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第112話 誤解
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レガードの者なら誰でも知る伝説の存在、
ユリス・レガードを前にしている。
そしてその決闘に圧勝してしまい、気づけば俺は悪者になっていた。
「ア、アニキ…
酷いっすよ、許してやって…」
子分のガルムに同情されてしまうと、
更にユリスは心を痛めてしまう。
「わ、私を、好きにしたいなら…
好きにすればいいじゃない!」
俺はどうしたら良いのか分からない…
目の前の状況に途方に暮れていて、
賢者からの声が聞こえていなかった。
「クリス、お前…
一体何してるんだ?」
「母上!!」
俺は何故、母上が記憶の世界にいるのか分からない。
混乱していた頭が更にパンクしそうだ。
その時、通信機から聞こえる賢者の声にやっと気づいた。
「ちゃんと聞きなさい!クレアが来てると、
何度言ったら分かるんだ!」
賢者は通信機で呼びかけ続けていたらしい。
龍退治のために戦力が補強出来ないのを危惧して、賢者が母上を記憶の世界に送った。
それは母上の修行のためでもあるという。
「クリス、お前…
何で女の子を泣かせているんだ?」
その時、俺は決闘で勝った後に色々誤解をさせてしまったことを説明しようとした。
しかし、泣き腫らした女の子の証言で、
全ては不利に回る時がある。
「決闘に勝った暁に私を奴隷にして、
好き勝手するって言ったのよ!」
ユリスが大粒の涙を瞳に溜めて証言した。
そしてガルムまでユリスを庇ってしまい、
火に油を注いでしまう。
「あ、アニキ…
おやびんの落とし前、俺がつけやすから…」
「ガルム…
お前、私のために…」
2人とも泣き出してしまい、圧倒的に俺が悪者の空気になっていく。
そしてその涙を見たクレアは、クリスへと顔を向けて睨み付ける。
「本当か?クリス…」
「違う、母上…
誤解だ!」
「浮気する者は、みんなそう言うんだよ」
以前に父上の浮気疑惑があった時、
母上はレガードの屋敷を壊しそうになったとリーナから聞いた。
浮気疑惑は、潔白で唯の誤解だったが、
それ以来は浮気に対して敏感になったと聞く。
「クリス、ここは記憶の世界なんだ。
きっと塵になっても蘇るだろう…」
何だか物騒なことを言い出した母上を、俺は止める手段を見出せず途方に暮れていた。
その時、通信機から賢者が口を開く。
俺はその指示に従い音量を最大にして、
通信機を母上の方向へ向けた。
「ばかものーーー!!!」
「し、師匠?」
その後、母上は賢者から詳しい事情を聞き、
俺は光の剣で塵にならずに済んだのだった…
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
一度ガルムの家に入り、一同は落ち着いて話し合うことになった。
そしてリルムは慌てながらお茶を用意しようとするが、体調を気遣ったガルムが止めている。
そして俺と母上、ユリス、ガルムと全員が椅子に座った。
その様子をリルムだけはベッドから見守る。
「誤解なら誤解って言いなさいよ!
勘違いしちゃったじゃない…」
頬を染めながら恥ずかしそうに言うユリス。
ガルムも頭を掻きながら謝っていた。
「クリス、私が今から言う内容を、
そのまま説明してやれ」
俺は通信機から聞こえる賢者の声に従って全員に説明することにした。
「という事で…
龍退治に行くのに手伝って欲しい」
「な、なんだって!」
この場にいる者は驚き目を見開いている。
賢者に会うために龍退治に行くが、
目の前にいるリルムの呪いを治す薬も、
龍の血から作れると言う。
「普通、薬って薬草から作るけど、
龍の血って凄いな…」
「お兄ちゃんは龍の血を、
絶対に手に入れるからな」
ガルムは、ようやく見つかった治癒方法に、
既に感極まっている。
そしてリルムを救うために、ユリスも決意を示した。
「私も必ず龍に勝ってみせるわ!
そしたら剣聖になってやるのよ!」
「おやびん、流石にその年齢で、
剣聖は無理っすよ…」
2人は笑っているが、母上は今頃になって重要な事実に気付き、俺だけに小声で話しかける。
「おい、まさか…
ユリスって、初代剣聖のユリスなのか?」
「そうだよ…」
母上は唖然としてユリスを見つめていた。
なんと言ってもレガード家において、
ユリスは伝説の存在だ。
父上の書斎にはユリスの刀や鎧などが、
コレクションのように沢山集められている。
「クリス、ゲイルのやつが知ったら、
泣きながら嫉妬するぞ…」
「そうですね…」
俺は苦笑いしながら父上の姿を想像した。
何しろ俺の名前、クリスは母上とユリスの名前を合わせて、クリスとしているのだ。
そして母上も知らない事実に俺は気づいてしまう。
「まさか、父上、
銀髪に赤目の母上を選んだのも…」
目の前のユリスと母上を見て、血のつながりのない2人だが特徴が似ているのに気付いた。
まさか記憶の世界で父上の好みに気付くとは思いもしない。
「まさかね…」
俺は心の中でそう思いながら、目の前にいる初代剣聖を見つめる。
「何よ、私の顔を見つめて…
まさか私に惚れたの?」
「そ、そんな訳ないだろ!」
「どうだか…」
ユリスは、ジト目で俺を見ている。
俺もじっくりと、ユリスの顔を見て、
綺麗な顔をしていることに気付く。
すると聖剣技は発動していないが、
マリアの魔力から釘を刺された気がした。
「ご、誤解だよ…」
俺は独り言でマリアへ返事をしてしまい、
その場に居たみんなから怪しまれたのだった…
ユリス・レガードを前にしている。
そしてその決闘に圧勝してしまい、気づけば俺は悪者になっていた。
「ア、アニキ…
酷いっすよ、許してやって…」
子分のガルムに同情されてしまうと、
更にユリスは心を痛めてしまう。
「わ、私を、好きにしたいなら…
好きにすればいいじゃない!」
俺はどうしたら良いのか分からない…
目の前の状況に途方に暮れていて、
賢者からの声が聞こえていなかった。
「クリス、お前…
一体何してるんだ?」
「母上!!」
俺は何故、母上が記憶の世界にいるのか分からない。
混乱していた頭が更にパンクしそうだ。
その時、通信機から聞こえる賢者の声にやっと気づいた。
「ちゃんと聞きなさい!クレアが来てると、
何度言ったら分かるんだ!」
賢者は通信機で呼びかけ続けていたらしい。
龍退治のために戦力が補強出来ないのを危惧して、賢者が母上を記憶の世界に送った。
それは母上の修行のためでもあるという。
「クリス、お前…
何で女の子を泣かせているんだ?」
その時、俺は決闘で勝った後に色々誤解をさせてしまったことを説明しようとした。
しかし、泣き腫らした女の子の証言で、
全ては不利に回る時がある。
「決闘に勝った暁に私を奴隷にして、
好き勝手するって言ったのよ!」
ユリスが大粒の涙を瞳に溜めて証言した。
そしてガルムまでユリスを庇ってしまい、
火に油を注いでしまう。
「あ、アニキ…
おやびんの落とし前、俺がつけやすから…」
「ガルム…
お前、私のために…」
2人とも泣き出してしまい、圧倒的に俺が悪者の空気になっていく。
そしてその涙を見たクレアは、クリスへと顔を向けて睨み付ける。
「本当か?クリス…」
「違う、母上…
誤解だ!」
「浮気する者は、みんなそう言うんだよ」
以前に父上の浮気疑惑があった時、
母上はレガードの屋敷を壊しそうになったとリーナから聞いた。
浮気疑惑は、潔白で唯の誤解だったが、
それ以来は浮気に対して敏感になったと聞く。
「クリス、ここは記憶の世界なんだ。
きっと塵になっても蘇るだろう…」
何だか物騒なことを言い出した母上を、俺は止める手段を見出せず途方に暮れていた。
その時、通信機から賢者が口を開く。
俺はその指示に従い音量を最大にして、
通信機を母上の方向へ向けた。
「ばかものーーー!!!」
「し、師匠?」
その後、母上は賢者から詳しい事情を聞き、
俺は光の剣で塵にならずに済んだのだった…
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
一度ガルムの家に入り、一同は落ち着いて話し合うことになった。
そしてリルムは慌てながらお茶を用意しようとするが、体調を気遣ったガルムが止めている。
そして俺と母上、ユリス、ガルムと全員が椅子に座った。
その様子をリルムだけはベッドから見守る。
「誤解なら誤解って言いなさいよ!
勘違いしちゃったじゃない…」
頬を染めながら恥ずかしそうに言うユリス。
ガルムも頭を掻きながら謝っていた。
「クリス、私が今から言う内容を、
そのまま説明してやれ」
俺は通信機から聞こえる賢者の声に従って全員に説明することにした。
「という事で…
龍退治に行くのに手伝って欲しい」
「な、なんだって!」
この場にいる者は驚き目を見開いている。
賢者に会うために龍退治に行くが、
目の前にいるリルムの呪いを治す薬も、
龍の血から作れると言う。
「普通、薬って薬草から作るけど、
龍の血って凄いな…」
「お兄ちゃんは龍の血を、
絶対に手に入れるからな」
ガルムは、ようやく見つかった治癒方法に、
既に感極まっている。
そしてリルムを救うために、ユリスも決意を示した。
「私も必ず龍に勝ってみせるわ!
そしたら剣聖になってやるのよ!」
「おやびん、流石にその年齢で、
剣聖は無理っすよ…」
2人は笑っているが、母上は今頃になって重要な事実に気付き、俺だけに小声で話しかける。
「おい、まさか…
ユリスって、初代剣聖のユリスなのか?」
「そうだよ…」
母上は唖然としてユリスを見つめていた。
なんと言ってもレガード家において、
ユリスは伝説の存在だ。
父上の書斎にはユリスの刀や鎧などが、
コレクションのように沢山集められている。
「クリス、ゲイルのやつが知ったら、
泣きながら嫉妬するぞ…」
「そうですね…」
俺は苦笑いしながら父上の姿を想像した。
何しろ俺の名前、クリスは母上とユリスの名前を合わせて、クリスとしているのだ。
そして母上も知らない事実に俺は気づいてしまう。
「まさか、父上、
銀髪に赤目の母上を選んだのも…」
目の前のユリスと母上を見て、血のつながりのない2人だが特徴が似ているのに気付いた。
まさか記憶の世界で父上の好みに気付くとは思いもしない。
「まさかね…」
俺は心の中でそう思いながら、目の前にいる初代剣聖を見つめる。
「何よ、私の顔を見つめて…
まさか私に惚れたの?」
「そ、そんな訳ないだろ!」
「どうだか…」
ユリスは、ジト目で俺を見ている。
俺もじっくりと、ユリスの顔を見て、
綺麗な顔をしていることに気付く。
すると聖剣技は発動していないが、
マリアの魔力から釘を刺された気がした。
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その場に居たみんなから怪しまれたのだった…
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