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第二章 疑雲猜霧のファルザルク王国
閑話 茨の魔王 ③
しおりを挟むアレクシリスが、川端香澄の『管理者』になったのは本当に良かった。彼の本質は、国に忠誠を誓う公平な騎士である。そして、香澄に初っ端からかなり好意的だ。ちょっと心配なくらいに……。若いっていいな!
俺の場合は、何もかも最低最悪だった……。
『管理小屋』に良い思い出は全くない。最悪の記憶を上書きしたくて、『管理小屋』の再建に協力してきた。
『落ち人』の『管理者』は、第一発見者や発見場所に縁の深い人物で、魔法のある程度使える『竜騎士』がなる。該当者なしの場合は、任意に選ばれた竜騎士と魔術士の二人が『管理者』になる。
俺の『管理者』は、当時の竜騎士団の団長で、エルリチャード=リウス=エンディライムという名の、貴族出身の壮年の男だった。当時、副団長だったギルバート=ケインズは、現在はキプトの大使をしている。
エンディライム団長は、俺にろくな説明も自己紹介すらしなかった。最初は、言葉が通じない国にいるのかもしれないと思っていた。奴が魔法を使っても、トリックかもしれないとまだ疑っていた。
だが、奴が騎乗する巨大な竜を見たら納得するしかなかった。その竜が、目の前で美女になったのだから、もう認めざるを得なかった。
俺は、混乱しながら受け入れるしかなかった。異世界に転移したのだと……。
『管理者』の役目は、大きく三つあった。
『落ち人』を『管理小屋』に隔離する事。
『落ち人』の人格と能力を見極める事。
『落ち人』がファルザルク王国で生活出来るように教育する事。……だった。
しかし、エンディライム団長は、義務を最初から放棄した。俺を『管理小屋』に放置したのだ。
いや、俺にすれば、いきなり拉致監禁されたようなものだ。俺は、魔霧の森の『管理小屋』という孤立無援の場所で、最低限の食料すら与えられず、空腹で倒れる寸前まで、何度も繰り返し追い詰められた。相手の身分や自分の立場も分からないので、言葉が通じないなりに何度か抗議した。
その度に、俺は奴の容赦ない一方的な暴力で黙らされた。
俺が負った重篤な症状や傷跡の残りそうな怪我は、奴が治癒魔法で手当した。奴の魔法の治療は、まるで身体を内側から焼かれるような熱と激痛で、絶叫して気絶してしまった。
後で知ったが、かなり乱暴な治療だった。本来、治癒魔法はもっと穏やかに自己再生能力に働きかけるものだからだ。
だが、打ち身や骨折は、そのまま放置された。仕方なく、自分でも出来る限り手当てをした。いくら俺が医師でも、薬も道具も無い環境で、出来る事はほとんど無いに等しかった。
不十分な食事、最低限の衣類と日用品を気紛れに与えられる日々が続いていた。自由に使えたのは、水くらいだった。
深い森の中は、いつも濃霧に覆われていた。『管理小屋』の周囲だけが晴れているのは、結界でもあるからだろう。俺は、奴が留守の間に、この不思議な森の中に入って逃げだそうと、何度も挑戦した。
だが、森の境目に立つと、得体の知れない恐怖が沸き起こり、一歩も足を踏み入れることが出来なくなった。
もしも、あの時の俺が魔霧の森に入っていたら、さまよい続けて野垂れ死ぬか、運良く『隠れ家』に着いたとしても、そこから出られない日々を過ごしたかもしれない。まあ、後者ならまだ良かったが、これはたらればでしかない。
ある時から、奴は無理な課題を強要してきた。それは、『管理小屋』の修繕だったり、この世界の文字の書物をまだ読めないのに書き写させたり、荒れ放題の敷地の草刈りを道具なしでやらされたりした。空腹でぼんやりした頭と、力の入らない体での作業は、はかどるはずはなかった。
しかし、奴は期日までに出来ていなければ、拷問まがいの暴力をふるってきた。
俺はやがて一方的な暴力から逃れるために、下僕のように従順に振る舞うように努めた。すると、今度はわざと反抗心を煽るように、俺を肉体的、精神的に繰り返し追いつめてきたのだった……。
奴の目的は、いずれ王国の審判で、国益にならない不要で反抗的な危険人物とみなされ、俺が処分されるようにするためだったのだ。
多分、この回りくどい方法は、奴の竜騎士団長の地位に、キズを付ける事なく『落ち人』を処分するためだったのだろう。
彼は、没落貴族の嫡子だった。
彼の曾祖父の代に、エンディライム侯爵領地は繁栄を極めていた。豊かな穀倉地帯を持つ領地に、貿易の重要拠点の領都は王都よりも繁栄していた。
そして、当時の当主は侯爵領へ落ちてきた『落ち人』を保護していたそうだ。
悲劇は、突然訪れた。ある日、侯爵一族が社交で王都に出向いている時の事だった。侯爵家が保護していた『落ち人』の魔力暴発に巻き込まれて、領都は壊滅的な被害を受けた。『落ち人』の魔力暴発についての詳細は不明だ。のちに『エンディライムの悲劇』と呼ばれる人災で、三十万人の領民、侯爵家の経済基盤と優秀な人材が失われたのだ。
王国中央政府は、『落ち人』の魔力暴発を表沙汰にしたくなかった。『落ち人』の持つ知識は、国にとって魅力的なものだったし、魔力が多く魔術師の才能を持つ者は貴重だったからだ。
魔力暴発で、領都を崩壊させたのは『異世界転生者』だと、偽りの情報を公式に発表した。その為『異世界転生者』は、魔力暴発を起こすと、ファルザルク王国の庶民に広まったのだった。そして、エンディライム侯爵には、口止めも含めて、多額の見舞金が支払われた。
しかし、当時の領主に才覚が無かったのか、王国からの援助を活かしきれず、領地は経営破綻してしまった。
侯爵一族は、『落ち人』さえいなければ……と、恨みごとを子々孫々まで伝えていたようだ。だが、同情する気はない。これは、復讐なんかじゃない。ただの逆恨みだ。俺と『エンディライムの悲劇』は、関係ないのだから……。
竜族は、公平で清廉な生き物だ。
『契約竜』の女性……メイラビアが、俺への虐待行為に気が付いて、奴を諌めてくれた。
だが、奴は彼女の説得を無視した。奴は、本気で俺を殺したがっていたのだから当然だろう。
俺に同情した彼女は、何かと気にかけてくれた。『契約竜』の立場で『落ち人』の事に干渉する事は出来ない。俺に接触するのも、本来ならファルザルク王国との盟約に触れてしまうのだという。
それでも、メイラビアは食料を調達してくれたり、俺に言葉と文字や魔術の基本を教えてくた。奴に知られるのはマズイだろうに、傷の手当てをしたり、魔法に関する書物を大量に提供してくれた。
命の危機感が、俺を魔術に没頭させた。
魔術に関して、よく読んでいたラノベの内容が役にたった。この世界の魔法は、精霊の存在が大きい。
例えば、小さな魔法の場合は、空気の中の小さな精霊達が魔素を取り込んで起こす場合と、生物から魔力を受け取る場合がある。魔素は、生物が取り込むと、固有の特性を持って魔力に変化する。属性の近い魔力は、精霊にとってごちそうだ。小さな精霊全てに意思があるのか不明だが、魔力の適性は、どんな精霊に好まれるかと同義だという結果が、それを証明していると言えた。
大きな魔法を使う為には、上位精霊と契約する必要がある。複雑な魔法を成立させる為に、契約した精霊に魔力を提供して、的確な結果を示唆する必要がある。精霊に理解可能な言葉を紡ぎ、具体的なイメージと魔力量を提供すれば、更に確実な結果が得られる。
それを、一瞬で終わらせるのが魔方陣だった。魔方陣は、命令書とか依頼書のようなもなのだろう。
この世界は、魔術に関して、まだ検証しきれていない部分が多い。なにしろ、ほとんどの魔術師は精霊と契約する時でさえ姿も声を見聞きする事が出来ないのだ。しかも、精霊が勝手に契約してくる場合もある。それが、『精霊の祝福』だ。
俺は『竜騎士の契約』に、興味を持って調べた。不思議な事に、俺は契約や魔方陣が読み解けたのだ。水が出る魔石に刻まれた魔方陣の意味が、理解出来たのがキッカケだった。魔方陣のこの記号が意味する事、魔力の流れ、何を意味してどんな事象が発生するのかをスルスルと理解していった。
これは、異世界転移によるチートで『魔法を読み解く』能力らしかった。
そして、約一年後に奴の『契約竜』のメイラビアの『竜騎士の契約』を上書きして、俺は『竜騎士の契約』を奪った。それだけでも大変な事だが、更に俺はメイラビアの存在自体に様々な書き換えを意図せずしてしまった。
『竜騎士の契約』は『婚姻の誓約』は、とても良く似ている。俺は、メイラビアの『契約者』になったが、『つがいの夫』にもなってしまった。
奴は『竜騎士』ではなくなった。奴の怒りは、凄まじかった。俺を殺そうと魔法で攻撃してきたので、俺も魔法で反撃した。粗末な『管理小屋』は、その時全壊してしまった。
そして、奴は俺が作った『録画の魔道具』で真実が明らかになって失脚した。エルリチャード=リウス=エンディライムは、竜騎士団長の任を解かれたのたった。
その後、エンディライム元団長は謹慎中にもかかわらず失踪した。数日後に、廃都市の湖に彼と思われる遺体が発見されたという。
彼がどんな人生を送ってきて、ここまで俺を……『落ち人』を憎む事になったのか、真実を知るすべはない。直接、彼の気持ちを確かめる事は出来なかったからだ。
この事件は、メイラビアの心を大きく傷つけただろう。彼女は、この件で俺を一度も責めた事がない。
それが、逆に俺は辛かった。言い訳が許されるならば、……俺はただ生きのびたかっただけだ。
だが、無理矢理な契約の上書きの影響で、メイラビアは竜体になれなくなってしまった。メイラビアは、相棒の暴挙を止められなかった罰だと言ってあっさり許してくれた。
しかし、それは彼女が優しく強いからであって、他の竜族は、俺の所業に怒り狂った。竜族にとって、竜体になって大空を自由に飛ぶ能力は、もう一つの命のカタチだったからだ。
竜族は、他種族と婚姻を交わし、更に共に生きたと願うならば、寿命を分け合う結婚の誓約を交わす。俺が竜騎士の契約に干渉して、より拘束力の強い結婚の誓約を上書きしたのだから、誓約上は俺とメイラビアは夫婦になってしまった。
しかし、術の上書きの作用が影響したのか、二人の間にあるべき拘束力は働かなかった。寿命に影響もなく、精神的にも夫婦とはほど遠い関係だ……。
メイラビアに、俺はプロポーズを何度も却下されている。しかも、即座に却下だ!
俺が責任と義務感から、メイラビアにプロポーズしていると、彼女に見抜かれているからろう……。
いや、一番はどうする事も出来ない罪悪感のためだ。お互いに、拗れきったこの関係を、どうする事も出来ずにいる。
俺は、メイラビアを自分から解放すべきだと思っている。国家魔導師にまでになった自分が『竜騎士』であり続ける必要はもうない。
しかし、まだ確実に、術式を組める自信がないのも事実だ。
竜族は、精霊に近い種族だ。魔術の影響に敏感で、様々な術式で存在で身体を構築している特殊な生物だった。
俺は、ファルザルク王国に魔術師として受け入れられた。
他にも、戦闘力として十分な力量がありながら、騎士団には所属しない竜騎士はいる。『竜騎士』でありながら、外交や裏方に徹していた者は、文官や近衞騎士所属だったりする。
アレクサンドリア女王陛下は、実力主義だ。そして、魔術師の世界も実力主義だ。俺は『落ち人』から、ファルザルク王国の貴重な竜騎士の『契約者』に格上げされた。
俺は、『魔術師団の竜騎士』である。
『落ち人』の俺が魔術師団に受け入れられたのは、当代の筆頭に気にいられたからだ。『聖なる茨の精霊の祝福』が勿論大きく影響している。
俺は、チートな魔術『魔法を読み解く』能力を持っているらしい。ゲームのようにステータス画面の様な物があればいいが、そこまでご都合主義では無かったようだ。
この世界の魔術を、ラノベやゲームの知識が役に立って、飛躍的に進歩させる! ……なんて、無双は出来なかったが、着眼点の違いから幾らか貢献することができた。
実は、あまり声高に言えないが、やり過ぎてしまう事も多々ある。メイラビアに、その度に長々と説教されている。
『茨の塔』は、魔術師ギルドと派生組織の魔術師団が混在した組織だ。明確に所属を分けないで、必要に応じて魔術師団に人員を派遣する方式が取られている。
ファルザルク城は、数多くの魔術が張り巡らされた場所だ。結界だけでなく、城の基礎から建造物の屋根の端々に至るまで、複雑な魔術が絡み合っている。
もしも、ファルザルク城の魔術が破綻すると、この大陸全土に少なくない被害を及ぼすほどなのだ。
魔術師ギルドの保護と魔術師団の利用。報酬と提供義務。安定した雇用に潤沢な資金。ファルザルク王国は、上手く変人研究馬鹿の魔術師達を制御している。
ただ、俺が魔術師の頂点に立ってしまう羽目になるとは思わなかったが……。
和かな笑顔の仮面の下、本心では『落ち人』を蔑みながら、『茨の塔』の最高責任者になった俺に、擦り寄ってくる貴族は多い。中には、犯罪紛いの悪事に巻き込もうとする貴族もいた。俺は、基本的にこのチートな『精霊の祝福』と魔術で返討ちにしている。
アレキサンドリア陛下は、ゴージャスな美女の着ぐるみを着た狡猾で残酷な政治屋だ。いや、為政者なんてどんな世界でも、多かれ少なかれこんなもんか……。
俺を囮にして見張っていれば、不穏分子が炙り出せると女王陛下は笑っていた。散々俺をエサにして、悪党達を処分したり、弱味を握ったりと、裏工作が物凄過ぎて引いた。俺は、悪党ホイホイかよ……。
まあ、俺は常時『精霊の祝福』に守られているので、攻撃されたら魔術で反撃すればいいだけだ。小悪党な貴族はもちろん、屈強な騎士や竜族ですら問題じゃなかった。
ファルザルクの貴族が、影で俺をこう呼んでいるそうだ。
『茨の魔王』と……。
神を信仰していない世界なのに、魔王はいるのだなと笑ってしまった。
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