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第83話 虚像
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クレアの娘であるアリスが突如参入した。
クレアは、アリスに魔力制御の才能があると踏んで訓練を徹底的に繰り返した。
そしてやはりアリスは天才だった。
その修行で魔法剣を独自に編み出したのだ。
「な、何だと」
バルガスは急に身体が重くなり、
更にスキルが使えない症状を体感していた。
重度の麻痺は、速度低下だけでなく、
スキルの使用を制限する。
バルガスにとっての天敵はアリスだった。
「き、貴様!」
バルガスは怒り狂いアリスに向かう。
しかしこの瞬間、アリスは笑みを浮かべた。
訓練の最大の成果は魔法剣ではなく、
クレアによって仕込まれた雷魔法の身体強化だ。
それも足のみ部分的に強化して高速移動を可能にする。
「き、消えただと!」
アリスは、なんと雷魔法の身体強化によりクレアの神速を再現した。
そしてスピードに特化した攻撃を繰り出す。
「雷神剣」
雷の魔法剣を当てて、更に麻痺を上書きすると、
自慢のスキルを封印され、バルガスは苛立った。
そして実際に麻痺の効果を受けて、
バルガスは、雷魔法の価値に気付く。
「なるほど、その力が一番魅力がある、
そう言うことだな」
シンもバルガスの意図に気付き、
アリスの上空に転移魔法のゲートを呼び出し、
オークを落とし続ける。
数量を限定することで、
クレアとユーリの動きを制限した。
「シンよ、流石だな……
良い作戦だ」
それを見たバルガスは身体強化を施して、
アリスに向けて突進した。
ユーリは上空のオークを凍らせるのに精一杯だ。
クレアもバルガスとオークのニ方向へ、
光の剣を飛ばしているため狙いが定まらない。
「ふははは、当たらないぞ」
バルガスは硬質化を施して、攻撃を回避しながら、
アリスの目前まで到達してしまった。
「その力、俺のものだ!」
バルガスの魔の手がアリスに迫る……
しかしその瞬間、クレアのよく知る人物が現れた。
「次元結界」
アリスの周りを時空魔法の結界が覆う。
時空魔法もまた使える人物は、唯一人しかいない。
「みんな、待たせたね
それと……よく時間を稼いでくれたよ」
突如として賢者が現れて、アリスを救う。
そして賢者が到達するまで時間を稼ぐ計画で、
クレア達は、見事に作戦を成功した。
「許さんぞ、ロゼ」
バルガスは、賢者に計画を台無しにされた為、
憤りを感じている。
そしてその時、シンも自らの異常に気付いた。
「な、なんだ……
転移魔法が使え……ない」
「ふふふ、やっと気づいたね……
結界を張り巡らせたんだよ」
賢者の結界魔法で転移魔法を封じ込めた。
この場に賢者がいる限り、転移魔法を使えない。
「ありえない……
俺達は城に侵入する前に結界を破壊した筈だ!」
「ふふふ、幻だったんじゃないかい?」
賢者は、耳に装着する通信機に手を当てて、
作戦の成功を告げる。
「クリス、大成功だ……
解除して良いぞ……」
突如のことだった……
賢者がその言葉を発した瞬間に、
辺り一面の景色が変わる。
「な、何だ……
何が起きている……」
まやかしの世界が真実に変わると、
周りの景色は気づけば城ではなく、
旧魔法学園の中央校舎、大広間に変わった。
「こ、これは……」
シンは、幻惑魔法で虚像を見せられていたと、
ようやく気付く。
「分かったようだね……
お前達が攻めた場所も殺した者も、
全てはまやかしさ」
融合魔法によってクリスの幻惑魔法と、
賢者の結界魔法を融合した。
融合魔法の結界をルミナス中に張り巡らせたのだ。
「幻惑結界さ……
元々ルミナスにいる人物には効かないが、
侵入した者は騙される」
用意していた魔法の筒で大魔法を発動して、
全ての魔族を旧魔法学園に誘導した。
そして賢者は耳に付いた通信機に手を当てて話す。
「気をつけろ!
そろそろ奴が来る筈だ!
奴だけには幻惑結界は効いていない」
ここまでの計画は全て成功したが、
間違いなく城でも死闘を迎える。
賢者は愛してやまない弟子の無事を心から祈った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
城内を走りながら逃げていく。
まだ敵はそれほどに侵入していない。
「はぁ……はぁ」
「マリア様、後少しです……」
キャロルに手を引かれて、マリアは逃げる。
城門で襲撃があった場合、
訓練所を通過して城から避難しなければならない。
そして訓練所に到達すると、
ある人物が目の前に現れる……
「剣聖セシル」
キャロルは信じられないでいた。
何故、目の前にセシルがいるのか。
襲撃があった場合、
セシルへの指示は城の警護ではない。
「見つけたわ、マリア様……」
セシルは笑みを浮かべて、
マリアに声をかける。
「……………」
「マリア様、私と一緒に行きましょう
ここよりも楽しい世界に……」
キャロルはセシルの様子がおかしい事に気づく。
こんなセシルは見た事が無いと警戒した。
「何を言ってるんだ……
セシル……」
「そう、ここよりも楽しい……
死の世界にね……」
そしてゆっくりとルミナスの剣聖は、
マリアへ近づく……
そして、その瞬間……
「インフェルノ」
セシルの足元に大きな魔法陣が生まれ、
強烈な火柱がセシルを包み込む。
間違いなくルミナスの中では最強格の火魔法、
レベル4インフェルノ。
「やっぱりあんただったのね……セシル……」
インフェルノの炎が消えていく中、
暗黒のオーラを身に纏うセシルが呟く。
「あなたは……シャルロット殿下」
マリアの姉であるシャルロット・ルミナス……
ここから間違いなく激しい死闘が繰り広げられる。
しかし、その様子を見ていたマリアは、
笑みを浮かべているのであった……
クレアは、アリスに魔力制御の才能があると踏んで訓練を徹底的に繰り返した。
そしてやはりアリスは天才だった。
その修行で魔法剣を独自に編み出したのだ。
「な、何だと」
バルガスは急に身体が重くなり、
更にスキルが使えない症状を体感していた。
重度の麻痺は、速度低下だけでなく、
スキルの使用を制限する。
バルガスにとっての天敵はアリスだった。
「き、貴様!」
バルガスは怒り狂いアリスに向かう。
しかしこの瞬間、アリスは笑みを浮かべた。
訓練の最大の成果は魔法剣ではなく、
クレアによって仕込まれた雷魔法の身体強化だ。
それも足のみ部分的に強化して高速移動を可能にする。
「き、消えただと!」
アリスは、なんと雷魔法の身体強化によりクレアの神速を再現した。
そしてスピードに特化した攻撃を繰り出す。
「雷神剣」
雷の魔法剣を当てて、更に麻痺を上書きすると、
自慢のスキルを封印され、バルガスは苛立った。
そして実際に麻痺の効果を受けて、
バルガスは、雷魔法の価値に気付く。
「なるほど、その力が一番魅力がある、
そう言うことだな」
シンもバルガスの意図に気付き、
アリスの上空に転移魔法のゲートを呼び出し、
オークを落とし続ける。
数量を限定することで、
クレアとユーリの動きを制限した。
「シンよ、流石だな……
良い作戦だ」
それを見たバルガスは身体強化を施して、
アリスに向けて突進した。
ユーリは上空のオークを凍らせるのに精一杯だ。
クレアもバルガスとオークのニ方向へ、
光の剣を飛ばしているため狙いが定まらない。
「ふははは、当たらないぞ」
バルガスは硬質化を施して、攻撃を回避しながら、
アリスの目前まで到達してしまった。
「その力、俺のものだ!」
バルガスの魔の手がアリスに迫る……
しかしその瞬間、クレアのよく知る人物が現れた。
「次元結界」
アリスの周りを時空魔法の結界が覆う。
時空魔法もまた使える人物は、唯一人しかいない。
「みんな、待たせたね
それと……よく時間を稼いでくれたよ」
突如として賢者が現れて、アリスを救う。
そして賢者が到達するまで時間を稼ぐ計画で、
クレア達は、見事に作戦を成功した。
「許さんぞ、ロゼ」
バルガスは、賢者に計画を台無しにされた為、
憤りを感じている。
そしてその時、シンも自らの異常に気付いた。
「な、なんだ……
転移魔法が使え……ない」
「ふふふ、やっと気づいたね……
結界を張り巡らせたんだよ」
賢者の結界魔法で転移魔法を封じ込めた。
この場に賢者がいる限り、転移魔法を使えない。
「ありえない……
俺達は城に侵入する前に結界を破壊した筈だ!」
「ふふふ、幻だったんじゃないかい?」
賢者は、耳に装着する通信機に手を当てて、
作戦の成功を告げる。
「クリス、大成功だ……
解除して良いぞ……」
突如のことだった……
賢者がその言葉を発した瞬間に、
辺り一面の景色が変わる。
「な、何だ……
何が起きている……」
まやかしの世界が真実に変わると、
周りの景色は気づけば城ではなく、
旧魔法学園の中央校舎、大広間に変わった。
「こ、これは……」
シンは、幻惑魔法で虚像を見せられていたと、
ようやく気付く。
「分かったようだね……
お前達が攻めた場所も殺した者も、
全てはまやかしさ」
融合魔法によってクリスの幻惑魔法と、
賢者の結界魔法を融合した。
融合魔法の結界をルミナス中に張り巡らせたのだ。
「幻惑結界さ……
元々ルミナスにいる人物には効かないが、
侵入した者は騙される」
用意していた魔法の筒で大魔法を発動して、
全ての魔族を旧魔法学園に誘導した。
そして賢者は耳に付いた通信機に手を当てて話す。
「気をつけろ!
そろそろ奴が来る筈だ!
奴だけには幻惑結界は効いていない」
ここまでの計画は全て成功したが、
間違いなく城でも死闘を迎える。
賢者は愛してやまない弟子の無事を心から祈った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
城内を走りながら逃げていく。
まだ敵はそれほどに侵入していない。
「はぁ……はぁ」
「マリア様、後少しです……」
キャロルに手を引かれて、マリアは逃げる。
城門で襲撃があった場合、
訓練所を通過して城から避難しなければならない。
そして訓練所に到達すると、
ある人物が目の前に現れる……
「剣聖セシル」
キャロルは信じられないでいた。
何故、目の前にセシルがいるのか。
襲撃があった場合、
セシルへの指示は城の警護ではない。
「見つけたわ、マリア様……」
セシルは笑みを浮かべて、
マリアに声をかける。
「……………」
「マリア様、私と一緒に行きましょう
ここよりも楽しい世界に……」
キャロルはセシルの様子がおかしい事に気づく。
こんなセシルは見た事が無いと警戒した。
「何を言ってるんだ……
セシル……」
「そう、ここよりも楽しい……
死の世界にね……」
そしてゆっくりとルミナスの剣聖は、
マリアへ近づく……
そして、その瞬間……
「インフェルノ」
セシルの足元に大きな魔法陣が生まれ、
強烈な火柱がセシルを包み込む。
間違いなくルミナスの中では最強格の火魔法、
レベル4インフェルノ。
「やっぱりあんただったのね……セシル……」
インフェルノの炎が消えていく中、
暗黒のオーラを身に纏うセシルが呟く。
「あなたは……シャルロット殿下」
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ここから間違いなく激しい死闘が繰り広げられる。
しかし、その様子を見ていたマリアは、
笑みを浮かべているのであった……
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