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261話 龍の巣ダンジョンへの道
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結局、一度言い出した帝を説得することなんて、出来るはずもなかった。
「そもそもこの国を作ったのはワシじゃからな!
それに、まだまだこの国のひよっこ共には負けぬわい!」
その言葉通り、帝、オトハはとても強力な神道使いだった。
神道とはテンゲン和国における独特の魔法みたいなもので、悪しきものを滅ぼし人々を救うと言うコンセプトで、不死不浄系の敵には絶大な優位を誇れる。
柔道や柔術に似た格闘技の要素もあり、ソロでも臨機応変に狩りができる。
独特のコンボ要素があって、攻撃と同時に状態異常を与えたりする技が多く、ユキムラもPvPでは愛用している。
その代わり、やや器用貧乏で活躍の場は不死特化と言ってもいい。
「オトハ様、本当にいいんですか? みんなこの世の終わりみたいな顔してましたよ?」
「ユキムラはその様をやめろと言っておるじゃろ……、いいんじゃよ、ワシはどうせお飾りみたいなものじゃ。政まつりごとはワシなんかおらずとも皆がなんとかしておる」
「しかし、帝! 帝都をお離れになるなんて……」
「そうですよ、我々がいつも御身を守れるかはわかりませんぞ?」
「くどいぞケイジにソーシ! それに、お主らが束になってもユキムラには敵わん。
ならばユキムラと共におれば安全じゃろ?」
「ですが……」
「それにワシも結構やるぞ、まぁガタガタ言わずとも、もうすぐ腕前を見せてやるから。
そうすればお主らの心配も杞憂に終わるじゃろ!」
てんやわんやあって、結局一度ユキムラ達と龍の巣ダンジョンでオトハがどのくらい戦えるのかをソーシとケイジに見せる。ということで、ユキムラ達5名とソーシ、ケイジ、オトハ、もう一台の車には白狼隊の隊員たちと親衛隊隊長が乗っている。そして向かう先は龍の巣ダンジョン。
整備された道路を車で走る。
オトハもソーシもケイジも親衛隊の方々も最初は度肝を抜かされていたが、今ではすっかりと慣れてオトハを諦めさせる説得が再開されていた。
「あ、よかったらお茶とお茶請けをどうぞ……」
ソーカが3人に緑茶とお饅頭を差し入れる。
後部座席部分でさっきから同じ話が何度も繰り返されている。
「あ、これはおかまいなく」
「おお、これは旨い! ユキムラ! この饅頭はどこのじゃ?」
オトハは饅頭を一口食べると絶賛する。
「それはソーカが作りました。彼女の食へのこだわりは一流ですから」
「ホントだ。ソーカさん、これは美味しい! 帝都でもこんなに美味しいのは食べたことがない!」
ケイジも一口食べると目を見開いて大絶賛。
「ケイジ様、話がそれております!」
なるほどソーシが苦労するわけだ。
「すまんな、ソーシ。いや、お前も食えばわかる! これは絶品だぞ!」
ケイジがソーシの口に饅頭を突っ込む。
一口食べると夢中でそのまま饅頭を食べきってお茶をすするソーシ。
「……!? いや、たしかにこれは……それに茶も……」
「なー? ほら見ろ!」
「相変わらずそなたらは仲が良いのぉ……」
美味しそうにまんじゅうを頬張る二人をオトハはまるで母親のように微笑ましげに見つめている。
ヴァリィは鼻息荒く見つめている。
「帝……お戯れを……」
「ふふふ、そなたらがこーんなに小さい頃から見とるからのぉ……」
「そう言えばオトハ様は……3000年生きているというのは……」
「ああ、事実じゃ。ワシはこの国を救うために神々と契約をした。
死すことはない。老いることもない。
なぜか10歳ほどの姿に若返ってしまったが、その契約をした時は50を超えた頃じゃったかな?」
ユキムラの知るVOでのオトハは20代の絶世の美女設定だ。
不死でも不老でもない。
「帝は生ける守り神として、テンゲン和国全ての民から愛されております」
「そうじゃ、何代も前からこの国に住まうものたちを見守り続けてる有り難い存在なのじゃ!」
そう言いながらケイジの皿の饅頭に手を出してブロックされている。
「あ、オトハ様もしよければ羊羹もありますので……」
「おお! ソーカはよくわかっておるな。ケイジも見習えよ!」
「いやー、ソーカ殿はお美しい上に菓子作りまでも一流……ユキムラ殿の伴侶でなければ放っては置かないのですが、いやー残念残念!」
「は、伴侶……えへへへへ……」
ユキムラの脳裏にケイジは油断ならない存在とインプットされた瞬間であった。
もともと仲は良い、さらに着物効果で最近はとっても仲がいいのだが、ケイジの漢っぷりは同性としても魅力的だ。本当に華があるのだ。
異性ともなれば惚れ込んでもおかしくないと思ってしまうため、ソーカを信じてはいるものの、気が気でないのであった……
「どうしましょユキムラさーん! 伴侶ですって……えへへへへー……
ユキムラさんの奥さん……うえへへへへへ……」
一方ソーカは単純に妄想をドンドン膨らませているだけである。
ユキムラもほんの少しの嫉妬心からソーカを隣に座らせたり、なんとも微笑ましいカップルだ。
「それにしても、いつの間にこのような道が開かれたのか……
いつもは小うるさい魔物共も全く近寄ってこない……」
白狼隊によって敷設された道路には等間隔に魔物避けの魔道具が展開しており、安全な交通をサポートしている。
途中に何箇所か休憩所も用意しており、完全なセーフエリアとなっている。
利用にはギルドカードもしくはギルドから支給されるマジックアイテムが必要だ。
これによって、万が一盗賊などの人の害なども防げるようになっている。
誰が入って、誰がどこにいるかもわかるために旅の安全にも寄与できる寸法だ。
国をめぐることで手に入れたノウハウや魔道具などは、今後世界水準としてサナダ商会によって世界中に広められる。それにより旅は安全性を増し、さらなる冒険に沢山の人々が出ていける。そんな世界にユキムラはしていきたいと思っている。
ユキムラの旅はそんな世界を作るための下ごしらえのようなものだ。
彼自身もこれから先、この世界で冒険に心躍りながら生きていきたい。
それが、何よりの願いなのだ。
「そもそもこの国を作ったのはワシじゃからな!
それに、まだまだこの国のひよっこ共には負けぬわい!」
その言葉通り、帝、オトハはとても強力な神道使いだった。
神道とはテンゲン和国における独特の魔法みたいなもので、悪しきものを滅ぼし人々を救うと言うコンセプトで、不死不浄系の敵には絶大な優位を誇れる。
柔道や柔術に似た格闘技の要素もあり、ソロでも臨機応変に狩りができる。
独特のコンボ要素があって、攻撃と同時に状態異常を与えたりする技が多く、ユキムラもPvPでは愛用している。
その代わり、やや器用貧乏で活躍の場は不死特化と言ってもいい。
「オトハ様、本当にいいんですか? みんなこの世の終わりみたいな顔してましたよ?」
「ユキムラはその様をやめろと言っておるじゃろ……、いいんじゃよ、ワシはどうせお飾りみたいなものじゃ。政まつりごとはワシなんかおらずとも皆がなんとかしておる」
「しかし、帝! 帝都をお離れになるなんて……」
「そうですよ、我々がいつも御身を守れるかはわかりませんぞ?」
「くどいぞケイジにソーシ! それに、お主らが束になってもユキムラには敵わん。
ならばユキムラと共におれば安全じゃろ?」
「ですが……」
「それにワシも結構やるぞ、まぁガタガタ言わずとも、もうすぐ腕前を見せてやるから。
そうすればお主らの心配も杞憂に終わるじゃろ!」
てんやわんやあって、結局一度ユキムラ達と龍の巣ダンジョンでオトハがどのくらい戦えるのかをソーシとケイジに見せる。ということで、ユキムラ達5名とソーシ、ケイジ、オトハ、もう一台の車には白狼隊の隊員たちと親衛隊隊長が乗っている。そして向かう先は龍の巣ダンジョン。
整備された道路を車で走る。
オトハもソーシもケイジも親衛隊の方々も最初は度肝を抜かされていたが、今ではすっかりと慣れてオトハを諦めさせる説得が再開されていた。
「あ、よかったらお茶とお茶請けをどうぞ……」
ソーカが3人に緑茶とお饅頭を差し入れる。
後部座席部分でさっきから同じ話が何度も繰り返されている。
「あ、これはおかまいなく」
「おお、これは旨い! ユキムラ! この饅頭はどこのじゃ?」
オトハは饅頭を一口食べると絶賛する。
「それはソーカが作りました。彼女の食へのこだわりは一流ですから」
「ホントだ。ソーカさん、これは美味しい! 帝都でもこんなに美味しいのは食べたことがない!」
ケイジも一口食べると目を見開いて大絶賛。
「ケイジ様、話がそれております!」
なるほどソーシが苦労するわけだ。
「すまんな、ソーシ。いや、お前も食えばわかる! これは絶品だぞ!」
ケイジがソーシの口に饅頭を突っ込む。
一口食べると夢中でそのまま饅頭を食べきってお茶をすするソーシ。
「……!? いや、たしかにこれは……それに茶も……」
「なー? ほら見ろ!」
「相変わらずそなたらは仲が良いのぉ……」
美味しそうにまんじゅうを頬張る二人をオトハはまるで母親のように微笑ましげに見つめている。
ヴァリィは鼻息荒く見つめている。
「帝……お戯れを……」
「ふふふ、そなたらがこーんなに小さい頃から見とるからのぉ……」
「そう言えばオトハ様は……3000年生きているというのは……」
「ああ、事実じゃ。ワシはこの国を救うために神々と契約をした。
死すことはない。老いることもない。
なぜか10歳ほどの姿に若返ってしまったが、その契約をした時は50を超えた頃じゃったかな?」
ユキムラの知るVOでのオトハは20代の絶世の美女設定だ。
不死でも不老でもない。
「帝は生ける守り神として、テンゲン和国全ての民から愛されております」
「そうじゃ、何代も前からこの国に住まうものたちを見守り続けてる有り難い存在なのじゃ!」
そう言いながらケイジの皿の饅頭に手を出してブロックされている。
「あ、オトハ様もしよければ羊羹もありますので……」
「おお! ソーカはよくわかっておるな。ケイジも見習えよ!」
「いやー、ソーカ殿はお美しい上に菓子作りまでも一流……ユキムラ殿の伴侶でなければ放っては置かないのですが、いやー残念残念!」
「は、伴侶……えへへへへ……」
ユキムラの脳裏にケイジは油断ならない存在とインプットされた瞬間であった。
もともと仲は良い、さらに着物効果で最近はとっても仲がいいのだが、ケイジの漢っぷりは同性としても魅力的だ。本当に華があるのだ。
異性ともなれば惚れ込んでもおかしくないと思ってしまうため、ソーカを信じてはいるものの、気が気でないのであった……
「どうしましょユキムラさーん! 伴侶ですって……えへへへへー……
ユキムラさんの奥さん……うえへへへへへ……」
一方ソーカは単純に妄想をドンドン膨らませているだけである。
ユキムラもほんの少しの嫉妬心からソーカを隣に座らせたり、なんとも微笑ましいカップルだ。
「それにしても、いつの間にこのような道が開かれたのか……
いつもは小うるさい魔物共も全く近寄ってこない……」
白狼隊によって敷設された道路には等間隔に魔物避けの魔道具が展開しており、安全な交通をサポートしている。
途中に何箇所か休憩所も用意しており、完全なセーフエリアとなっている。
利用にはギルドカードもしくはギルドから支給されるマジックアイテムが必要だ。
これによって、万が一盗賊などの人の害なども防げるようになっている。
誰が入って、誰がどこにいるかもわかるために旅の安全にも寄与できる寸法だ。
国をめぐることで手に入れたノウハウや魔道具などは、今後世界水準としてサナダ商会によって世界中に広められる。それにより旅は安全性を増し、さらなる冒険に沢山の人々が出ていける。そんな世界にユキムラはしていきたいと思っている。
ユキムラの旅はそんな世界を作るための下ごしらえのようなものだ。
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それが、何よりの願いなのだ。
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