老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件

穴の空いた靴下

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47話 圧倒的建築速度

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「ユキムラ様がお戻りになったぞ!!」



 城門を守る衛兵が声を上げる、続々と詰め所から衛兵が出てくる。

 村だよねここ?



「一週間で何が起きた……」



「師匠、それも言いましたよね? 

 北西のセカ村と南東のサド村の住民が全員移住を希望してきたって」



「全員?」



「全員」



「村二つ?」



「村二つ。いいんじゃない? ってお答えをいただきましたよ」



 全く記憶にないユキムラであった。



「セカ村は近くの森にオークが集落を形成してその被害が日に日に酷くなってきたため、サド村はジャイアントラットの大発生で畜産、農作物が壊滅的な被害を受けたから、ファス村から援助を出すかって話になったんですが全員移住を希望してきたってわけです。

 この合併で146人人口が増えました。

 食料自給率は400%以上を維持できてますのでまだ問題はありません。

 住居や衣服も労働力が増加したことにより必要量よりも生産量増加の恩恵が大きいですね。

 スキル発現も順調でファス村に住んでいた人たちもスキル指導が可能な人間が増えてきました」



「はぁ」



 もう、それしか言葉がなかった。

 報告を聞いてないユキムラが言うのも何だが、とんでもないことになってきている。

 城門が開くと目の前にまっすぐと伸びる大通り、

 

「ちょっとまって、内郭ってあれ?」



 はるか先にぼんやりと見える城壁、明らかにおかしい。

 街としての規模がおかしい。

 まだ城門周囲しか出来ていないけど、いや、普通に外郭と呼ばれている壁もおかしいけど、



「でも、まぁ小田原城なんかもこういう規模だったことを考えれば……」



「オダワラジョウ? それは何ですか?」



「ああ、過去の世界にあった城の名前なんだけど、城下町って言って人が住むところとかすべてを城壁の内部に作って街をすべて城壁や堀で包む、それをとんでもない規模でやったお城なんだ」



「そしたらファス村は今に蘇ったオダワラジョウになるんですね」



 なんかかっこいいこと言ってるけど、普通こんなスピードで城壁作れないよね……

 ユキムラの疑問も建築現場によった時に解決する。



「そうか、アイテムボックスから建材を入れたり出したりするから運搬や設置が簡単なのか……」



 無限に石材を切り出せる採掘ポイントからアイテムボックスへ収納、設置したい場所にアイテムを取り出す。コレをやっていけば女性一人でもお子さんでもご老人でも誰でも城壁が作れます。

 設置した後に空間収納阻害魔法をかければすぐに収納され突破されることもない。

 魔法世界独自の建築だ。確かに似たようなことをユキムラも建築時にやっていた。

 少し考えればこの方法も思いついたはずだ。



「アイテムボックスに使う魔石の供給も安定してきましたからね、これでさらに生産体制だけでなく建築効率も跳ね上がります」



「俺って、なんかとんでもないことをしているような気分になってきたんだけど……」



「やだなぁ師匠。いまさらですよ、い・ま・さ・ら」



 満面の笑みのレンが怖く感じるユキムラだ。

 内門を抜けて酪農エリアだ、うん、ここも巨大だ。

 広々としたエリアに大きめな建物がある。

 外見はレンガ造りのまるで工場のような武骨な作りになっている。



「レン、あれは?」



「あれは食料加工場ですね、缶詰や瓶詰などの加工もあそこで行っています」



「え? 缶詰、瓶詰めあるの?」



「師匠が言ったんじゃないですか、食事しててあったらいいなぁっ、て言ってたのでお話を聞いて研究して作りました」



「え、あの世間話から、え? 実用化したの?」



「作成班が結構簡単に作ってましたよ、レシピ見ればすぐにみんなが作れるようになるからスキルって凄いですね」



「はははは、そう……」



 ミニゲームなどの精度は確かにユキムラほどの人はいない、しかしVOのシステムからくるスキルシステムは、スキルレベルさえ上げれば普通の人でもそれなりのものは作れる。

 病的な勤勉さでスキルを使い続けている村人のスキルレベルはたぶん非常に上がっているんだろう。

 プレイヤーはスキルレベルの合計でスキル上限を開放していくが、村人たちは違うのかもしれないなぁ、現実逃避しているユキムラはそんなことを考えていた。



 しばらく走っていくとようやく第2外郭の城壁へとたどり着く。

 内側の城壁は一部だけ作られ建設予定地の区割りはされているが後回しのようだ。

 城門はきちんと稼働しており、そこが開いた時、ユキムラはまた目眩を覚える。

 かつての村だったエリアはすべて石畳で舗装されており、建築物は美しい漆喰で統一感のある町並みが広がっている。

 平屋が主だった村から二階建てがメインに進化している。

 中央通りから整然と立ち並ぶ建築物の間を馬車を走らせていくと、さらに大きな建築物が多くなってきた。



「このあたりが行政エリアになります、ユキムラ様の居住もこの先になります」



「え、前の家は?」



「区画整備の邪魔だったので僕の指示で新居内に移転させています。

 これもきちんと許可をえましたよ?」 



 レンの話はちゃんと聞こう。ユキムラは心に誓った。守るとは言っていない。



 まだまだユキムラをうろたえさせる出来事は続いていくことになる。

 

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