシを疑うのか?大丈夫じゃ、さっきまでのお主の記憶…と言うと語弊があるが、まぁそれに似たようなものを必要な部分だけ読み取ったからな』
「うーん、わかった」
納得はできなかったが、とりあえず頷いておいた。
『さて、原因なんじゃが精霊王との契約の仕方に問題があったみたいだの』
「そうなの?」
『うむ、どうやらこの精霊王は生まれてから一度も契約を交わしたことがない奴らしい。そのため、今のお主…5歳児の身体が耐えられない契約法を誤ってしてしまい、結果お主が現在死にかけているってところじゃな』
「私、死にかけてるってことは…これから死ぬの?」
どうしよう、まだ新しい人生が始まって一年も経ってないのにもう私の人生は終わるのか…。そういえば、ヒライに初めてあった時にも同じこと思ったな…、本当、私死にかけすぎ。
『いや、そんなことはこのワシがさせんよ。これから魂を元に戻す。肉体も修繕するし、すぐに戻れるから安心せい』
「うん、ありがとう神様」
『ふふふ、別に構わんのじゃよ。あぁ、言い忘れておったがお主…もうナナキで良いか、ナナキのステータスで変なことは起きなかったか?』
「あ、起きたよ?なんなの、あれ」
王様との謁見のときを思い出す。あの時は、気づくと全言語理解がステータスに現れていた。気になったことだが、神様に聞かれるまですっかり忘れていた。……だって、ちょっと色々ありすぎたし。
『あれはな、ワシがナナキに必要だと感じた時に書き加えたりしてるんじゃ。あぁ、加護とかはもう勝手にあげたりは出来んがな。ワシの不注意で殺してしまったからの、せめてもの償いじゃ』
「確かにちょっとまだ納得出来ないことはあるけど、そんなのもう気にしないでいいよ?」
『そうはいかん。それに、ワシはこれでもナナキを結構気に入っているからな、特別じゃ特別』
「ありがとう」
神様がそんなことしてもいいのかと思ったのは秘密だ。
『さて、ナナキを元に戻す準備は整った。さらばだ、また会おう。今度会う時はいつでもいいから教会で祈ってくれれば会える、だから楽しみにしておるぞ』
「うん、またね」
そして再び私の視界はブラックアウトした。
◆◇◆◇◆◇
……。
眩しい光に目をすぐに開けられなかった。
「……んっ」
何度か軽く瞬きし、薄く目を開けることで光に目が慣れた頃。
近くに立っていた団長さんが私が目が覚めたことに気がついた。
「おお!目が覚めたか!」
「大丈夫……?」
「心配しましたよ」
「よかったっス!」
『すまない』
《命の灯火が消えかけてたから俺の心臓が止まるかと思ったぞ》
周りを見てみると横になった私を皆が心配そうな顔をして囲んでいた。
(ふふっ、幸せだなぁ)
思わず微笑んでしまった。
「なに笑ってんだ!脈が弱くなってたからお前が死ぬかと思って怖かったんだぞ!?」
それを見た団長さんに怒られた。
「ごめんなさい…でも、」
「でも?」
もう一度私は笑って、
「こうして皆に心配されて幸せだなぁって思っちゃったんだ。ごめんね」
自分の今の気持ちを素直に言った。そしたら全員の顔が赤くなった。…なんで?てか、ヒライ獣姿なのに顔が赤くなったのがわかるって凄くね?それ、すごく気になる。
「まぁ、仕方ない。今回は許してやる。それで、意識がなくなった理由は分かってんのか?」
「あっ、それなら大丈夫。神様に聞いたから」
「「「「『《 神様!?》』」」」」
うるさっ。
「う、うん。私、本当に死にかけてたから」
「「「「『《あァ!?》』」」」」
なんなの、さっきからうるさいよ!
仕方がないから神様から聞いたことをそのまま伝えた。団長さんはすぐさま精霊王さんを土下座させ、釘をさしていた。
…そんなことやっちゃって大丈夫なの?
「とにかく、ナナキは無事に戻ってきたからな…今回は許してやる、今回は!次似たようなことをやったら精霊王だろうが俺は殺す気でいるからな!」
私は何をしていたのかというと、意識を失う前に熱を感じたところを見て絶句していた。
そこには、くっきりと薔薇の花のような模様が浮き出ていたからだ。これなら魔法陣の方がマシだったかもしれないと私は思った。
だから団長さんがボソリと呟いた「聖獣に続いて精霊王とは…ナナキは国でも滅ぼすのか?」という言葉は聞こえてなかった。聞こえたとしても何も変わらないから別にいいけどね。
それから精霊王さんに私は「アズマ」と名前(無かったのでつけて欲しいと頼まれた)をつけ、他の騎士団の人達と再会して街の偉い人に挨拶した後、ヒライの転移魔法で王都へと帰った。
そして、帰ったあとに気づいたのだが、
(どうしよう、結局魔法使ってないよ。まー、別にいっか)
気にしないことにした。
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