え?私、最強なんですか?~チートあるけど自由気ままに過ごしたい~

猫野 狗狼

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47、トラブルの予感 1

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 私は今大変困っている。

「あの、すいません。街へ出かけたいんですが…」
「ダメダメ」
「ちゃんとカイン団長に確認を取りましたよ?」
「本当?」
「はい、だから街に行かせてください」
「君一人だけなら出せません」

 門番の人が門を通させてくれない。

(せっかくヒライ達を撒いたのに…)

 縋ってきたダメな大人(神)の面々の顔を思い浮かべる。
 私が出かけると言ったら全員がついてくると言い出したのだ。勿論、連れて行けるわけがない。当たり前だ。顔が全員整いすぎているのだからね。一人でもいたら確実に目立つ。

(どうしたもんかねぇ)

 顎に手を当て考えていると、訓練場の方から叫ぶ声が聞こえた。

「おい、キース!お前傷の手当できたよな?今医療班の奴がいねーからやってくれ!」
「は?無理だって!俺門番の仕事あるし…」

 ちらりと私を見る門番さん。どうやら訓練場でけが人が出たようだ。私は内心ほくそ笑む。

「私、大人しく待てるので行ってきていいですよ?」
「いや、1人にできないし…」

 食い下がる門番さん。

(仕方ない…)

 覚悟を決めた私は、胸の前で両手をきゅっと結び上目遣いで少し目をうるませ…

「私……そんなに信用、できませんか…?」

 昔同級生から教えてもらったおねだりポーズをしてみた。それを見た門番さんは「うっ」と言葉をつまらせ、観念したように「ふぅ」とため息をついた。

「わかった。ちゃんと待ってるんだよ?」

 渋々ながら、離れることに決めたようだ。

 …よっしゃあ!
 私は心の中でガッツポーズをするのだった。門番さんが立ち去り、もう私を塞ぐ者はいない。さぁ、出発だ!
 私は意気揚々に街へと繰り出したのだった。

♦♦♦♦♦

 ナナキが街へと出ていった後、門番キースは戻ってきた。

「待たせちゃってごめんね…って、え?」
(あの子、どこ行ったの…?)

 周りを探してみるが見当たらない。まさか…と思い門を調べてみると誰かが通った形跡があった。サーッと顔が青くなる。

(どうしよう!まずは、誰かに報告を…)

 不安を感じるものの、報告しなければ大事になりかねない。すると、丁度そこにアルさんが現れた。自分よりも長く騎士団にいて頼れる先輩である。

「アルさんっ!」
「何っスか?」
「実は…」

 ことの経緯を伝えると、アルさんは自分の胸をぽんと叩き

「そういうことなら任せるっス」

 と言って、街へ出かけていった。

(大丈夫かなぁ?)

 なにか嫌な予感がするのだが、気のせいだと思うことにした。
 そして数時間後…自分の悪い予感が当たってしまったことになんとも言えない気持ちになったキースである。
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