老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件

穴の空いた靴下

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248話 束の間

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 5都市のダンジョンを同時攻略という偉業をなした白狼隊隊士はそれぞれの最寄りの町のギルドへダンジョン最深部の宝を納める。

 もちろん別次元のアイテムが多くそれぞれのギルドではとても手に負えないことは今までの経験でわかっていた。

 今回は5箇所同時制覇ということで、レンやユキムラが協力してもとても手が足りない。

 この状況を見越していたユキムラは白狼隊に入隊希望をした人材から道具知識など、文官的な仕事を支えてくれる人材も育成していた。

 各町ではそういった人物と、帝都への宝の輸送を守る人員など、白狼隊からの協力を惜しまなかった。

 もちろん、ダンジョン攻略前にギルドとの間で話し合いは済ませてある。

 実際に持ち帰った宝を見て、各町のギルドマスターはユキムラたちから言われていたことが紛れもない事実であることを理解し、さらにその宝を手に入れてきた白狼隊のメンバーに畏怖と尊敬の念を憶えた。



 白狼隊主要メンバーは次の目的地であるテンゲン国ライセツ村東に位置するザンゲツ町へと集合する。

 ザンゲツ町の側には呪われた古い都アスカが存在する。

 そこにあるMDはVO内ではレベル1000超えてから入れる高難易度MDに数えられていた。

 今回の最終作戦としては、ユキムラ達5人と副隊長5人の10人PTによる、呪われた古都MD、帝都テンゲンの側にある、テンゲン国最後のMDになるであろう龍の巣MDの攻略となる。

 その他のメンバーは各町から宝の輸送や判別の協力をすることになっている。

 そうして、各地で残りサナダ商店として働くメンバーを残して全員が帝都テンゲンで集合する運びとなっている。

 

 距離的に最も近いレンがザンゲツ町へ一番乗りする。

 すぐに町での足場づくりに取り掛かることになる。

 ついで、タロ、ヴァリィ、ソーカ、そしてユキムラが順次合流して全員集合となる。



「なんか毎日会議で話してたので久しぶりな感じがしませんね」



 いち早く町での拠点づくりや根回しを終わらせておいたレンが皆を待ってくれていた。

 一番遠いユキムラでも5日程遅れただけだったが、すでに町でサナダ商会や白狼隊の名前は轟いていた。

 

「短期間に随分と慕われているねー」



「ええ、この町は近くにダンジョンがあると言っても死霊系中心で非常に手強いため他の場所に比べて発展はしていません。むしろ漏れ出る魔物によって物流も苦労していたので、様々な魔道具を派手にばらまいてまずは街の安心と物資の充実を早急に行いました。それだけですよ」



 レンは簡単に言うが、それだけでこの町がどれほど助かったのかは町の人々の反応でユキムラも理解していた。ユキムラが白狼隊のリーダーとわかるとこの街の代表は息を切らせてやってきて膝をついて感謝を述べたのだ。

 呪われた古都のダンジョンは確かに産出される品物はいいのだが、いかんせん死霊属性という面倒くさい敵を相手にしないといけないために、ダンジョンそばの街としては悲しいくらい栄えていない……

 それどころか街での普通の生活もそのダンジョンのせいで悪くなっているんだから本末転倒だ……



「取り敢えずアスカの古都は周囲を対死霊用魔道具で囲っておきました。

 それからサナダ商会で対死霊用武具も取り揃えております。

 ギルド側にも幾つかレンタル用武器や聖属性付与アイテムを贈答したのでしばらくすればこの町にも活気が戻ってくると思います。この情報も広めますから」



 さすがレン、有能である。



「まぁ、取り敢えず今日は久しぶりの再会ゆっくりしよう」



「そういえばさっきの町長さんに教わったんですが『赤い宝石』ってお店が美味しいらしいですよ!」



 今後の予定を的確に予想しての食事処をきちんと押さえておく食いしん坊の鑑である。



「それギルドの人も言ってました。そしたら予約しておきますね」



「まだ時間も早いし、さっそく各ダンジョンのボス宝箱でも整理しようか!」



「ユキムラちゃん気になってしょうがなかったものねぇ。

通信で何回開けちゃダメ? って聞いたことか……」



「いやー、ははは」



 流石に5箇所もあると宝の量もそれなりにある。

 確保した拠点に広げられたアイテム類をキラキラと光る目でユキムラとレンが分別している。

 ダンジョン最深部の宝箱ほどではないが、ボスの宝箱もかなり上質な物が入っている。

 鉱石、宝石類は素材として使いやすい形に変化させ収納する。

 武具は使用するもの、しない物を分割して、使用しないものは素材へと戻す。

 素材が集まり強化できる組み合わせを考える。

 この時間がユキムラにとって何物にも変えられない楽しい時間だ。



「師匠、そろそろ予約した時間ですので、続きは帰ってから」



「あ、あとこれだけ、これ組み合わせれば出来るから」



「もー、ユキムラさんそれ何度目ですか? レンは遠慮してますけど、もうぎりぎりですよー!」



「ソーカちゃんが怒るわよーユキムラちゃん。

 聞こえるでしょ、ソーカちゃんのお腹の音……」



 先程から響いているエンジン音みたいな音はソーカのお腹の音だ。

 この音が出てなおも我慢をさせるとソーカの機嫌がとんでもなく悪くなることを全員知っている。

 ユキムラもすぐに片付けを済ませてお店へと向かう。



『赤い宝石』はザンゲツ町で人気の居酒屋で、海鮮を中心とした家庭料理が人気だ。

 特に仕入れられているとレッドイーセシュリンプという幻のエビを味わうことが出来る。

 残念ながらこの日は味わうことはできなかったが、新鮮な魚介の味を活かした見事な料理に全員大変満足をして、ダンジョン攻略へ向けて英気を養うことが出来たのであった。

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