老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件

穴の空いた靴下

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198話 センテナの街

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 シズイルの街を出た白狼隊一行は一路、車で次の街センテナへ向かう。

 暖かさの落ち着いた気候に、澄み渡った空、緑の平原、自然豊かな風景にドライブ気分でユキムラがハンドルを握っている。

 

「うーん、あえて自然の天候を感じながらの走行が気持ちいいねぇ~」



「暑すぎないし、風はパリッとして気持ちがいいし。

 今日は天気も最高ですねー」



 レンも身体を窓から乗り出して風を感じている。



「ユキムラさんこのままだと夕方には到着できそうですね」



「そうだねー、それにしてもこの国はあんまり道路事情は良くないみたいだねー」



 走行している道も人が通っているから道っぽく形成されているが、人の手が入って作られた道路と言うには程遠いものだった。



「師匠、考えたんですが土木作業系のしごとGUにさせることって出来ないのですか?」



「……できる……出来るなぁ……」



「もちろんそれをあまりすすめると人の職を奪うことになってしまうと思うんですが、もし積極的にそういう仕事につく人間が少ないようならそういう選択肢もあるのかなと思ったんですが……」



「ああ、それはいい考えだ。サナダ街みたいにめっちゃやる気になって道路作る人がいない時は、昼夜問わず働けるし……それは考慮に入れておこう、戦闘用ほど強固に作る必要もないしね」



「それならまずは国の王様には許可を得ないとねぇ」



「そうだね、でも、凄くいい案だと思うよレン。ありがとう!」



 ふとしたきっかけでに今後の運用を変化させるような大きな発見があったりするものだ。



 道中は特に何の問題もなくセンテナの街が見えてくる。

 フィリポネアの諸島のほぼ中心に位置する比較的穏やかな内海に面する街。

 そしてダンジョンである海底洞窟を有する街。

 当然冒険者も多く物流も盛んだ。

 北に位置するベイストやシズイルに比べると暑さもより強くなっている。

 ジャングルと呼ばれる密林が散在しており、魔獣の数も北部よりは多くなっている。

 センテナの街も他の2つの街よりも立派な外壁が備えられている。

 基本この世界では町の外に獣や魔物、魔獣がいるために人の住む場所は外壁で覆われている。

 巨大な街だと外壁の更に外に街が形成され、粗末な防壁で怯えながら暮らす人もいる。

 大きな街になると人が多くなり、魔物のたぐいも寄ってきにくくなる。

 そのせいでそこにすがりつくように暮らす人も出てくる。

 巨大な城壁を持つ街ほど簡単に城壁の拡張を行うことは難しい……



「いずれ魔道具による防壁に置き換わればそういった問題は少なくなりそうですね」



 レンは頭が柔らかく発想が斬新だ。

 城壁を無くし、魔道具による防壁に置き換わる日が訪れれば確かにそういった問題は大きく前進することになる。

 ユキムラはレンの発想に度々感心させられていた。



「レンはそのままでいて欲しいな……」



 最近いろいろな面で成長著しいレンを頼もしくもあり、少しさみしい気もするユキムラであった。

 そもそも現状の成長すれども老化せずという状態は何なんだろうとユキムラは疑問に思っている。

 成長期であるユキムラ、レン、ソーカなどは数年滞在していると明らかに成長している。

 しかし、女神たちによると老化はしていないらしい……

 たぶん全てのイベントを終えて世界が本当の姿を取り戻したときにいろいろと巻き戻しやらが起きるんだろうとユキムラは考えている。

 そして、それを考えるといつも思うことがある。



 ソーカといたしたことはどういう扱いになるのだろうか?



 奥手も奥手のユキムラが、やっとのことで乗り越えた男女の垣根、これが巻き戻られたらどうなるんだろう?

 記憶は? 思い出は? 関係は?



 実は最近ユキムラはソーカと過ごす時間が長くなり、幸せな時間を多く過ごすたびにこのことが心の何処かに引っかかっていた。

 一緒にいると悩み<男の子としての感情。となって幸せな時間を過ごしているのだが……



 そんなことをグルグル考えていると気がついたら宿の前についていた。

 シズイルとベイストの二つの街からのしっかりとした推薦状があるため街へ入るのはスムーズにVIP待遇で扱われる。

 宿もセンテナの街で一番の宿、高台から海を一望できるホテルの最上階だ。

 すぐに拠点を作るにしても、翌日の領主との面会や拠点準備までの贅沢な滞在場所となる。

 なお、ユキムラが上の空で運転しているときもレンとソーカがテキパキと事務的なことはこなしてくれていた。上の空の運転は危険なので絶対にやめた方がいいが、余談になるがユキムラ達の使う車は魔法による自動運転や、障害物、人物などを察知して適切に対応するシステムがついている。

 事故をおこす心配は無いのである。



「うわーー!! 素敵……」



 日が傾きオレンジ色の太陽が海面を照らす。

 ベランダから一望できる海外線の風景は非常に魅力的で美しかった。

 ソーカは思わず声を上げてしまったが、白狼隊の男性陣もその美しさには感動していた。



「綺麗な海岸だなぁ……たぶん昼は真っ白なんだろうね……」



 今は傾いた太陽に照らされてオレンジ色に輝いている。



 近くに石材を切り出せる場所が乏しく、街の建物も木製の建物も多い、その木製の町並みが、この海外線と気候と合わさって本当に一体としての雰囲気を作り出している。

 海の上にコテージのような家が立ち並び、家と家の間を木の道路が結んでいる一画は、特に白狼隊達の目を引いた。



「なんか、あそこで食事できるとこもあるそうですよ!」



「今日はホテルで食事して明日以降に一度は行ってみたいね!」



 新しい街はやはり、ワクワクする。

 街へ入る前の不安もいつの間にかユキムラは忘れていた……

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