夢手紙

白川 朔

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金魚

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 校庭に楽しげな声が響く。昼休み、私はすることもなく窓の外を眺める。ボール遊びをしていたり、鬼ごっこをして遊んでいる子供たちもいる。この学校は小学校から高校までの一貫教育でグラウンドにいるほとんどの子は小学生らしかった。ちなみ私は高校3年生。そういう設定だ。
「何してんの。」
クラスの子が声をかけてきた。快活そうなその子は誰だかわからなかったけど、知ってる子なんだろう。
「なんとなく、子供は元気だなと思ってみてた。」
「おっさんみたい。」
その子は隣に来て、一緒に外を眺める。自分でも思うが、なかなか退屈な高校生活を送っている。
「ねぇ、あれなんだろ。」
グラウンドにいくつか赤くて丸いものが浮いているのが見えた。
「ボール、じゃない...ね。」
赤いものは柔らかいみたい。例えるならいくらを大きくしたみたいなもの。校庭で遊んでいる子たちも気づいているみたいで、つついたり投げたりしながら遊んでいるようだった。でも、なんだか様子が変だ。その丸くて柔らかいものは次第に形を変え、魚のような形に変形していった。硬そうなヒレを羽のようにして校庭の中を飛び回っている。
「なんなの、」
明らかに数が増えている。子供たちは遊び続けているが、その魚は増え続けている。
なぜかはわからない。気持ち悪いのに気になってしまう。

 教師たちが異常事態に気づいて赤い魚の退治を始める。素手や網で捕まえようとする。ここからみているとイワシの群れに人が飲まれているようにも見える。
 気持ち悪いが気づいてしまった。魚が増えるわけが。
「待って、その魚に触らないで。」
3階から叫んでいた。魚はスライムのように力をくわえて握ると分裂し、網で捕まえると網目から細かくなって出てきてしまう。その一つ一つのかけらがどういうわけか、プラナリアみたく再生していくのだ。声は校庭まで届いていない。
 夢中で叫んでいると周りにも魚が生まれていることに気づかなかった。小さなメダカサイズの魚が廊下を泳ぎ始めている。
理解できない現象に吐き気を覚える。
私は夢中になって近くの教室に駆け込んでドアを閉める。教室で楽しくお昼を食べている生徒たちの視線が集まった。喋り声が消えて空気が張り詰める。
 知らない顔ばかりだった。ここは2年生の教室だ。私の自教室はひとつ上の階であることを思い出した。
外に出たらあの魚に襲われるかもしれない。でも、この魚について知らせに行かなくてはいけない。怖い。その思いがぐちゃぐちゃになって教室を飛び出して、階段へ向かった。怖い、気持ち悪い。

「痛い、」
 
私は階段を踏み外していた。


そうして今日も目が覚めた。
「ああ、夢だったのか。」
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