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1 探し物はなんですか
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「ねえ、おじちゃん」
「だから、なんだよ。ってか、その呼びかたやめろ。まだ32だぞ」
あと1週間でぞろ目だけどな。どっちにしたって世間一般じゃ、まだ中堅未満。若造の部類だよな、とあらためて思って苦い気分が押し寄せる。それを払拭する意味で、べつの思考に置き換えた。まあ、あれだ。世間一般の評価はそれとして、このガキから見れば、親と似たり寄ったりの年齢の俺なんか、充分おっさんか。
「ママは25歳だよ」
げっ……。
思考を読んだわけではないのだろうが、絶妙のタイミングで爆弾落とされて、思わず隣を見やってしまった。
「……坊主、おまえいくつ?」
「8歳」
答えたあとで、持っていたクマのぬいぐるみをギュッと抱きしめ、さっきよりいっそうおずおずとした上目遣いを向けてくる。
「………………おにい、ちゃん?」
待て待て待て、やめろ! さっきまであんな無遠慮に、平気でズカズカと人の領域に踏みこんで来やがったくせに、このタイミングでいきなり、そんな殊勝な態度で余計な気遣い見せるなってんだよ。地味に傷つくっつうの。
「……いいよ、おっさんで」
もはやそれしかあるまい。母親より8つも年上で、こいつより4倍以上長く生きてりゃ、おっさん以外のなにものでもあるまい。ってか、なんだよこいつの母親。25とか若すぎだろ。もし実際にサバ読んでるんでなけりゃ、成人未満でこいつ産んでんじゃん。ということは、父親のほうもひょっとして、どっこいなんだろうか。
思ったら、なにやら恐ろしくなった。
「それで、なんだよ?」
恐ろしいから、さっさと話題を変える。坊主は「え?」とキョトンとした目を向けてきた。
「え?じゃねえよ。俺になんか言いたいことでもあったんだろ?」
「あ、うん」
頷くと同時に、ふたたび俺のケツを見る。
なんだよ、ほかにまだなんか、ケツの下に敷いてるってのかよ。
思って覗きこむが、今度はとくになにもない。
「おじちゃん、ここでなにしてんの?」
「ああ?」
思わせぶりな態度をとっておいて、まったく関係ないことを訊いてくる。意味がわからんと顔を上げると、坊主はまだ、人の尻を凝視していた。
なんだよ。まさかと思うが、犬の糞でも踏んでるとかじゃねえだろな?
一瞬ギョッとするが、ガキの様子にばっちいものを見る気配はなかった。
「ずっと鳴ってる」
「は?」
ポツリと呟いたガキは、さっきとおなじように手を上げると、ふたたびケツを指さした。
「おじちゃんの電話、さっきからずっと鳴ってるよ?」
言われて、ようやく意味を理解した。ガキが気にしていたのは、尻ポケットのスマホだった。
マナーにしてあるから実際に音は鳴っていないのだが、それでもさっきから適度な頻度で着信がある。さっきから――いや、ここ何日も、もうずっとだ。相手はわかってる。けど、出るつもりはない。そのくせ、着信拒否にするつもりもない。俺が、この世界にいることを実感できる、唯一の繋がり。
俺は結局、どうしたいのだろう……。
「おじちゃん?」
不思議そうに声をかけられて、沈みかけた意識が浮上した。
「いいんだよ、出なくて。ただの間違い電話だ」
「ふうん」
わかっているのかいないのか、ガキは曖昧に相槌を打った。
「っていうか坊主、おまえこそこんなとこでなにやってんだよ。学校はどうした」
「律だよ」
「あ?」
「ぼくの名前。『ぼうず』じゃなくて、『りつ』っていうの」
「あっそ」
「戒律の『律』なんだって」
だから訊いてねえよ。
関心なんて欠片も示さず正面に向きなおっても、ガキはまるで気にした様子もない。
「『なはたいをあらわす』んだよ? だからぼく、自分に厳しくしないといけないんだ」
「へえ」
意味、絶対わかってねえよな、と思ったが、ガキはどこまでも真剣だった。
「ぼく、探し物してたんだ」
脈絡もなにもなく話が飛んだが、直前の質問の答えだというのはすぐにわかった。
「すごく一生懸命、ずっと探してたの。でも、おじちゃんのおかげで見つかってよかった」
探し物というのは、クマのぬいぐるみのことだったらしい。体育座りをした膝と胸のあいだに挟んで、両腕でしっかりと抱えこむ。それからこっちを見て、ニッと笑った。
「俺はべつに、なにもしてねえよ。たまたま踏んづけてただけだろ。見つかったなら、もう帰れ」
もう一度手を振って追い払ったが、ガキはやはり座りこんだまま動こうとしない。とことん付き合わせるつもりらしかった。
「クマゴローいないとね、ぼく、寝れないの。だけど、そんなのはおかしいんだって」
「ママが言ったのか?」
「うううん。おじちゃん」
「あ? 俺はそんなこと、ひと言も言ってねえだろ」
「うん、そうだよ。おじちゃんは言ってないよ」
話の辻褄がまるで合わない。
まじまじとガキを見下ろしたタイミングで尻ポケットのスマホがふたたび着信した。
「おじちゃん、また電話」
バイブが震動してるだけだというのに、耳ざといガキはそれを聞き逃さない。うるせえな、間違いだっつってんだろと返そうとして、不意に『アレ』が起こった。
【結城さん、私は専門家として、このままにしておくわけにはいかないんです。どうかもう一度、よく考えなおして前向きに――】
抱えこんだ頭の中で、かつて聞いたセリフが甦る。
うるせえな、人のことなんかほっとけよ。俺のことなんだから、あんたにゃ関係ねえだろ。どうせ、なんもできねえくせに。親切面して余計な口出しすんなってんだよ。
【本当に残念だよ、結城くん。これまでの君の功績を考えたら、我々としてももっと穏便に事を収めたかった。だが、こうなってしまっては、もはやどうすることもできない。ほかに、手の打ちようがなかったんだ。わかってくれるね?】
むろんわかるさ。俺があんたらの立場だったら、当然おなじことをしただろうからな。
あんたらはなにも間違っちゃいない。普通ならあり得ない凡ミス犯して、会社に大損害を与えた社員ひとりに全責任をおっかぶせ、そのうえで容赦なく切り捨てた。それだけのことだ。こっちも訴えられなかっただけマシだし、会社側としても最大限、温情を示して良心的対応を試みてくれたんだろう。だがな。
こうなる以前に、俺がどんだけ会社に莫大な利益をもたらしてやったと思ってやがるっ。俺だってな、別段好きであんな結果招いたわけじゃねえんだよ。ホントなら、あり得ないことだったんだ。絶対にな。いままでどおりの俺だったら、とてもじゃないが、あんな無様なことにはならなかったはずだった。言い訳がましかろうがなんだろうが言ってやる。悪いのは俺じゃねえっ。
【聞いてないわ! ローンが払えないってどういうことなのっ!? 直之、あなたあたしに一生贅沢させてくれるって約束したわよね? それなのに家財道具全部売り払って、ここも立ち退かなきゃならないだなんてっ。おまけにどういうことなの? 会社までクビになってるですってっ!? これからどうやって暮らしていくって言うのよっ! それにあたし、来月イタリアに旅行に行く予定だったのよ!?】
さすがだよ、里奈。この期に及んで旅行の心配とはね。俺は最高にいい女を結婚相手に選んだってわけだ。
「おじちゃん、その電話、出なきゃダメだよ。すごく大事な電話だから。だから絶対出てね? きっとだよ?」
うるせえな。俺がなにをどうしようと俺の勝手だろ。だれが電話なんか出るもんか。おまえみてえなガキになにがわかるってんだよ。俺の人生は終わったも同然なんだ。残りの時間くらい、好き勝手に生きてやるさ。もう周りに振りまわされて、余計なことに煩わされるなんざうんざりだ。
――そう、なにもかもがうんざりなんだ。
内心で呟いた途端にやりきれなさがこみあげる。
ああ、頭が痛え。最低だよ。なんでこんなことになってんだ。俺の人生、なんだったんだよ。どうして俺がこんな目に遭わなきゃならないんだ……。
呻きながら頭を抱えて、理不尽な運命を呪う。そうしていつのまにか、目の前が闇に沈んでいった――
「だから、なんだよ。ってか、その呼びかたやめろ。まだ32だぞ」
あと1週間でぞろ目だけどな。どっちにしたって世間一般じゃ、まだ中堅未満。若造の部類だよな、とあらためて思って苦い気分が押し寄せる。それを払拭する意味で、べつの思考に置き換えた。まあ、あれだ。世間一般の評価はそれとして、このガキから見れば、親と似たり寄ったりの年齢の俺なんか、充分おっさんか。
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「……坊主、おまえいくつ?」
「8歳」
答えたあとで、持っていたクマのぬいぐるみをギュッと抱きしめ、さっきよりいっそうおずおずとした上目遣いを向けてくる。
「………………おにい、ちゃん?」
待て待て待て、やめろ! さっきまであんな無遠慮に、平気でズカズカと人の領域に踏みこんで来やがったくせに、このタイミングでいきなり、そんな殊勝な態度で余計な気遣い見せるなってんだよ。地味に傷つくっつうの。
「……いいよ、おっさんで」
もはやそれしかあるまい。母親より8つも年上で、こいつより4倍以上長く生きてりゃ、おっさん以外のなにものでもあるまい。ってか、なんだよこいつの母親。25とか若すぎだろ。もし実際にサバ読んでるんでなけりゃ、成人未満でこいつ産んでんじゃん。ということは、父親のほうもひょっとして、どっこいなんだろうか。
思ったら、なにやら恐ろしくなった。
「それで、なんだよ?」
恐ろしいから、さっさと話題を変える。坊主は「え?」とキョトンとした目を向けてきた。
「え?じゃねえよ。俺になんか言いたいことでもあったんだろ?」
「あ、うん」
頷くと同時に、ふたたび俺のケツを見る。
なんだよ、ほかにまだなんか、ケツの下に敷いてるってのかよ。
思って覗きこむが、今度はとくになにもない。
「おじちゃん、ここでなにしてんの?」
「ああ?」
思わせぶりな態度をとっておいて、まったく関係ないことを訊いてくる。意味がわからんと顔を上げると、坊主はまだ、人の尻を凝視していた。
なんだよ。まさかと思うが、犬の糞でも踏んでるとかじゃねえだろな?
一瞬ギョッとするが、ガキの様子にばっちいものを見る気配はなかった。
「ずっと鳴ってる」
「は?」
ポツリと呟いたガキは、さっきとおなじように手を上げると、ふたたびケツを指さした。
「おじちゃんの電話、さっきからずっと鳴ってるよ?」
言われて、ようやく意味を理解した。ガキが気にしていたのは、尻ポケットのスマホだった。
マナーにしてあるから実際に音は鳴っていないのだが、それでもさっきから適度な頻度で着信がある。さっきから――いや、ここ何日も、もうずっとだ。相手はわかってる。けど、出るつもりはない。そのくせ、着信拒否にするつもりもない。俺が、この世界にいることを実感できる、唯一の繋がり。
俺は結局、どうしたいのだろう……。
「おじちゃん?」
不思議そうに声をかけられて、沈みかけた意識が浮上した。
「いいんだよ、出なくて。ただの間違い電話だ」
「ふうん」
わかっているのかいないのか、ガキは曖昧に相槌を打った。
「っていうか坊主、おまえこそこんなとこでなにやってんだよ。学校はどうした」
「律だよ」
「あ?」
「ぼくの名前。『ぼうず』じゃなくて、『りつ』っていうの」
「あっそ」
「戒律の『律』なんだって」
だから訊いてねえよ。
関心なんて欠片も示さず正面に向きなおっても、ガキはまるで気にした様子もない。
「『なはたいをあらわす』んだよ? だからぼく、自分に厳しくしないといけないんだ」
「へえ」
意味、絶対わかってねえよな、と思ったが、ガキはどこまでも真剣だった。
「ぼく、探し物してたんだ」
脈絡もなにもなく話が飛んだが、直前の質問の答えだというのはすぐにわかった。
「すごく一生懸命、ずっと探してたの。でも、おじちゃんのおかげで見つかってよかった」
探し物というのは、クマのぬいぐるみのことだったらしい。体育座りをした膝と胸のあいだに挟んで、両腕でしっかりと抱えこむ。それからこっちを見て、ニッと笑った。
「俺はべつに、なにもしてねえよ。たまたま踏んづけてただけだろ。見つかったなら、もう帰れ」
もう一度手を振って追い払ったが、ガキはやはり座りこんだまま動こうとしない。とことん付き合わせるつもりらしかった。
「クマゴローいないとね、ぼく、寝れないの。だけど、そんなのはおかしいんだって」
「ママが言ったのか?」
「うううん。おじちゃん」
「あ? 俺はそんなこと、ひと言も言ってねえだろ」
「うん、そうだよ。おじちゃんは言ってないよ」
話の辻褄がまるで合わない。
まじまじとガキを見下ろしたタイミングで尻ポケットのスマホがふたたび着信した。
「おじちゃん、また電話」
バイブが震動してるだけだというのに、耳ざといガキはそれを聞き逃さない。うるせえな、間違いだっつってんだろと返そうとして、不意に『アレ』が起こった。
【結城さん、私は専門家として、このままにしておくわけにはいかないんです。どうかもう一度、よく考えなおして前向きに――】
抱えこんだ頭の中で、かつて聞いたセリフが甦る。
うるせえな、人のことなんかほっとけよ。俺のことなんだから、あんたにゃ関係ねえだろ。どうせ、なんもできねえくせに。親切面して余計な口出しすんなってんだよ。
【本当に残念だよ、結城くん。これまでの君の功績を考えたら、我々としてももっと穏便に事を収めたかった。だが、こうなってしまっては、もはやどうすることもできない。ほかに、手の打ちようがなかったんだ。わかってくれるね?】
むろんわかるさ。俺があんたらの立場だったら、当然おなじことをしただろうからな。
あんたらはなにも間違っちゃいない。普通ならあり得ない凡ミス犯して、会社に大損害を与えた社員ひとりに全責任をおっかぶせ、そのうえで容赦なく切り捨てた。それだけのことだ。こっちも訴えられなかっただけマシだし、会社側としても最大限、温情を示して良心的対応を試みてくれたんだろう。だがな。
こうなる以前に、俺がどんだけ会社に莫大な利益をもたらしてやったと思ってやがるっ。俺だってな、別段好きであんな結果招いたわけじゃねえんだよ。ホントなら、あり得ないことだったんだ。絶対にな。いままでどおりの俺だったら、とてもじゃないが、あんな無様なことにはならなかったはずだった。言い訳がましかろうがなんだろうが言ってやる。悪いのは俺じゃねえっ。
【聞いてないわ! ローンが払えないってどういうことなのっ!? 直之、あなたあたしに一生贅沢させてくれるって約束したわよね? それなのに家財道具全部売り払って、ここも立ち退かなきゃならないだなんてっ。おまけにどういうことなの? 会社までクビになってるですってっ!? これからどうやって暮らしていくって言うのよっ! それにあたし、来月イタリアに旅行に行く予定だったのよ!?】
さすがだよ、里奈。この期に及んで旅行の心配とはね。俺は最高にいい女を結婚相手に選んだってわけだ。
「おじちゃん、その電話、出なきゃダメだよ。すごく大事な電話だから。だから絶対出てね? きっとだよ?」
うるせえな。俺がなにをどうしようと俺の勝手だろ。だれが電話なんか出るもんか。おまえみてえなガキになにがわかるってんだよ。俺の人生は終わったも同然なんだ。残りの時間くらい、好き勝手に生きてやるさ。もう周りに振りまわされて、余計なことに煩わされるなんざうんざりだ。
――そう、なにもかもがうんざりなんだ。
内心で呟いた途端にやりきれなさがこみあげる。
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