運命力ゼロの悪役令嬢

黒米

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第1部 ■■■■■■■ 第1章 運命の象徴

第3話 運命力の証明

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王都ルミナスの広場に設置された掲示板には朝から様々なニュースが貼られている。
もうすぐ昼食で混雑する時間。何か買おうと店に行こうとしていた人々が足を止め、掲示板に目を引くようにでかでかと貼られた速報に目を向ける。

「速報:クラリス・ヴェルディア嬢、運命力94を記録」
「王立ルミナス学院、特待枠を検討か」
「王子2人に並ぶ運命力、王子との婚約の噂も」

ざわめきが広がる。

「94って…王族以外だと一番高いんじゃないか?」
「ヴェルディア家って、そんなにすごかったっけ?」
「王子の婚約者候補って噂よ」

通りの高級サロンでは、貴族の令嬢たちが集まっていた。
「クラリス様って、銀髪に赤い瞳のお方よね。まるで物語の主人公みたいだわ」
「私もいい結果が出ないかしら」
「でも低かったら…」

そこにすっとやってきた美容師の青年がやや特徴のある喋り方で口をはさむ。
「いいじゃないの。あんたたち若いんだから、これからじゃないの」
なんか場が和んだ。

王都の南区では、職人たちが作業の手を止めて掲示板を見ていた。
「運命力って、そんなにすごいもんなのか?」
「高ければにいい暮らしができるんだとよ」
「俺らには関係ない話さ、さぁ仕事仕事」
足早に仕事場に戻る職人たちの中に、ふと足をとめた鍛冶師の老人は、振り返り掲示板を眺めながら呟く。
「くだらねえ」

一方、通信局では、報道官が次々と速報を打ち出していた。
「王族の反応は?」
「特待枠での入学は確定したか?」
「ヴェルディア家からはまだないですが、近いうちに何かコメントを頂けるかと」

こうしてざわめきは、もう王都から王国中に瞬く間に広がっていくことを横目に、
クラリスたちは足早に帰路についていたのであった。

*

ヴェルディア邸の門が開かれると、待ち構えていた使用人たちが一斉に頭を下げた。
馬車がゆっくりと敷石を進み、玄関前で止まる。
クラリスが降り立つと、邸内から拍手が起こった。

「お帰りなさいませ、クラリス様!」
「速報、拝見しました!94とは…本当にお見事です!」

母と妹は玄関で待っていた。
母リヴィアは微笑みながら、クラリスの髪をそっと撫でた。
「お疲れさま。きっと疲れたでしょう。少し休んでから、皆でお祝いしましょうね」
妹セレナは、少し離れた場所からクラリスを見つめていた。
「姉様、すごい…本当にすごいわ」
その声は明るかったが、瞳の奥には何かが揺れていた。

邸内の食堂には、すでに祝宴の準備が整っていた。
銀の食器、薔薇の花束、そして中央には「クラリスおめでとう」と書かれた飾り布。
クラリスは席に着きながら、懐中時計の蓋をそっと開いた。

「王族からの招待状が届くのも時間の問題だな」
父がワインを注ぎながら言う。

「学院の特待枠も確定するだろう。王太子との婚約も、現実味を帯びてきた」
クラリスは微笑み、家族との時間を楽しく過ごすのであった。

突然、玄関のベルが鳴った。
使用人が慌ただしく応対に向かい、数分後、邸内に緊張が走る。

「クラリス様。王宮より、直筆の手紙が届いております」

銀の封蝋が押された厚紙の封筒。
王族の紋章が、光を受けて微かに輝いていた。

父ヴァルターが封を開け、内容を確認する。
その目が、わずかに見開かれた。
「国王陛下より。学院特待生枠への推薦と、王族主催の晩餐会への招待、あとは第一王子からの手紙だ」

母リヴィアは手を口元に当てた。
「まあ…こんなに早く…」

セレナは何も言わず、クラリスの横顔を見つめていた。
その瞳には、言葉にならない感情が揺れていた。

クラリスは手紙を受け取り、封を開ける。
中には、丁寧な筆致でこう記されていた。

”クラリス・ヴェルディア嬢
君の運命力は、王国にとって希望の証だ。
君と会えるのをとても楽しみにしている。
レオニス・グランフェルド”

クラリスは手紙を見つめたまま、何も言わなかった。
とても信じられなかったが、これが運命力によるものだと実感した。

*

次の日はクラリスに関するニュースで持ちきりだった。
彼女の運命力と王族との婚約、学院の特待生枠への推薦。
聞いたものは皆、驚いていたが、同時に皆同じようなことを感じていた。

彼女こそ、その証拠だと。

そして運命力は証明されたと実感するのであった。
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