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186話 森のMD
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森の内部は不思議な構造になっている。
通路部分の脇の森部分は侵入が不可能だ。通れそうな隙間があっても不思議な力で弾かれてしまう。
森の形をした壁になっている。
タロが確かめたが天上方向にも天上が存在していて、森上空部分のなにもないところにも見えない壁が存在している。
やはりここは森の形をしたダンジョンなのだ。
「うーん、こんなところのMDは知らないなぁ……イベントもあったっけなぁ……」
最近ではVOとだいぶ話が変わっていてVOのイベントやクエスト知識は殆ど役に立たなかった。
「師匠、来ます!」
このMDに入って初めての戦闘だ。
外とは異なりMDでの戦闘は油断は禁物、すでに白狼隊のメンバーのレベルは400台に達しており、そのレベルの敵が相手となる。
VOでは500ごとくらいにレベルが上がりにくくなるレベル帯がある。
そしてその付近の敵はなぜか手強い傾向にある。
490あたりで効率がいい狩り場は結構な危険地帯だったり、そんな感じだ。
500を超えるとレベル効率が良くなってポコポコとレベルが上っていく。
まぁ2000くらいまでイベントでふっとばされるのが最後の方のVOだったが……
FDでちまちまと何時間もかけてレベルを上げていた時代を知っているユキムラ的には羨ましくも有り、もったいないよなぁって思ったりしたこともある。
あのコツコツ感はそれはそれで楽しかったりするものだ。
面倒くさいのも当然だが、それがあるからこそその壁を抜けたときが快感だったりしていた。
懐古厨のボヤキである。
「ドルイドか、魔法が強力な敵だ、火が弱点だから、ただ耐性はオールラウンドに、色々やってくる」
ユキムラがすぐに指示を飛ばす。
全員すぐに装備を換装する。このあたりのスピードは命に直結するので厳しい訓練を受けている。
ドルイドは魔法を使役する森の賢者。強力な魔法を多用してくる。
接近戦はそこまで強くないので魔法を使われる前に倒す。ってのが基本になってくる。
【サモンゴーレム】
ドルイドはユキムラ達を確認するとすぐに身を守る準備をする。
数体がゴーレムを呼び出して、他の奴らがきっちりとバフを展開していく。
ドルイドの杖が地面を叩くと魔法陣が展開しボコボコと土のゴーレムが盛り上がってくる。
ゴーレムは別に強くもないが、頑丈で、でかくて、邪魔で、大量に出てくる。
ゴーレムの壁に阻まれているとドルイドの強力な魔法が降り注いでくる。
「レン、一気にゴーレムやるぞ! 穴が空いたら3人は一気にドルイドよろしく」
「はい! 師匠!!」「わかりました!」「はーい」「ワン!」
レンとユキムラが合成詠唱を始める。
同じ呪文を二人で唱えることで威力は3倍だ。
「「フレイムサークル!!」」
火炎のリングがゴーレム達をなぎ払い数体のドルイドごと貫通していく、その開いた穴に二人と一匹が飛び込んでいく。距離を詰められたドルイド達がヴァリィやソーカ、タロに抗うすべはない。
「ふぅ、まぁ問題ないか。初戦だから緊張しちゃったよ」
「師匠でも緊張するんですね?」
「当たり前だよ、敵を過小評価して一気に崩れるなんて当たり前だからね。
だからって最初っから飛ばしすぎると最後まで保たない。そこの見極めは難しいよね。
それがうまくいくと気持ちいいんだけどもね!」
VOプレイヤーであるユキムラにとって、ダンジョンはただ攻略すればいいものじゃない、かけたコスト以上の報酬がなければ意味がない。この世界ではそんなこともないのだが、これは血に刻まれた習性みたいなものだ。
「次はウルフマンか、近接はドルイドより強いし魔法を使うやつもいる。
いいね、このダンジョン退屈しなさそう」
「ユキムラさん楽しそうですね」
「やっぱ、知らないところって冒険してる感じがするじゃん」
「男の子なのねぇユキムラちゃんも」
「そりゃそうですよ。レン、状態異常に弱いから最初はそれからいくよー」
8体と大所帯なパーティだったがユキムラとレンの状態異常に半分以上が陥って一方的な殲滅戦になってしまった。
「敵の特性を正確に理解して適切な対応するとほんとに戦闘は楽になるから」
「ユキムラちゃんそうはいっても魔物の量も膨大で……」
「それでも知ってるから生き残れることもあると思って頑張ってよ」
とてもいい笑顔でそう言われると頑張るしかない。
怒鳴りつけられたほうがいっそやる気も無くなるんだが、こういうところがユキムラの怖いところだ。
「お、セーフエリアだ。ここで今日は休もうか、もう日も傾いてきたし」
空が見える分、時間の感覚は維持できる。
ちょうどいいところでセーフエリアがあったので今日のキャンプ地とする。
コテージを展開し、それぞれ武装を解いてホッと一息をつく。
「今日の夜は俺だから皆先に汗流してきなよ」
「はーい」
進化続けている移動用コテージは個室にそれぞれ風呂付きだ。
簡易アパートみたいになっている。
一階の食堂兼リビングに併設したキッチンでユキムラは準備を始める。
突発的に開始されたMD攻略だがいつどんなときでも対応できるように普段からきちんと準備はしている。当然食料なども十分に確保している。
今日の食事当番はユキムラ、なんとなく思いつきで純和風な料理をしたくなった。
里芋とイカの煮っころがし、赤魚の粕焼き、ほうれん草の胡麻和え、豚汁、ご飯。
「そして、これだ……」
ユキムラが取り出したのは納豆だ。それに刻みネギを大量に入れてよく混ぜる。
ユキムラの大好物だった。
残念ながらレンとヴァリィは苦手だ。ソーカとタロは好物だった。
「師匠ほんとに好きですね納豆……」
「ごめんねレン匂いそっちいかないようにするから」
「いえいえ、気にしないでください。食べるのは苦手ですがそこまでじゃないので、それに今日はすごく美味しそうなものたくさんありますから、師匠後はやっておきますから汗流して来てください」
「悪いね」
ご飯を並べたり味噌汁を配膳して食事の準備は完成だ。
ダンジョンの中で日本の家庭的な食事をゆったりと楽しめる。
ユキムラは心の底からこの世界のことが大好きだった。
通路部分の脇の森部分は侵入が不可能だ。通れそうな隙間があっても不思議な力で弾かれてしまう。
森の形をした壁になっている。
タロが確かめたが天上方向にも天上が存在していて、森上空部分のなにもないところにも見えない壁が存在している。
やはりここは森の形をしたダンジョンなのだ。
「うーん、こんなところのMDは知らないなぁ……イベントもあったっけなぁ……」
最近ではVOとだいぶ話が変わっていてVOのイベントやクエスト知識は殆ど役に立たなかった。
「師匠、来ます!」
このMDに入って初めての戦闘だ。
外とは異なりMDでの戦闘は油断は禁物、すでに白狼隊のメンバーのレベルは400台に達しており、そのレベルの敵が相手となる。
VOでは500ごとくらいにレベルが上がりにくくなるレベル帯がある。
そしてその付近の敵はなぜか手強い傾向にある。
490あたりで効率がいい狩り場は結構な危険地帯だったり、そんな感じだ。
500を超えるとレベル効率が良くなってポコポコとレベルが上っていく。
まぁ2000くらいまでイベントでふっとばされるのが最後の方のVOだったが……
FDでちまちまと何時間もかけてレベルを上げていた時代を知っているユキムラ的には羨ましくも有り、もったいないよなぁって思ったりしたこともある。
あのコツコツ感はそれはそれで楽しかったりするものだ。
面倒くさいのも当然だが、それがあるからこそその壁を抜けたときが快感だったりしていた。
懐古厨のボヤキである。
「ドルイドか、魔法が強力な敵だ、火が弱点だから、ただ耐性はオールラウンドに、色々やってくる」
ユキムラがすぐに指示を飛ばす。
全員すぐに装備を換装する。このあたりのスピードは命に直結するので厳しい訓練を受けている。
ドルイドは魔法を使役する森の賢者。強力な魔法を多用してくる。
接近戦はそこまで強くないので魔法を使われる前に倒す。ってのが基本になってくる。
【サモンゴーレム】
ドルイドはユキムラ達を確認するとすぐに身を守る準備をする。
数体がゴーレムを呼び出して、他の奴らがきっちりとバフを展開していく。
ドルイドの杖が地面を叩くと魔法陣が展開しボコボコと土のゴーレムが盛り上がってくる。
ゴーレムは別に強くもないが、頑丈で、でかくて、邪魔で、大量に出てくる。
ゴーレムの壁に阻まれているとドルイドの強力な魔法が降り注いでくる。
「レン、一気にゴーレムやるぞ! 穴が空いたら3人は一気にドルイドよろしく」
「はい! 師匠!!」「わかりました!」「はーい」「ワン!」
レンとユキムラが合成詠唱を始める。
同じ呪文を二人で唱えることで威力は3倍だ。
「「フレイムサークル!!」」
火炎のリングがゴーレム達をなぎ払い数体のドルイドごと貫通していく、その開いた穴に二人と一匹が飛び込んでいく。距離を詰められたドルイド達がヴァリィやソーカ、タロに抗うすべはない。
「ふぅ、まぁ問題ないか。初戦だから緊張しちゃったよ」
「師匠でも緊張するんですね?」
「当たり前だよ、敵を過小評価して一気に崩れるなんて当たり前だからね。
だからって最初っから飛ばしすぎると最後まで保たない。そこの見極めは難しいよね。
それがうまくいくと気持ちいいんだけどもね!」
VOプレイヤーであるユキムラにとって、ダンジョンはただ攻略すればいいものじゃない、かけたコスト以上の報酬がなければ意味がない。この世界ではそんなこともないのだが、これは血に刻まれた習性みたいなものだ。
「次はウルフマンか、近接はドルイドより強いし魔法を使うやつもいる。
いいね、このダンジョン退屈しなさそう」
「ユキムラさん楽しそうですね」
「やっぱ、知らないところって冒険してる感じがするじゃん」
「男の子なのねぇユキムラちゃんも」
「そりゃそうですよ。レン、状態異常に弱いから最初はそれからいくよー」
8体と大所帯なパーティだったがユキムラとレンの状態異常に半分以上が陥って一方的な殲滅戦になってしまった。
「敵の特性を正確に理解して適切な対応するとほんとに戦闘は楽になるから」
「ユキムラちゃんそうはいっても魔物の量も膨大で……」
「それでも知ってるから生き残れることもあると思って頑張ってよ」
とてもいい笑顔でそう言われると頑張るしかない。
怒鳴りつけられたほうがいっそやる気も無くなるんだが、こういうところがユキムラの怖いところだ。
「お、セーフエリアだ。ここで今日は休もうか、もう日も傾いてきたし」
空が見える分、時間の感覚は維持できる。
ちょうどいいところでセーフエリアがあったので今日のキャンプ地とする。
コテージを展開し、それぞれ武装を解いてホッと一息をつく。
「今日の夜は俺だから皆先に汗流してきなよ」
「はーい」
進化続けている移動用コテージは個室にそれぞれ風呂付きだ。
簡易アパートみたいになっている。
一階の食堂兼リビングに併設したキッチンでユキムラは準備を始める。
突発的に開始されたMD攻略だがいつどんなときでも対応できるように普段からきちんと準備はしている。当然食料なども十分に確保している。
今日の食事当番はユキムラ、なんとなく思いつきで純和風な料理をしたくなった。
里芋とイカの煮っころがし、赤魚の粕焼き、ほうれん草の胡麻和え、豚汁、ご飯。
「そして、これだ……」
ユキムラが取り出したのは納豆だ。それに刻みネギを大量に入れてよく混ぜる。
ユキムラの大好物だった。
残念ながらレンとヴァリィは苦手だ。ソーカとタロは好物だった。
「師匠ほんとに好きですね納豆……」
「ごめんねレン匂いそっちいかないようにするから」
「いえいえ、気にしないでください。食べるのは苦手ですがそこまでじゃないので、それに今日はすごく美味しそうなものたくさんありますから、師匠後はやっておきますから汗流して来てください」
「悪いね」
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ダンジョンの中で日本の家庭的な食事をゆったりと楽しめる。
ユキムラは心の底からこの世界のことが大好きだった。
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