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第二章【切望の国】
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四代目ロンギング王ーールベリア。
彼は貴族の娘であるリーシェルを后とし、四つ年の離れた兄妹を儲けた。
兄は剣術の才に恵まれ、妹は文学に恵まれた。
「ウィシェお兄さま!今日もそのようなご本をお読みになっているのですか?」
腰まで伸びた水色の髪を揺らし、髪飾りがキラキラと輝く。
自分と同じ髪と目の色をした妹だ。
「ああ。午前は勉学、午後からは剣の稽古がある」
難しい文字列に目を通し、妹を見ることなくウィシェは話す。
「もっと小さい頃はよく遊びましたのに、最近はお兄さま、全く遊んでくれませんわね」
「もう子供じゃないんだ。お前は今から刺繍をするのだろう?使用人が言っていたぞ」
「そうですけれど。あんな縫い物ばかりしてなんの意味があるのかしら!」
「お前は王位を継ぐ必要はない。将来、お前を幸せにしてくれる男の為に何か作ってやれ」
「むううううっ」
妹ーーソートゥは頬を膨らませる。自分に見向きもせず、本から目を離さないウィシェをムッと睨み付け、背後から飛び付くように抱きついた。
「私は将来、お兄さまと結婚するんです!他の殿方など知りません!」
「はあ‥‥お前はずっとそればかりだな」
幾度なく繰り返される光景を、父や母、使用人達も仲の良い兄妹だと微笑ましく見守っていた。
ーーそう。【王殺し】の日まで。ずっと、ずっと、誰もがそう、思っていたはずだ。
彼は貴族の娘であるリーシェルを后とし、四つ年の離れた兄妹を儲けた。
兄は剣術の才に恵まれ、妹は文学に恵まれた。
「ウィシェお兄さま!今日もそのようなご本をお読みになっているのですか?」
腰まで伸びた水色の髪を揺らし、髪飾りがキラキラと輝く。
自分と同じ髪と目の色をした妹だ。
「ああ。午前は勉学、午後からは剣の稽古がある」
難しい文字列に目を通し、妹を見ることなくウィシェは話す。
「もっと小さい頃はよく遊びましたのに、最近はお兄さま、全く遊んでくれませんわね」
「もう子供じゃないんだ。お前は今から刺繍をするのだろう?使用人が言っていたぞ」
「そうですけれど。あんな縫い物ばかりしてなんの意味があるのかしら!」
「お前は王位を継ぐ必要はない。将来、お前を幸せにしてくれる男の為に何か作ってやれ」
「むううううっ」
妹ーーソートゥは頬を膨らませる。自分に見向きもせず、本から目を離さないウィシェをムッと睨み付け、背後から飛び付くように抱きついた。
「私は将来、お兄さまと結婚するんです!他の殿方など知りません!」
「はあ‥‥お前はずっとそればかりだな」
幾度なく繰り返される光景を、父や母、使用人達も仲の良い兄妹だと微笑ましく見守っていた。
ーーそう。【王殺し】の日まで。ずっと、ずっと、誰もがそう、思っていたはずだ。
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