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165話 おじーちゃん
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立ち並ぶ巨大な柱。
蝋燭によって照らされる揺らぐ空間。
白狼隊のメンバーは緊張しながら歩を進める。
「敵はいないみたいですね……」
「さっきのドラゴン2匹がボスだった可能性もあったりするんだよねー……」
「タロが大活躍だったねーえらいねータロ」
ソーカに撫でられてタロも尻尾をプロペラみたいにブルンブルン回している。
「アレが目的の場所かしらね?」
行き止まりの台座の上に巨大な石像が在る。
高さは30mくらいはあるだろうか、右手には杖、左手には書物を持ちローブ姿。
豊かなひげを蓄えた老人の姿だ。
足の指の先から頭の先までこれが石像であることを忘れてしまうほどの精巧な造りだ。
「アオーン!」
タロが一鳴きすると首から提げた時計が光りだす。
【……ん? なんじゃ……懐かしい気配がするな……】
石像が薄っすらと光るような感じがすると厳格な雰囲気の声が神殿に響く。
時計の光がどんどんと強くなりその光から二人の女性が降り立つ。
女神アルテスと女神クロノスだ。
【お久しぶりですローム様】
【久しぶりおじーちゃん】
【……!? アルテスと……クロノス……か?】
【そーだよ】
ドタドタという音が聞こえる。
ユキムラ達はキョロキョロと辺りをうかがうが、どうやら音の発信源は石像のようだ。
ピョーンという音がぴったりな感じで石像から人が飛び出してくる。
【おおーーークロノスちゃん! 相変わらず可愛いのぉ元気じゃったかー?】
【おじーちゃんも元気そうでよかった】
クロノスにすりすりと頬ずりをしている老人はこの石像のモデルになっている人物で間違いない。
【大地と覚悟の神 ローム様です】
ぽかーんとしている白狼隊にアルテスが教えてくれる。
大地と覚悟の神ローム。VOにおいて最古の神の1人。
始まりの大地を作り出したと言われている神だ。
今は下がりきった目尻とだらしない表情でクロノスを抱っこしてナデナデしてる。
VOではその復活はかなり沢山のイベントをこなさないといけないので面倒くさい。
【どうしたんじゃークロノス、じーちゃんに会いに来たのか?】
【面倒くさいことが起きてるの、手伝っておじーちゃん】
【ああ、ええぞええぞ、なんでもしてやるぞー。おお、アルテス久しぶりだな。
ん? それで小奴らはなんじゃ?】
【ローム様、彼らは来訪者とその仲間です。あの魔神が面倒くさいことになりまして、現在彼らに皆を集めていただいているところです】
【ふむ……まぁ、詳しいことはあちらで聞こうか。じゃぁいこうかークロノス~。じーちゃん張り切っちゃうぞー】
【おじーちゃんそしたら私の時計に力入れて欲しい】
【おお、任せとけ。って……貴方様もいらしたのですか。ご無沙汰しております】
「アン!」
【ふふ、そうですか。わかりました。
よし来訪者達我が力を貸してやろう。
クロノスの役に立つが良い】
ロームの手が輝くと時計に触れる。その一瞬でも世界の色が変わるほどのエネルギーが時計へと注ぎ込まれたのがわかる。
【これで各々がこの時計の力を引き出せるじゃろ。タロさ……のちからを借りずとも戦えるじゃろう】
【それでは白狼隊の皆様。ありがとうございました。これから迫る戦いのご武運をお祈りしております】
【またね】
【さー、じーちゃんが抱っこしてやるぞー】
なにやらいろんなことが起きた。
嵐はアルテスの作り出す光に包まれて去っていった。
残された空間には静寂が広がる。
「な、なんか。置いてけぼりね私達……」
「とりあえず、あの引き金をみんなそれぞれ使えるようになったみたいですね」
「それにしても、タロは何者なんだー?」
わしわしと撫でるタロはいつもどおりに尻尾をぶうんぶうんと振っている。
石像の足元、両足の間が薄っすらと光ったと思ったら隠し扉が開く。
いつもの奥の間への入り口だった。
ダンジョンの宝箱に地上への転移装置。部屋にはいつもどおりのセットが用意されている。
宝箱に近寄ろうとしたユキムラの前に光る箱が現れる。
【忘れてた、私の時計、この箱につければこの宝箱の中身だけは時代を渡れる。おじーちゃんのおかげ感謝して。じゃ】
【ユキムラ、箱を改造しちゃダメですよ】
アルテスがユキムラに釘を刺す。
手元に落ちた箱はアイテムボックス。
容量は小さめだが、これで一部の道具や装備を持って次の大陸へと向かえる。
丁度時計がハマるので箱を付けてタロに持ってもらう。
まるで救助犬のような姿になるタロ。よく似合っている。
「これは嬉しいなぁ。この量だと武器防具と一部の道具くらいかな。
外装を地味にする衣装装備も作らないとな、そうすると……」
「なんかもったいないわねぇ~わざわざ地味にするなんて……」
「あんまり最初から目立ちすぎると動きづらくなるからねぇ……」
衣装装備っていうのはもの凄く強いけどダサい装備などにくっつけると見た目だけ変化させることができる装備のことだ。普通はそういう意図で使われるけど、彼らの場合は逆だ。
あまりに立派な装備を普通の装備に見せるために使用する。
みんながスライムとかを必死で叩いているところにラスボスの装備で降り立ったら大騒ぎになってしまう。
無事にダンジョンの宝も手に入れて外へと脱出する。
外に出ると帝国の大橋の側の森の中だった。
とうとう第一皇子と、その黒幕との戦いの時が迫っていた。
蝋燭によって照らされる揺らぐ空間。
白狼隊のメンバーは緊張しながら歩を進める。
「敵はいないみたいですね……」
「さっきのドラゴン2匹がボスだった可能性もあったりするんだよねー……」
「タロが大活躍だったねーえらいねータロ」
ソーカに撫でられてタロも尻尾をプロペラみたいにブルンブルン回している。
「アレが目的の場所かしらね?」
行き止まりの台座の上に巨大な石像が在る。
高さは30mくらいはあるだろうか、右手には杖、左手には書物を持ちローブ姿。
豊かなひげを蓄えた老人の姿だ。
足の指の先から頭の先までこれが石像であることを忘れてしまうほどの精巧な造りだ。
「アオーン!」
タロが一鳴きすると首から提げた時計が光りだす。
【……ん? なんじゃ……懐かしい気配がするな……】
石像が薄っすらと光るような感じがすると厳格な雰囲気の声が神殿に響く。
時計の光がどんどんと強くなりその光から二人の女性が降り立つ。
女神アルテスと女神クロノスだ。
【お久しぶりですローム様】
【久しぶりおじーちゃん】
【……!? アルテスと……クロノス……か?】
【そーだよ】
ドタドタという音が聞こえる。
ユキムラ達はキョロキョロと辺りをうかがうが、どうやら音の発信源は石像のようだ。
ピョーンという音がぴったりな感じで石像から人が飛び出してくる。
【おおーーークロノスちゃん! 相変わらず可愛いのぉ元気じゃったかー?】
【おじーちゃんも元気そうでよかった】
クロノスにすりすりと頬ずりをしている老人はこの石像のモデルになっている人物で間違いない。
【大地と覚悟の神 ローム様です】
ぽかーんとしている白狼隊にアルテスが教えてくれる。
大地と覚悟の神ローム。VOにおいて最古の神の1人。
始まりの大地を作り出したと言われている神だ。
今は下がりきった目尻とだらしない表情でクロノスを抱っこしてナデナデしてる。
VOではその復活はかなり沢山のイベントをこなさないといけないので面倒くさい。
【どうしたんじゃークロノス、じーちゃんに会いに来たのか?】
【面倒くさいことが起きてるの、手伝っておじーちゃん】
【ああ、ええぞええぞ、なんでもしてやるぞー。おお、アルテス久しぶりだな。
ん? それで小奴らはなんじゃ?】
【ローム様、彼らは来訪者とその仲間です。あの魔神が面倒くさいことになりまして、現在彼らに皆を集めていただいているところです】
【ふむ……まぁ、詳しいことはあちらで聞こうか。じゃぁいこうかークロノス~。じーちゃん張り切っちゃうぞー】
【おじーちゃんそしたら私の時計に力入れて欲しい】
【おお、任せとけ。って……貴方様もいらしたのですか。ご無沙汰しております】
「アン!」
【ふふ、そうですか。わかりました。
よし来訪者達我が力を貸してやろう。
クロノスの役に立つが良い】
ロームの手が輝くと時計に触れる。その一瞬でも世界の色が変わるほどのエネルギーが時計へと注ぎ込まれたのがわかる。
【これで各々がこの時計の力を引き出せるじゃろ。タロさ……のちからを借りずとも戦えるじゃろう】
【それでは白狼隊の皆様。ありがとうございました。これから迫る戦いのご武運をお祈りしております】
【またね】
【さー、じーちゃんが抱っこしてやるぞー】
なにやらいろんなことが起きた。
嵐はアルテスの作り出す光に包まれて去っていった。
残された空間には静寂が広がる。
「な、なんか。置いてけぼりね私達……」
「とりあえず、あの引き金をみんなそれぞれ使えるようになったみたいですね」
「それにしても、タロは何者なんだー?」
わしわしと撫でるタロはいつもどおりに尻尾をぶうんぶうんと振っている。
石像の足元、両足の間が薄っすらと光ったと思ったら隠し扉が開く。
いつもの奥の間への入り口だった。
ダンジョンの宝箱に地上への転移装置。部屋にはいつもどおりのセットが用意されている。
宝箱に近寄ろうとしたユキムラの前に光る箱が現れる。
【忘れてた、私の時計、この箱につければこの宝箱の中身だけは時代を渡れる。おじーちゃんのおかげ感謝して。じゃ】
【ユキムラ、箱を改造しちゃダメですよ】
アルテスがユキムラに釘を刺す。
手元に落ちた箱はアイテムボックス。
容量は小さめだが、これで一部の道具や装備を持って次の大陸へと向かえる。
丁度時計がハマるので箱を付けてタロに持ってもらう。
まるで救助犬のような姿になるタロ。よく似合っている。
「これは嬉しいなぁ。この量だと武器防具と一部の道具くらいかな。
外装を地味にする衣装装備も作らないとな、そうすると……」
「なんかもったいないわねぇ~わざわざ地味にするなんて……」
「あんまり最初から目立ちすぎると動きづらくなるからねぇ……」
衣装装備っていうのはもの凄く強いけどダサい装備などにくっつけると見た目だけ変化させることができる装備のことだ。普通はそういう意図で使われるけど、彼らの場合は逆だ。
あまりに立派な装備を普通の装備に見せるために使用する。
みんながスライムとかを必死で叩いているところにラスボスの装備で降り立ったら大騒ぎになってしまう。
無事にダンジョンの宝も手に入れて外へと脱出する。
外に出ると帝国の大橋の側の森の中だった。
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