え?私、最強なんですか?~チートあるけど自由気ままに過ごしたい~

猫野 狗狼

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74、責任を取るって本気です?

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「だ、団長さん…」
「本当に、本当に申し訳ない!」

 私の目の前には、土下座をする団長さんの姿が。
 皆さんおわかりでしょう。ラッキースケベ…をしてしまった団長さんは、正気に戻るなり額を地面に擦り付けるように綺麗な土下座をした。
 土下座ってこの世界にもあるのかと私は漠然と思いながら彼を眺めていた。

『とりあえず服をどうにかしたらどうだ?』

 ゼウスが至極真面目な意見を言う。

(確かに)

 肩からずり下がる服を掴み、ズボンの裾を引きずりながら団長さんに近づく。

「団長さん、今から部屋に戻って着替えるから執務室で待ってて?」
「あ、あぁ…」

 顔を上げずに返事をする団長さんに小首をかしげながら部屋に戻って私は着替えた。

♦♦♦♦

 コンコン…

「…入れ」

 ドアをノックしてから中から返事が帰ってくるまでに、少し間があったのを不思議に感じつつ、ドアを開けて中に入った。

「団長さん、さっきの事だけど…」
「待て、待ってくれ。皆まで言うな」
「へ?」

 気にしなくてもいいと言おうとした私の言葉を遮る団長さん。

(んん?何がわかったのかな?)

 深刻そうな…何が重い決断でも下したかのような表情に私は黙った。
 深呼吸をして私と目を合わせる彼に、自然と私の背筋も伸びた。

「何も見てないなんて嘘は言わない。嫁入り前の娘の肌を見てしまったのは本当に申し訳ないと思っている」
「…」
(団長さん、頭打った?)

 突拍子もない…というか、予想だにしない言葉に私は言葉を失う。
 何も言えずに固まっている私を見て何を思ったのか、団長さんは目の前に来て片膝をついて私を見上げる。

「俺のようなおっさんなんて嫌だとは思うが、責任を取らせて欲しい」

(何を言ってるんだろう。この人)

 分からない。いや、分かりたくないのか。
 私の脳は、団長さんの発言の意味をすぐに理解しようとはしなかった。

「ナナキにとって俺は何とも思っていない奴かもしれないが…。もし、本当に好きな相手が出来たらそいつと暮らしてもいい。生活費も出すし、必要なら宝石だろうと何だろうと用意しよう。だから…」
「ちょっと、ストーップ!」
「ムグッ」

 慌てて私は団長さんの口を塞ぐ。

(つまり、アレだよね?責任取るって、よく漫画の中とかで出てくる「嫁に迎える」って意味で言ってるよね?)

 そう考えて赤くなる顔を隠せずにいると、口元を押さえてた私の手を優しく外す団長さん。

「勿論、ナナキに嫁としての義務を要求したりはしない。自由にしてくれていい…」

 団長さんの台詞に不覚にもキュンとときめいてしまった。

(おおぅ。こちとら精神年齢さんじ…ゲフンゲフン、立派な大人だから団長さんが本気で言ってることは嫌でも理解出来る。出来るけど…)
「それは流石に…、全裸を見られた訳じゃないし…」

 そう、ここで訂正をしておくが私は小さくなって服が脱げたと言っても、別に全裸になったわけではなかった。
 動いて緩くなった紐が解け、ズボンは地面に落ちてしまったものの、上の服は脱げはしなかった。…きわどい所までずり下がってしまったのは否定しないが。

 少し頬を染めながらも、責任を取らなくてもいいとモゴモゴと伝える私を団長さんがずっと真剣な瞳で見つめていたのに私は気づいていなかったのだった。
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