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42話 ギルド長の実力
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ギルドマスターは木剣を素振りしている。
ギャラリーは領主であるレックス、町役場で働くカイツ、ギルドサブマスターのパック、村長とレンだ。レンは一番近いところで目をキラキラさせている。
「ははは、かっこ悪いとこ見せられないなぁ」
ユキムラも渡された木剣を振って確かめる。
「一応俺はレベル116だ、普段の得物は両手剣だが、片手剣もまぁまぁ使える」
「俺は今レベル77、魔法使いではあるけど、得物はこれで構わない」
ギルマスのコメカミがピクリと反応する。
「あ、もともと得意なのが片手剣なので別に馬鹿にしてるつもりはないですよ」
ユキムラはすぐに訂正する。
「まぁ、そういう類の事をする男じゃないのはわかる。
お前に何があるか見極めさせてもらう」
右手に木剣を構え半身で経つギルマス。
構えることで身体が実際よりも大きく感じられる。
(こりゃ本物だなぁ)
ユキムラは内心ワクワクしている。
PvPで自分より強者とやれるのだ、試したいことは山ほどある。
「パック」
ギルマスが気合の乗った声でサブマスターに声をかける。
「それでは、はじめ!」
開始の合図はされたがすぐには動かない、ユキムラもサイレンもお互いの動きを見逃さないように集中する。
「いくぞ」
一層低い声がする、同時に足元の土が舞い上がり凄まじい踏み込みでサイレンが斬りかかる。
それでもユキムラはわかっている、これは様子見だ。
無理に剣を合わさずに足捌きだけで避ける、振り下ろされたと思った剣が薙ぎ払われ避けたユキムラに襲いかかる。
「ふっ!」
ごく小さなバックステップで避ける、肩口の借りた練習着が木剣によって綺麗に切られる。
サイレンはほんの少し目を見開く。
(これを、こうも見事に避けるか……)
「では、こちらからも」
サイレンの一撃が剛の一撃だったとするならユキムラは静かに、しかし疾く木剣を突き出す。
「ぬ」
ガリガリとユキムラの突きを木剣で受ける、ぱぁっと頬から鮮血が舞う。
すぐにその剣を払い落として攻勢に出ようとするサイレン、ぐっと木剣に力を入れるとあまりの軽さに驚く、その一瞬の戸惑いで全てが決まった。
今そこにあったユキムラの剣が消えており、変わりに逆の首筋に剣が添えられていた。
「勝負あり!!」
本当に瞬きの間とも言える一瞬の攻防だった。
だがそれだけでユキムラの圧倒的な実力がはっきりと示すことが出来た。
(カウンター返しも有効なんだな、よしまた一つわかったぞ)
ユキムラが使ったのは相手がカウンターを放とうとしている時にカウンターを取れる攻撃を装って、確定カウンターを入れることが出来るフェイントの一種だ。
相手が防御しようとしてると逆に仕掛けた方の体勢が崩れてピンチになるリスクは有る。
今回のように綺麗に決まると美しいため、PvPプレイヤーにとって一番の華とも言える。
相手の攻撃発生をギリギリのフレームまで我慢して見れるユキムラの得意技だ、たくさんのプレイヤーが色々な対策をしてきたが、無数の攻防に狡猾な餌と罠を蒔いていくユキムラに勝ち越すようなプレイヤーは、とうとう現れなかった。
ゲーム補助を利用すると達人相手もかなり圧倒できることにユキムラは少しホッとしていた。
「やるな」
「そちらも」
ぐっと熱い握手を交わす。
たぶんバトルモードで戦わなければ相手にもならないだろう。
ユキムラはそう分析していた。
「君の人となりはだいたい理解した。真っ直ぐだな。嫌いじゃない」
「ありがとうございます」
「ただ、あまりギルドで大騒ぎするのは止めてくれ」
にかっと白い歯を見せて笑うサイレン、
「あと、騒ぐときは俺も混ぜろ」
「次回は是非に」
こうしてギルドマスターの試験? は終了した。
ユキムラは満点合格のようだ。
「し、師匠! 僕は感動しました!!」
涙目のレンが迎えてくれる。
「いやぁ、素晴らしいものを見させてもらったよユキムラ君。
さて、ギルド長の見聞も終わったし、話し合いに戻ろうか」
その後は驚くほどスムースに話し合いが進んだ、サイレンはそれほど信頼されているようだ。
ユキムラがファス村の村長として行政を取り仕切ること、今後もジュナーとファス村で盛んな交易を行うこと、事後承諾になったが岩塩地帯での採掘、そのかわり安定した塩の取引をお勉強価格で行うこと。
人力の門の改造などがサクサクと決まっていく。
「それにしてもユキムラ殿の叡智は果てしないな、正直発想が既存の技術とかけ離れている、あまり詳しくは探らないが、できればそれらを全ての人々のために利用して欲しい」
「そうですね、特に秘匿もしませんのでみんなの生活が豊かになるように今後も頑張ります」
「ああ、頼むよ」
レックスとの熱い握手を持って本日の会議は終了となった。
応接室から出るとサイレンに呼び止められる。
「ユキムラ、お前まだルーキーらしいな?
お前のようなルーキーがいるか! 手続きしておくから明日からはA級冒険者だ、Sでも構わんと思うが地方支部の俺ではこれが限界だ。
さっさと王都へ言ってS級になってこい。そしてギルドのためにキリキリ働いてくれ!」
バンバンと背中を叩かれてしまう、こうして史上最年少村長だけではなく、史上最年少A級冒険者も同時に誕生した。
外に出ると夕方になっていた。
「さて、ファス村へのギルド設置の話もだいたい決まったし、通信設備も設置したし。これからもいろいろ頼むよ」
「まかせてください師匠!」
「儂も出来る限り力になろう」
「それじゃぁ今日は外で少し贅沢に行きますか」
「ゆーーーきーーーむーーーらーーーさーーーまーーーー!!」
遠くから大きな声が聞こえる、それがだんだんと近づいてくる、ユキムラが助けたパーティがジュナーの街へと到着したようだった。
そのままの流れで全員で食事となった。
村長は若い人だけでとお見合いみたいなことを言って宿へと戻って行った。
なお、宿の夕ご飯がユキムラの獲物のおかげで凄く豪華になっていて村長は大変満足した。
宿の人たちも思いもかけず豪華なまかないに大層喜んだ。
もちろん食事のキャンセル料もしっかりとレンが支払っている。
ギャラリーは領主であるレックス、町役場で働くカイツ、ギルドサブマスターのパック、村長とレンだ。レンは一番近いところで目をキラキラさせている。
「ははは、かっこ悪いとこ見せられないなぁ」
ユキムラも渡された木剣を振って確かめる。
「一応俺はレベル116だ、普段の得物は両手剣だが、片手剣もまぁまぁ使える」
「俺は今レベル77、魔法使いではあるけど、得物はこれで構わない」
ギルマスのコメカミがピクリと反応する。
「あ、もともと得意なのが片手剣なので別に馬鹿にしてるつもりはないですよ」
ユキムラはすぐに訂正する。
「まぁ、そういう類の事をする男じゃないのはわかる。
お前に何があるか見極めさせてもらう」
右手に木剣を構え半身で経つギルマス。
構えることで身体が実際よりも大きく感じられる。
(こりゃ本物だなぁ)
ユキムラは内心ワクワクしている。
PvPで自分より強者とやれるのだ、試したいことは山ほどある。
「パック」
ギルマスが気合の乗った声でサブマスターに声をかける。
「それでは、はじめ!」
開始の合図はされたがすぐには動かない、ユキムラもサイレンもお互いの動きを見逃さないように集中する。
「いくぞ」
一層低い声がする、同時に足元の土が舞い上がり凄まじい踏み込みでサイレンが斬りかかる。
それでもユキムラはわかっている、これは様子見だ。
無理に剣を合わさずに足捌きだけで避ける、振り下ろされたと思った剣が薙ぎ払われ避けたユキムラに襲いかかる。
「ふっ!」
ごく小さなバックステップで避ける、肩口の借りた練習着が木剣によって綺麗に切られる。
サイレンはほんの少し目を見開く。
(これを、こうも見事に避けるか……)
「では、こちらからも」
サイレンの一撃が剛の一撃だったとするならユキムラは静かに、しかし疾く木剣を突き出す。
「ぬ」
ガリガリとユキムラの突きを木剣で受ける、ぱぁっと頬から鮮血が舞う。
すぐにその剣を払い落として攻勢に出ようとするサイレン、ぐっと木剣に力を入れるとあまりの軽さに驚く、その一瞬の戸惑いで全てが決まった。
今そこにあったユキムラの剣が消えており、変わりに逆の首筋に剣が添えられていた。
「勝負あり!!」
本当に瞬きの間とも言える一瞬の攻防だった。
だがそれだけでユキムラの圧倒的な実力がはっきりと示すことが出来た。
(カウンター返しも有効なんだな、よしまた一つわかったぞ)
ユキムラが使ったのは相手がカウンターを放とうとしている時にカウンターを取れる攻撃を装って、確定カウンターを入れることが出来るフェイントの一種だ。
相手が防御しようとしてると逆に仕掛けた方の体勢が崩れてピンチになるリスクは有る。
今回のように綺麗に決まると美しいため、PvPプレイヤーにとって一番の華とも言える。
相手の攻撃発生をギリギリのフレームまで我慢して見れるユキムラの得意技だ、たくさんのプレイヤーが色々な対策をしてきたが、無数の攻防に狡猾な餌と罠を蒔いていくユキムラに勝ち越すようなプレイヤーは、とうとう現れなかった。
ゲーム補助を利用すると達人相手もかなり圧倒できることにユキムラは少しホッとしていた。
「やるな」
「そちらも」
ぐっと熱い握手を交わす。
たぶんバトルモードで戦わなければ相手にもならないだろう。
ユキムラはそう分析していた。
「君の人となりはだいたい理解した。真っ直ぐだな。嫌いじゃない」
「ありがとうございます」
「ただ、あまりギルドで大騒ぎするのは止めてくれ」
にかっと白い歯を見せて笑うサイレン、
「あと、騒ぐときは俺も混ぜろ」
「次回は是非に」
こうしてギルドマスターの試験? は終了した。
ユキムラは満点合格のようだ。
「し、師匠! 僕は感動しました!!」
涙目のレンが迎えてくれる。
「いやぁ、素晴らしいものを見させてもらったよユキムラ君。
さて、ギルド長の見聞も終わったし、話し合いに戻ろうか」
その後は驚くほどスムースに話し合いが進んだ、サイレンはそれほど信頼されているようだ。
ユキムラがファス村の村長として行政を取り仕切ること、今後もジュナーとファス村で盛んな交易を行うこと、事後承諾になったが岩塩地帯での採掘、そのかわり安定した塩の取引をお勉強価格で行うこと。
人力の門の改造などがサクサクと決まっていく。
「それにしてもユキムラ殿の叡智は果てしないな、正直発想が既存の技術とかけ離れている、あまり詳しくは探らないが、できればそれらを全ての人々のために利用して欲しい」
「そうですね、特に秘匿もしませんのでみんなの生活が豊かになるように今後も頑張ります」
「ああ、頼むよ」
レックスとの熱い握手を持って本日の会議は終了となった。
応接室から出るとサイレンに呼び止められる。
「ユキムラ、お前まだルーキーらしいな?
お前のようなルーキーがいるか! 手続きしておくから明日からはA級冒険者だ、Sでも構わんと思うが地方支部の俺ではこれが限界だ。
さっさと王都へ言ってS級になってこい。そしてギルドのためにキリキリ働いてくれ!」
バンバンと背中を叩かれてしまう、こうして史上最年少村長だけではなく、史上最年少A級冒険者も同時に誕生した。
外に出ると夕方になっていた。
「さて、ファス村へのギルド設置の話もだいたい決まったし、通信設備も設置したし。これからもいろいろ頼むよ」
「まかせてください師匠!」
「儂も出来る限り力になろう」
「それじゃぁ今日は外で少し贅沢に行きますか」
「ゆーーーきーーーむーーーらーーーさーーーまーーーー!!」
遠くから大きな声が聞こえる、それがだんだんと近づいてくる、ユキムラが助けたパーティがジュナーの街へと到着したようだった。
そのままの流れで全員で食事となった。
村長は若い人だけでとお見合いみたいなことを言って宿へと戻って行った。
なお、宿の夕ご飯がユキムラの獲物のおかげで凄く豪華になっていて村長は大変満足した。
宿の人たちも思いもかけず豪華なまかないに大層喜んだ。
もちろん食事のキャンセル料もしっかりとレンが支払っている。
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