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201話 先を見据えて
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美しい庭園に蔦状の植物を上手く利用して日よけに用いた東屋、そこに置かれたテーブルとチェア。
全体が一つの調度品のように見事な統一感がある。
「素敵ですね。館の前の庭も素敵でしたけど」
レンが自然と思ったことを口に出す。
その言葉にガニは嬉しそうに反応する。
「ありがとうございます! 神話に出てくるような庭園を作りたいというのが私の永遠の命題でして……
皆には迷惑をかけています。それでも訪れた方や見てくれた方にそう言ってもらえると、抑えられなくて……」
熱く語ってしまっていたことに気がつくとバツが悪そうにおどけてみせる。
少し照れ笑いをしながらポリポリと頭をかいている姿が、ガタイの良さとのギャップがあって人懐っこく見えた。
軽い朝食代わりの軽食と、コーヒーに似たお茶と一緒に卓を囲みながら話に花を咲かせる。
「レベル……500……ですか……」
お互いに冒険者同士なので段々と話がそういった話になっていき、隠しても仕方がないのでユキムラは正直に自分たちのレベルを伝える。
「そんなことが、いえ、ありえるのでしょうね……来訪者、伝説の存在が今目の前にいるのですから……」
ガニもイオラナもあまりに常識はずれな白狼隊のレベルにも来訪者が居るからということで納得する。
「海底洞窟は我々『海を渡る鳥』のパーティによる第45階層が今のところ最深部です。
それでも私なんかはまだレベル80台ですし、ガニ様も120台……一番高い父でも140台ですから……」
「これは間違いなく私達の記録は抜かれますな。
最深部攻略も約束されたようなものですね」
「ところがそうも行かないのです。もちろん攻略を目指しますが、私の来訪者としての特性というか……」
ユキムラは自身の持つ、自分のレベルによってダンジョンの敵の強さが変化する特質も話す。
「ギルドではそのような報告は聞いたことがありませんが、別の閉ざされた空間ですか……
ほんの少しお話するだけで、自分の知見がガラガラと崩れていきますね」
「ところでイオラナさんは魔法使いということで、天才と言われているとか……」
「いえ、皆様の前でそう言われると恥でしかありません……」
「いえいえ、そう謙遜なさらず20歳ですでにレベル80ということ自体、この世界ではかなり凄いことだと思いますから」
「素直に嬉しいです。しかし、レベル500台という世界はどんなものなのか興味があります……」
ユキムラは考えていた。
この世界が魔神との本格的な戦いになった場合、各地に信頼のできる人物、そして強力な力を持った人間がいてくれたらどんなにいいだろうかと。
以前氷龍のMDに連れて行ったサイレスとレックスは爆発的な成長を遂げた。
ああいった人物を多く居てもらえれば、より人々の安全が図れるのではないか?
「海底洞窟、一緒に行きますか?」
そんな思いから、思わずそんな言葉が口から出ていた。
レン、ソーカ、ヴァリィはその発言に少し驚いたが、ユキムラの考えたこに異は唱えなかった。
ユキムラが危険だと判断した場合そのような発言をするはずが無いことはわかっていた。
「皆様と、一緒にですか……?」
一瞬困惑するような表情を浮かべたガニとイオラナだったが、すぐに冒険者特有の好奇心に満たされたキラキラとした顔つきになっていく。
「はっきり言って、足手まといになると思いますが、もし許されるなら是非に!」
「私も、自身では血の滲む鍛錬を怠った気はありませんが、さらなる高みを覗きたいです!」
ふたりの顔は決意を決めた冒険者のソレになっていた。
その後は事務的な商店の出店許可などレンを中心に相手方の文官なども呼ばれてお役所仕事的な話し合いも行われた。
すでにユキムラの興味は二人を安全に育成することに行ってしまっている。
森のMDで手に入れた各種の材料を用いて白狼隊自身の装備も一新されており、もう完全にオーバーテクノロジーといっていい物に到達している。
魔道具なども、戦略兵器? のような物まで作成可能だ。
それらをふんだんに安全面に考慮して用いれば、どんなレベル差であろうがパワーレベリングは可能。
ユキムラはそう考えている。
実際VOでもとんでもないレベル差でパワーレベリングは別段珍しくもないし、500程度の差など差とも思われなかった。
商店としての拠点の準備はすでに前の街なので十分に従業員教育を受けた人材が派遣されてきており、ユキムラ達自身が動く必要はなかった。
居住の拠点もホテルを大変気に入っており、しばらくそこを抑えることをした。金ならある。
さすがに工房をホテル内に開くのは気が引けたので近場の平原にコテージを展開して仮工房とすることにした。
ガニにも話を通してこの街の技術者はスキル習得のために見学を自由に許されていた。
そんなこんなで、順調に海底洞窟MD攻略の準備は進められていく。
ガニとイオラナは何度か白狼隊と合同で練習をして二人にあった装備をユキムラはウッキウキで作成している。
そして、二人の準備も終えて海底洞窟攻略の当日の朝が訪れる。
ギルドの職員や執政官などは心配そうに二人を見送るが、二人は自身の身につける神話級の装備の能力を目の当たりにしており、また白狼隊の圧倒的力量をまざまざと見せつけられていた。
迷いのない清々しい表情で、今、MD攻略へと向かうのであった。
全体が一つの調度品のように見事な統一感がある。
「素敵ですね。館の前の庭も素敵でしたけど」
レンが自然と思ったことを口に出す。
その言葉にガニは嬉しそうに反応する。
「ありがとうございます! 神話に出てくるような庭園を作りたいというのが私の永遠の命題でして……
皆には迷惑をかけています。それでも訪れた方や見てくれた方にそう言ってもらえると、抑えられなくて……」
熱く語ってしまっていたことに気がつくとバツが悪そうにおどけてみせる。
少し照れ笑いをしながらポリポリと頭をかいている姿が、ガタイの良さとのギャップがあって人懐っこく見えた。
軽い朝食代わりの軽食と、コーヒーに似たお茶と一緒に卓を囲みながら話に花を咲かせる。
「レベル……500……ですか……」
お互いに冒険者同士なので段々と話がそういった話になっていき、隠しても仕方がないのでユキムラは正直に自分たちのレベルを伝える。
「そんなことが、いえ、ありえるのでしょうね……来訪者、伝説の存在が今目の前にいるのですから……」
ガニもイオラナもあまりに常識はずれな白狼隊のレベルにも来訪者が居るからということで納得する。
「海底洞窟は我々『海を渡る鳥』のパーティによる第45階層が今のところ最深部です。
それでも私なんかはまだレベル80台ですし、ガニ様も120台……一番高い父でも140台ですから……」
「これは間違いなく私達の記録は抜かれますな。
最深部攻略も約束されたようなものですね」
「ところがそうも行かないのです。もちろん攻略を目指しますが、私の来訪者としての特性というか……」
ユキムラは自身の持つ、自分のレベルによってダンジョンの敵の強さが変化する特質も話す。
「ギルドではそのような報告は聞いたことがありませんが、別の閉ざされた空間ですか……
ほんの少しお話するだけで、自分の知見がガラガラと崩れていきますね」
「ところでイオラナさんは魔法使いということで、天才と言われているとか……」
「いえ、皆様の前でそう言われると恥でしかありません……」
「いえいえ、そう謙遜なさらず20歳ですでにレベル80ということ自体、この世界ではかなり凄いことだと思いますから」
「素直に嬉しいです。しかし、レベル500台という世界はどんなものなのか興味があります……」
ユキムラは考えていた。
この世界が魔神との本格的な戦いになった場合、各地に信頼のできる人物、そして強力な力を持った人間がいてくれたらどんなにいいだろうかと。
以前氷龍のMDに連れて行ったサイレスとレックスは爆発的な成長を遂げた。
ああいった人物を多く居てもらえれば、より人々の安全が図れるのではないか?
「海底洞窟、一緒に行きますか?」
そんな思いから、思わずそんな言葉が口から出ていた。
レン、ソーカ、ヴァリィはその発言に少し驚いたが、ユキムラの考えたこに異は唱えなかった。
ユキムラが危険だと判断した場合そのような発言をするはずが無いことはわかっていた。
「皆様と、一緒にですか……?」
一瞬困惑するような表情を浮かべたガニとイオラナだったが、すぐに冒険者特有の好奇心に満たされたキラキラとした顔つきになっていく。
「はっきり言って、足手まといになると思いますが、もし許されるなら是非に!」
「私も、自身では血の滲む鍛錬を怠った気はありませんが、さらなる高みを覗きたいです!」
ふたりの顔は決意を決めた冒険者のソレになっていた。
その後は事務的な商店の出店許可などレンを中心に相手方の文官なども呼ばれてお役所仕事的な話し合いも行われた。
すでにユキムラの興味は二人を安全に育成することに行ってしまっている。
森のMDで手に入れた各種の材料を用いて白狼隊自身の装備も一新されており、もう完全にオーバーテクノロジーといっていい物に到達している。
魔道具なども、戦略兵器? のような物まで作成可能だ。
それらをふんだんに安全面に考慮して用いれば、どんなレベル差であろうがパワーレベリングは可能。
ユキムラはそう考えている。
実際VOでもとんでもないレベル差でパワーレベリングは別段珍しくもないし、500程度の差など差とも思われなかった。
商店としての拠点の準備はすでに前の街なので十分に従業員教育を受けた人材が派遣されてきており、ユキムラ達自身が動く必要はなかった。
居住の拠点もホテルを大変気に入っており、しばらくそこを抑えることをした。金ならある。
さすがに工房をホテル内に開くのは気が引けたので近場の平原にコテージを展開して仮工房とすることにした。
ガニにも話を通してこの街の技術者はスキル習得のために見学を自由に許されていた。
そんなこんなで、順調に海底洞窟MD攻略の準備は進められていく。
ガニとイオラナは何度か白狼隊と合同で練習をして二人にあった装備をユキムラはウッキウキで作成している。
そして、二人の準備も終えて海底洞窟攻略の当日の朝が訪れる。
ギルドの職員や執政官などは心配そうに二人を見送るが、二人は自身の身につける神話級の装備の能力を目の当たりにしており、また白狼隊の圧倒的力量をまざまざと見せつけられていた。
迷いのない清々しい表情で、今、MD攻略へと向かうのであった。
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