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第1章
異世界でやりたいことと言えば
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さて、俺が前世の記憶を思い出してから数週間が経った。
ようやく怪我による安静期間も終わり、念願の自由行動が認められたのだ。
やったぜ!!!!
……と思っていたが、貴族令息であり幼い。それに加えてこの間の怪我のこともあり、俺の自由に街を見て回りたいという願いはあえなく見送りとなってしまった。
とほほ…
だが俺は諦めない!
街へ行くことが出来ないなら、他にできることをすればいいんだよ!
いや、だって異世界だぜ?
となればやることはただ1つ!
「父様!俺、魔法を習いたいです!」
やっぱ魔法でしょ!!!
実は、俺の怪我を治してくれたのはうちのお抱え治癒士だってことを聞いたから魔法の存在は確認している。
だったら誰しも思うはず。
自分だって魔法を使ってみたいと!!!
やっぱりね、見るのもいいけど自分でやる方が絶対楽しいじゃん!!!
と、そんな感じで目をキラキラさせている俺を見ては少し悩んでいそうな雰囲気をしていたが、なんと父様直々に教えてくれることになった。
「…わかった。魔法の練習を認めよう。」
「本当ですか父様!」
「だが、そのかわりにいくつか条件がある。」
「条件ですか?」
「あぁ、一つは魔法の使用は私か母様がいる時だけにしなさい。魔法は使い所によっては危険が伴うからね」
「兄様と姉様は?」
「あの二人も多少は魔法を使えるだろうが、何かあった時には対処できないだろう?」
確かに言われてみればそうだ。
ここは異世界であるが現実でもある。
つまり、絶対に成功するとは限らないし、補正なんかも付いているわけがない。
あまりにも魔法の存在に興奮しすぎてうっかりそこを失念していた。
「次に、私が教えた以外の魔法は使ってはいけないよ」
「なぜですか?」
「まだ体に魔力が馴染んでいる途中だからだよ。そんな状態で無理に魔法を使おうとすると命の危険があるかもしれないんだ」
「なるほど…」
どうやら、思っていた以上に制約がありそうだがしょうがない。
魔法を学べるだけ良しとしよう。
─────────
と言うわけでやって来ました授業当日。
なぜかアルも一緒にいます。
「よし、二人とも準備はいいな」
「あの、父様。なぜアルがここにいるのですか?」
自然に始めようとしていたので聞いてみると、どうやら俺がそんなこと聞くとは思っていなかったのか、父様もアルも不思議そうな顔をしていた。
「なぜって…シルフィが教えたんじゃないのか?」
「え?確かに手紙で言いましたけど…」
「…もしかして、おれと一緒なの嫌だった…?」
ちょ!!そんなに泣きそうな顔しないで!!!
「嫌じゃないよ!!…ただ、俺が魔法の勉強をするとしか書いてなかったから不思議に思って…」
「あぁ、そう言うことか」
「あのね、おれがクリストフ様にお願いしたの。シルフィと一緒に授業受けたかったから…」
ダメだ。アルに犬の耳と尻尾が垂れているような幻覚が見える。
「そうだったんだ!俺もアルと一緒に授業受けれて嬉しいよ!」
俺がそう言うと、アルの表情はみるみるパァッと明るくなった。
「やっぱり、アルは笑顔が綺麗だなぁ…」
と呟くと、なぜかアルが恥ずかしそうにモジモジし始めた。
「シルフィ、そういうことはもう少し大人になってから言うものだよ?」
と言われた。どう言うことかと首を傾げていると
「おれもシルフィに笑顔大好き」
なんて言われて少しこそばゆかったが、なぜかお父様は微妙な顔持ちをしていた。何でだろ。
ようやく怪我による安静期間も終わり、念願の自由行動が認められたのだ。
やったぜ!!!!
……と思っていたが、貴族令息であり幼い。それに加えてこの間の怪我のこともあり、俺の自由に街を見て回りたいという願いはあえなく見送りとなってしまった。
とほほ…
だが俺は諦めない!
街へ行くことが出来ないなら、他にできることをすればいいんだよ!
いや、だって異世界だぜ?
となればやることはただ1つ!
「父様!俺、魔法を習いたいです!」
やっぱ魔法でしょ!!!
実は、俺の怪我を治してくれたのはうちのお抱え治癒士だってことを聞いたから魔法の存在は確認している。
だったら誰しも思うはず。
自分だって魔法を使ってみたいと!!!
やっぱりね、見るのもいいけど自分でやる方が絶対楽しいじゃん!!!
と、そんな感じで目をキラキラさせている俺を見ては少し悩んでいそうな雰囲気をしていたが、なんと父様直々に教えてくれることになった。
「…わかった。魔法の練習を認めよう。」
「本当ですか父様!」
「だが、そのかわりにいくつか条件がある。」
「条件ですか?」
「あぁ、一つは魔法の使用は私か母様がいる時だけにしなさい。魔法は使い所によっては危険が伴うからね」
「兄様と姉様は?」
「あの二人も多少は魔法を使えるだろうが、何かあった時には対処できないだろう?」
確かに言われてみればそうだ。
ここは異世界であるが現実でもある。
つまり、絶対に成功するとは限らないし、補正なんかも付いているわけがない。
あまりにも魔法の存在に興奮しすぎてうっかりそこを失念していた。
「次に、私が教えた以外の魔法は使ってはいけないよ」
「なぜですか?」
「まだ体に魔力が馴染んでいる途中だからだよ。そんな状態で無理に魔法を使おうとすると命の危険があるかもしれないんだ」
「なるほど…」
どうやら、思っていた以上に制約がありそうだがしょうがない。
魔法を学べるだけ良しとしよう。
─────────
と言うわけでやって来ました授業当日。
なぜかアルも一緒にいます。
「よし、二人とも準備はいいな」
「あの、父様。なぜアルがここにいるのですか?」
自然に始めようとしていたので聞いてみると、どうやら俺がそんなこと聞くとは思っていなかったのか、父様もアルも不思議そうな顔をしていた。
「なぜって…シルフィが教えたんじゃないのか?」
「え?確かに手紙で言いましたけど…」
「…もしかして、おれと一緒なの嫌だった…?」
ちょ!!そんなに泣きそうな顔しないで!!!
「嫌じゃないよ!!…ただ、俺が魔法の勉強をするとしか書いてなかったから不思議に思って…」
「あぁ、そう言うことか」
「あのね、おれがクリストフ様にお願いしたの。シルフィと一緒に授業受けたかったから…」
ダメだ。アルに犬の耳と尻尾が垂れているような幻覚が見える。
「そうだったんだ!俺もアルと一緒に授業受けれて嬉しいよ!」
俺がそう言うと、アルの表情はみるみるパァッと明るくなった。
「やっぱり、アルは笑顔が綺麗だなぁ…」
と呟くと、なぜかアルが恥ずかしそうにモジモジし始めた。
「シルフィ、そういうことはもう少し大人になってから言うものだよ?」
と言われた。どう言うことかと首を傾げていると
「おれもシルフィに笑顔大好き」
なんて言われて少しこそばゆかったが、なぜかお父様は微妙な顔持ちをしていた。何でだろ。
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