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すんごい、おっぱいは世界を救う(?)編
第65話 日常とすんごい大団円
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あれから、一年が過ぎた。
世界は穏やかな平和を取り戻していた。
聖人ノアとして生まれ変わった元・魔王は、彼を献身的に支える元・魔女ヘクサーナと共に、魔大陸へと帰還した。二人は、人間と魔族との、新たな共存と融和の道を、粘り強く、切り拓いているという。
三つの『神の枷』が消滅したことで、混沌神復活の脅威は、永遠に去った。
そして、私たち勇者パーティは、といえば。
王城に部屋を与えられ、英雄としての名誉を賜りながらも、相も変わらず、四人で一緒に、人々のための、ささやかな依頼をこなす、そんな日常を送っていた。
先日、私は仲間たちに付き添ってもらって、一度だけ、故郷であるクライネルト領へと帰った。父は涙ながらに、私を「最高の誇りだ」と、抱きしめてくれた。もう、私の心に過去のしがらみは、なかった。
そんな、ある晴れた秋の日。
私たちは王都の近くにある、小さな村の収穫祭の手伝いという依頼を受けていた。
「聖女様が、我らの祭りに!」
村人たちは、大喜びで、私たちを迎えてくれた。
ダインさんは村の男たちと丸太運び競争で汗を流し、シルヴィアさんは祭りの起源について村の古老と熱心に議論を交わしている。ユウキ様は子供たちにせがまれ、射的の景品を全て取り尽くして得意げだ。
私は村の女性たちに混じって、収穫祭の目玉である、特大の祝祭ケーキを作る、お手伝いをしていた。
しかし、その年の小麦は、少しだけ、出来が悪かったらしい。
「だめだ……。どうも、生地の膨らみが足りないねえ」
村のパン焼き名人が、唸る。「これじゃあ、石みたいに硬いケーキになっちまう……!」
その言葉に、村の女性たちの顔に、がっかりとした色が浮かぶ。
(せっかくの、お祭りなのに……。みんなが笑顔になれるような、美味しいケーキを食べさせてあげたい)
私が、強く、そう願った、その時だった。
「よいしょっと!」
私が渾身の力を込めて、その巨大なパン生地を、こね上げた、瞬間。
ぽすん。
私の胸が、その、柔らかく、大きなパン生地の塊に、深く、優しく、埋まった。
――その奇跡は、これまでで、最も甘くて、温かい奇跡だった。
私の胸が触れた、その一点から。
パン生地が、まるで命を吹き込まれたかのように、温かい、黄金の光を放ち始めたのだ。
そして、信じられないほどの速度で、むくむくと膨らみ始める。
あっという間に、こね鉢から溢れ出し、テーブルの上を、ふわふわの雲のような完璧な生地が埋め尽くした。
そして、その生地からは、天上の果樹園と、焼きたてのパンが混じり合ったような、嗅いだだけで誰もが幸せな気持ちになる、芳醇な香りが立ち上っていた。
その日、収穫祭で振る舞われた祝祭ケーキは、伝説になった。
そのケーキを、一口でも食べた者は、老いも若きも、男も女も、誰もが、心の底から、幸福な気持ちに包まれたという。
夕暮れ。
私たちが村を見下ろす丘の上で、その『奇跡のケーキ』を食べている、その時だった。
どこからともなく、朗々とした声が、村中に響き渡った。
王家の紋章をまとった伝令が、高らかに、一枚の羊皮紙を読み上げていた。
「国王陛下より、布告である! 聖女ルルナ様の、その比類なき御力――【すんごい、おっぱい】が起こした数々の奇跡は、後世の人々が、決して忘れることのないよう、王国の正史に詳細に記述し、広く伝えていくことを、ここに宣言する!」
その言葉に、ユウキ様が目を輝かせて、身を乗り出した。
「ほらみろ、ルルナ! やっぱり、お前のおっぱいは、世界を救ったんだ! その可能性は無限大だな! 今後も、どんな奇跡を起こしてくれるか、本当に楽しみだぜ!」
シルヴィアさんも、いつになく興奮した様子で、眼鏡をクイッと上げた。
「ええ、ルルナ。あなたのその……特異点は、単なる物理的な現象に留まりません。精神に、魂に、そして、世界の理そのものに、深く影響を与える、まさに聖なる力と言えるでしょう! 今後、学術的な見地からも、徹底的に研究していく必要がありそうです!」
二人が熱っぽく、私のおっぱいの可能性について語り合うのを、隣で見ていたダインさんは。
「ガハハハハ! まったく、しょうがねえ連中だな! まあ、ルルナの、その……なんだ、すげえのは、間違いねえけどよ! 俺も、何度か助けられたからな!」
と、豪快に笑い飛ばした。
突然、公の場で、自分の一番の秘密について、大真面目に語り出す仲間たちを前に、私は顔を真っ赤にして、おろおろと、視線を彷徨わせるしかなかった。
「あ、あの……皆さん、そんな大きな声で……」
それでも、その表情には、困惑の色と共に、ほんの少しの照れ臭さと、そして、何よりも、仲間たちへの温かい愛情が、滲み出ていた。
私は空に浮かぶ、一番星を見上げると、世界で一番、幸せな味のするケーキを、大きく、一口、頬張った。
私のスキルは相変わらずで、私の意志とは関係なく、突拍子もない奇跡を起こす。
恥ずかしいし、大変なことも、きっと、これからも、たくさんあるだろう。
でも。
この力があったから、私は、このかけがえのない仲間たちと、出会えた。
この、温かい日常を、手に入れることができた。
問題は多いけど。
やっぱり、私のスキルは、こうでなくっちゃ!
『スキル名、【すんごい、おっぱい】なんだけど、これってどうなの!?』
―― 完 ――
世界は穏やかな平和を取り戻していた。
聖人ノアとして生まれ変わった元・魔王は、彼を献身的に支える元・魔女ヘクサーナと共に、魔大陸へと帰還した。二人は、人間と魔族との、新たな共存と融和の道を、粘り強く、切り拓いているという。
三つの『神の枷』が消滅したことで、混沌神復活の脅威は、永遠に去った。
そして、私たち勇者パーティは、といえば。
王城に部屋を与えられ、英雄としての名誉を賜りながらも、相も変わらず、四人で一緒に、人々のための、ささやかな依頼をこなす、そんな日常を送っていた。
先日、私は仲間たちに付き添ってもらって、一度だけ、故郷であるクライネルト領へと帰った。父は涙ながらに、私を「最高の誇りだ」と、抱きしめてくれた。もう、私の心に過去のしがらみは、なかった。
そんな、ある晴れた秋の日。
私たちは王都の近くにある、小さな村の収穫祭の手伝いという依頼を受けていた。
「聖女様が、我らの祭りに!」
村人たちは、大喜びで、私たちを迎えてくれた。
ダインさんは村の男たちと丸太運び競争で汗を流し、シルヴィアさんは祭りの起源について村の古老と熱心に議論を交わしている。ユウキ様は子供たちにせがまれ、射的の景品を全て取り尽くして得意げだ。
私は村の女性たちに混じって、収穫祭の目玉である、特大の祝祭ケーキを作る、お手伝いをしていた。
しかし、その年の小麦は、少しだけ、出来が悪かったらしい。
「だめだ……。どうも、生地の膨らみが足りないねえ」
村のパン焼き名人が、唸る。「これじゃあ、石みたいに硬いケーキになっちまう……!」
その言葉に、村の女性たちの顔に、がっかりとした色が浮かぶ。
(せっかくの、お祭りなのに……。みんなが笑顔になれるような、美味しいケーキを食べさせてあげたい)
私が、強く、そう願った、その時だった。
「よいしょっと!」
私が渾身の力を込めて、その巨大なパン生地を、こね上げた、瞬間。
ぽすん。
私の胸が、その、柔らかく、大きなパン生地の塊に、深く、優しく、埋まった。
――その奇跡は、これまでで、最も甘くて、温かい奇跡だった。
私の胸が触れた、その一点から。
パン生地が、まるで命を吹き込まれたかのように、温かい、黄金の光を放ち始めたのだ。
そして、信じられないほどの速度で、むくむくと膨らみ始める。
あっという間に、こね鉢から溢れ出し、テーブルの上を、ふわふわの雲のような完璧な生地が埋め尽くした。
そして、その生地からは、天上の果樹園と、焼きたてのパンが混じり合ったような、嗅いだだけで誰もが幸せな気持ちになる、芳醇な香りが立ち上っていた。
その日、収穫祭で振る舞われた祝祭ケーキは、伝説になった。
そのケーキを、一口でも食べた者は、老いも若きも、男も女も、誰もが、心の底から、幸福な気持ちに包まれたという。
夕暮れ。
私たちが村を見下ろす丘の上で、その『奇跡のケーキ』を食べている、その時だった。
どこからともなく、朗々とした声が、村中に響き渡った。
王家の紋章をまとった伝令が、高らかに、一枚の羊皮紙を読み上げていた。
「国王陛下より、布告である! 聖女ルルナ様の、その比類なき御力――【すんごい、おっぱい】が起こした数々の奇跡は、後世の人々が、決して忘れることのないよう、王国の正史に詳細に記述し、広く伝えていくことを、ここに宣言する!」
その言葉に、ユウキ様が目を輝かせて、身を乗り出した。
「ほらみろ、ルルナ! やっぱり、お前のおっぱいは、世界を救ったんだ! その可能性は無限大だな! 今後も、どんな奇跡を起こしてくれるか、本当に楽しみだぜ!」
シルヴィアさんも、いつになく興奮した様子で、眼鏡をクイッと上げた。
「ええ、ルルナ。あなたのその……特異点は、単なる物理的な現象に留まりません。精神に、魂に、そして、世界の理そのものに、深く影響を与える、まさに聖なる力と言えるでしょう! 今後、学術的な見地からも、徹底的に研究していく必要がありそうです!」
二人が熱っぽく、私のおっぱいの可能性について語り合うのを、隣で見ていたダインさんは。
「ガハハハハ! まったく、しょうがねえ連中だな! まあ、ルルナの、その……なんだ、すげえのは、間違いねえけどよ! 俺も、何度か助けられたからな!」
と、豪快に笑い飛ばした。
突然、公の場で、自分の一番の秘密について、大真面目に語り出す仲間たちを前に、私は顔を真っ赤にして、おろおろと、視線を彷徨わせるしかなかった。
「あ、あの……皆さん、そんな大きな声で……」
それでも、その表情には、困惑の色と共に、ほんの少しの照れ臭さと、そして、何よりも、仲間たちへの温かい愛情が、滲み出ていた。
私は空に浮かぶ、一番星を見上げると、世界で一番、幸せな味のするケーキを、大きく、一口、頬張った。
私のスキルは相変わらずで、私の意志とは関係なく、突拍子もない奇跡を起こす。
恥ずかしいし、大変なことも、きっと、これからも、たくさんあるだろう。
でも。
この力があったから、私は、このかけがえのない仲間たちと、出会えた。
この、温かい日常を、手に入れることができた。
問題は多いけど。
やっぱり、私のスキルは、こうでなくっちゃ!
『スキル名、【すんごい、おっぱい】なんだけど、これってどうなの!?』
―― 完 ――
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