トラブルメーカー系モブに転生したけど主人公が優秀すぎて何も起こらない

香山

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第1部

♡番外編 婚約者になってからというもの

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正式に婚約を結んだ俺たちは、生活が180度変わってしまった――なんてことは無かった。
でも、ちょっとした変化は沢山あった。



「おはよう、レイ」

朝、ギルの声で目が覚める。婚約者になってからも、俺たちはそれぞれの部屋で寝ていた。義兄上に『節度をわきまえた交際を!』と何度も言い聞かせられたのもあるけど、お互いの事を大切にしようってギルとふたりで話し合って、初夜までは体を繋がないでおこうって決めたんだ。(媚薬のあれは、まあ……事故だったってことで……)

いつも通り着替えを終えてリビングへ。

「今日はオムレツだよ」
「やった!」

美味しい料理に舌鼓を打つ。いつもと変わらない、朝食の風景だ。




「じゃあ行ってくるね、レイ?」

ギルが身をかがめて目を閉じる。『ちょっとした変化』の一つがこれだ。
今まではハグをして見送っていたけど、ギルの要望でキスに変わったのだ。見送る方からキスする、って約束だから、ほとんどの場合俺からしなくちゃならない。
何度もしたけど未だに慣れなくて、俺は緊張しながらギルの肩に手を置いて顔を寄せた。
長い睫毛が滑らかな頬に影を落としている。間近で眺めるギルの顔は何度見ても綺麗でかっこいい。
ちょっとだけ眺めてから、俺は目を薄く閉じた。
ふにっ。
目測を誤ることなく唇に触れることが出来た。最初の方は目をつぶりながらえいっとキスして外してたけど、だいぶコツを掴んだみたいだ。
満足して離れようとしたら、後頭部を押さえられて動けなくなった。

「んっ!? ……、ふ、……ぁ……」

驚いてぽかんと開いた唇の隙間から、熱い塊が侵入してくる。口内を蹂躙され、絡めとられた舌先を強く吸われると背筋がゾクゾク震えた。
最後に下唇を食んで離れた時にはもう息が上がりきっていて、俺は立っているだけで精いっぱいだった。

「……ん。 それじゃ、行ってくるね」
「っ、はぁ…………い、ってらっしゃい……」

爆発しそうなくらいドキドキしている心臓を抑えつつ、俺はギルに手を振り返して見送った。
いつもじゃないけど、ギルはこうして深いキスを仕掛けてくる時がある。

「ここんとこは毎日、だな……」

無意識に唇を指でなぞった。朝からこんな官能を呼び起こすような激しいキスをされると、体が疼きそうで困ってしまう。でも、されないと物足りないかもと思ってしまう俺の方も大概なんだろう。



食器を片付けたらいつも通りに仕事へ行く。今日朝一の仕事は冒険者ギルドへの納品だ。

「レイさん。おはようございます」

ギルドの前ではヨハンさんが立っていて、両手が塞がっている俺の為にドアを開けてくれる。俺が来る曜日は決まっているから、たいていこうして待っていてくれるのだ。

「おはようございます、ヨハンさん」
「今日も本当にお美し――っ!」

俺に続いてギルドに入ったヨハンさんは、何か言いかけるとガクンと膝をついた。

「ヨハンさん!?」
「あー、こいつのことは大丈夫だから。レイは納品手続きしといてくれ」

ギルマスはそう言いながら俺の肩にポンと手を置いてギルドの奥へと促した。心配だったが目が合ったヨハンさんも笑って頷いてくれたため、俺はカウンターへ向かった。

「お前、ほんと懲りねえな。あの指輪、レイに下心持って触ろうとする奴に電撃流す魔法かかってんだぜ?」
「うう……レイさん……」






「レイレイおはよー!」

カウンターで手続きを終えると、ナタリーが話しかけて来た。ナタリーは最近長期の依頼を受けていたらしく、俺が婚約してから会うのは初めてだ。

「婚約したんだって? 相手はあのカレシ?」
「かっ、彼氏って……あれ?」

つい顔が真っ赤になるが、ふと違和感に気付く。ナタリーとギルが会ったのは俺とギルが付き合う前で、付き合い始めてからは会ってないはずだ。

「魔物の討伐をしてた騎士の人……たしかギルって言ったっけ? 前、レイレイの彼氏だって紹介してくれたよね?」
「えっ!? 違っ……いや、そう、なん、だけど……!」
「なーに照れてんの! あんときは強くてカッコいいカレシだってのろけてたじゃん!」

バシバシ背中を叩かれてますます顔に熱が集まる。まさかそんな風に思われていたなんて。



一通りいじられ尽くしてから研究所に戻った。午後は研究室に籠って実験三昧だ。今は傷用ポーションの改良に取り組んでいる。これが成功すれば、きっと多くの人の為になるだろう。家柄以外もギルに相応しくなるために、俺も日々努力しているのだ。

「レイ~! 旦那さんがお迎えだよ!」

先輩が呼びに来てようやく、終業時間が過ぎている事に気付いた。
手早く机を片付けて、エントランスへ駆け降りる。

「おまたせ! ギル!」
「そんなに待ってないから気にしないで。仕事、大丈夫だった?」
「ギルが来てくれなかったら終業時間に気付かなかったし、むしろ助かったよ」

手を繋いで研究所を後にする。これも『ちょっとした変化』の一つだ。
婚約して以来、ギルはほぼ毎日俺を迎えに来てくれるようになった。夕食の相談をしながらぶらぶらと街を歩く。

「今日は何が食べたい?」
「うーん、昨日がハンバーグだったから……」

たわいない話をしているだけなのに、胸がほわほわ温かくなる。つい零れ出る笑みを向けると、ギルも笑い返してくれた。



幸せをかみしめながら、買い物を終え、ふたりで夕食を作る。といっても主に作るのはギルの役目で、俺は皿やカトラリーを並べたりお茶を用意するのが仕事だ。
ギルの方が料理が上手いし、ギルも作りたがってくれるのでそれに甘えている。でも、俺がたまーに料理を作ると、ギルは大袈裟なほど喜んで食べてくれるから、最近は俺も料理本を読んでこっそり勉強している。次の休みに振舞う予定だ。



夕食を食べ終わって食器を洗い終わると、ギルのいるリビングへ向かった。
いつものようにギルはソファーに座って本を読んでいる。その隣に俺も腰かけると、少し距離を詰めてギルの肩に頭を乗せた。

「レイ」

ギルは本を閉じると俺の肩を抱き寄せた。

「読書の邪魔しちゃった?」
「いや、全然」

レイより大事な事なんて無いから、と言われて顔が赤くなる。恥ずかしさを誤魔化すように頭をぐりぐり押し付けると、髪を優しく撫でられた。
こうして夕食後に触れ合うようになったのも、『ちょっとした変化』の一つだ。

「レイ、好きだよ。愛してる」
「……俺も、大好き」

じっと見つめてから目を閉じると、優しいキスが降ってくる。触れるだけの優しいそれだけじゃ物足りなくてギルの唇をぺろりと舐めると、ぐっと顎を掴まれて深く口づけられた。ギルの舌の動きに合わせ、俺も懸命に舌を絡める。チュクチュクと湿った水音が耳を犯し、だんだん頭がぼんやりしてくる。

「ん、…………はぁ……ギル……」

チュッと音を立ててようやく解放される。ギルは俺と目が合うと口端を上げ、わざとらしく自身の唇を舐めた。まるで獲物を狙う肉食獣のようなその仕草と瞳の奥に揺らめく欲情の炎に、俺の体は打ち震えた。
ギル。かっこいい。だいすき。
体の奥から昂ってくる熱に浮かされて、俺はズボンのベルトを外してギルの膝の上にまたがった。服の中で首をもたげつつあるそれを擦り付けながら、鼻先の触れ合う距離で囁く。

「こっちも、して?」

ギルはごくりと生唾を飲むと、俺をぎゅっと掻き抱いた。

「あー、ほんと、かわい……」

何かを小さく呻いたギルが俺の首筋を吸い上げる。

「ふ、ぅ……」

思わず熱い息を吐くが、熱が冷める間もなくギルの手が俺の中心に触れた。

「はぅ、ぁ……んっ……もっと……」

服越しの刺激は気持ちよくももどかしい。強い快感を求めてギルの手に擦り付けるように腰を動かすと、ギルは俺のズボンに手をかけて下着ごとずり下ろした。

「あっ!」

ぷるんと元気よく転び出たそれを、ギルの手が包み込んだ。

「もうこんなになってる」
「ひぅ、ぁ、待って」

先端を親指の腹で擦られてイきそうになる。慌ててギルの上から降りると、ズボンと下着を纏めて脱いで、ギルにまたがり直した。

「いっしょに……しよ?」

さっきから張りつめていたギルの熱を、ズボンの前から取り出す。ボロンと音を立てそうな勢いで飛び出してきたそれは先走りで濡れそぼり、テラテラと淫靡に光っていた。愛しいその怒張に俺の中心を重ね合わせ、擦り付けるように腰をくねらせる。熱くて硬い肉の感触に、俺はうっとりと目を細めた。

「もー、レイ、エロすぎ」
「駄目だった?」
「大歓迎だよ」

俺の動きに合わせ、ギルの大きな手が二人分の熱を包んで擦りあげる。裏筋同士がぶつかりあって、たまらなく気持ちよかった。

「はぁっ……ぁ……きもちい……」
「俺も……」

ギルの首に抱きつき、舌を絡める。激しくなる手の動きに、俺も夢中で腰を振りながら次第に高みへと昇って行った。

「もう、でちゃ、ぎる、いっしょに……」
「一緒にイこう……っ!!」
「ふっ、あぁっ――!!」

白濁液がお互いの腹部に飛び散る。ガクガクと体を震わせながらも、俺は同時に達した事に何とも言えない満足感を覚えていた。
大きな波が去ると、ギルの上にくたりと体を横たえた。まだ心臓は早鐘を打っているし、中心は少しの刺激で頭をもたげてしまいそうなくらい熱い。下腹に感じるギルの熱もまた、ドクドクと力強く脈打っていた。
この熱をもっと体の奥で感じる方法を、俺はもう既に知ってしまっている。その感触を思い出し、後孔がきゅんと疼いた。
そんな俺に気付いたのか、ギルは俺をソファーに寝かせると膝裏を持ち上げ、そこを触った。

「こっちもしよっか」

小さく頷いた俺に笑いかけると、ギルは指に二人分の白濁を絡ませ、俺の後孔に押し当てた。

あの日以来挿入はしていないが、初夜で失敗しないように毎日指で後孔を解してもらっている。すっかりギルの指に慣れたそこは、つぷりと抵抗なくそれを呑み込んだ。

「あんっ、あっ、そこぉ……っ!」

クイッと指を曲げてしこりを押されるだけで、俺の中心はさっきと同じくらいに張りつめた。いつもはこのまま前を擦ってイかせてくれるのに、今日はなかなかそうしてくれない。

「も……まえ、さわってぇ!」
「だいぶ慣れたし、後ろだけでイけるか、頑張ってみよう?」
「むりぃ! やらぁ!」

しつこくしこりを弄られて射精感がこみ上げてくるけど、決定的な刺激にはならない。出せない熱に、もどかしさが募っていった。

「無理じゃないよ。ほらここ、コリコリしてきた」
「らめぇ!! そこばっか、やぁっ!!」
「大丈夫だから、俺に任せて」

ギルの優しい声に思考が蕩けていく。気が付けば俺は、ぎゅっと目を閉じながら快楽を貪っていた。

「あっ、ああっ! イくっ、イっちゃうぅ――!!!」

一層強くしこりを押された瞬間、俺はビクンッと体を痙攣させて絶頂した。
目の前で火花が散っているかのように視界がチカチカ明滅する。同時に中に埋め込まれている指をきゅうと締めつけ、ギルの指の形を感じてしまった。それが恥ずかしくて、でも気持ちよくて、余韻に浸りながらはふはふと荒い息を吐いた。

「上手にイけたね」

ギルが労うようなキスをくれる。褒められたのが嬉しくてへにゃりと笑うと、ギルも微笑み返してくれた。

「お疲れ様。今日はこのまま寝て良いよ」

ギルの言葉にどっと疲れが押し寄せてくる。心地よい疲労感と多幸感に浸りながら、俺は眠りにつくのだった。



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