老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件

穴の空いた靴下

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102話 破竹の勢い

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 半日、じっくりと休息を取った一同は翌朝、快適な目覚めを迎えることが出来た。



「はーーーー! なんかいいね! 今日は調子いい気がする!」



「明るくしておいたから、まるで朝みたいですね師匠!」



 レンとユキムラが並んで体操をして身体を解していく。

 ソーカはもう少し朝の準備がかかるようだ。ヴァリィは新装備の装飾の仕上げを行っている。

 ユキムラは現行で最高の金属である金剛鉄アダマンタイトとダンジョンで手に入れたマギナメタルを用いた装備に一新している。今までの火、水、地、風耐性に加えて聖耐性も加わっている。

 ホーリークリスタルは武器にも使用して5属性に変化可能になっている。

 もちろん以前と同じような各種付与は与えられており、マギナメタルのお陰で付与効果も更に強力に発現する。

普通のサナダ隊の装備とは別次元の進化を遂げた。

 デザイン面でもヴァリィによる趣向が反映してスタイリッシュな出来になっている。

 

「なんか以前より馴染む感じがありますね」



「マギナメタルのお陰でより魔力を通しやすく、そして発現しやすくなっているからね。

 武器にはちょっと足りなかったから命を守る防具を優先したから」



「でもこれでアンデッドや霊的な相手でも引けを取らなくなりましたね」



「ああ、最下層でも有利に戦えるよ。ただ、闇属性や毒属性攻撃は注意してね」



「ワオン!」



 皆新しい装備にテンションがあがる。

 疲れも抜け、テンションも上々。こういう時に人はノルのだ。



 43階に降りた白狼メンバーはまさにノっていた。

 今まで確認しながら行っていた行動がガッチリと噛み合って、自然と各々の役目をこなせるようになってきていた。ユキムラも細かな指示を出す必要も訂正する事も少なくなった事に驚いた。



「凄いなみんな、動きが見違えるようだよ。ノってるね!

 あえて言うとノってる時に落とし穴もあるものだから気をつけてね」



「はい!」



 しかし、そんなユキムラの心配を他所に本当に破竹の勢いは止まらなかった。

 今までの探索ペースよりも明らかに向上して、戦闘も短時間で圧倒している。

 43、44、45、46、47なんと1日に5階層もの攻略に成功した。

 敵のレベルは目に見えて上がってきており、決して油断できる相手ではないが、全く危なげもなくパーティが一つの塊となって敵を圧倒していく。



 ユキムラは過去のVOの一番の繁栄期、バリバリの攻略固定パーティで世界の様々なコンテンツをクリアしていた頃を思い出していた。

 皆一生懸命攻略法を考えて、それぞれがぶつかりあいながらもハイエンドコンテンツをクリアしていく。ユキムラにとっても最も楽しかった時代だ。

 運営もノっている時期で、新MAPの実装、新ダンジョン、新装備、新職業。刻一刻と進化していくゲームにどんどんどんどんのめり込んでいった。そんな時代もあった……。



「師匠大丈夫ですか?」



 夜飯を終えて車の外で一人で物思いに耽っていたユキムラを心配してレンが声をかけてくる。

 

「ああ、ちょっと昔を思い出していた。今日のみんなの動きが素晴らしかったからさ」



「来訪者としてこの世界に来る前のお話ですか……?」



 今までそのことについてレンから聞いてきたことは無かった。

 何か触れてはいけないような、そんな気がしていた。

 でも今はまるで大切な懐かしい思い出を話すようなユキムラに自然と過去のことを聞くことが出来た。



「そうだね……この世界とよく似た、でもぜんぜん違う世界で俺が生きていた時の事だね。

 懐かしくないと言えば嘘になる。でも……」



「でも……?」



「俺は今のほうが、今のこの世界で過ごしている、レンやソーカやヴァリィ、タロ、街の皆、王様やギルドの人達、この世界で生きている皆と過ごしている今のほうが生きていると感じているよ」



 足元で丸くなって眠っているタロの耳がピクピクと動くが、そのままユキムラの足元に寄り添っている。

 レンも何も話さずユキムラの隣でユキムラの見ている先を見つめる。

 そこにはダンジョンの壁しか無いが、きっとユキムラの目には過去の映像と、今のこの世界で触れ合った人々が写っているんだろう。そうレンは確信していた。



「僕は、僕は師匠に出会えて、そして師匠と旅をして幸せです。

 師匠と出会って自分の世界がまるで夢のように色づいて広がっていきました。

 師匠は僕をそんな世界へと導いてくれた恩人なんです……」



「ああ……ありがとう……」



「へへ……変な師匠。お礼をいうのは僕の方なのに!」



「それでも、ありがとうってのが俺の気持ちなんだ」







 ダンジョンで佇む二人を車内から見つめるヴァリィは、丁度風呂から出てきたソーカに向かってため息をつく。



「ソーカちゃんってさ、昔から運が悪いというか、間が悪いって言われてない?」



「ふぇ……? な、なんでそれを……!?」



「やっぱりねー……、苦労するわねソーカちゃんは……」



「ちょ、なんですかそれ? 詳しく、詳しく教えてくださいよ~!」



 こうしてダンジョン6日目が過ぎていく。

 この勢いは翌日も衰えることがなかった。48.49階層をクリアして50階層へと続く階段の前いる。



「さて、まだ夕方前だし、この勢いのまま攻略していこう。

 ここからは多分死霊系モンスターが多くなるけど、対策していればむしろ今までより楽だから、冷静にいつも通りやっていこう」



「「「はい!!」」」 「アオーン!」



 いざダンジョン最下層へ!

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