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37話 冒険
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「そうかー、ユキムラ君はしばらくはソロでやるのかー、残念だけど仕方ない。
何か困ったことあったら誰にでも相談するといい!
しかし、若いのによくこういう機微な面がわかっているなぁ、今日は遠慮なく楽しませてもらうよ」
大笑いをしながら冒険者の一人が輪の中へ戻っていく。
中身はおっさんなユキムラならではの気遣いだ。
と、言ってもネットの知識なんだけどね。
本人は他人と飲んだりしたことなんて無いからね。
ユキムラは年齢が下であることでレベル関係なく他の冒険者たちを立てた。
レンもそのあたりは大変上手なので、むしろユキムラはレンの行動から学んでいた。
冒険者のみんなははっきりしていて気持ちが良かった。
この世界の冒険者の立ち位置は正義の味方だ。
若い頃からそういう風に聞かされて育った人間がやる職業で、皆の憧れだ。
冒険者は自分たちが冒険者であることに誇りを持っている。
ある程度の実力があれば冒険者ギルドで認められ冒険者としての証であるギルドカードはもらえる。
低位の冒険者は期間内に依頼をこなしてポイントを稼がないと容赦なく降格、場合によっては除名されてしまう。だから一生懸命依頼をこなす、もちろん依頼は民からされるものも多く、人助けにもなる。人助けだから依頼をこなす人も当然多い。
はじめの3ヶ月は新人ルーキーとして先輩方からいろいろと優しくされて、そしてその間にこなしたポイントで最初のギルドランクが決定される。
(やっぱり、ゲームとは違うな人と人の繋がりなんだな……)
盛り上がっている宴の輪を遠くに見ながらユキムラは物思いに耽る。
フラグ立ててサクッとこなしていこうと思っていたらひょんなことからこういう事になってしまった。
自分の予想通りにならないことが不快ではなく、むしろとても楽しく思えていた。
通信機で呼んだ村長も楽しそうに騒いでいる。
調子に乗りすぎている村長をレンが叱っている。
「ハハハハハハハッ」
心の底から思わず笑いが出た。
なんか、久しぶりだな。こういう素直な笑いは。
俺はここで《生きて》いるんだな。
また強くユキムラは感じている。
人との触れ合い、混じり合うことで自分の存在を強く感じる。
一人で生きて来たユキムラにとってそれは新鮮な事だった。
宴が潰れて解散するまで心地よい時間を楽しむことが出来た。
翌朝、完全に二日酔いで産業廃棄物になってしまった村長に回復魔法をかけようとしたら、レンにいい薬だからほっておきましょうと言われてしまった。
机の上に薬は置いておくから頑張って這い出して飲んでください。
そう祈らずにはいられなかった。
昨日はひょんな事からフラグ立てが出来なかったので自由行動最終日の今日に行う。
まずは冒険者ギルドでクエストを受ける、そのクエストを報告して、すでにレベルはクリアしてるから緊急クエストが入るはずだ。
ギルドに入ると昨日と違って閑散としている。
ギルド職員が化物を見るような目でユキムラを見ている。
「あ、あんなに飲んだのに平気な顔で……」
「やっぱりあのルーキーやばいよ……」
そういうことは本人の耳に入らない音量で話しましょう。
適当に採取クエを手に取る。
すでに持っているから報告するだけだ。
「えーっと、薬草10束、鉄鉱石2キロ、木炭4キロ、石炭4キロ、毒消し草10束、って、ちょ、ちょっと待って下さい! そんなに乗りませんよ!」
言われるがままにどんどんアイテムをカウンターの上に乗せてたら怒られてしまった。
「なんて容量のアイテムをしまえるんですかそれは!?」
奥から応援のギルド員が出てくる始末。全ての依頼品を納入する。
ルーキー時代は報奨金は半額しかもらえない。
それでも数をこなしたので100,000zを超える金額になった。
ホクホク、お金はいくらあってもいいのです。
基本的に村を経由した収入はレンが管理している。
今回のは自分で持つことにする。
バーンッと扉が開く。
傷ついた冒険者が飛び込んでくる、と同時にユキムラは失敗したことに気がつく。
明日の面会に間に合わないぞこのイベント起こすと。
今更だ、ユキムラはレンにこれからの流れを話して明日のことをお願いする。
「師匠のうっかりは今に始まったことではないですから、明日は任せてください!」
どんと胸をはるレンである、ユキムラからお願いされて非常に嬉しいらしい。かわいいやつだ。
「た、頼む仲間を助けてくれ!」
傷ついた冒険者はシーフ系を思わせる軽装な装備で腰に短剣を携えている。
その顔は必死そのものでギルドの受付に事情を話している。
横顔からもイケメン臭がする。体つきは細いが、鍛えられ引き締まった身体と言える。
「事情は聞いた。そのダンジョンなら一度入っているので私がすぐに行ってきます」
「本当か!? 助かる、ってルーキーじゃないか! 君には無理だ」
「カシンさんその方はルーキーではあるもののレベルは75です、お願いしましょう」
「な、75! いや、それなら是非にお願いする。
5階でモンスターの大発生に遭遇してしまって、俺だけ魔法で外に叩き出された。
そのまま飛蛾の羽で街に戻ったんだ、まだ間に合う、頼む!!」
土下座を始めるカシンと呼ばれた男を立たせる。
「大丈夫、すぐに向かう」
その時点でクエスト欄に72:00:00とカウントダウンが開始される。
さて、急ごう。
「とりあえず」
ボロボロのカシンの怪我を回復する。
「な、回復魔法まで使えるのか!! ああ、レイ! これで助けられる……
帰ってきたらあの野郎! 絶対に許さねぇからな…… 絶対無事に帰ってこいよ!」
祈るような仕草で涙を流すカシン、男の涙は熱いな。
ユキムラはぐっと気合を入れる。
すぐにギルドを飛び出して馬車へと向かう、一度村へと転移して向かえばすぐだ。
待ってろよカシンさん!
何か困ったことあったら誰にでも相談するといい!
しかし、若いのによくこういう機微な面がわかっているなぁ、今日は遠慮なく楽しませてもらうよ」
大笑いをしながら冒険者の一人が輪の中へ戻っていく。
中身はおっさんなユキムラならではの気遣いだ。
と、言ってもネットの知識なんだけどね。
本人は他人と飲んだりしたことなんて無いからね。
ユキムラは年齢が下であることでレベル関係なく他の冒険者たちを立てた。
レンもそのあたりは大変上手なので、むしろユキムラはレンの行動から学んでいた。
冒険者のみんなははっきりしていて気持ちが良かった。
この世界の冒険者の立ち位置は正義の味方だ。
若い頃からそういう風に聞かされて育った人間がやる職業で、皆の憧れだ。
冒険者は自分たちが冒険者であることに誇りを持っている。
ある程度の実力があれば冒険者ギルドで認められ冒険者としての証であるギルドカードはもらえる。
低位の冒険者は期間内に依頼をこなしてポイントを稼がないと容赦なく降格、場合によっては除名されてしまう。だから一生懸命依頼をこなす、もちろん依頼は民からされるものも多く、人助けにもなる。人助けだから依頼をこなす人も当然多い。
はじめの3ヶ月は新人ルーキーとして先輩方からいろいろと優しくされて、そしてその間にこなしたポイントで最初のギルドランクが決定される。
(やっぱり、ゲームとは違うな人と人の繋がりなんだな……)
盛り上がっている宴の輪を遠くに見ながらユキムラは物思いに耽る。
フラグ立ててサクッとこなしていこうと思っていたらひょんなことからこういう事になってしまった。
自分の予想通りにならないことが不快ではなく、むしろとても楽しく思えていた。
通信機で呼んだ村長も楽しそうに騒いでいる。
調子に乗りすぎている村長をレンが叱っている。
「ハハハハハハハッ」
心の底から思わず笑いが出た。
なんか、久しぶりだな。こういう素直な笑いは。
俺はここで《生きて》いるんだな。
また強くユキムラは感じている。
人との触れ合い、混じり合うことで自分の存在を強く感じる。
一人で生きて来たユキムラにとってそれは新鮮な事だった。
宴が潰れて解散するまで心地よい時間を楽しむことが出来た。
翌朝、完全に二日酔いで産業廃棄物になってしまった村長に回復魔法をかけようとしたら、レンにいい薬だからほっておきましょうと言われてしまった。
机の上に薬は置いておくから頑張って這い出して飲んでください。
そう祈らずにはいられなかった。
昨日はひょんな事からフラグ立てが出来なかったので自由行動最終日の今日に行う。
まずは冒険者ギルドでクエストを受ける、そのクエストを報告して、すでにレベルはクリアしてるから緊急クエストが入るはずだ。
ギルドに入ると昨日と違って閑散としている。
ギルド職員が化物を見るような目でユキムラを見ている。
「あ、あんなに飲んだのに平気な顔で……」
「やっぱりあのルーキーやばいよ……」
そういうことは本人の耳に入らない音量で話しましょう。
適当に採取クエを手に取る。
すでに持っているから報告するだけだ。
「えーっと、薬草10束、鉄鉱石2キロ、木炭4キロ、石炭4キロ、毒消し草10束、って、ちょ、ちょっと待って下さい! そんなに乗りませんよ!」
言われるがままにどんどんアイテムをカウンターの上に乗せてたら怒られてしまった。
「なんて容量のアイテムをしまえるんですかそれは!?」
奥から応援のギルド員が出てくる始末。全ての依頼品を納入する。
ルーキー時代は報奨金は半額しかもらえない。
それでも数をこなしたので100,000zを超える金額になった。
ホクホク、お金はいくらあってもいいのです。
基本的に村を経由した収入はレンが管理している。
今回のは自分で持つことにする。
バーンッと扉が開く。
傷ついた冒険者が飛び込んでくる、と同時にユキムラは失敗したことに気がつく。
明日の面会に間に合わないぞこのイベント起こすと。
今更だ、ユキムラはレンにこれからの流れを話して明日のことをお願いする。
「師匠のうっかりは今に始まったことではないですから、明日は任せてください!」
どんと胸をはるレンである、ユキムラからお願いされて非常に嬉しいらしい。かわいいやつだ。
「た、頼む仲間を助けてくれ!」
傷ついた冒険者はシーフ系を思わせる軽装な装備で腰に短剣を携えている。
その顔は必死そのものでギルドの受付に事情を話している。
横顔からもイケメン臭がする。体つきは細いが、鍛えられ引き締まった身体と言える。
「事情は聞いた。そのダンジョンなら一度入っているので私がすぐに行ってきます」
「本当か!? 助かる、ってルーキーじゃないか! 君には無理だ」
「カシンさんその方はルーキーではあるもののレベルは75です、お願いしましょう」
「な、75! いや、それなら是非にお願いする。
5階でモンスターの大発生に遭遇してしまって、俺だけ魔法で外に叩き出された。
そのまま飛蛾の羽で街に戻ったんだ、まだ間に合う、頼む!!」
土下座を始めるカシンと呼ばれた男を立たせる。
「大丈夫、すぐに向かう」
その時点でクエスト欄に72:00:00とカウントダウンが開始される。
さて、急ごう。
「とりあえず」
ボロボロのカシンの怪我を回復する。
「な、回復魔法まで使えるのか!! ああ、レイ! これで助けられる……
帰ってきたらあの野郎! 絶対に許さねぇからな…… 絶対無事に帰ってこいよ!」
祈るような仕草で涙を流すカシン、男の涙は熱いな。
ユキムラはぐっと気合を入れる。
すぐにギルドを飛び出して馬車へと向かう、一度村へと転移して向かえばすぐだ。
待ってろよカシンさん!
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