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はじめに、推敲、書き出し
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もっぱら「創作論は書くな」という多くの意見を目にしてきた私にとって、「創作論を書こう」は意外でした。雨宮徹さんの「君はどのようにしてカクヨムを生きるか/カクヨムコン9について」(https://kakuyomu.jp/works/16817330668310111817)の話をしています。
「創作論は書くな」と主張する人の主な根拠は、「他人の創作論など当てにならない」、「創作論を書く暇があるなら小説を書け」だったと思います。他にもあるでしょうが、とにかく「創作論など意味がない」と。
このたび、雨宮徹さんの創作論を拝見しましたところ、要は「読者が増えるから、導線になり得るから書いた方がいい」というご意見であったように思いました。なるほど、であるあらば書かない理由などありませんな。SNSもやってない、流行りのジャンルの小説も書けないような私にとって、導線やPVは喉から手が出るほど欲しいもののはずですから。
ということで、始めたいと思います。例によってダラダラ書けない不真面目人間ですので、切りのいいところで話を終えて、続きを書こうと思ったら続きを書きます。ではゆく。
○推敲は一回、もしくは無し
「推敲は何回がいいですか」という質問も多く見てきました。好きにしたらいいと思います。とはいえ、五回も六回もやるのはどうかとも思います。はっきりいって時間の無駄です。「自分が納得するまでやりたいんだ」という人もおられるかもしれませんが、推敲に時間を費やすより執筆に、創作に大事な時間を使いましょう。「自分にとってベストな文章」が、必ずしも読者に理解されるとは限りませんから。
私の場合、書きながら推敲しています。今この時点で、ここまで書いてきた文章の推敲を終えています。しかしこれを「推敲」と呼ぶのは自分でも乱暴だと思いますので、「加筆・修正」としておきましょうか。単に呼び方の問題でやってることは同じですが。
では本当の推敲はといいますと、最後まで書き終えて、プレビュー画面にして、ざーっと読みながら「ここの文章はおかしい」、「ここにあれを書き足したい」と、気づいたり思ったりした時、編集画面に戻ってその都度、その箇所を加筆・修正するのです。
よって、推敲は一回、直す箇所がなければしません。
○小説の冒頭、書き出しはキャッチーに?
私がいらち(関西でせっかちを表す)だからというだけではなく、世の趨勢として、物語の始まりからズラズラと説明されるのはマイナスポイントです。カクヨムだけでどれだけ多くの作品があり、他の小説投稿サイトも合わせると、ネット上で無料で読める作品は無限といっても過言ではない。加えて、娯楽は多種多様に世に溢れており、そもそも小説など読まない人も多いはずです。
なればこそ、やはり書き出しはキャッチーにいきたいものです。「お、何だこれは」とまず読者に思わせ、その後の展開もとんとんとんと読ませたいところ。ガッと読者の心を掴み、掴んだまま、その先もだれさせることなく、グイグイ読ませていく…って、いうのは簡単ですよね。
拙作を例に取ります。
「サンタクロースが殺された。こういう案件は、警察よりも探偵に任せるに限る。探偵の中でも特殊な部類に属するが、志賀悠一はその一人だった」――「サンタクロース殺人事件」
「ノースウィザンパーク前の道路上で、幼稚園の送迎バスが爆破された事件は全米に衝撃を与えた」――「GOOD-BYE JUSTICE グッバイ・ジャスティス」
この二作は実にわかりやすい例で、ショッキングな内容で読者の心を掴む、気を引くという、安直だが効果的な方法ではないでしょうか。ミステリージャンルでは、「殺し」や「死」を冒頭に持ってきやすいという面もありますね。
「バーミヤン州に入ってからはまだマシだった。北ミシガン州は壊滅的な被害を受け、全土に渡って交通規制が敷かれていた。ハリケーン「サマンサ」はアメリカ合衆国を縦横無尽に荒らし回り、大きな爪痕を残していった」――「Route 365 男と少女と車」
現代ドラマとして書こうとしたこちらは、物語の舞台がハリケーン一過で非日常であることを冒頭で示しています。舞台設定の説明とともに、主人公たちの障害となるものを表しています。
「居酒屋の宴酣に、独りカウンターで酒を飲んでいる八津は、いかにもうだつが上がらない男で、同僚の誰もかれも傍には近寄らずに、座敷でどんちゃん騒ぎを繰り広げている」――「LIMITED 8」
「水面は穏やかな表情を湛えていた。生憎の曇り空だが、鏡のような湖面に映る空の色は、ちょうど阿門あもんの心と重なっていた。真夏の青空よりも、秋空の陰鬱な表情が彼は好きだった」――「鐘楼湖の殺人」
前者は書き出しの一文で主人公を説明しています。孤独な主人公と、反対に盛り上がっている同僚たちという対比はイメージしやすいかと思います。
後者は私が代表作として設定している作品で、やや硬いですね。一応「本格」を目指して書いたミステリーだけに、少し力んでいるなと今となっては思います。環境と主人公の説明を同時に行っています。
「クレアさ~ん? ねえねえ、クレアさんってばあ!」
「……はっ、はい!?」
クレアが驚いて振り向くと、同僚のマリアが悪戯っぽく目を光らせて立っていた。
「んもう、クレアさんったら声かけても全然返事しないんだもん。もしかして、あたしのこと無視してるー?」
「ち、違います! 少し考え事をしていまして……」――「女神と天使は同棲中」
う~~ん、出ない……。
いや、これは失礼。しかし出ないものは出ないのである。何が出ないってそれはもちろん、小説のアイデアである。作家にとってアイデアの引き出しが少ないのは致命的だが、言い訳ではないがこれには理由があるのだ。
(中略)
う~~ん、出ない……。
いや、これは失礼。しかし出ないものは出ないのである。何が出ないってそれはもちろん、うんちである。おしっこは全然よく出るのだが――むしろ出過ぎなくらいよく出るが――いかんせん大便が出ない。勘弁してほしい。――「異世界便秘物語」
この二作品は終始おちゃらけた内容となっており、前者はいきなり会話文から始め、キャラクター紹介を行っています。後者は一人称の小説。段落の形を同じにして、読者の気を引こうと、笑いを取ろうと苦心する作者の顔が思い浮かぶでしょう。
以上、拙作を例に取りましたが、やはり小説の書き出しは大事なのです。カクヨムにはキャッチコピーの設定が可能で、本文以外でも大事そうな点はあるものの、書き手はまず文章に注力しなくてはならないと私は思っています。
「創作論は書くな」と主張する人の主な根拠は、「他人の創作論など当てにならない」、「創作論を書く暇があるなら小説を書け」だったと思います。他にもあるでしょうが、とにかく「創作論など意味がない」と。
このたび、雨宮徹さんの創作論を拝見しましたところ、要は「読者が増えるから、導線になり得るから書いた方がいい」というご意見であったように思いました。なるほど、であるあらば書かない理由などありませんな。SNSもやってない、流行りのジャンルの小説も書けないような私にとって、導線やPVは喉から手が出るほど欲しいもののはずですから。
ということで、始めたいと思います。例によってダラダラ書けない不真面目人間ですので、切りのいいところで話を終えて、続きを書こうと思ったら続きを書きます。ではゆく。
○推敲は一回、もしくは無し
「推敲は何回がいいですか」という質問も多く見てきました。好きにしたらいいと思います。とはいえ、五回も六回もやるのはどうかとも思います。はっきりいって時間の無駄です。「自分が納得するまでやりたいんだ」という人もおられるかもしれませんが、推敲に時間を費やすより執筆に、創作に大事な時間を使いましょう。「自分にとってベストな文章」が、必ずしも読者に理解されるとは限りませんから。
私の場合、書きながら推敲しています。今この時点で、ここまで書いてきた文章の推敲を終えています。しかしこれを「推敲」と呼ぶのは自分でも乱暴だと思いますので、「加筆・修正」としておきましょうか。単に呼び方の問題でやってることは同じですが。
では本当の推敲はといいますと、最後まで書き終えて、プレビュー画面にして、ざーっと読みながら「ここの文章はおかしい」、「ここにあれを書き足したい」と、気づいたり思ったりした時、編集画面に戻ってその都度、その箇所を加筆・修正するのです。
よって、推敲は一回、直す箇所がなければしません。
○小説の冒頭、書き出しはキャッチーに?
私がいらち(関西でせっかちを表す)だからというだけではなく、世の趨勢として、物語の始まりからズラズラと説明されるのはマイナスポイントです。カクヨムだけでどれだけ多くの作品があり、他の小説投稿サイトも合わせると、ネット上で無料で読める作品は無限といっても過言ではない。加えて、娯楽は多種多様に世に溢れており、そもそも小説など読まない人も多いはずです。
なればこそ、やはり書き出しはキャッチーにいきたいものです。「お、何だこれは」とまず読者に思わせ、その後の展開もとんとんとんと読ませたいところ。ガッと読者の心を掴み、掴んだまま、その先もだれさせることなく、グイグイ読ませていく…って、いうのは簡単ですよね。
拙作を例に取ります。
「サンタクロースが殺された。こういう案件は、警察よりも探偵に任せるに限る。探偵の中でも特殊な部類に属するが、志賀悠一はその一人だった」――「サンタクロース殺人事件」
「ノースウィザンパーク前の道路上で、幼稚園の送迎バスが爆破された事件は全米に衝撃を与えた」――「GOOD-BYE JUSTICE グッバイ・ジャスティス」
この二作は実にわかりやすい例で、ショッキングな内容で読者の心を掴む、気を引くという、安直だが効果的な方法ではないでしょうか。ミステリージャンルでは、「殺し」や「死」を冒頭に持ってきやすいという面もありますね。
「バーミヤン州に入ってからはまだマシだった。北ミシガン州は壊滅的な被害を受け、全土に渡って交通規制が敷かれていた。ハリケーン「サマンサ」はアメリカ合衆国を縦横無尽に荒らし回り、大きな爪痕を残していった」――「Route 365 男と少女と車」
現代ドラマとして書こうとしたこちらは、物語の舞台がハリケーン一過で非日常であることを冒頭で示しています。舞台設定の説明とともに、主人公たちの障害となるものを表しています。
「居酒屋の宴酣に、独りカウンターで酒を飲んでいる八津は、いかにもうだつが上がらない男で、同僚の誰もかれも傍には近寄らずに、座敷でどんちゃん騒ぎを繰り広げている」――「LIMITED 8」
「水面は穏やかな表情を湛えていた。生憎の曇り空だが、鏡のような湖面に映る空の色は、ちょうど阿門あもんの心と重なっていた。真夏の青空よりも、秋空の陰鬱な表情が彼は好きだった」――「鐘楼湖の殺人」
前者は書き出しの一文で主人公を説明しています。孤独な主人公と、反対に盛り上がっている同僚たちという対比はイメージしやすいかと思います。
後者は私が代表作として設定している作品で、やや硬いですね。一応「本格」を目指して書いたミステリーだけに、少し力んでいるなと今となっては思います。環境と主人公の説明を同時に行っています。
「クレアさ~ん? ねえねえ、クレアさんってばあ!」
「……はっ、はい!?」
クレアが驚いて振り向くと、同僚のマリアが悪戯っぽく目を光らせて立っていた。
「んもう、クレアさんったら声かけても全然返事しないんだもん。もしかして、あたしのこと無視してるー?」
「ち、違います! 少し考え事をしていまして……」――「女神と天使は同棲中」
う~~ん、出ない……。
いや、これは失礼。しかし出ないものは出ないのである。何が出ないってそれはもちろん、小説のアイデアである。作家にとってアイデアの引き出しが少ないのは致命的だが、言い訳ではないがこれには理由があるのだ。
(中略)
う~~ん、出ない……。
いや、これは失礼。しかし出ないものは出ないのである。何が出ないってそれはもちろん、うんちである。おしっこは全然よく出るのだが――むしろ出過ぎなくらいよく出るが――いかんせん大便が出ない。勘弁してほしい。――「異世界便秘物語」
この二作品は終始おちゃらけた内容となっており、前者はいきなり会話文から始め、キャラクター紹介を行っています。後者は一人称の小説。段落の形を同じにして、読者の気を引こうと、笑いを取ろうと苦心する作者の顔が思い浮かぶでしょう。
以上、拙作を例に取りましたが、やはり小説の書き出しは大事なのです。カクヨムにはキャッチコピーの設定が可能で、本文以外でも大事そうな点はあるものの、書き手はまず文章に注力しなくてはならないと私は思っています。
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