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このままずっと
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白井に頼まれて捜査を始めたものの、全く手がかりがつかめない。本人が大掛かりに動くなと言っている以上、無闇に聞き込みができない状態である。有力な情報はほとんど無く、捜索願を出すときにいた菅野とか言う若いのが話したものが最も有力かもしれない。
「山口さんまだ帰らないんですか。」
先程帰ったと思っていた後輩の坂下が入ってきた。
「ああ、もう少しだ。」
夏休みが明けても帰ってこなければ本腰を入れて探し出そうと思ったが、白井に渋られてしまった。だから未だに本格的な捜査は出来ていない。
「はい。」
机の上に缶コーヒーが置かれた。
「すまんな。」
それを手に取り、蓋をあけて一口飲む。
「例の白井さんの件ですか。」
坂下は自分の分の缶の蓋を開けて近くの椅子を持ってきて座った。この部屋にいるのは俺と坂下だけで、特に遠慮している様子もない。
「なかなか、掴めなくてな。」
あの捜索願が出されて以来、俺は事件に巻き込まれている線で7月以降に捕まった容疑者たちに情報を聞いたり、過去の誘拐事件について未解決のものを中心に調べたりしていた。それでも情報は集まらない。
「そうですか。白井さんとはどんな知り合いなんですか。」
確かに、あいつは地元では有名な名家で次回の県知事選に立候補するらしい。そんなやつと、この田舎でなんとか大学まで出して貰った俺とは住む世界が違う。
「まあ、小中高と同じだった腐れ縁みたいなもんだよ。」
「学生時代からあんな、秘密主義で体裁を気にする人だったんですか。」
「まあ今ほどじゃないがな。家が大きかった分、なんでも話せる友人はいなさそうだったし体裁はいつも気にしてたさ。
白井は高校の時、生徒会長をしていた。基本的にミスなんかやつだったし、顔も広く、責任感もあるので先生からも生徒からも期待されていた。だが、1度だけ会計の資料を失くしたことがあった。俺は同じクラスというだけで、生徒会長役員では無かったのに、白井は教師や生徒会じゃ無く、俺を頼った。別に頼れなかったわけではない。誰にも知らせずに2人で人がいない放課後になってから資料を探した。白井にどうして俺なんだと、聞いたらお前は言いふらす相手が居なさそうだからと、言っていた。その時は酷いやつだと思ったし、もう2度と手伝ってやるかとも思ったが、今なら分かる気がする。あいつは家の中でも外でも常に期待される立場に立っていた。その期待に応えるのが当たり前、応えられなければ失望される。そんな世界で生きてきたから、ああいうことを言ってしまうのだろう。実感は全く出来ないがな。」
口を挟まず、坂下は最後まで昔話を聞いていた。
「俺、金持ちの家に生まれなくて良かったです。」
「そうだな。」
白井は今も多分頼れる人がいない。奥さんにも先立たれ、娘は行方不明になっている状況だ。俺なら正気を保つのがやっとだろう。缶コーヒーを乾いた喉に流し込んだ。
「山口さんまだ帰らないんですか。」
先程帰ったと思っていた後輩の坂下が入ってきた。
「ああ、もう少しだ。」
夏休みが明けても帰ってこなければ本腰を入れて探し出そうと思ったが、白井に渋られてしまった。だから未だに本格的な捜査は出来ていない。
「はい。」
机の上に缶コーヒーが置かれた。
「すまんな。」
それを手に取り、蓋をあけて一口飲む。
「例の白井さんの件ですか。」
坂下は自分の分の缶の蓋を開けて近くの椅子を持ってきて座った。この部屋にいるのは俺と坂下だけで、特に遠慮している様子もない。
「なかなか、掴めなくてな。」
あの捜索願が出されて以来、俺は事件に巻き込まれている線で7月以降に捕まった容疑者たちに情報を聞いたり、過去の誘拐事件について未解決のものを中心に調べたりしていた。それでも情報は集まらない。
「そうですか。白井さんとはどんな知り合いなんですか。」
確かに、あいつは地元では有名な名家で次回の県知事選に立候補するらしい。そんなやつと、この田舎でなんとか大学まで出して貰った俺とは住む世界が違う。
「まあ、小中高と同じだった腐れ縁みたいなもんだよ。」
「学生時代からあんな、秘密主義で体裁を気にする人だったんですか。」
「まあ今ほどじゃないがな。家が大きかった分、なんでも話せる友人はいなさそうだったし体裁はいつも気にしてたさ。
白井は高校の時、生徒会長をしていた。基本的にミスなんかやつだったし、顔も広く、責任感もあるので先生からも生徒からも期待されていた。だが、1度だけ会計の資料を失くしたことがあった。俺は同じクラスというだけで、生徒会長役員では無かったのに、白井は教師や生徒会じゃ無く、俺を頼った。別に頼れなかったわけではない。誰にも知らせずに2人で人がいない放課後になってから資料を探した。白井にどうして俺なんだと、聞いたらお前は言いふらす相手が居なさそうだからと、言っていた。その時は酷いやつだと思ったし、もう2度と手伝ってやるかとも思ったが、今なら分かる気がする。あいつは家の中でも外でも常に期待される立場に立っていた。その期待に応えるのが当たり前、応えられなければ失望される。そんな世界で生きてきたから、ああいうことを言ってしまうのだろう。実感は全く出来ないがな。」
口を挟まず、坂下は最後まで昔話を聞いていた。
「俺、金持ちの家に生まれなくて良かったです。」
「そうだな。」
白井は今も多分頼れる人がいない。奥さんにも先立たれ、娘は行方不明になっている状況だ。俺なら正気を保つのがやっとだろう。缶コーヒーを乾いた喉に流し込んだ。
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