183 / 342
183話 憑き物
しおりを挟む
「脅威を排除せよ」
『起動コード認識、オーダー受領、実行開始』
ハルッセンのコマンドを受けたGUは即座に起動する。
ユキムラが趣味でつけた起動時の台詞も滑らかに唱えられ隠れてユキムラがガッツポーズしている。
GUはヴァリィが抑えている二匹を凄まじいスピードで抱きかかえ、ハルッセンや街の人達から距離を取る。
「あらー、賢いのねー」
「人間に危害が加えられない方法を優先して選択していきますから」
「あのさぁ、私が言うのも何だけど。殺さないで森に返さない?」
「そうですねぇ、どうしますハルッセンさん?」
「え、ああ……そ、そうね。森の生体バランスが崩れても困るわね……」
「そしたら目標を気絶させろって命令してください」
「も、目標を気絶させろ」
抱えていた二体をヒョイッと10mくらい先に放り投げるGU、それだけでも街の人達からすればとんでもないパワーで度肝を抜かれている。
しかし、直後に更に衝撃をうけることになる。
バゴーーン!! 凄まじい音が響く。
グレートシルバーベアの頭が地面に叩きつけられていた。
GUによる単純な叩きつけだった。
だが、街の人間にはGUの動きは捉えられない、突然轟音と共にベアが這いつくばっている。
何が起きているかわからないまま狼狽えるしか無い。
ゴン!! 少し控えめな音ともにグリズリーも地面に突っ伏している。
相手個体によって力も調節する、そういう汎用性の高さが伺える。
GUはほんの数秒で街の人間、いや街にとっての脅威を完全に排除することに成功した。
「あまり長い時間気を失っているわけではないのでさっさと森へ返してきましょう。
ハルッセンさん森へ返してこい、とお願いします」
「森へ帰してこい……」
半ば放心状態でレンの言葉を鸚鵡返しするハルッセン。
轟音にビビって少し、ね。少し、ね。
ギルドマスターと兵士長が水たまり作ってる程の衝撃を受けながらも耐えたのだから流石領主だ。
ヴァリィはなにも言わずに浄化の魔道具を皆に手渡す。
全員恥ずかしそうに使用していた。
何もなかった。全員の中ではそうなった。
そう、何もなかったのだ。
GUは森の奥深くに二体のボスを放り投げてすぐに戻ってきた。
敵を制圧する攻撃力、一瞬で森との往復する機動力、状況を理解して行動する判断力。
能力の実証は十分すぎるほど成功した。
「あまり驚きすぎると、逆に何も思わなくなるのね。
いい勉強になったわ。
これが8体に医療用が2体お貸しいただける……と」
ふーーっと自らを落ち着かせるように深い呼吸をした後にハルッセンが深々とレンに頭を下げる。
「サナダ商会には感謝してもしたり無いわ、領民と街の安全のために適切に運用することを誓うわ」
妖面な魅力あふれるハルッセンが素直に見せた微笑みにヴァリィは少し狼狽えた。
「あら、そういう表情のほうが素敵よ」
「女である以上、少し肩をはらないといけないこともあるのよ。
レン殿、その節は大変失礼しました。
圧倒的な存在がいるとわかって、小さな虚勢を張るのがバカバカしくなったわ」
まるでつきものでも落ちたように柔らかい表情になるハルッセン。
こちらが本来のハルッセンの本質なんだろう。
「ソッチのほうが素敵だと思いますよ、ね、ヴァリィ?」
「そうね、乙女は自然にしているのが一番。過度な装飾は魅力を殺すわ」
「あら、お上手ね。久々に乙女になった私のお相手はヴァリィさんに頼もうかしら」
「喜んで」
執事のように深々と会釈するヴァリィ、思わず皆笑みが溢れる。
シズイル領主ハルッセンとの会合は得難い信頼を掴む大成功に終わった。
GUの配置は外部に4体、街中に6体ベイストの街と同様にする。
強制コマンドは領主のみ、常識的なお願い事なら街の人間の言うことに従うようプログラミングする。
こうしてシズイルの街の防衛問題も解決する。
衛兵の武器や防具の刷新も約束して実りある会合は解散となった。
ハルッセンからの夕食の誘いも喜んで受ける。
「と、言うわけで交渉は大成功でした」
「へー、ハルッセンさんは可愛らしい人なんだね」
「…………また、おっぱい……」
「ち、違うよ! 意外だなって思っただけだから!!」
「ふぅん……」
「ははは、ソーカちゃんもすっかり尻に敷いてるのね」
「そ、そんなことないです!」
「師匠ももっとどーんと構えていればいいのに……」
「えへへへへへ……」
「何にせよ、せっかくのお誘いだし皆の服は用意しとくわね~」
「よろしくー。さてソーカ達の報告を聞こうか」
今日の活動の報告を終えて、ハルッセンの館へと移動する。
迎えに来た馬車をその場ですぐに改造する。
準備はしっかりとしていた。
行者は改造された馬車の乗り心地に度肝を抜かれていた。
こうして一行は車酔いすること無く領主の館へと移動することに成功する。
「ようこそいらっしゃいました。本日はどうか楽しんでいってください」
爽やかなドレスに身を包むハルッセンはユキムラにしたら本当に別人のようだった。
どぎついメイクからナチュラルなメイクになって、より一層女性としての魅力が高まっており、アピールせずに隠すことによって女性としてのグラマラスな体型が魅力的になっている。
ソーカに足を踏み抜かれるまで鼻の下が伸びてしまう醜態を晒してしまう。
「お、驚きました。随分と雰囲気が違うのですね……今の方が素敵だと思います。
本日はお招きいただきありがとうございます」
謎のイケメンスキルが発現して社交辞令ではあるもののジゴロなセリフがスラスラと口をつく。
ギロリと音がしそうなソーカの目線に冷や汗はかいたものの……
「あら、お上手ですわね。皆様もとっても素敵ですよ」
今日の会の主人には好印象を与えることに成功したのであった。
『起動コード認識、オーダー受領、実行開始』
ハルッセンのコマンドを受けたGUは即座に起動する。
ユキムラが趣味でつけた起動時の台詞も滑らかに唱えられ隠れてユキムラがガッツポーズしている。
GUはヴァリィが抑えている二匹を凄まじいスピードで抱きかかえ、ハルッセンや街の人達から距離を取る。
「あらー、賢いのねー」
「人間に危害が加えられない方法を優先して選択していきますから」
「あのさぁ、私が言うのも何だけど。殺さないで森に返さない?」
「そうですねぇ、どうしますハルッセンさん?」
「え、ああ……そ、そうね。森の生体バランスが崩れても困るわね……」
「そしたら目標を気絶させろって命令してください」
「も、目標を気絶させろ」
抱えていた二体をヒョイッと10mくらい先に放り投げるGU、それだけでも街の人達からすればとんでもないパワーで度肝を抜かれている。
しかし、直後に更に衝撃をうけることになる。
バゴーーン!! 凄まじい音が響く。
グレートシルバーベアの頭が地面に叩きつけられていた。
GUによる単純な叩きつけだった。
だが、街の人間にはGUの動きは捉えられない、突然轟音と共にベアが這いつくばっている。
何が起きているかわからないまま狼狽えるしか無い。
ゴン!! 少し控えめな音ともにグリズリーも地面に突っ伏している。
相手個体によって力も調節する、そういう汎用性の高さが伺える。
GUはほんの数秒で街の人間、いや街にとっての脅威を完全に排除することに成功した。
「あまり長い時間気を失っているわけではないのでさっさと森へ返してきましょう。
ハルッセンさん森へ返してこい、とお願いします」
「森へ帰してこい……」
半ば放心状態でレンの言葉を鸚鵡返しするハルッセン。
轟音にビビって少し、ね。少し、ね。
ギルドマスターと兵士長が水たまり作ってる程の衝撃を受けながらも耐えたのだから流石領主だ。
ヴァリィはなにも言わずに浄化の魔道具を皆に手渡す。
全員恥ずかしそうに使用していた。
何もなかった。全員の中ではそうなった。
そう、何もなかったのだ。
GUは森の奥深くに二体のボスを放り投げてすぐに戻ってきた。
敵を制圧する攻撃力、一瞬で森との往復する機動力、状況を理解して行動する判断力。
能力の実証は十分すぎるほど成功した。
「あまり驚きすぎると、逆に何も思わなくなるのね。
いい勉強になったわ。
これが8体に医療用が2体お貸しいただける……と」
ふーーっと自らを落ち着かせるように深い呼吸をした後にハルッセンが深々とレンに頭を下げる。
「サナダ商会には感謝してもしたり無いわ、領民と街の安全のために適切に運用することを誓うわ」
妖面な魅力あふれるハルッセンが素直に見せた微笑みにヴァリィは少し狼狽えた。
「あら、そういう表情のほうが素敵よ」
「女である以上、少し肩をはらないといけないこともあるのよ。
レン殿、その節は大変失礼しました。
圧倒的な存在がいるとわかって、小さな虚勢を張るのがバカバカしくなったわ」
まるでつきものでも落ちたように柔らかい表情になるハルッセン。
こちらが本来のハルッセンの本質なんだろう。
「ソッチのほうが素敵だと思いますよ、ね、ヴァリィ?」
「そうね、乙女は自然にしているのが一番。過度な装飾は魅力を殺すわ」
「あら、お上手ね。久々に乙女になった私のお相手はヴァリィさんに頼もうかしら」
「喜んで」
執事のように深々と会釈するヴァリィ、思わず皆笑みが溢れる。
シズイル領主ハルッセンとの会合は得難い信頼を掴む大成功に終わった。
GUの配置は外部に4体、街中に6体ベイストの街と同様にする。
強制コマンドは領主のみ、常識的なお願い事なら街の人間の言うことに従うようプログラミングする。
こうしてシズイルの街の防衛問題も解決する。
衛兵の武器や防具の刷新も約束して実りある会合は解散となった。
ハルッセンからの夕食の誘いも喜んで受ける。
「と、言うわけで交渉は大成功でした」
「へー、ハルッセンさんは可愛らしい人なんだね」
「…………また、おっぱい……」
「ち、違うよ! 意外だなって思っただけだから!!」
「ふぅん……」
「ははは、ソーカちゃんもすっかり尻に敷いてるのね」
「そ、そんなことないです!」
「師匠ももっとどーんと構えていればいいのに……」
「えへへへへへ……」
「何にせよ、せっかくのお誘いだし皆の服は用意しとくわね~」
「よろしくー。さてソーカ達の報告を聞こうか」
今日の活動の報告を終えて、ハルッセンの館へと移動する。
迎えに来た馬車をその場ですぐに改造する。
準備はしっかりとしていた。
行者は改造された馬車の乗り心地に度肝を抜かれていた。
こうして一行は車酔いすること無く領主の館へと移動することに成功する。
「ようこそいらっしゃいました。本日はどうか楽しんでいってください」
爽やかなドレスに身を包むハルッセンはユキムラにしたら本当に別人のようだった。
どぎついメイクからナチュラルなメイクになって、より一層女性としての魅力が高まっており、アピールせずに隠すことによって女性としてのグラマラスな体型が魅力的になっている。
ソーカに足を踏み抜かれるまで鼻の下が伸びてしまう醜態を晒してしまう。
「お、驚きました。随分と雰囲気が違うのですね……今の方が素敵だと思います。
本日はお招きいただきありがとうございます」
謎のイケメンスキルが発現して社交辞令ではあるもののジゴロなセリフがスラスラと口をつく。
ギロリと音がしそうなソーカの目線に冷や汗はかいたものの……
「あら、お上手ですわね。皆様もとっても素敵ですよ」
今日の会の主人には好印象を与えることに成功したのであった。
10
あなたにおすすめの小説
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる