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番外編 勇者の独白
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俺は物心ついた時から前世の記憶を持っていた。
今世の両親がどんな人だったかは知らない。
俺は聖魔術が使えたから、勇者見習いとして教会で暮らしていた。
勇者が扱う聖剣は、聖魔術を使える者にしか持つことができない。
しかし、聖魔術はとても珍しい魔術だ。
この国では勇者育成の名目で、男子に聖魔術が現れると教会に預ける義務があった。
俺が聖魔術を発現したのは赤ん坊の頃だったから、その頃から教会住みで、それ以降親は一度も訪ねて来なかった。
教会に住む勇者見習いは、仕事の一環として少年兵として戦場に出たり魔物を討伐したりする。
その時の魔物の見た目と名前が前世の人気スマホゲームのザコ敵と同じだったから、この世界があのゲームの世界だとはすぐに気付いた。
前世の記憶があったところでチートなんて使えないし、良いことなんて無かった。
むしろ前世の倫理観が邪魔をして、魔族や人間を殺す度に罪悪感に苛まれた。
苦しみながらも俺は実力を伸ばし、いつしか次代の勇者と呼ばれるようになっていた。
勇者になる——それは俺を突き動かす原動力だった。
ゲームと比較して、今がいつのタイミングなのかは分からない。
でも、もしゲームと同じタイミングで勇者になれるのなら。
前世の推しであるユリウス・フォン・ベルゼブルク——ユーリを仲間にしたい。
中ボスにあたる敵で、ゲームでは決して仲間にならなかった孤高の存在。
でも、ここはゲームではなく現実だ。
思慮深く他人に優しいところがあるユーリなら、人間の話を聞いてくれるかもしれない。
俺は勇者見習いの中でも実力は飛び抜けているし、剣術も魔術も大人にだって負けない。
勇者になれるのならば、苦しんだ意味がある。この苦しみは報われる。
そう自分を鼓舞し、日々を過ごしていた。
転機が訪れたのは俺が14歳の頃だった。
カナタという名の少年が、新たに勇者見習いとして教会に連れられて来た。
カナタ——この世界の西洋風の雰囲気に合わない日本風のその名は、ゲームの主人公のデフォルトネームだった。
わずか8歳の少年は、キラキラとした目でこちらを見つめていた。
前世の記憶があるか警戒したがそんな事はなく、カナタはごく普通の少年だった。
だが、魔力が多く剣の資質が高い。
訓練次第では、俺なんかすぐに抜かしていくだろう。
勇者になれない。
その可能性が突き付けられて、心が凍りついた。
勇者見習いの少年兵は、勇者にならずとも騎士団で優遇れされると聞く。
だが、そんなものがどれだけの価値があると言うのだ。
勇者になれなければユーリに会えない。それだけだ。
でもここは現実だ。シナリオ通りになるとは限らない。
主人公に負けないよう、研鑽を積もう。
俺に出来ることはそれだけだった。
それから2年。身を削るような鍛錬を積み、ゲームより少し早いが俺が勇者の称号を賜った。
6年後の大戦でユーリに会える。
勇者の地位から蹴落とされないよう、鍛錬を重ねながら俺はその時を待った。
漸くゲーム開始のタイミングになった。
ゲームの強制力なのか、俺の次に強いカナタが俺の付き添いとして仲間に加わることとなった。
それ以外は概ねゲームのシナリオ通りに進んだ。
ひとり、またひとりと仲間が増えていく。
強制力という嫌な予感に苛まれながらも、俺はただユーリの事を考えていた。
どうにかコンタクトを取ろうと、四方八方手を尽くしたが、様々な邪魔が入り実現しなかった。
これもゲームの強制力なのか。
結局一言も交わす事なく、俺は敵としてユーリと対峙することとなった。
こうなったらユーリに殺されるか、俺がユーリを殺したい。
わざと戦力を分散させ、俺はユーリとの一騎打ちに臨んだ。
最後の勝負は、俺の勝利だった。
奈落へと落ちていくユーリ。
その金の目は、俺だけを映していた。
ユーリ、見ているか。俺が、俺こそが、お前を殺した唯一の人間だ。
砦に戻ってからの俺は、腑抜けだった。
ユーリがいない世界なんて、どうでも良かった。
表面上は穏やかに過ごしていたが、心は荒んでいた。
魔王戦を前に、一人でも良いから契約しろとせっつかれるのをのらりくらりと躱した。
ゲームの契約はワンタップで気軽に出来たが、現実の契約はどうしても『特別』感があって面倒くさい。
どうせ契約しなくても協力的な仲間しかいないんだし、能力が足りない分は俺が強くなれば良い。
俺は契約なんてしない。
そして迎えた最後の《英雄召喚》。
この《英雄召喚》はゲームではガチャに相当するシステムだ。
ゲーム内の中ボスだったユーリは当然排出されない。
魔法陣の前に立ち、呪文を唱える。
《英雄召喚》はその時最も必要な戦力を引き当てることができる魔術、という設定だった。
もしそれが本当ならば、今俺に最も必要なのは……
思いがけずユーリが仲間になった。
記憶が無いふりなんてしているが、魔族思いのユーリだ。
最後に裏切る事でも画策しているのだろう。
それなら別にそれで良い。
最後までユーリの側にいられるのなら。
ユーリの心が手に入らないであろうことはわかるから、俺は少しズルをした。
正確な《契約条件》は俺が定めたルールが真実だと強く思うようになること。
思うだけなので、矛盾や疑念から解けてしまう事もある弱い条件だ。
だがユーリは思った以上に素直な性格で、俺が作った馬鹿みたいなルールを真面目に守っていた。
キスもした事が無いとは嬉しい誤算だった。
ユーリの初めてが欲しいと考えるようになったのはその頃だ。
ユーリと初めて体を繋げた時、俺は幸せの絶頂にいると思った。
このまま死んでも良い。
そう思ったからネタばらしをした。
最後くらいは、ユーリに本来の態度を取ってもらいたかったから。
でも、ユーリはそんな俺を受け入れ、愛を返してくれた。
この世界に生まれて良かったと、初めて思った。
魔王戦は正直余裕だった。
もともとひとりで倒すつもりで鍛錬してきた上にユーリがかけてくれた支援魔術の効果もあり、あっさりと魔王は倒れた。
後は魔法陣を破壊するだけ。
そうしたらユーリと平和に暮らせる。
浮かれて油断していたのだろう。
核が攻撃してくるなどという、ゲームではあり得ない事が起こった。
崩れていく部屋の中で、俺は絶望していた。
これは、ゲームの強制力だ。
聖剣を手にしたカナタの姿は、ゲームの主人公そのままだった。
ここで異物である俺が排除され物語の主人公はカナタになれば、結末は元通り。
なら本来死んでいるはずのユーリは?
俺はユーリだけは絶対に助けたくて、最後のルールを示した。
そこで初めて、ユーリはルールに抵抗した。
魔力を込めて契約の効果を強めると、しばらくの間は抵抗したが、やがてユーリは去っていった。
幸せを願う言葉を口にしたとき、大きな崩落が起こり俺の体は瓦礫に飲み込まれた。
頭に大きな破片が当たり、倒れ込む。
じわじわと広がる血溜まりの中、俺の意識は闇に沈んでいった。
目を覚ました時ユーリに抱きしめられていて、ここは死後の世界でユーリも一緒に死んでくれたのだと思った。
ユーリが死んだことの悲しみは、一緒に死んでくれたことの喜びに塗り潰された。
その時自覚した。
もうユーリを手放せない。手放してあげない。
朝日の中、微睡みながら目を開けると、隣に艶やかな漆黒の髪が見えた。
髪をかきあげ後ろに払うと、白く美しい顔が出てきた。
ちゅ、ちゅ、と触れるだけのキスを繰り返すと、ユーリはくすぐったそうに身じろぎ、うっすらと目を開けた。
「ん…ちゅ……」
触れるだけだったキスは、段々と深いものに変わっていく。
ユーリはキスが好きだ。
未だにふたりきりになる度にキスを強請ってくるので、前の契約は無効になったから無理にキスしなくても良いんだよと伝えたら、前は義務感が混ざってたけれど今は純粋にしたいからしてるだけだと顔を真っ赤にして言っていたっけ。
舌を絡めてユーリの口内を味わい尽くし、満足して顔を離すと、真っ赤になったユーリは浅く息を吐きながら目尻に涙を浮かべていた。
「っはぁ、ウィル……もう……」
「感じちゃった?」
布団を取り去ると、ユーリのチンポは夜着の薄布を押し上げていた。
「キスだけでこんなにして……ユーリはエッチだね」
「あっ……だって、きもちいい……」
夜着の中に手を突っ込みチンポを撫でると、ユーリは気持ち良さそうに腰を揺らした。
「あんっ、ふぁっ……うしろもさわってぇ……」
俺と契約していた時の癖なのか、こうやってユーリは素直に乱れる。
普段のツンと澄ましたユーリも可愛いが、こうやってグズグズに溶けて甘えてくるユーリは別格だ。
俺しか知らない。誰にも見せない。
夜着を剥ぎ取り脚を持ち上げると、強請られるまま卑猥に育った縦割れアナルに指を突っ込んだ。
昨日も夜更けまで挿入っていたそこは、くちりと音を立てながら簡単に俺の指を呑み込んでいく。
「あんっ!あっ!きもちいいっ!!」
無遠慮に動かしてやると、甲高い嬌声をあげた。
明らかにさっきよりも悦んでいる。
もう前の刺激だけではイけないのではないか。
あんまり指に悦ぶのが悔しくて、俺は指を引き抜き、代わりにチンポをズブリと突き立てた。
「指なんかよりこっちの方がいいでしょ」
「あっ!こっち!こっちがいい!!ウィルのすきぃ……」
ずるりと引き抜き、一気に突き立てる。
亀頭で前立腺を抉るように突いてやると、甘い声をあげてヨガった。
挿入れる時はふわふわだったアナルは、俺のチンポを逃さぬよう硬く喰い締めてくる。
俺の動きに合わせ、肉壁がうねうねと絡み付いた。
油断してるとこっちが持ってかれそうだ。
イかされないよう荒々しく出し入れし、最奥にある結腸の入り口に当たった。
「あっ!おく、おくもトントンして!」
尻を高く持ち上げ、上から刺すように責め立てる。
カリ首で結腸口を引っ掻いてやると、長い髪を振り乱してアンアンと喘いでいた。
「あっ!やら、ふかいっ!きもちいいよぉ!」
「ユーリはここが好きだから、いっぱい突いてあげるね」
俺の動きに合わせて揺れる自分のチンポから垂れた先走りが顔に掛かっている事を気にもせず、ユーリは大口を開けながら感じ入っていた。
「イク!イクっ!!」
ユーリは肉壁を痙攣させると、ぎゅっと爪先を丸めてドライでイった。
「あっ!らめっ!イったばっかだからぁ!」
「俺はまだなんだよね。もうちょっと頑張って」
尻を下ろし、正常位でパンパンと打ちつける。
ユーリの顔は自身のカウパーと涙と涎でベトベトだった。
その液体を舐め取り、顔中にキスを落とすと、ユーリは恍惚とした表情を浮かべた。
「ユーリ、気持ち良いよ。射精そうだ……っ!」
「ああっ!またイクぅ!!イっちゃうううぅ!!!」
ユーリが腸全体を大きく収縮させ、その刺激で俺も射精した。
ドクドクと精子を流し込む間も肉壁がビクビクと俺のチンポを締め付けてきて、気持ちがいい。
それと同時に、右手から大量の魔力が流れ込んできた。
魔力の奔流にあてられ、クラクラする。
ずるりとチンポを抜くと、俺の形にぽっかりと開いた穴からどろりと精子が垂れた。
白い肌に貼り付いた長い黒髪と上気してトロトロに蕩けた表情がエロくて再び勃起しそうになるが、昨晩からの行為で疲れ切ったユーリにこれ以上無理はさせられないとぐっと我慢した。
かわりに濡れたタオルで体を清めて優しく抱きしめる。
よしよしと頭を撫でてやると、ユーリは嬉しそうに微睡んだ。
魔力の流れが穏やかになってくると、そこに混ざっている魔力以外の存在を感じた。
キラキラ輝くような力の源流のようなそれは、生命力とでも言うべきか。
聖魔法が使える人間は長生きだが、魔族程ではない。
普通に生きれば、俺の方が先に死ぬだろう。
だが、ユーリを残して死ぬなんて、今では我慢できない。
ユーリは俺と生きて、俺と死んで欲しい。
以前そんな事を伝えたら、ユーリはうっそり笑って俺と交わした《契約条件》を教えてくれた。
『契約者同士、互いに共に生き、共に死ぬこと』
要はこの契約がある限り、俺の望み通りになるのだと。
ユーリはこうやって少しずつ寿命を分けてくれる。
こうして魔力も寿命も分け合って、一緒に死のう。
ユーリの手に手を絡め、指輪をそっと撫でる。
そんな俺の手には、金色の指輪がはまっていた。
「ユーリ、愛してるよ。一生離さない」
今世の両親がどんな人だったかは知らない。
俺は聖魔術が使えたから、勇者見習いとして教会で暮らしていた。
勇者が扱う聖剣は、聖魔術を使える者にしか持つことができない。
しかし、聖魔術はとても珍しい魔術だ。
この国では勇者育成の名目で、男子に聖魔術が現れると教会に預ける義務があった。
俺が聖魔術を発現したのは赤ん坊の頃だったから、その頃から教会住みで、それ以降親は一度も訪ねて来なかった。
教会に住む勇者見習いは、仕事の一環として少年兵として戦場に出たり魔物を討伐したりする。
その時の魔物の見た目と名前が前世の人気スマホゲームのザコ敵と同じだったから、この世界があのゲームの世界だとはすぐに気付いた。
前世の記憶があったところでチートなんて使えないし、良いことなんて無かった。
むしろ前世の倫理観が邪魔をして、魔族や人間を殺す度に罪悪感に苛まれた。
苦しみながらも俺は実力を伸ばし、いつしか次代の勇者と呼ばれるようになっていた。
勇者になる——それは俺を突き動かす原動力だった。
ゲームと比較して、今がいつのタイミングなのかは分からない。
でも、もしゲームと同じタイミングで勇者になれるのなら。
前世の推しであるユリウス・フォン・ベルゼブルク——ユーリを仲間にしたい。
中ボスにあたる敵で、ゲームでは決して仲間にならなかった孤高の存在。
でも、ここはゲームではなく現実だ。
思慮深く他人に優しいところがあるユーリなら、人間の話を聞いてくれるかもしれない。
俺は勇者見習いの中でも実力は飛び抜けているし、剣術も魔術も大人にだって負けない。
勇者になれるのならば、苦しんだ意味がある。この苦しみは報われる。
そう自分を鼓舞し、日々を過ごしていた。
転機が訪れたのは俺が14歳の頃だった。
カナタという名の少年が、新たに勇者見習いとして教会に連れられて来た。
カナタ——この世界の西洋風の雰囲気に合わない日本風のその名は、ゲームの主人公のデフォルトネームだった。
わずか8歳の少年は、キラキラとした目でこちらを見つめていた。
前世の記憶があるか警戒したがそんな事はなく、カナタはごく普通の少年だった。
だが、魔力が多く剣の資質が高い。
訓練次第では、俺なんかすぐに抜かしていくだろう。
勇者になれない。
その可能性が突き付けられて、心が凍りついた。
勇者見習いの少年兵は、勇者にならずとも騎士団で優遇れされると聞く。
だが、そんなものがどれだけの価値があると言うのだ。
勇者になれなければユーリに会えない。それだけだ。
でもここは現実だ。シナリオ通りになるとは限らない。
主人公に負けないよう、研鑽を積もう。
俺に出来ることはそれだけだった。
それから2年。身を削るような鍛錬を積み、ゲームより少し早いが俺が勇者の称号を賜った。
6年後の大戦でユーリに会える。
勇者の地位から蹴落とされないよう、鍛錬を重ねながら俺はその時を待った。
漸くゲーム開始のタイミングになった。
ゲームの強制力なのか、俺の次に強いカナタが俺の付き添いとして仲間に加わることとなった。
それ以外は概ねゲームのシナリオ通りに進んだ。
ひとり、またひとりと仲間が増えていく。
強制力という嫌な予感に苛まれながらも、俺はただユーリの事を考えていた。
どうにかコンタクトを取ろうと、四方八方手を尽くしたが、様々な邪魔が入り実現しなかった。
これもゲームの強制力なのか。
結局一言も交わす事なく、俺は敵としてユーリと対峙することとなった。
こうなったらユーリに殺されるか、俺がユーリを殺したい。
わざと戦力を分散させ、俺はユーリとの一騎打ちに臨んだ。
最後の勝負は、俺の勝利だった。
奈落へと落ちていくユーリ。
その金の目は、俺だけを映していた。
ユーリ、見ているか。俺が、俺こそが、お前を殺した唯一の人間だ。
砦に戻ってからの俺は、腑抜けだった。
ユーリがいない世界なんて、どうでも良かった。
表面上は穏やかに過ごしていたが、心は荒んでいた。
魔王戦を前に、一人でも良いから契約しろとせっつかれるのをのらりくらりと躱した。
ゲームの契約はワンタップで気軽に出来たが、現実の契約はどうしても『特別』感があって面倒くさい。
どうせ契約しなくても協力的な仲間しかいないんだし、能力が足りない分は俺が強くなれば良い。
俺は契約なんてしない。
そして迎えた最後の《英雄召喚》。
この《英雄召喚》はゲームではガチャに相当するシステムだ。
ゲーム内の中ボスだったユーリは当然排出されない。
魔法陣の前に立ち、呪文を唱える。
《英雄召喚》はその時最も必要な戦力を引き当てることができる魔術、という設定だった。
もしそれが本当ならば、今俺に最も必要なのは……
思いがけずユーリが仲間になった。
記憶が無いふりなんてしているが、魔族思いのユーリだ。
最後に裏切る事でも画策しているのだろう。
それなら別にそれで良い。
最後までユーリの側にいられるのなら。
ユーリの心が手に入らないであろうことはわかるから、俺は少しズルをした。
正確な《契約条件》は俺が定めたルールが真実だと強く思うようになること。
思うだけなので、矛盾や疑念から解けてしまう事もある弱い条件だ。
だがユーリは思った以上に素直な性格で、俺が作った馬鹿みたいなルールを真面目に守っていた。
キスもした事が無いとは嬉しい誤算だった。
ユーリの初めてが欲しいと考えるようになったのはその頃だ。
ユーリと初めて体を繋げた時、俺は幸せの絶頂にいると思った。
このまま死んでも良い。
そう思ったからネタばらしをした。
最後くらいは、ユーリに本来の態度を取ってもらいたかったから。
でも、ユーリはそんな俺を受け入れ、愛を返してくれた。
この世界に生まれて良かったと、初めて思った。
魔王戦は正直余裕だった。
もともとひとりで倒すつもりで鍛錬してきた上にユーリがかけてくれた支援魔術の効果もあり、あっさりと魔王は倒れた。
後は魔法陣を破壊するだけ。
そうしたらユーリと平和に暮らせる。
浮かれて油断していたのだろう。
核が攻撃してくるなどという、ゲームではあり得ない事が起こった。
崩れていく部屋の中で、俺は絶望していた。
これは、ゲームの強制力だ。
聖剣を手にしたカナタの姿は、ゲームの主人公そのままだった。
ここで異物である俺が排除され物語の主人公はカナタになれば、結末は元通り。
なら本来死んでいるはずのユーリは?
俺はユーリだけは絶対に助けたくて、最後のルールを示した。
そこで初めて、ユーリはルールに抵抗した。
魔力を込めて契約の効果を強めると、しばらくの間は抵抗したが、やがてユーリは去っていった。
幸せを願う言葉を口にしたとき、大きな崩落が起こり俺の体は瓦礫に飲み込まれた。
頭に大きな破片が当たり、倒れ込む。
じわじわと広がる血溜まりの中、俺の意識は闇に沈んでいった。
目を覚ました時ユーリに抱きしめられていて、ここは死後の世界でユーリも一緒に死んでくれたのだと思った。
ユーリが死んだことの悲しみは、一緒に死んでくれたことの喜びに塗り潰された。
その時自覚した。
もうユーリを手放せない。手放してあげない。
朝日の中、微睡みながら目を開けると、隣に艶やかな漆黒の髪が見えた。
髪をかきあげ後ろに払うと、白く美しい顔が出てきた。
ちゅ、ちゅ、と触れるだけのキスを繰り返すと、ユーリはくすぐったそうに身じろぎ、うっすらと目を開けた。
「ん…ちゅ……」
触れるだけだったキスは、段々と深いものに変わっていく。
ユーリはキスが好きだ。
未だにふたりきりになる度にキスを強請ってくるので、前の契約は無効になったから無理にキスしなくても良いんだよと伝えたら、前は義務感が混ざってたけれど今は純粋にしたいからしてるだけだと顔を真っ赤にして言っていたっけ。
舌を絡めてユーリの口内を味わい尽くし、満足して顔を離すと、真っ赤になったユーリは浅く息を吐きながら目尻に涙を浮かべていた。
「っはぁ、ウィル……もう……」
「感じちゃった?」
布団を取り去ると、ユーリのチンポは夜着の薄布を押し上げていた。
「キスだけでこんなにして……ユーリはエッチだね」
「あっ……だって、きもちいい……」
夜着の中に手を突っ込みチンポを撫でると、ユーリは気持ち良さそうに腰を揺らした。
「あんっ、ふぁっ……うしろもさわってぇ……」
俺と契約していた時の癖なのか、こうやってユーリは素直に乱れる。
普段のツンと澄ましたユーリも可愛いが、こうやってグズグズに溶けて甘えてくるユーリは別格だ。
俺しか知らない。誰にも見せない。
夜着を剥ぎ取り脚を持ち上げると、強請られるまま卑猥に育った縦割れアナルに指を突っ込んだ。
昨日も夜更けまで挿入っていたそこは、くちりと音を立てながら簡単に俺の指を呑み込んでいく。
「あんっ!あっ!きもちいいっ!!」
無遠慮に動かしてやると、甲高い嬌声をあげた。
明らかにさっきよりも悦んでいる。
もう前の刺激だけではイけないのではないか。
あんまり指に悦ぶのが悔しくて、俺は指を引き抜き、代わりにチンポをズブリと突き立てた。
「指なんかよりこっちの方がいいでしょ」
「あっ!こっち!こっちがいい!!ウィルのすきぃ……」
ずるりと引き抜き、一気に突き立てる。
亀頭で前立腺を抉るように突いてやると、甘い声をあげてヨガった。
挿入れる時はふわふわだったアナルは、俺のチンポを逃さぬよう硬く喰い締めてくる。
俺の動きに合わせ、肉壁がうねうねと絡み付いた。
油断してるとこっちが持ってかれそうだ。
イかされないよう荒々しく出し入れし、最奥にある結腸の入り口に当たった。
「あっ!おく、おくもトントンして!」
尻を高く持ち上げ、上から刺すように責め立てる。
カリ首で結腸口を引っ掻いてやると、長い髪を振り乱してアンアンと喘いでいた。
「あっ!やら、ふかいっ!きもちいいよぉ!」
「ユーリはここが好きだから、いっぱい突いてあげるね」
俺の動きに合わせて揺れる自分のチンポから垂れた先走りが顔に掛かっている事を気にもせず、ユーリは大口を開けながら感じ入っていた。
「イク!イクっ!!」
ユーリは肉壁を痙攣させると、ぎゅっと爪先を丸めてドライでイった。
「あっ!らめっ!イったばっかだからぁ!」
「俺はまだなんだよね。もうちょっと頑張って」
尻を下ろし、正常位でパンパンと打ちつける。
ユーリの顔は自身のカウパーと涙と涎でベトベトだった。
その液体を舐め取り、顔中にキスを落とすと、ユーリは恍惚とした表情を浮かべた。
「ユーリ、気持ち良いよ。射精そうだ……っ!」
「ああっ!またイクぅ!!イっちゃうううぅ!!!」
ユーリが腸全体を大きく収縮させ、その刺激で俺も射精した。
ドクドクと精子を流し込む間も肉壁がビクビクと俺のチンポを締め付けてきて、気持ちがいい。
それと同時に、右手から大量の魔力が流れ込んできた。
魔力の奔流にあてられ、クラクラする。
ずるりとチンポを抜くと、俺の形にぽっかりと開いた穴からどろりと精子が垂れた。
白い肌に貼り付いた長い黒髪と上気してトロトロに蕩けた表情がエロくて再び勃起しそうになるが、昨晩からの行為で疲れ切ったユーリにこれ以上無理はさせられないとぐっと我慢した。
かわりに濡れたタオルで体を清めて優しく抱きしめる。
よしよしと頭を撫でてやると、ユーリは嬉しそうに微睡んだ。
魔力の流れが穏やかになってくると、そこに混ざっている魔力以外の存在を感じた。
キラキラ輝くような力の源流のようなそれは、生命力とでも言うべきか。
聖魔法が使える人間は長生きだが、魔族程ではない。
普通に生きれば、俺の方が先に死ぬだろう。
だが、ユーリを残して死ぬなんて、今では我慢できない。
ユーリは俺と生きて、俺と死んで欲しい。
以前そんな事を伝えたら、ユーリはうっそり笑って俺と交わした《契約条件》を教えてくれた。
『契約者同士、互いに共に生き、共に死ぬこと』
要はこの契約がある限り、俺の望み通りになるのだと。
ユーリはこうやって少しずつ寿命を分けてくれる。
こうして魔力も寿命も分け合って、一緒に死のう。
ユーリの手に手を絡め、指輪をそっと撫でる。
そんな俺の手には、金色の指輪がはまっていた。
「ユーリ、愛してるよ。一生離さない」
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死亡回避のためネロディアスにみつからぬようにしていたが、なぜかうまくいかないし、その上婚約することにもなってしまった??
十八歳で死にたくないので、婚約も従者もごめんです。だけど家の事情で断れない。
こうなったら婚約も従者契約も撤回するよう王子を説得しよう!
そう思ったノワールはなんとか策を練るのだが、ネロディアスは撤回どころかもっと執着してきてーー!?
クールで理論派、ラスボスからなんとか逃げたいモブ従者のノワールと、そんな従者を絶対逃がさない冷酷無慈悲?なラスボス王子ネロディアスの恋愛頭脳戦。
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
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