60 / 65
すんごい、おっぱいは世界を救う(?)編
第60話 至宝とすんごい共鳴
しおりを挟む
魔王が討たれ、世界に平和が戻った。
王都ソリスティアは祝賀ムードに包まれ、人々は英雄たちの名を呼び、未来への希望を歌っていた。
私たちも、城に与えられた部屋で、ノアとヘクサーナと共に、家族のように穏やかな、夢のような日々を過ごしていた。
この平和が、ずっと続けばいい。誰もが、そう信じていた。
数日後。
私たちは国王陛下の名において、王城の最深部にある、王家の宝物庫へと招集された。
三つ全ての『神の枷』を、正式に、この宝物庫へと奉納する、最後の儀式のためだった。
「これにて、混沌神復活の脅威は永遠に断たれた。全て、勇者殿、そして聖女ルルナ様、あなた方のおかげだ」
国王陛下が満足げに頷く。
宝物庫の中央には、この日のために用意された、一つの巨大な黒曜石の祭壇が鎮座していた。その上には、三つの窪みが用意されている。
王宮魔術師長が、厳かに一歩前に出た。
「陛下。かつて、古代の神々が恐怖のあまり三つに分けて世界に封じたという『神の枷』。今、我らが王国の力と、英雄たちの活躍により、一つ所に集まりました。これを我らが編み出した『絶対封印結界』にて、まとめて永久に封じ、我が国の栄光を万世に示す儀式を、これより執り行います」
その、あまりに自信に満ちた言葉に、シルヴィアさんが静かに眉をひそめた。
「お待ちください、魔術師長。それらは、危険すぎるために三つに分けられたはず。それを一つの場所に集めるのは、あまりに危険ではありませんか?」
魔術師長は、シルヴィアさんの懸念を鼻で笑った。
「エルフ殿のご心配はもっとも。しかし、それは古代の未熟な魔法しか持ちえなかった者たちの話。我々王家の魔術の粋を集めたこの結界の前では、神の遺物とて、ただの石くれも同然です」
その過信が最後の引き金だった。
魔術師たちが、三つの『神の枷』を、厳かに祭壇へと運んでいく。
《嘆きの神の枷》である、サファイアの腕輪。
《憤怒の神の枷》である、ルビーの篭手。
そして、《沈黙の神の枷》である、黒い鉄の首輪が、黒曜石の祭壇の上に並べられた。
三つが、揃ってしまった。
魔術師長が杖を高く掲げ、封印の詠唱を始めようとした、その瞬間だった。
――ゴオオオオオオッ!
地鳴りのような、低い唸り声。
三つの『神の枷』が、まるで互いを求め合うかのように、禍々しい混沌の光を放ち、共鳴を始めたのだ。
「いかん! 枷が共鳴を始めた! 馬鹿な、我らの魔力制御を上回るだと!?」
魔術師長が絶叫する。
凄まじい衝撃波が宝物庫全体を揺るがす。私たちは、なすすべもなく、その場から吹き飛ばされた。
三つの『神の枷』は、ゆっくりと宙に浮かび上がると、まるで熱された飴のように、どろり、と溶けて、一つになろうとしていた。
それは、混沌神の、不完全な、しかし、確実な復活の兆しだった。
「……最後の最後で、とんでもねえのが出てきやがったな!」
ユウキ様が悪態をつきながら立ち上がる。
ダインさんとシルヴィアさんも、私をかばうように、その前に立ちはだかった。
しかし、一つになった混沌の塊は、私たちを攻撃しようとはしなかった。
それは、自らの器となる、最も優れた魂を探しているかのようだった。
やがて、その混沌の塊は、三つの、色の違う、光の奔流へと分かれた。
嘆きの青。憤怒の赤。沈黙の黒。
三つの光は、まるで獲物を見つけた蛇のように、凄まじい速度で私たちに襲いかかってきた。
青い光は、シルヴィアさんの体を。
赤い光は、ダインさんの体を。
そして、黒い光は、ユウキ様の体を。
寸分の狂いもなく、正確に貫いた。
「「「ぐああああああっ!」」」
三人の悲痛な絶叫が、宝物庫に響き渡る。
私は、ただ、目の前で、大切な仲間たちが禍々しい光に包まれ、その身をよじらせるのを見ていることしかできなかった。
私の、本当の、最後の戦いの相手は。
魔王では、なかった。
他ならぬ、私の愛する仲間たちだったのだ。
王都ソリスティアは祝賀ムードに包まれ、人々は英雄たちの名を呼び、未来への希望を歌っていた。
私たちも、城に与えられた部屋で、ノアとヘクサーナと共に、家族のように穏やかな、夢のような日々を過ごしていた。
この平和が、ずっと続けばいい。誰もが、そう信じていた。
数日後。
私たちは国王陛下の名において、王城の最深部にある、王家の宝物庫へと招集された。
三つ全ての『神の枷』を、正式に、この宝物庫へと奉納する、最後の儀式のためだった。
「これにて、混沌神復活の脅威は永遠に断たれた。全て、勇者殿、そして聖女ルルナ様、あなた方のおかげだ」
国王陛下が満足げに頷く。
宝物庫の中央には、この日のために用意された、一つの巨大な黒曜石の祭壇が鎮座していた。その上には、三つの窪みが用意されている。
王宮魔術師長が、厳かに一歩前に出た。
「陛下。かつて、古代の神々が恐怖のあまり三つに分けて世界に封じたという『神の枷』。今、我らが王国の力と、英雄たちの活躍により、一つ所に集まりました。これを我らが編み出した『絶対封印結界』にて、まとめて永久に封じ、我が国の栄光を万世に示す儀式を、これより執り行います」
その、あまりに自信に満ちた言葉に、シルヴィアさんが静かに眉をひそめた。
「お待ちください、魔術師長。それらは、危険すぎるために三つに分けられたはず。それを一つの場所に集めるのは、あまりに危険ではありませんか?」
魔術師長は、シルヴィアさんの懸念を鼻で笑った。
「エルフ殿のご心配はもっとも。しかし、それは古代の未熟な魔法しか持ちえなかった者たちの話。我々王家の魔術の粋を集めたこの結界の前では、神の遺物とて、ただの石くれも同然です」
その過信が最後の引き金だった。
魔術師たちが、三つの『神の枷』を、厳かに祭壇へと運んでいく。
《嘆きの神の枷》である、サファイアの腕輪。
《憤怒の神の枷》である、ルビーの篭手。
そして、《沈黙の神の枷》である、黒い鉄の首輪が、黒曜石の祭壇の上に並べられた。
三つが、揃ってしまった。
魔術師長が杖を高く掲げ、封印の詠唱を始めようとした、その瞬間だった。
――ゴオオオオオオッ!
地鳴りのような、低い唸り声。
三つの『神の枷』が、まるで互いを求め合うかのように、禍々しい混沌の光を放ち、共鳴を始めたのだ。
「いかん! 枷が共鳴を始めた! 馬鹿な、我らの魔力制御を上回るだと!?」
魔術師長が絶叫する。
凄まじい衝撃波が宝物庫全体を揺るがす。私たちは、なすすべもなく、その場から吹き飛ばされた。
三つの『神の枷』は、ゆっくりと宙に浮かび上がると、まるで熱された飴のように、どろり、と溶けて、一つになろうとしていた。
それは、混沌神の、不完全な、しかし、確実な復活の兆しだった。
「……最後の最後で、とんでもねえのが出てきやがったな!」
ユウキ様が悪態をつきながら立ち上がる。
ダインさんとシルヴィアさんも、私をかばうように、その前に立ちはだかった。
しかし、一つになった混沌の塊は、私たちを攻撃しようとはしなかった。
それは、自らの器となる、最も優れた魂を探しているかのようだった。
やがて、その混沌の塊は、三つの、色の違う、光の奔流へと分かれた。
嘆きの青。憤怒の赤。沈黙の黒。
三つの光は、まるで獲物を見つけた蛇のように、凄まじい速度で私たちに襲いかかってきた。
青い光は、シルヴィアさんの体を。
赤い光は、ダインさんの体を。
そして、黒い光は、ユウキ様の体を。
寸分の狂いもなく、正確に貫いた。
「「「ぐああああああっ!」」」
三人の悲痛な絶叫が、宝物庫に響き渡る。
私は、ただ、目の前で、大切な仲間たちが禍々しい光に包まれ、その身をよじらせるのを見ていることしかできなかった。
私の、本当の、最後の戦いの相手は。
魔王では、なかった。
他ならぬ、私の愛する仲間たちだったのだ。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】男装して会いに行ったら婚約破棄されていたので、近衛として地味に復讐したいと思います。
銀杏鹿
恋愛
次期皇后のアイリスは、婚約者である王に会うついでに驚かせようと、男に変装し近衛として近づく。
しかし、王が自分以外の者と結婚しようとしていると知り、怒りに震えた彼女は、男装を解かないまま、復讐しようと考える。
しかし、男装が完璧過ぎたのか、王の意中の相手やら、王弟殿下やら、その従者に目をつけられてしまい……
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』
放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。
「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」
身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。
冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。
「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」
得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。
これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる