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すんごい、おっぱいは世界を救う(?)編
第58話 凱旋とすんごい報告書
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グライフェン砦から王都ソリスティアへの帰路。
私たちの乗る馬車の中は、勝利の達成感と、それ以上に、とてつもなく奇妙な空気で満ちていた。
最後の『神の枷』を、ついに手に入れた。世界の危機は去った。
しかし、私たちの足元では、元・魔王であった赤ん坊が、ヘクサーナにあやされながら、すやすやと眠っている。
「……で、陛下になんて報告するんだ?」
ダインさんが深刻な顔でユウキ様に尋ねた。
「俺に聞くなよぉ」
ユウキ様は羊皮紙を前に頭を抱えている。
「『魔王を討伐。備考:現在は赤ん坊』……? そんな報告書、書けるか! 偽証罪で斬首刑にされそう……」
「論理的に、ありのままを報告するしかありません」
シルヴィアさんの正論が、今は、あまりにも非情に聞こえる。
私が腕の中の赤ん坊――私たちが、仮に『ノア』と名付けた子の寝顔を見つめていると、彼は、ふにゃり、と笑った。
その無垢な笑顔を見ていると、世界の命運を懸けた戦いのことなど、全てが遠い昔のことのように思えた。
王都に到着すると、私たちの帰還を待ちわびていた民衆による、歴史上、最大級の歓迎が待っていた。
魔王が討ち滅ぼされたというニュースは、すでに国中に知れ渡っていたのだ。
私たちは紙吹雪の舞う中を、英雄として王城へと凱旋した。
そして、すぐに、国王陛下と、王国の重鎮たちが待つ、謁見の間へと通された。
「面を上げよ、英雄たち!」
陛下の喜びと興奮に満ちた声が響き渡る。
「よくぞ、魔王を打ち破り、世界を救ってくれた! そなたたちの功績は永遠に語り継がれるだろう!」
謁見の間が割れんばかりの拍手に包まれる。
「して、勇者ユウキよ!」
陛下が、身を乗り出す。
「証として、魔王の首は、どこにある!」
しん、と、謁見の間が静まり返った。
一番、聞かれたくない質問だった。
ユウキ様の額から、滝のような汗が流れる。
「そ、それが、陛下……。首は……その、ない、と申しますか……」
「……どういうことだ?」
陛下の眉が、ひそめられる。
ユウキ様は、もう、どうにでもなれと、やけくそになったように叫んだ。
「魔王は確かに、我々が倒しました! しかし、その……生まれ変わった、と申しますか……赤ん坊に……」
彼の、しどろもどろの説明に、大臣たちが、ざわつき始める。
私は、もう、見ていられなかった。
そして、覚悟を決めて、一歩、前に出た。
腕の中の、ノアを皆に見せるように抱き上げて。
その時だった。
大勢の人々に囲まれた緊張からか、ノアが、ふえっ、と、泣き出しそうになってしまった。
私は、あやすように、その小さな背中を優しく、トントン、と叩いてあげる。
ぽすん。
私の胸が、ノアの背中に、柔らかく、触れた。
――奇跡は最後の最後まで、やっぱり、すんごいおっぱいから、生まれた。
ノアは泣き出す代わりに、けふっ、と、小さなげっぷをした。
その、可愛らしいげっぷと共に。
赤ん坊の体から、純粋で、清らかで、そして、とてつもなく強大な聖なる波動が、謁見の間、全体に広がったのだ。
その波動に触れた者は、誰もが、理屈ではなく、魂で理解した。
目の前の赤ん坊が、かつて、世界を無に還そうとした邪悪な存在の生まれ変わった姿であることを。
そして、その魂が、聖女の奇跡によって、完全に浄化された、聖人そのものであることを。
長い、長い、沈黙の後。
国王陛下が、その瞳に涙を浮かべ、静かに言った。
「……そうか。理解した。魔王は滅びたのではない。聖女様の奇跡によって、『救われた』のだな」
ユウキ様が、その場に、へたり込んだ。
「……赤ん坊のげっぷ一つで、国家のトップを納得させちまうのかよ……。スキル名、『聖なるプレゼンテーション(ホーリー・プレゼンテーション)』……」
こうして、世界の危機は公式に終わりを告げた。
そして、私には、「王国の聖女」に加えて、「聖母」という、新たな称号が、非公式に与えられてしまったのだった。
私たちの乗る馬車の中は、勝利の達成感と、それ以上に、とてつもなく奇妙な空気で満ちていた。
最後の『神の枷』を、ついに手に入れた。世界の危機は去った。
しかし、私たちの足元では、元・魔王であった赤ん坊が、ヘクサーナにあやされながら、すやすやと眠っている。
「……で、陛下になんて報告するんだ?」
ダインさんが深刻な顔でユウキ様に尋ねた。
「俺に聞くなよぉ」
ユウキ様は羊皮紙を前に頭を抱えている。
「『魔王を討伐。備考:現在は赤ん坊』……? そんな報告書、書けるか! 偽証罪で斬首刑にされそう……」
「論理的に、ありのままを報告するしかありません」
シルヴィアさんの正論が、今は、あまりにも非情に聞こえる。
私が腕の中の赤ん坊――私たちが、仮に『ノア』と名付けた子の寝顔を見つめていると、彼は、ふにゃり、と笑った。
その無垢な笑顔を見ていると、世界の命運を懸けた戦いのことなど、全てが遠い昔のことのように思えた。
王都に到着すると、私たちの帰還を待ちわびていた民衆による、歴史上、最大級の歓迎が待っていた。
魔王が討ち滅ぼされたというニュースは、すでに国中に知れ渡っていたのだ。
私たちは紙吹雪の舞う中を、英雄として王城へと凱旋した。
そして、すぐに、国王陛下と、王国の重鎮たちが待つ、謁見の間へと通された。
「面を上げよ、英雄たち!」
陛下の喜びと興奮に満ちた声が響き渡る。
「よくぞ、魔王を打ち破り、世界を救ってくれた! そなたたちの功績は永遠に語り継がれるだろう!」
謁見の間が割れんばかりの拍手に包まれる。
「して、勇者ユウキよ!」
陛下が、身を乗り出す。
「証として、魔王の首は、どこにある!」
しん、と、謁見の間が静まり返った。
一番、聞かれたくない質問だった。
ユウキ様の額から、滝のような汗が流れる。
「そ、それが、陛下……。首は……その、ない、と申しますか……」
「……どういうことだ?」
陛下の眉が、ひそめられる。
ユウキ様は、もう、どうにでもなれと、やけくそになったように叫んだ。
「魔王は確かに、我々が倒しました! しかし、その……生まれ変わった、と申しますか……赤ん坊に……」
彼の、しどろもどろの説明に、大臣たちが、ざわつき始める。
私は、もう、見ていられなかった。
そして、覚悟を決めて、一歩、前に出た。
腕の中の、ノアを皆に見せるように抱き上げて。
その時だった。
大勢の人々に囲まれた緊張からか、ノアが、ふえっ、と、泣き出しそうになってしまった。
私は、あやすように、その小さな背中を優しく、トントン、と叩いてあげる。
ぽすん。
私の胸が、ノアの背中に、柔らかく、触れた。
――奇跡は最後の最後まで、やっぱり、すんごいおっぱいから、生まれた。
ノアは泣き出す代わりに、けふっ、と、小さなげっぷをした。
その、可愛らしいげっぷと共に。
赤ん坊の体から、純粋で、清らかで、そして、とてつもなく強大な聖なる波動が、謁見の間、全体に広がったのだ。
その波動に触れた者は、誰もが、理屈ではなく、魂で理解した。
目の前の赤ん坊が、かつて、世界を無に還そうとした邪悪な存在の生まれ変わった姿であることを。
そして、その魂が、聖女の奇跡によって、完全に浄化された、聖人そのものであることを。
長い、長い、沈黙の後。
国王陛下が、その瞳に涙を浮かべ、静かに言った。
「……そうか。理解した。魔王は滅びたのではない。聖女様の奇跡によって、『救われた』のだな」
ユウキ様が、その場に、へたり込んだ。
「……赤ん坊のげっぷ一つで、国家のトップを納得させちまうのかよ……。スキル名、『聖なるプレゼンテーション(ホーリー・プレゼンテーション)』……」
こうして、世界の危機は公式に終わりを告げた。
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