一筋の光あらんことを

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四章【何処かで】

4-13 愛されている

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「でも、本当に良いのですか?」

ルイナが確認するように言い、

「勿論!」

リオは大きく頷き、

「オレはルイナ様の為ならばどこへでも行きます!」

次にイリスが言って、そして三人はちらりとナガを見る。

「いっ‥‥行くしかねぇだろ!こんなわけのわからない奴ら‥‥いや、ルイナ以外の二人に任せられるわけねぇだろ!」
「わけのわからないだと!?オレはこの国の騎士だぞ!」

イリスはナガの言葉に、むすっとしてしまった。

リオはそんな光景を呆れるように見つめつつ、言い表せない疑問を抱いていた。


◆◆◆◆◆

(魔物の目的は、古のドラゴンの復活。それは確実だろうな)

シェイアードは薄暗い魔物の城に居た。

「シェイアード・フライシル」

シェイアードの思考は魔物によって止められる。

「お前は、我等の目的は恐らく察しているだろう。必要なのは血だ。フライシル家とファインライズ家のな」
「俺を殺すか?」
「そのつもりであったが‥‥だが、今はもう一人が生きていた」

シェイアードは魔物を睨み付け、

「‥‥ドイルのことか」
「そう。お前の弟だ。必要なのは後、二人の血。ならば女王とお前の弟の血だけで十分なのだ」
「‥‥俺を生かしてどうする?」
「お前にその二人を始末してもらおうと思ってな。力が必要なのだろう?それに、お前は有能だ。人間だが、是非、我が軍勢に必要な力だ」

魔物の言葉に、シェイアードは黙りこんだ。


◆◆◆◆◆

「嫌な方向からだな」

気配を追いながらナガが言い、

「魔物達の城からですね」

ルイナが続けた。

「魔物の城なんてあるんだ‥‥」

リオは不思議そうに言う。そして走りながら、

(駄目だ。やはりまた、不死鳥達に声が届かないな。あの一度だけか‥‥)

リオはため息を吐く。

「どす黒い空気になってきたな」

イリスが小さく言い、

「奴らの城に近づいてきたってことだ」

ナガが答えた。

(どす黒いかはわからないけど、頭が痛くなるな‥‥)

リオはそう思い、先程から一言も喋らないルイナに視線を移す。
すると、彼女は顔を青くしていた。ナガとイリスもそれに気づき、

「ちっ!この空気のせいだな。ルイナ、ひとまず休憩をとろうぜ」

ナガが言う。
リオ達は魔物の気配を追い、一時間ほど走っていたかもしれない。
四人共、さすがに息が上がっている。それに、もう夜に差し掛かる。

「いえ、そんな‥‥大丈夫です、時間を取らせるわけには‥‥」

ルイナは迷惑がかかると思い、作り笑いをしていた。

「ルイナ様!!今は休みましょうオレはあなたを護る為に一緒に来たんですから!」

イリスはそう言って、

「二人の言う通りですよ」

と、リオも頷く。


◆◆◆◆◆

夜空に点々と星が浮かび、冷たい風が吹いた。

「ねっ、ナガ。君はシェイアードさんと仲良くなかったの?」

焚き火に手をかざしながらリオが聞くと、彼は嫌な顔をリオに向ける。

「シェイアードさん、あんまり詳しく君のことを聞かせてくれなくてさ」
「‥‥まあ、昔はな、あいつともちゃんと兄弟してたんだ。仲が良いって評判だった」

ナガは少し微笑みながら言って、

「親父がな、いつしか俺とあいつを比べ始めたんだ。息子としてじゃなく、優秀か、そうじゃないかで見るようになった。俺はそれが嫌だった。まあ、冷静に思えば、あいつも俺と同じ、こんな辛い思いをしてたのかもしれないな。なんたって、貴族の息子なんだから」

寂しそうに話す彼の横顔を、リオは静かに見つめた。

「それに、俺はもうフライシルの名は捨てた。名前に縛られず、自分らしく生きる。ドイル・フライシルは死んだんだ」

彼は、誇らしそうに言う。

「かっこいいね!あっ、ナガ。ハナさんは知ってる?」
「ああ、勿論‥‥嫌な記憶しかないけど」
「ん?」
「あの人、綺麗で仕事できるけど、何より人をからかうのが好きだからよぉ‥‥」


◆◆◆◆◆

夜空を見つめなが、ルイナは物思いに耽っていた。

「ルイナ様!」
「あら、イリス」

声を掛けたはいいが、イリスはああでもない、こうでもないと、何か言葉を探していて‥‥

「元気出して下さい!」

なんて言われて、ルイナは目を丸くする。

「ルイナ様、なんだか元気がないように見えて‥‥」

言われて、ルイナは視線を落とした。

家族を殺した魔物をようやく見つけた。
大切な人が、魔物と共に行ってしまったかもしれない。

そんなことを考えながら、

「やはり、落ち込んでいるように見えます?」

と、ルイナは苦笑する。

「はい‥‥でも、ルイナ様はいつも悲しそうにしているように見えました」
「えっ」

核心を突かれ、ルイナは驚いた。
狂気の女王として生き、心の中では泣いていた自分‥‥

「ルイナ様。オレはルイナ様の笑顔が大好きなんです!だから、それを守りたくて騎士になりました!オレはあなたが大好きだから!‥‥そう、だいす‥‥あれ?あれ‥‥?」

そこまで言って、イリスは硬直した。
ルイナも目を見開かせている。

「おぉおおおぉおお!?オレは今っ!何を言ったぁぁああ!?」

自分が無意識の内に告白みたいなことを言ってしまったことにイリスは驚き、恥ずかしさで体が一気に熱くなった。

「今のっ、ナシで!聞かなかったことにして下さい!おやすみなさいーーーー!!」

イリスは慌ててそう叫び、リオ達のいる焚き火の方へと走って行く。
その姿を呆然と見送り、ルイナは小さく微笑んだ。


◆◆◆◆◆

ーー‥‥明朝。

「さあ、あと少し走るぜ!いけるか?ルイナ」

ナガがルイナに尋ねれば、

「はい!ありがとうドイル。私はもう大丈夫です」
「ルイナ、俺はもうフライシルの名は捨てたんだ。今の俺は、ナガだ」

ナガは昨日、その話をしたリオをちらりと見て笑い、リオはそれに静かに頷いた。

「‥‥わかりました。ナガ、行きましょう!」
「ああ。何があっても、俺がお前をまも‥‥」
「ルイナ様はオレが護ってみせます!安心して下さい!」

ナガの言葉をイリスが悪意なく横取りして、

「てっ‥‥てめぇ‥‥」

ナガが剣を抜くので、

「え?え?なんで!?」

イリスは自分が邪魔したことに気付いていないので、剣を向けられ焦っている。
それを見て、ルイナはクスッと笑った。

「あはは。あなたは皆から愛されているんですね。それを‥‥忘れないで下さいね」

リオが微笑みながらルイナに言うと、ルイナは照れ臭そうに頷いた。


ーー愛されると言うのは難しいこと。
愛することも難しい。
けれども、愛が救いに代わるのなら‥‥

(私は‥‥レイラの愛を邪魔した?私は、彼女を‥‥苦しめてしまった‥‥?)

罪悪感と言う戒めの鎖は、ずっとリオの心を締め付けていた。
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