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第四章―偶然という名の必然―
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しおりを挟む忙しい毎日を送っていると、あっという間にその日はやってくる。
桜嶺の学園祭初日も半分を終えた。
初日は体育館でのステージ発表だけど、一応実行委員での役割を滞りなくやった。
今は昼休み。
午後に備えて依理達とお弁当を食べている。
「あぁ、あんたが初めてみんなの前に出てきた時の顔。本当にウケたわ。写真撮っとくべきだったわね」
「ウケない。全っ然ウケない!」
「面白かったですネ」
「……」
ジョエル君まで……。
「そういえば今回のゲスト。怪我したらしいじゃない。大丈夫なの? 楽しみにしてたんだけど」
「あ、宮内さんのこと?」
依理はピアノ聴くの好きだからなぁ。
今回ゲストとして呼んでいる人はプロのピアニストで、私は詳しくはないけど、有名な海外の賞をいくつも取っている女の人。
なんでも、この学園から音大に行った卒業生で、今回の出演も快く引き受けてくれたとか。
でも、数日前に指を怪我してしまったって連絡があった。
「怪我そのものは大丈夫らしいんだけど、今回は代わりの人をお願いしてくれたみたい。宮内さんが今日連れてきてくれるんだって」
「だから早く食べなきゃってわけね?」
「うん?」
「いつもはちまちま食べてるのに、今日は箸のスピードが早いからね」
「ちまちま……普通のペースのつもりなんだけど」
依理の食べるスピードと量が普通じゃないだけだと思う。
細いのに、三人前くらいはペロリなんだもん。
羨ましい。
どこに食べたのがいってるんだろう。
「結城。宮内さんと今日のゲストが来たらしいぞ?」
「本当? ちょっと待ってね?」
葛城君が携帯片手にこちらにやって来た。
私は残りのおにぎりを口の中につめこみ、バタバタとお弁当箱を片付けた。
「じゃ行ってきます!」
「はいはい。行ってらっしゃい」
「午後も頑張って下さいネ」
依理とジョエル君に見送られ、私達は体育館に向かった。
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