文明論と現代政策(新版)

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5 〝文明の潮流〟が分かれば、〝持続可能性〟が分かる!

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(1)文明の潮流トレンド

〝文明の循環サイクル〟が回ることで生まれる
〝文明の潮流トレンド〟が分かれば、
なぜ現代政策の目標が持続可能性サステナビリティーなのか、
なぜそれが4種類もあるのかが、分かります。

〝文明の循環サイクル〟を重ねていくと、
『技術にできることが増えるにつれ、
政策がすべきことも増える』という、
〝文明の潮流トレンド〟が生まれます。

農耕→工業→情報技術というように、
技術は進歩を重ねてきました。

政策においても、技術的(灌漑事業や軍事活動)
→経済・社会(産業立国や福祉国家)
→人的資源(疾病予防や次世代育成)
→行政管理(国際協力や市民参画、官民協働)政策
という形で新たな重要分野が積み重なり、
発展してきました。

そうした技術進歩・政策発展の中で、
いずれにおいても順番に、
(モノを)①作って、②分けて、
(ヒトを)③高めて、④活かす
ということの飛躍的改善が可能となり、
かつ必要となってきたのです。


(2)新たな課題

しかし、画期技術の多能性という性質から、
ある文明段階で政策が利害調整を極めると、
全政策分野で、程度の差こそあれ同時多発的に、
画期技術の限界からくる課題が現れてきます。

農耕による食料の安定供給は文明を成立させ、
動力機関の大きな力と速度は文明を世界に拡大し、
電算による効率化は地球という、
環境的限界への到達の衝撃を緩和しました。
しかし、文明のより本質的な持続可能性は
まだ得られていません。

具体的に言うと人類は現在、
①地球環境の限界、
②経済・社会活動の複雑化、
③健康水準の経年・経代的低下、
④政策の広域化や民主化の必要性という、
全ての政策分野に渡る問題に直面しています。 

昔であれば、資源不足や格差拡大が起きたら
植民地を探してそれを〝外部化〟すればよく、
開拓や戦争の中で私のような虚弱者や短慮者、
遅れた制度も淘汰とうたされたのかもしれません。
しかし今や、それでは根本的解決にはならず、
犠牲や費用も大きく、自滅の危険さえあります。

かつてのように単純な拡大のみに頼り、
代償が大きな淘汰を許すのではなく、
より本質的な持続的発展をかなえるため、
富の①生産・安全と②分配・投資に加え、
人の③向上・支援と③活用・参画も増進する、
技術と政策が求められています。


(3)課題に応えるSDGsと、それをかなえるAI段階技術

そこで今では環境、経済、
(人間含む)社会、政策という
4分野での〝持続可能性〟が鍵言葉キーワードとなって、
国際総合政策SDGsが考えられました。

また我国でも、それらを達成するための
技術的政策としてSociety5.0、
さらにそのための行政管理政策DXが生まれ、
それを叶える次世代技術が求められています。

一方、技術の側でも現在、新素材・エネルギー、
知能インテリジェントロボット、生物工学バイオテクノロジー、先進医療・教育、
IoTインターネット・オブ・シングスとビッグデータ処理など、
AI時代の新技術が発展しつつあります。

それらは人工物・自然物間の壁を取り除いて、
いとこりで双方の持続可能性を高められ、
体内環境含む自然・社会環境に優しい、
持続可能性技術または環境親和技術と呼べるものです。

技術はそれぞれの用途に応じた個別目的を持ち、
政策は公共利益という共通目的を持ちます。
そこで前者では多能性を持つAI技術を中心に、
それを活かす形で様々な技術革新を図り、
後者では新たに人間の向上や活用も重視しつつ、
総合的な政策連携を図ると良いと思います。

地球上で文明の持続的発展を達成できれば、
それは将来の本格的な宇宙進出における
宇宙船や地球外施設の中での
文明活動にも役立つことでしょう。

環境(あるいは技術)、経済、(人間含む)社会、
政策という全ての分野で文明の持続的発展をかなえる、
AIを中心とした次世代技術と、
それらを活用した総合政策に期待します。
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