48 / 105
四章【何処かで】
4-15 不可思議な頼み
しおりを挟む
城内で魔物の大群を片付けたリオ達ーーと言うよりも、ほとんどは突然現れたカシルが倒したのだが‥‥
「‥‥どういうことなんだ」
リオは深刻な顔をしてカシルとハトネを睨む。
「なぜここにいるか、だろ?」
カシルが言うと、
「それはね、リオ君。サジャエルさんが‥‥」
ハトネが言おうとしたが、
「サジャエルがお前達二人をこの世界に‥‥か?」
「そうっ!そうなんだよ!よくわかったね!さすがリオ君だね!!」
「いちいち抱きつかないでくれ、ハトネ‥‥」
リオはため息を吐いた。
(だが、サジャエル。奴は一体、何者なんだ?)
彼女の行動の意味や正体が未だによくわからず、リオは考え込む。
「でも、なんで二人が一緒に?少なからずともカシル‥‥あなたは私達の敵‥‥だよね?そのあなたがどうしてハトネと‥‥」
リオが聞こうとしたが、
「ねえ‥‥リオ?この方たちは?」
何も知らないルイナ達が不安気に尋ねてきて、
「あっーー‥‥えーっと‥‥」
なんと説明したものかと、リオは口ごもってしまった。
「成程な」
カシルは何を確信したのか、小さくそう言って笑うので、リオはカシルを見て首を傾げるが、
「えーっとですね‥‥この二人は、その‥‥そう!私の仲間です!彼らもこの国の者ではなく、私と同じ他国から来たんですよ!」
リオはなんとか誤魔化そうと笑う。
「へえ!じゃあ、加勢に来てくれたのか!?それは助かるよ!オレはイリス、よろしく」
イリスはハトネとカシルに笑顔を向けた。
「おいリオ、本当に仲間なのか?なんか信用できないが‥‥」
ナガが怪しんできて、
「えーっ?何を言っているんだいナガ。二人はれっきとした仲間だよ。なあ?ハトネ!カシル!」
「うんうん!私はいつだってリオ君の仲間で恋びっぶふっ!!」
余計なことを言おうとするハトネの口をリオは自らの手で力強く塞ぐ。
ちらりと無言のカシルを見ると‥‥
とことんまでに嫌そうな顔をしている。
(そんなに嫌がらなくてもいいじゃん!!?)
リオは心の中で怒鳴った。
「とっ、とりあえず!!加勢も増えたんだし、先を急ぎましょうか!」
リオは無理矢理に話を終え、ルイナ達に言う。
戸惑いながらも、ルイナ達が先に走ったのを確認してから、
「まあ‥‥なんで二人でここにいるのかはまた後で聞くよ‥‥」
リオはため息を吐きながら言った。
「こっちだってお前がこの世界で何を目的に戦っているのかわからない。お互い様だろ」
カシルに言われ、それはそうだなとリオは納得し、ルイナ達の後を追う。
ーー城のエントランスには長い長い螺旋階段があった。
「これ、上るの‥‥?」
ハトネは先の見えないそれに顔をひきつらせる。
「上るしかねぇだろ」
ナガに言われ、
「はぁー‥‥ただ、リオ君に会いに来ただけなのに‥‥どうして来ていきなりこんなことに‥‥」
ハトネは大きくため息を吐いた。
それから、一同は螺旋階段に足を踏み入れる。
「‥‥リオ」
螺旋階段を走りながら、ルイナがリオに声を掛けてきて、
「シェイアード様は本当に、魔物達の側についたのでしょうか‥‥」
それはとても、不安気な声だった。
「大丈夫ですよ、ルイナ女王!私はシェイアードさんやあなた方と出会ってまだほんの少しですが‥‥シェイアードさんは、何か策があって、きっと魔物の所へ行っただけですよ」
リオはそう言って、優しく微笑んでやる。それに、ルイナも微笑んだ。
「ちょっとリオ君」
「なっ、何?」
ハトネが走りながらリオを睨んでくるので、
「やけにそのルイナさんって人と親しいんだねえ?」
ハトネの声のトーンが下がる。
「やっ‥‥親しいわけではなく‥‥」
リオは困ったようにハトネを見て、
(ただ、彼女に似ているから。だから私は、あの過ちの道をもう辿らない為にも、ルイナ女王を護る)
そう考えていると、
「リオ君!なんでそんなにルイナさんを見つめてるのかな!?」
「何っ!?お前っ‥‥女のくせにルイナ様が好きなのか!?」
イリスまで割り込んできた。
リオは言い返す気力がなく、とりあえず二人を無視してそのまま走る。
「ちょっと、イリスさんでしたっけ!?リオ君は女じゃないです!!男です!!!私と結婚するんです!」
ハトネがまたも大声を上げて、
「おっ、男ーーっ!?オカマ!?オカマだったのか!?」
それを真に受けるイリス。
やはりリオは言い返す気力がなく、代わりに大きなため息を吐いた。
「お前、大変だな。あの子、あんたのこと男と思ってるのか?」
ボソリとナガがハトネを指差しながら聞いてきて、
「うん‥‥」
リオは肩を落とす。
すると、ナガはルイナをちらりと見て、ルイナがこちらの様子を見ず、螺旋階段を走っているのを確認し、
「お前さ、奴のこと‥‥シェイアードのこと、好きなんだろ?」
「‥‥‥‥ーーえっ!!?」
言い当てられて、リオは一気に顔を真っ赤にした。
「なななななななんで!?」
「いや、なんとなく?奴も‥‥なーんかお前と親しそうだったし?」
「いやそのあのっ!!えーっと、えっと!!」
リオはパニックになる。
「なんだ小僧、恋でもしたのか?」
いつの間にかカシルがリオの隣にいて、
「ぶっ!!!ちちちちちちがっ‥‥」
リオは焦りすぎて吹き出した。
「小僧って、何だ?あんたもリオのこと男だと思ってるのか?」
ナガがカシルに尋ねれば、
「別に」
カシルが少しだけつまらなさそうに言うので、
「別にってなんだよそれ!」
リオは突っ込みをいれる。
ーーそうして、一行は無駄話をしながらも、なんとか螺旋階段を上り終えた。
(なっ、なんか、疲れた)
リオは頭を抱える。
「‥‥大きな扉がありますね」
ルイナが言い、
「扉の奥から殺気を感じるぞ」
カシルが言って、
「殺気?」
イリスは首を傾げた。
「とにかく、開けるぞ」
ナガが扉に手を掛ける。
「ねえ、リオ君。さっきから一体なんの為に戦ってるの?」
事情を知らないハトネが尋ねてきて、
「それはーー‥‥」
ギィイイイッ‥‥と、ナガが扉を開けていく。
ハトネに説明しようとしたが、リオはそこで言葉を止めた。
「‥‥あ、ぁ‥‥」
ルイナがか細い声を漏らしたのだ。
そして、恐怖に満ちたような顔をしている。
その隣で、ナガは舌打ちをした。
扉の先には、魔物の大群。
その中心に、見慣れた姿があったのだ。
「シェイアードさん!?」
声を発することができないルイナとナガの代わりに、リオがその名を叫ぶ。
彼は何も言わず、ただ静かに剣を抜いた。それを見てリオは、一歩だけ後退る。
シェイアードはリオの目を見つめ、
「リオ、頼みがある」
ようやくシェイアードは言葉を発した。
「えっ?」
「俺と戦ってくれ。型式は、そうだな。大会と同じく、一対一でだ」
シェイアードは軽く微笑むが、
「えっ、意味がわからないよ、シェイアードさん‥‥」
リオはシェイアードの言葉に驚きを隠せない。
「フライシルの血でもなく」
シェイアードはナガを見て、
「ファインライズの血でもなく」
次にルイナを見て、
「どちらの血でもない者に頼みたい」
最後にリオを見た。そんなことを言われたリオは、
「なんで、なんで私が?だったら、ここにいるあなたと全く無関係な人に頼んだら‥‥」
リオはイリスやハトネ、カシルを見る。
「‥‥そうだな。だが‥‥」
シェイアードは左目を軽く閉じ、
「お前と戦ってみたいと言ったのを覚えているか?それを今、ここで果たしたい」
そんなことを言われ、リオは涙がこぼれそうになった。どうして、自分が‥‥
「リタイアは無しだ。どちらかが死ぬまで、戦いはやめない」
シェイアードが言う。
「あっ、あなたなんなんですか!いきなり出てきてそんなっ」
ハトネが怒鳴ったが、ナガがハトネを制止して、
「‥‥リオ。戦ってやれよ」
そう言われ、リオは驚くようにナガを見た。
「こいつは、俺の兄は‥‥俺もルイナも選ばなかった」
ナガはシェイアードを静かに見つめる。
「でっ、でも、私‥‥」
自分が死ぬわけにはいかない。
かといって、シェイアードを殺したくもない。
「‥‥リオ。私からもお願いします。シェイアード様と、戦って下さい」
「ルイナ様!?」
リオはルイナの言葉に目を見開かせた。
「お願いします‥‥どうか、シェイアード様の頼みを‥‥」
リオはギリッと歯を鳴らし、諦めるように目を閉じる。
それから、ゆっくりと剣を構え、
「シェイアードさん‥‥なんで、こんな‥‥私‥‥」
それでも剣を構えてくれたリオを見て、
「‥‥ありがとう」
ーーと。
誰にも聞こえないような小さな声で、シェイアードは言った。
ただ、静かに微笑みながら。
「‥‥どういうことなんだ」
リオは深刻な顔をしてカシルとハトネを睨む。
「なぜここにいるか、だろ?」
カシルが言うと、
「それはね、リオ君。サジャエルさんが‥‥」
ハトネが言おうとしたが、
「サジャエルがお前達二人をこの世界に‥‥か?」
「そうっ!そうなんだよ!よくわかったね!さすがリオ君だね!!」
「いちいち抱きつかないでくれ、ハトネ‥‥」
リオはため息を吐いた。
(だが、サジャエル。奴は一体、何者なんだ?)
彼女の行動の意味や正体が未だによくわからず、リオは考え込む。
「でも、なんで二人が一緒に?少なからずともカシル‥‥あなたは私達の敵‥‥だよね?そのあなたがどうしてハトネと‥‥」
リオが聞こうとしたが、
「ねえ‥‥リオ?この方たちは?」
何も知らないルイナ達が不安気に尋ねてきて、
「あっーー‥‥えーっと‥‥」
なんと説明したものかと、リオは口ごもってしまった。
「成程な」
カシルは何を確信したのか、小さくそう言って笑うので、リオはカシルを見て首を傾げるが、
「えーっとですね‥‥この二人は、その‥‥そう!私の仲間です!彼らもこの国の者ではなく、私と同じ他国から来たんですよ!」
リオはなんとか誤魔化そうと笑う。
「へえ!じゃあ、加勢に来てくれたのか!?それは助かるよ!オレはイリス、よろしく」
イリスはハトネとカシルに笑顔を向けた。
「おいリオ、本当に仲間なのか?なんか信用できないが‥‥」
ナガが怪しんできて、
「えーっ?何を言っているんだいナガ。二人はれっきとした仲間だよ。なあ?ハトネ!カシル!」
「うんうん!私はいつだってリオ君の仲間で恋びっぶふっ!!」
余計なことを言おうとするハトネの口をリオは自らの手で力強く塞ぐ。
ちらりと無言のカシルを見ると‥‥
とことんまでに嫌そうな顔をしている。
(そんなに嫌がらなくてもいいじゃん!!?)
リオは心の中で怒鳴った。
「とっ、とりあえず!!加勢も増えたんだし、先を急ぎましょうか!」
リオは無理矢理に話を終え、ルイナ達に言う。
戸惑いながらも、ルイナ達が先に走ったのを確認してから、
「まあ‥‥なんで二人でここにいるのかはまた後で聞くよ‥‥」
リオはため息を吐きながら言った。
「こっちだってお前がこの世界で何を目的に戦っているのかわからない。お互い様だろ」
カシルに言われ、それはそうだなとリオは納得し、ルイナ達の後を追う。
ーー城のエントランスには長い長い螺旋階段があった。
「これ、上るの‥‥?」
ハトネは先の見えないそれに顔をひきつらせる。
「上るしかねぇだろ」
ナガに言われ、
「はぁー‥‥ただ、リオ君に会いに来ただけなのに‥‥どうして来ていきなりこんなことに‥‥」
ハトネは大きくため息を吐いた。
それから、一同は螺旋階段に足を踏み入れる。
「‥‥リオ」
螺旋階段を走りながら、ルイナがリオに声を掛けてきて、
「シェイアード様は本当に、魔物達の側についたのでしょうか‥‥」
それはとても、不安気な声だった。
「大丈夫ですよ、ルイナ女王!私はシェイアードさんやあなた方と出会ってまだほんの少しですが‥‥シェイアードさんは、何か策があって、きっと魔物の所へ行っただけですよ」
リオはそう言って、優しく微笑んでやる。それに、ルイナも微笑んだ。
「ちょっとリオ君」
「なっ、何?」
ハトネが走りながらリオを睨んでくるので、
「やけにそのルイナさんって人と親しいんだねえ?」
ハトネの声のトーンが下がる。
「やっ‥‥親しいわけではなく‥‥」
リオは困ったようにハトネを見て、
(ただ、彼女に似ているから。だから私は、あの過ちの道をもう辿らない為にも、ルイナ女王を護る)
そう考えていると、
「リオ君!なんでそんなにルイナさんを見つめてるのかな!?」
「何っ!?お前っ‥‥女のくせにルイナ様が好きなのか!?」
イリスまで割り込んできた。
リオは言い返す気力がなく、とりあえず二人を無視してそのまま走る。
「ちょっと、イリスさんでしたっけ!?リオ君は女じゃないです!!男です!!!私と結婚するんです!」
ハトネがまたも大声を上げて、
「おっ、男ーーっ!?オカマ!?オカマだったのか!?」
それを真に受けるイリス。
やはりリオは言い返す気力がなく、代わりに大きなため息を吐いた。
「お前、大変だな。あの子、あんたのこと男と思ってるのか?」
ボソリとナガがハトネを指差しながら聞いてきて、
「うん‥‥」
リオは肩を落とす。
すると、ナガはルイナをちらりと見て、ルイナがこちらの様子を見ず、螺旋階段を走っているのを確認し、
「お前さ、奴のこと‥‥シェイアードのこと、好きなんだろ?」
「‥‥‥‥ーーえっ!!?」
言い当てられて、リオは一気に顔を真っ赤にした。
「なななななななんで!?」
「いや、なんとなく?奴も‥‥なーんかお前と親しそうだったし?」
「いやそのあのっ!!えーっと、えっと!!」
リオはパニックになる。
「なんだ小僧、恋でもしたのか?」
いつの間にかカシルがリオの隣にいて、
「ぶっ!!!ちちちちちちがっ‥‥」
リオは焦りすぎて吹き出した。
「小僧って、何だ?あんたもリオのこと男だと思ってるのか?」
ナガがカシルに尋ねれば、
「別に」
カシルが少しだけつまらなさそうに言うので、
「別にってなんだよそれ!」
リオは突っ込みをいれる。
ーーそうして、一行は無駄話をしながらも、なんとか螺旋階段を上り終えた。
(なっ、なんか、疲れた)
リオは頭を抱える。
「‥‥大きな扉がありますね」
ルイナが言い、
「扉の奥から殺気を感じるぞ」
カシルが言って、
「殺気?」
イリスは首を傾げた。
「とにかく、開けるぞ」
ナガが扉に手を掛ける。
「ねえ、リオ君。さっきから一体なんの為に戦ってるの?」
事情を知らないハトネが尋ねてきて、
「それはーー‥‥」
ギィイイイッ‥‥と、ナガが扉を開けていく。
ハトネに説明しようとしたが、リオはそこで言葉を止めた。
「‥‥あ、ぁ‥‥」
ルイナがか細い声を漏らしたのだ。
そして、恐怖に満ちたような顔をしている。
その隣で、ナガは舌打ちをした。
扉の先には、魔物の大群。
その中心に、見慣れた姿があったのだ。
「シェイアードさん!?」
声を発することができないルイナとナガの代わりに、リオがその名を叫ぶ。
彼は何も言わず、ただ静かに剣を抜いた。それを見てリオは、一歩だけ後退る。
シェイアードはリオの目を見つめ、
「リオ、頼みがある」
ようやくシェイアードは言葉を発した。
「えっ?」
「俺と戦ってくれ。型式は、そうだな。大会と同じく、一対一でだ」
シェイアードは軽く微笑むが、
「えっ、意味がわからないよ、シェイアードさん‥‥」
リオはシェイアードの言葉に驚きを隠せない。
「フライシルの血でもなく」
シェイアードはナガを見て、
「ファインライズの血でもなく」
次にルイナを見て、
「どちらの血でもない者に頼みたい」
最後にリオを見た。そんなことを言われたリオは、
「なんで、なんで私が?だったら、ここにいるあなたと全く無関係な人に頼んだら‥‥」
リオはイリスやハトネ、カシルを見る。
「‥‥そうだな。だが‥‥」
シェイアードは左目を軽く閉じ、
「お前と戦ってみたいと言ったのを覚えているか?それを今、ここで果たしたい」
そんなことを言われ、リオは涙がこぼれそうになった。どうして、自分が‥‥
「リタイアは無しだ。どちらかが死ぬまで、戦いはやめない」
シェイアードが言う。
「あっ、あなたなんなんですか!いきなり出てきてそんなっ」
ハトネが怒鳴ったが、ナガがハトネを制止して、
「‥‥リオ。戦ってやれよ」
そう言われ、リオは驚くようにナガを見た。
「こいつは、俺の兄は‥‥俺もルイナも選ばなかった」
ナガはシェイアードを静かに見つめる。
「でっ、でも、私‥‥」
自分が死ぬわけにはいかない。
かといって、シェイアードを殺したくもない。
「‥‥リオ。私からもお願いします。シェイアード様と、戦って下さい」
「ルイナ様!?」
リオはルイナの言葉に目を見開かせた。
「お願いします‥‥どうか、シェイアード様の頼みを‥‥」
リオはギリッと歯を鳴らし、諦めるように目を閉じる。
それから、ゆっくりと剣を構え、
「シェイアードさん‥‥なんで、こんな‥‥私‥‥」
それでも剣を構えてくれたリオを見て、
「‥‥ありがとう」
ーーと。
誰にも聞こえないような小さな声で、シェイアードは言った。
ただ、静かに微笑みながら。
0
あなたにおすすめの小説
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる