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189話 暗雲
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森の雰囲気はどんどん変化していく。
妖しい花が咲き乱れているゾーンが終わったら枯れ木が立ち並ぶゾーン、そして今は禍々しい黒黒とした木々が立ち並んでいる。
空もどんよりと濁っており、常に薄暗い。
「グルルルル……」
「タロがおこだね」
「さっきから死霊系増えてきてますからね」
「ユキムラちゃんまだ長いと思う?」
「うーん、今10日目ですよね……たぶん長くて1ヶ月だとは思う。くらいしか言えないですねー」
「まだ1/3の可能性もあるってことですか……」
戦闘はそこま切迫した状態ではない。手応えはあるものの苦戦するほどではない。
このエリアは死霊系モンスターが多く、タロ一人で引き裂いている。
ショウグン戦以降白狼隊のメンバーは今まで以上に、ひとつひとつの戦闘を大事にこなしている。
ユキムラの圧倒的能力を垣間見て改めて心を入れ替えて精進している。
戦闘が楽に感じるのも、そういった心構えがあるせいもあるのだろう。
「また随分と雰囲気変わってきましたね……」
レンは戦いを終えて魔石を集めていた。丁度境目になるあたりだったようで、そこから先は突然砂漠になっている。
「なんか、道みたいになっていないでだだっ広いわねぇ」
砂漠へと侵入して周囲の状況をそれぞれ確認する。
どうやら砂漠は壁面などが近くには存在しない、見た目通りのだだっ広い空間のようだった。
「ユキムラさんここから妙に熱くありません?」
広大な砂漠に煌々と照らされる太陽。直前までの辛気臭いエリアが嘘のように変化している。
いままでのMDでは無いような明らかにちぐはぐとした急激な変化にユキムラは不安を覚える。
「うーん、さっきセーフゾーンあったよね。あっちで今日は休もうか。
たぶん次はしんどいと思う」
少し前にあったセーフゾーンまで戻ることをユキムラが提案する。
もちろん反対する人間はいない。タロは死霊の森に戻ることで、ほんの少し不機嫌になるが、我慢する。偉い。
キャンプの用意をしながらレンがユキムラに訪ねてくる。
「師匠しんどいっていうのはあの砂漠ですか?」
「うん、ちょっとここ変だね。ふつうMDってその場に場所に適した作りになっているんだけど。
あんな街に近い場所に、死霊の森が起きたり直後に脈絡の無い砂漠になったり。
ツギハギみたいな作りになってるでしょ?
こういう滅茶苦茶なダンジョンって異世界絡みであることが多いんだよね」
「異世界……」
「この世界とちょっとことなる世界、こっちの常識が通用しない、恐ろしい魔物も跋扈する、魔王や魔神のテリトリー。それが異世界。異世界絡みのMDって脈絡なくてさっきの砂漠も、セーフゾーン無しで3日くらい続いたりする可能性もあるんだよね……あとは超巨大ボス系とか……なんにせよ、万全で挑もう」
「どちらにせよ過酷そうですね……」
「こんな段階で異世界がらみのクエスト起きないと思うんだけどね……
ま、用心に越したことはないからさ」
ユキムラはくしゃくしゃとレンの髪の毛を撫でる。
久しぶりに頭を撫でられて嬉しいけど少し気恥ずかしい。
こないだベッタリと抱きついたことは都合よく忘れているレンだった。
汗を流し食事を取り、アイテムの在庫や武具の手入れ、キャンプでもやることはたくさんある。
それでもこの日は早めにキャンプを敷いたせいでゆったりとした時間が取れる。
「師匠さっき食事前に言っていた超巨大ボスってのはドラゴンくらいでかいんですか?」
「ああ、うーんとね……ひどいのになると村ぐらいの大きさ? になる……」
「ちょ、ユキムラちゃんそれほんとに言ってるの?」
「ユキムラさん、いくらなんでもそれじゃぁタロでも相手できないじゃないですか?」
「背中とかに乗ったり、討伐船から攻撃したりするんだけど……
砂漠に出るやつもいたからなぁ……、備えだけはしておくかぁ……」
「備えですか?」
「ああ、砂漠の移動も普通に徒歩だと時間がかかるからね、壁がないなら高速移動しても問題ないだろ」
それからユキムラは全員にホバーボードを発展させたホバークラフトのような乗り物の説明をしていく。手持ちの素材から全員でサクサクとホバークラフト作成に移っていくのは、この常識はずれな白狼隊のメンバーらしいといえばらしい。
「村ぐらいの大きさ……」
「ああ、ゴーレムみたいな巨人とか、ドラゴンとか、魚とかもいるねぇ。
もちろんこっちの世界にいたら大騒ぎだけどね、あまりにここは今までのMDとかけ離れているからさ、
なんか無理やりツギハギで作られたみたいな、そんな印象を受ける……」
「外の世界にも干渉してたわよねぇ~」
「そうなんだよねぇ……何があるかわからないからみんな注意して明日からも進もう。
少しでも安全性を高める努力は出来る限りしないとね……」
「し、師匠この方法で魔法射出すると暴走しません?」
「ああ、敵に打ち込むから別にその後暴走しても良くない?」
「暴走する方向に指向性を持たせればいいか……」
「ユキムラさん、そしたらこんな感じで暴走範囲を指定すればどうでしょう?」
「ああ、範囲を絞ることで内部の威力を上げるのね、多重魔法とおんなじ感じだね。いいねいいね」
「ね、ねぇ。あえて言うけど滅茶苦茶危険なもの作ってない私達?」
「ヴァリィさん。人に向けなければいいんですよ!」
夜遅くまでユキムラ達の安全対策という名の戦略兵器作成は続く……
やり過ぎや自重をヴァリィが抑えなかったら、どんなことになったことか想像に容易かった。
妖しい花が咲き乱れているゾーンが終わったら枯れ木が立ち並ぶゾーン、そして今は禍々しい黒黒とした木々が立ち並んでいる。
空もどんよりと濁っており、常に薄暗い。
「グルルルル……」
「タロがおこだね」
「さっきから死霊系増えてきてますからね」
「ユキムラちゃんまだ長いと思う?」
「うーん、今10日目ですよね……たぶん長くて1ヶ月だとは思う。くらいしか言えないですねー」
「まだ1/3の可能性もあるってことですか……」
戦闘はそこま切迫した状態ではない。手応えはあるものの苦戦するほどではない。
このエリアは死霊系モンスターが多く、タロ一人で引き裂いている。
ショウグン戦以降白狼隊のメンバーは今まで以上に、ひとつひとつの戦闘を大事にこなしている。
ユキムラの圧倒的能力を垣間見て改めて心を入れ替えて精進している。
戦闘が楽に感じるのも、そういった心構えがあるせいもあるのだろう。
「また随分と雰囲気変わってきましたね……」
レンは戦いを終えて魔石を集めていた。丁度境目になるあたりだったようで、そこから先は突然砂漠になっている。
「なんか、道みたいになっていないでだだっ広いわねぇ」
砂漠へと侵入して周囲の状況をそれぞれ確認する。
どうやら砂漠は壁面などが近くには存在しない、見た目通りのだだっ広い空間のようだった。
「ユキムラさんここから妙に熱くありません?」
広大な砂漠に煌々と照らされる太陽。直前までの辛気臭いエリアが嘘のように変化している。
いままでのMDでは無いような明らかにちぐはぐとした急激な変化にユキムラは不安を覚える。
「うーん、さっきセーフゾーンあったよね。あっちで今日は休もうか。
たぶん次はしんどいと思う」
少し前にあったセーフゾーンまで戻ることをユキムラが提案する。
もちろん反対する人間はいない。タロは死霊の森に戻ることで、ほんの少し不機嫌になるが、我慢する。偉い。
キャンプの用意をしながらレンがユキムラに訪ねてくる。
「師匠しんどいっていうのはあの砂漠ですか?」
「うん、ちょっとここ変だね。ふつうMDってその場に場所に適した作りになっているんだけど。
あんな街に近い場所に、死霊の森が起きたり直後に脈絡の無い砂漠になったり。
ツギハギみたいな作りになってるでしょ?
こういう滅茶苦茶なダンジョンって異世界絡みであることが多いんだよね」
「異世界……」
「この世界とちょっとことなる世界、こっちの常識が通用しない、恐ろしい魔物も跋扈する、魔王や魔神のテリトリー。それが異世界。異世界絡みのMDって脈絡なくてさっきの砂漠も、セーフゾーン無しで3日くらい続いたりする可能性もあるんだよね……あとは超巨大ボス系とか……なんにせよ、万全で挑もう」
「どちらにせよ過酷そうですね……」
「こんな段階で異世界がらみのクエスト起きないと思うんだけどね……
ま、用心に越したことはないからさ」
ユキムラはくしゃくしゃとレンの髪の毛を撫でる。
久しぶりに頭を撫でられて嬉しいけど少し気恥ずかしい。
こないだベッタリと抱きついたことは都合よく忘れているレンだった。
汗を流し食事を取り、アイテムの在庫や武具の手入れ、キャンプでもやることはたくさんある。
それでもこの日は早めにキャンプを敷いたせいでゆったりとした時間が取れる。
「師匠さっき食事前に言っていた超巨大ボスってのはドラゴンくらいでかいんですか?」
「ああ、うーんとね……ひどいのになると村ぐらいの大きさ? になる……」
「ちょ、ユキムラちゃんそれほんとに言ってるの?」
「ユキムラさん、いくらなんでもそれじゃぁタロでも相手できないじゃないですか?」
「背中とかに乗ったり、討伐船から攻撃したりするんだけど……
砂漠に出るやつもいたからなぁ……、備えだけはしておくかぁ……」
「備えですか?」
「ああ、砂漠の移動も普通に徒歩だと時間がかかるからね、壁がないなら高速移動しても問題ないだろ」
それからユキムラは全員にホバーボードを発展させたホバークラフトのような乗り物の説明をしていく。手持ちの素材から全員でサクサクとホバークラフト作成に移っていくのは、この常識はずれな白狼隊のメンバーらしいといえばらしい。
「村ぐらいの大きさ……」
「ああ、ゴーレムみたいな巨人とか、ドラゴンとか、魚とかもいるねぇ。
もちろんこっちの世界にいたら大騒ぎだけどね、あまりにここは今までのMDとかけ離れているからさ、
なんか無理やりツギハギで作られたみたいな、そんな印象を受ける……」
「外の世界にも干渉してたわよねぇ~」
「そうなんだよねぇ……何があるかわからないからみんな注意して明日からも進もう。
少しでも安全性を高める努力は出来る限りしないとね……」
「し、師匠この方法で魔法射出すると暴走しません?」
「ああ、敵に打ち込むから別にその後暴走しても良くない?」
「暴走する方向に指向性を持たせればいいか……」
「ユキムラさん、そしたらこんな感じで暴走範囲を指定すればどうでしょう?」
「ああ、範囲を絞ることで内部の威力を上げるのね、多重魔法とおんなじ感じだね。いいねいいね」
「ね、ねぇ。あえて言うけど滅茶苦茶危険なもの作ってない私達?」
「ヴァリィさん。人に向けなければいいんですよ!」
夜遅くまでユキムラ達の安全対策という名の戦略兵器作成は続く……
やり過ぎや自重をヴァリィが抑えなかったら、どんなことになったことか想像に容易かった。
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