イシュタル

平 一

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7 理事種族ストラスの意見

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「旧帝国時代からの科学長官〝賢明王〟ストラスもまた、同意見です。かつて現皇帝が、開発途上星域で数々の不審事件を発見した時、彼女の依頼でその分析を行ったのがストラスです。彼女は従来、政治的中立を以て知られ、〝帝国よりも科学に忠実な者〟と評された種族です。しかし同時に〝科学は全ての知的種族の幸福のためにある〟を信条とし、主として中枢種族が技術と権益を独占する旧帝国の組織風土に対して、密かに疑問を抱き続けていました」

ストラスは極寒の大型岩石惑星で、超流動・超電導などの極限物性により生まれた結晶生命体であり、緑色に輝きながら惑星全体を網状に覆う単一個体種族だ。彼女は外周種族と同様、中央星域の大多数を占める酸素・炭素系の個体群種族とは異質な種族だが、人格量子化技術の普及でその違いは意味を失いつつある。実は人格量子化技術自体も、外周種族との戦争で劣勢にあった旧帝国が、ストラスを生きた計算機兼実験台として開発し、辛勝を得たものなのだ。そうした経緯から彼女も、いかに戦争の苦難や悲劇を防ぐかを考え続けてきた種族である。

「彼女は、多くの途上文明が惑星政府を樹立し、自然環境の保全、社会環境の制御、人道的な資質向上や惑星外進出の能力を実証して、帝国との交流資格を得たにも関わらず、これを許可されなかったことを確認しました。彼女はまた、特に有望な文明に対しては腐敗と衆愚化への誘導、危険な軍事技術の供与や要人暗殺等の、意図的な干渉が外部から行われていたことを発見しました。加えて彼女は、これらの妨害・破壊工作が単なる犯罪組織・種族ではなく、他ならぬ帝国の中枢部で立案されたことを見抜きました。さらに、干渉から生じた凄惨な種族内・種族間闘争に生き残った〝優秀〟な戦闘種族は、いずれもその後に帝国の支援を受け、親衛軍・正規軍や有力種族の私兵軍に編入されていた事実を解明したのです」

「彼女は以後予想される事態に対処すべく、分析結果を現皇帝に通知すると共に、帝国が道を誤った時は協力して正す旨の盟約を結び、大戦時にはこれに従って新帝国の設立に参加しました。また彼女は、親衛軍と正規軍の穏健派司令官、すなわちバールゼブルと私の副司令官として、自らの副長官だったアミー及びヴォラクを派遣することに成功し、新帝国の勝利に多大なる貢献を果たしました」

「しかしその彼女も『新帝国の存立目的は、報復や制裁それ自体ではなく、全ての知的種族の繁栄と幸福である。ゆえに中枢種族の討滅よりも、科学的な分析と修復・矯正によって悲劇の反復を防止すべきである』という意見を述べています」

司令官の隣には、古風な眼鏡をかけた賢そうな少女の姿が映し出された。ここらへんの〝変換〟感覚は、面白い。
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