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オトナの対応
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うむ。
ここは前世持ちとして、オトナの対応というのをお見せしようではないか。
「まずお伝えしておきたいのですが、故あって王都の学院へ入ることとなりましたが、私が光陰神への信仰を忘れたわけではありません」
「それはもちろん」
「そして、神殿をないがしろにする意図もございません」
「存じております」
「私個人としては、真偽のほどはともかく、一介の学生の身の上で、光陰神の宣託を受けた者という肩書を持つことは、あまりよろしくない事態であると考えております」
「……なるほど」
ここまで、神殿長は終始笑顔である。逆に怖いわ。
だがおそらく、意図は伝わっていると思われる。要は暗に、宣託を受けたのは事実ですよー、でもそのことは隠しておきたいんですよー、神殿の方で何とかなりませんかー、というお願いである。
「将来的には、カヴェノ様は神殿に入られるということは?」
「先のことはわかりませんが……そういう未来も、あるかもしれません」
神殿とは関わらないと断言はしない。とにかく神殿に、俺を囲い込もうと本気を出させず、つかず離れずで一定の距離を保つ。そして、本気を出せばいつでも囲い込めるのだと思わせ続ける。グレーゾーンを通すことが、この場合の肝である。
俺の印象と元カヴェノの持つ知識を総合して、宣託を受けたと思われる人間を、神殿が野放しにすることはあり得ない、というのが我らの結論である。
はっきりさせてはいけないことはグレーゾーンを保ち続ける。これがオトナの対応というものである!
……まあ大抵はどっかで失敗して、どちらかの側に、それも大体ヤバい側に落っこちて後で痛い目を見るのだけれど、それはそれ。現状ではこれがベストではなくともベターであると信じる。
そして自由があるうちに、はねつけられるだけの力を蓄えるのだ!
「わかりました。そういうことでしたら、今はこれ以上は問いますまい」
そんな神殿長の言葉に、俺は胸をなでおろす。人柄はある程度わかっていたからこのくらいの譲歩なら受け入れてくれると思っていたが、想像より信仰ガチガチの人であったら危なかったかもしれん。
神殿長はこれ以上追及することなく、俺が学院に通うことを正式に了承してくれた。こうして無事に、神殿とカヴェノ・パワーズの面談は終了したのだった。
……まあ、そう思っていたのは俺だけだったのだが。
俺も元カヴェノも知らなかったのだ。神殿に入らない宣託持ちに対して、神殿がどのような対応を執るのかを。
神殿に入らない宣託持ちに対して神殿は、聖職者と等しい説法の自由と喜捨の受領、そして神殿施設利用の権利を有する『聖人』の称号を与えるのだ、なんてことなどは……。
ここは前世持ちとして、オトナの対応というのをお見せしようではないか。
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「それはもちろん」
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「存じております」
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「……なるほど」
ここまで、神殿長は終始笑顔である。逆に怖いわ。
だがおそらく、意図は伝わっていると思われる。要は暗に、宣託を受けたのは事実ですよー、でもそのことは隠しておきたいんですよー、神殿の方で何とかなりませんかー、というお願いである。
「将来的には、カヴェノ様は神殿に入られるということは?」
「先のことはわかりませんが……そういう未来も、あるかもしれません」
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はっきりさせてはいけないことはグレーゾーンを保ち続ける。これがオトナの対応というものである!
……まあ大抵はどっかで失敗して、どちらかの側に、それも大体ヤバい側に落っこちて後で痛い目を見るのだけれど、それはそれ。現状ではこれがベストではなくともベターであると信じる。
そして自由があるうちに、はねつけられるだけの力を蓄えるのだ!
「わかりました。そういうことでしたら、今はこれ以上は問いますまい」
そんな神殿長の言葉に、俺は胸をなでおろす。人柄はある程度わかっていたからこのくらいの譲歩なら受け入れてくれると思っていたが、想像より信仰ガチガチの人であったら危なかったかもしれん。
神殿長はこれ以上追及することなく、俺が学院に通うことを正式に了承してくれた。こうして無事に、神殿とカヴェノ・パワーズの面談は終了したのだった。
……まあ、そう思っていたのは俺だけだったのだが。
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