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第七章―選択の末路―
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しおりを挟む※ 十夜 side ※
本当に忌々しい。
先程の呪符といい、この男、杉原はたぶん神官か陰陽師に連なる家系の出なんだろう。
彼が興味を惹かれてしまったが故に始末をつけることは叶わなかったけど。
「ねぇ。本当に生かしておくつもり? 僕達の正体も、ここの場所のことも知られてるんだけど」
「もちろん。彼女にも言ったでしょ? 退屈を紛らわせてくれる存在にしかすぎないよ。それにさ」
彼は言葉を発するのをしばし止めた。
なんだか考え込んでいるようだが、どうせろくでもないことだってことは分かる。
それでも僕は今、それを止めようだなんて微塵も思わないから好きにさせておいた。
さて、問題は、杉原を治療するか、しないか、ではなく、小羽にお願いされた時点で、どう治療するかに移っている。
正直、本当にやりたくない。すごくやりたくない。死んでもやりたくない。
……もう死んでるけど。
「なにボサッと突っ立ってるの?」
「……ごめん」
彼が思考の渦から引き戻ってくるのを待っていたというのに、理不尽すぎる。
けれど身長や見た目こそ僕の方が上だけど、それ以外は全て彼に劣っている。
しぶしぶながらも謝ることは絶対だった。
「眷属をもう一人増やすのもいいかなと思ったけど、君が嫌がりそうだからね」
「絶対にやめてよね。この男と仲間内なんて、虫唾が走るし、視界に入れるのもホントは嫌だ」
「はいはい。小羽ちゃんがとられちゃいそうだもんねー」
なんでそう、琴線に触れるどころか思いっきりはじきに来るんだろう?
ムッとして彼を睨むと、おー怖い怖いと絶対にそう思っていない顔で肩を竦められた。
「それじゃあ、始めようか」
彼は唇を三日月型に弓ならせ、杉原の腹に手を当てた。
※ 十夜 side end ※
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