259 / 342
259話 新居祝いの夜
しおりを挟む
「おおおおおおおおおお!!」
照明がつき装いを変えていく庭園に招待客は歓声を上げる。
傾いた夕日に照らされる木々は赤く燃えるように美しく、薄暗くなる湖は湖底から魔道具による照明によって光の演出の様に輝いている。
暗くない程度に、しかし、過度に明るくならないように調節された照明。
ロマンチックな空間に様変わりしていく。
「師匠すごいですよ! こんな景色見たことありません!」
「ユキムラちゃんがこういう造詣に深いとは思わなかったわぁ……」
ヴァリィが感心しているなら大成功だろう。ユキムラは満足している。
「……すごいです……ユキムラさん……なんか、涙が出ちゃいました……」
さっきまで食事に明け暮れていたソーカも目元をこすりながら、その変化に心を揺さぶられたようだ。
ユキムラの日本でのイルミネーションを参考にしているが、こんな照明の使い方は、ある意味余裕がある使い方だ。この世界でそんな使用方法が出来るほどの余裕がある場所は無いだろう。
誰も見たことのない初めての幻想的な景色はこの世界の人々の心を感動させたのだ。
ライコとソーシもその風景にすっかり魅了されている。
「この景色を酒に映して飲む。これは天上の楽しみですな……」
「まさに……」
酒の水面みなもに映した情景をくいっと飲み干す3人。
大人な3人の所作にレンは少しかっこいいなと思う。しかし、翌朝頭痛を抱えて助けを求める大人たちを見て考えを改めるのでありました。
いろいろなことがあったが、大成功で幕を降ろす新居祝いの集いなのでした。
ユキムラも何人かの政治に関わる人達とパイプを作ることが出来た。
特に軍事面の中枢にいる人間と関係を作れたことによって、今後白狼隊式ブートキャンプに国防に携わる人間の参加を期待できる。
もちろん、テンゲン和国だけが屈強な軍隊を手に入れるのは長い目で見ると危険なので、世界がもとに戻った後にユキムラは各国でも同じような事をしようと考えている。
もし、野心を持って軍を動かすような国がいればユキムラはGUを使ってでも潰す覚悟でいる。
なんにせよテンゲン和国最後のダンジョンでの鍛錬の準備はここに整った。
ギルド側と打ち合わせをしながら、白狼隊隊士の訓練と並行しての日々が始まる。
ユキムラ達に隊員とギルド、そしてソーシの部下という混合部隊で浅い階層での訓練を慎重に始める。
ギルドやソーシの部下達は見たこともないレベルの魔物に当然手も足も出ない。
ユキムラたちや隊士達の人間離れした動きにただただ圧倒されるだけだ。
それでも貸し与えられた武具は圧倒的性能で自分たちをサポートしてくれて、数度の訓練ですぐに戦力になれる動きが出来るようになっていく。
交代で毎日の訓練をこなしていけば、数ヶ月で圧倒的な成長を遂げるのである。
ソーシが自らの部下の圧倒的成長という形での結果も有り、テンゲン和国のトップである帝からの謁見の通達を知らせがユキムラ達に来るのも当然だった。
レンも政治工作、といっても黒いものではなく至極まっとうな商会としての国への協力などを通して帝都においてもサナダ商店の存在感を増すことに成功している。
「ユキムラ殿、それに白狼隊幹部の皆様、テンゲン和国の帝が皆さんとの会見をご所望なさっている。
ご同行願えないだろうか?」
もちろん事前に先触れは来ている。
ユキムラ達白狼隊幹部の4人と1匹はヴァリィ製の和装でビシっと決めている。
テンゲン和国は確かに式典とかでは着物『風』衣装を使うこともある。
ユキムラが用意したのは紋付袴に振り袖というガチガチの和装。
これもまたひと目を引いた。
ユキムラは正統派イケメンなので何を着てもそりゃーよく映える。
ソーカはキリッとした顔つきに上げた髪型と着物の相性が抜群にいい。
ユキムラもうなじらへんをチラチラと見てはデレデレしている。
中身のおっさんのどストライクど真ん中を攻めている感じだ。
レンも可愛らしい顔つきと着物の凛々しさのアンバランスが逆に魅力的で、より可愛らしさが強調されている。
ヴァリィはガタイがいいので着物が非常に雄々しく格好がいい。
しかし、やはりタロの紋付き姿は別格の可愛さで愛嬌が溢れ出てしまう。
見るもの全てを笑顔にさせる兵器と化している。
ソーシの部隊が先行してホロのないオープンなタイプの馬車で城までの道を進む。
もうすでに街での知名度も人気も高まっているのでまるでパレードのようになっている。
町の人達の歓声に見送られて城に通じる正面の大門を通過していく。
「ここからは馬車では進めませんので、ご一緒願います」
ソーシは軽装ではあるが甲冑を着ているのだが、それがまぁ絵になる。
まさに武士もののふ。ユキムラの時代劇好きな血が沸騰していた。
「街と違って城はキンキラではないんですね」
「白塗りの漆喰壁に深い青、遠目には黒く見える瓦。至高にして究極の組み合わせだよねぇ」
四層天守の美しい城郭。
美しいだけではなく堅城としても攻略が難しそうな威風堂々とした佇まいだ。
「しかし、巨大な城ですね……」
「ええ、有事には城に立てこもり生活が出来るようになっております。
かなりの人数が立てこもれる作りになってますよ」
「有事と言っても、別に他国の侵略を受けたこととかはないんですよね?」
「ええ、残っている資料からだと人からの侵略はありませんでしたね。
ただ、魔物や強力な魔人の攻撃を受けた記録はありますね」
「魔人ですか……」
「かなり古い記録なので正確にはわかっていませんけどね。
そういった伝記が好きなので知っているって程度なので詳しくはちょっと……」
「そうですか、いえいえ、ありがとうございます。興味深い話が聞けました」
そんな世間話をしていると天守へと到着する。
頑丈そうな鉄製の扉を門を守る衛兵が開けてくれる。
とうとう天守内部とご対面だ。
照明がつき装いを変えていく庭園に招待客は歓声を上げる。
傾いた夕日に照らされる木々は赤く燃えるように美しく、薄暗くなる湖は湖底から魔道具による照明によって光の演出の様に輝いている。
暗くない程度に、しかし、過度に明るくならないように調節された照明。
ロマンチックな空間に様変わりしていく。
「師匠すごいですよ! こんな景色見たことありません!」
「ユキムラちゃんがこういう造詣に深いとは思わなかったわぁ……」
ヴァリィが感心しているなら大成功だろう。ユキムラは満足している。
「……すごいです……ユキムラさん……なんか、涙が出ちゃいました……」
さっきまで食事に明け暮れていたソーカも目元をこすりながら、その変化に心を揺さぶられたようだ。
ユキムラの日本でのイルミネーションを参考にしているが、こんな照明の使い方は、ある意味余裕がある使い方だ。この世界でそんな使用方法が出来るほどの余裕がある場所は無いだろう。
誰も見たことのない初めての幻想的な景色はこの世界の人々の心を感動させたのだ。
ライコとソーシもその風景にすっかり魅了されている。
「この景色を酒に映して飲む。これは天上の楽しみですな……」
「まさに……」
酒の水面みなもに映した情景をくいっと飲み干す3人。
大人な3人の所作にレンは少しかっこいいなと思う。しかし、翌朝頭痛を抱えて助けを求める大人たちを見て考えを改めるのでありました。
いろいろなことがあったが、大成功で幕を降ろす新居祝いの集いなのでした。
ユキムラも何人かの政治に関わる人達とパイプを作ることが出来た。
特に軍事面の中枢にいる人間と関係を作れたことによって、今後白狼隊式ブートキャンプに国防に携わる人間の参加を期待できる。
もちろん、テンゲン和国だけが屈強な軍隊を手に入れるのは長い目で見ると危険なので、世界がもとに戻った後にユキムラは各国でも同じような事をしようと考えている。
もし、野心を持って軍を動かすような国がいればユキムラはGUを使ってでも潰す覚悟でいる。
なんにせよテンゲン和国最後のダンジョンでの鍛錬の準備はここに整った。
ギルド側と打ち合わせをしながら、白狼隊隊士の訓練と並行しての日々が始まる。
ユキムラ達に隊員とギルド、そしてソーシの部下という混合部隊で浅い階層での訓練を慎重に始める。
ギルドやソーシの部下達は見たこともないレベルの魔物に当然手も足も出ない。
ユキムラたちや隊士達の人間離れした動きにただただ圧倒されるだけだ。
それでも貸し与えられた武具は圧倒的性能で自分たちをサポートしてくれて、数度の訓練ですぐに戦力になれる動きが出来るようになっていく。
交代で毎日の訓練をこなしていけば、数ヶ月で圧倒的な成長を遂げるのである。
ソーシが自らの部下の圧倒的成長という形での結果も有り、テンゲン和国のトップである帝からの謁見の通達を知らせがユキムラ達に来るのも当然だった。
レンも政治工作、といっても黒いものではなく至極まっとうな商会としての国への協力などを通して帝都においてもサナダ商店の存在感を増すことに成功している。
「ユキムラ殿、それに白狼隊幹部の皆様、テンゲン和国の帝が皆さんとの会見をご所望なさっている。
ご同行願えないだろうか?」
もちろん事前に先触れは来ている。
ユキムラ達白狼隊幹部の4人と1匹はヴァリィ製の和装でビシっと決めている。
テンゲン和国は確かに式典とかでは着物『風』衣装を使うこともある。
ユキムラが用意したのは紋付袴に振り袖というガチガチの和装。
これもまたひと目を引いた。
ユキムラは正統派イケメンなので何を着てもそりゃーよく映える。
ソーカはキリッとした顔つきに上げた髪型と着物の相性が抜群にいい。
ユキムラもうなじらへんをチラチラと見てはデレデレしている。
中身のおっさんのどストライクど真ん中を攻めている感じだ。
レンも可愛らしい顔つきと着物の凛々しさのアンバランスが逆に魅力的で、より可愛らしさが強調されている。
ヴァリィはガタイがいいので着物が非常に雄々しく格好がいい。
しかし、やはりタロの紋付き姿は別格の可愛さで愛嬌が溢れ出てしまう。
見るもの全てを笑顔にさせる兵器と化している。
ソーシの部隊が先行してホロのないオープンなタイプの馬車で城までの道を進む。
もうすでに街での知名度も人気も高まっているのでまるでパレードのようになっている。
町の人達の歓声に見送られて城に通じる正面の大門を通過していく。
「ここからは馬車では進めませんので、ご一緒願います」
ソーシは軽装ではあるが甲冑を着ているのだが、それがまぁ絵になる。
まさに武士もののふ。ユキムラの時代劇好きな血が沸騰していた。
「街と違って城はキンキラではないんですね」
「白塗りの漆喰壁に深い青、遠目には黒く見える瓦。至高にして究極の組み合わせだよねぇ」
四層天守の美しい城郭。
美しいだけではなく堅城としても攻略が難しそうな威風堂々とした佇まいだ。
「しかし、巨大な城ですね……」
「ええ、有事には城に立てこもり生活が出来るようになっております。
かなりの人数が立てこもれる作りになってますよ」
「有事と言っても、別に他国の侵略を受けたこととかはないんですよね?」
「ええ、残っている資料からだと人からの侵略はありませんでしたね。
ただ、魔物や強力な魔人の攻撃を受けた記録はありますね」
「魔人ですか……」
「かなり古い記録なので正確にはわかっていませんけどね。
そういった伝記が好きなので知っているって程度なので詳しくはちょっと……」
「そうですか、いえいえ、ありがとうございます。興味深い話が聞けました」
そんな世間話をしていると天守へと到着する。
頑丈そうな鉄製の扉を門を守る衛兵が開けてくれる。
とうとう天守内部とご対面だ。
0
あなたにおすすめの小説
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる